私刑 -judgement-

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1:ぴーなす:2017/01/19(木) 23:17

 俺は椿野優雅。
 どこにでもいる普通の平凡な男子高校生……だったらよいのだが、残念ながら今は醜悪な『犯罪者』である。

 といっても、その罪は強盗や殺人なぞ大それたものではなく。
 

 俺の罪は――

『私刑』による『名誉毀損』及び『侮辱罪』だ。

>>02登場人物

2:ぴーなす:2017/01/19(木) 23:33

椿野 優雅 ♂
IQ300を誇る超天才ハッカー
中学の頃は家に引きこもり、パソコンをいじっていた
現在は高校に通いつつ、ネットを駆使して罪ある者を私的に裁く『私刑』を行っている
その鮮やかな手口は警察をも欺く

ネット上では『死神』を名乗り、私刑囚を裁く
Twitter、fecebook、Instagram、2ちゃんねるなど、神出鬼没
ちなみに父親は警視庁サイバー犯罪対策課所属


小宮 翔斗 ♂
優雅の幼馴染で親友
交友関係が広く、優雅に情報提供をしている
優雅が『死神』であることを唯一知っており、良き理解者

日高 可憐 ♀
優雅、翔斗の幼馴染
両親がネットカフェを経営しており、優雅もよく訪れる
昔引きこもっていた優雅を心配している

椿野 優弥 ♂
優雅の父で、警視庁でサイバー犯罪を担当している
『死神』の正体を追っているが、手がかりが全く見つからず、翻弄されている

3:ぴーなす:2017/01/20(金) 16:41

T章 <炎上マッチ 椿野優雅>

『近年増加傾向になりつつあるバイトテロ。果たしてその実態は……』

 午後6時、椿野家のお茶の間にて。
 徒然なるままに(要は暇だったのだ)俺はテレビのニュースを眺めていた。

「バイトテロか……くだらねーことする奴もいるもんだな」
 俺はため息混じりに呆れると、親父も
「全くだ!最近この手の犯罪が増えてきてな」
 と、声を荒らげ、憤りを隠せないようだった。

 バイトテロとは、Twitter上にバイト先でふざけて撮った写真をアップすることだ。
 主にバイト先のキッチンのシンクの中に入ってみたり、食器洗い乾燥機の中に入ったり、パンの生地で遊んでみたり……
 そんな写真をTwitterにアップし、炎上を煽っていく。
 見た人は不衛生だと感じ、その店に行かなくなる。
 よって店の経営が破綻するという大事にもなってしまうのだ。

 もちろん、写真をアップした当人は賠償金を払う事になる。
 それ以外にも、会社をクビになったり会社に就職できなくなったり。
 今後の人生に大きく影響が出る。

「この間もそのせいで何件か店が破綻してしまったんだ。全く……」
 親父は歯ぎしりしながらテレビの画面を睨みつけていた。


 

 この時の俺は、『見つけたら軽く炎上させてやろう』としか思っていなかった。

4:ぴーなす:2017/02/16(木) 22:47

 翌日、俺は眠い目をこすりながらも起床した。
 これだから低血圧は困る……
 このまま体調不良だと連絡を入れて休んでしまおうかと思ったが
「おはよう!早く学校行こう!」
 幼馴染の可憐に強いられるように引っ張られ、しぶしぶ行くことにした。

 駅の改札を過ぎ、「今日もうち寄ってく?」と可憐が言った。
「あぁ。暇だし」
 俺が一も二もなく返事をすると、可憐は少し嬉しそうに笑った気がした。

 可憐の家はネットカフェ『フロッピー』を経営している。
 最新のパソコンやソフト、ハードウェアがあって、設備は申し分ない上に回線も速い。
 そしてなによりドリンクバーのオレンジジュースがうまい。
 俺はすっかりフロッピーの常連客になっていた。


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