「おはよっ、愛結璃。」
「おはよー、日菜莉。」
ごくふつうの、挨拶だけど、私にとって、日菜莉は親友じゃない。
この『クラス内だけ』の親友だ。
Aprilー4月ー
クラス分けの表を、何度も見る。
ウソ……………。
優香と離れた……!
サイアク。
比較的、友達が少ない私にとって、クラス分けは最悪なのだ。
小学校生活五年目。
あと二年で卒業なのに!
ため息をつく。
当たりを伺うと、私以外、皆嬉しそうだ。
ああ、家へ帰りたい。
と、思っていたら。
「高峰さん??」
明るい声がする。
振り向くと、佐々木日菜莉がいた。
佐々木日菜莉とは、話したコトがない。
お互い、合わないと思っていたからだ。
「下田さんと、離れたの?」
「佐々木さんは、吉村さんと、離れたの?」
確か、吉村郁美と一緒だった。
「うん、ねぇ、高峰さん。」
「何?」
佐々木日菜莉が、何のようだろう?
「私と、友達にならない?」
友達…。
まあ、ぼっちは、嫌だ。
「良いよ、よろしく。」
こうして、佐々木日菜莉と友情ごっこが始まった。
「今日は、各自自己紹介をしてもらいます。5ー2組、担任の、朝島渚です。一年間、よろしくね。」
朝島渚センセーは、ニッコリ笑う。
自己紹介とか、嫌だなあ。
隣の佐々木日菜莉(なんと、隣になったのだ!)が、囁く。
「めんどくさいよねぇ。」
「確かに。」
朝島センセーは、私を指名する。
仕方なく、立つ。
「高峰愛結璃、趣味は読書。よろしく。」
パチパチ
次々と、自己紹介をする。
私は、佐々木日菜莉と喋っていたから、クラスメートの名前は、てんで覚えていない。
センセーが、教科書を配る。
国語の教科書、分厚い!
サインペンで名前を書く。
この一年間、無事に終わると良いな。
クラブ決め
今日は、クラブ決め。
今日こそは、優香と一緒になりたい!
クラブは、
バスケットクラブ、卓球クラブ、バドミントンクラブ、サッカークラブ、クッキングクラブ、茶道クラブ。
優香は、茶道クラブに入るらしい。
私も、入ろう。
としたら。
佐々木日菜莉が、
「クッキングクラブに入ろう!」
私の肩をつかみ、クッキングクラブの所に連れて行く。
「署名するよ!」
佐々木日菜莉が署名してる間、茶道クラブの所を見る。
定員が集まった印の、プラカードが上がる。
サイアク。
また、優香と離れたよ。
佐々木日菜莉が、カードを渡す。
仕方なく、
高峰愛結璃
と、書く。
かくして、私の優香と一緒に入れる確率が、無くなってしまった。
どうしてこう、佐々木日菜莉は、しつこいのだろう。
口にできない疑問を、心の中でぼやく。
……私は、優香と一緒にいたいのに。
まあ、佐々木日菜莉と仲がよかったら、良かったで、得するけどね。
自分を沈め、佐々木日菜莉のもとに向かった。