これは、人の色が見える少女のお話。
2:魔法少女乾燥剤♪:2017/06/24(土) 21:19 私には、人の色が見える。
そして私は、その人の色を喰らって生きている。一番不味いと思う色は、赤と黒。赤は怒りとやる気。特に怒りがスパイスのように辛い。黒は焦げ臭った味しかしない。一番美味しいと思う色はピンク。ピュアでほんのり甘くてさっぱりした濃ゆくない味。人の色がピンク色になる時は恋をしている時。人の恋の味は絶品だ。
不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い。
最近恋の…ピンク色まで美味しくない。不味い。最悪な気分だ。
私の身体は、色を喰らわないと消えてしまうものらしい。消えたこともないから本当のところどうなのかは分からないが、理性が吹っ飛ぶくらいまで飢餓状態になってみたら、身体が薄くなり足元から消え始めたから、きっと消えるのだと思う。だから、本当に色が不味く感じるのは最悪の最悪だ。
口に含む色は全てが不味い。今まではそんなこと無かったというのに。そういえば、今日は私の誕生日だったなあ…。3月1日…。ああ、とびきり美味しいピンク色が食べたかったのになあ。
人は常に何かを踏みにじって生きている。
だから、私も同じ人間だよね。ただ普通ではないだけで、少しだけ特別な例としてあげられるくらいだよね。
「ねえママ…」
「なあに?色美(しきみ)」
「ママは、色を盗み喰って悪いことしてるって思わないの?」
「…ッ!」
「ねえママ、答えてよ。」
「色美、ママは…」
「ママも、分からないの?」
今思えばそんなの母がわかるはずがなかった。私も母も同じだから。人から色を盗み喰うことは、人からモノを盗むのと同じであり、犯罪であるという考えの私は死にたいくらい。
え、死にたいくらい…
死にたいくらい…なんなの?
死にたいくらい…嫌なの?
それとも、逃げたいだけ?
どちらにしても最悪なことには変わりはない。
そんなことなら
「生まれてこなきゃよかったッッ!!」
そう、心から思った。なのに…