第1話『発端(はじまり)』
宝刀・・・それは神をも恐れるが故に、厳重に封印されし刀・・・その刀を持つ者によって救うものもあれば、逆に世界すべてを破壊するものにもなる諸刃の刀・・・・果たして・・・運命の行方は如何に?!
本文編集
あの事故が起きてから…オレはすっかり変わってしまった。あの日以降オレは誰とも関わらず、家にこもるようになった。オレの中で流れてた時間が止まっているかもしれない…。そう…オレはあの日以来自分の殻にこもって閉じ込めたんだ。あの日、家族と出掛けなければ…大事なものを失わずに済んだかもしれない…そう…あの事故によって失ったものが大きかったのだ。もうあんな辛い想いを思いだしたくない…そう思ってる内に心を閉ざしてしまった。すべては、あのトンネル事故がオレの人生そのものを変えてしまったのだ…。生き方も考え方も何もかもすべて…。これは、オレがあの事故が起こる数時間前の話である。
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−数時間前−
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−ジリジリジリ〜おい寝坊助起きろ〜ジリジリジリ〜−(目覚まし時計が鳴る音)
男の子『ん〜…うるさいな〜…もう〜…(寝ぼけ眼な状態で目覚まし時計を止める)』
−カチッ−(目覚まし時計を止まる音)
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男の子『むにゃむにゃ…おやふみなふぁい〜…zzZ』
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−それから十分後−
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−だっだっだっだっ−(階段登る音)
−ガチャッ−(部屋のドアノブを回して開ける音)
−チュンチュンチュンチュン−(外の木に止まっているスズメの鳴き声)
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−シューン−(カーテンを開ける音)
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−ガラガラガラッ−(窓を開ける音)
女の子『ったく何時まで寝てるのよ!!さっさと起きなさい!!』
−カンカンカンカン−(フライパンをお玉で叩く音)
男の子『う、う〜〜ん、あと五分〜〜』(布団に潜る)
女の子『…ふぅ。ったくしょうがないな〜こんな手を使いたくないけど』(布団めくってお玉を振りかざす)
女の子『…この…さっさと起きんかい!!バカ出雲!!』(耳元の近くでお玉を使ってフライパンを叩く)
−カンカンカンカン−(お玉を使ってフライパンを叩く音)
出雲『ぎゃあああ!!』
—ぷにゅ—(出雲が驚いて女の子の胸をつかむ)
女の子『え!?ちょ、こら//』(顔真っ赤になる)(お玉とフライパンを落とす)
出雲『んにゃ〜?なんか柔らかい枕だな〜』
−ぷにゅぷにゅぷにゅ−(寝ぼけ眼で女の子の胸を揉みまくる)
女の子『あん//ちょ、ちょっとダメ//って…どこ触ってるんじゃいこのエロの寝坊助ドスケベ!!出雲のバカ〜!!』
−ばしーん−(ねじ巻きアッパーする)
出雲『ぐわらばあべじ!!』(アッパーされて窓ガラスに頭ぶつける)
出雲『そ…その技を使えるやつということは…やはりお前か…ぐへっ』(バタッと倒れてぐったりする)
(出雲、ダウン中)
−ぽくぽくぽくち〜ん−(木魚叩く音&鐘叩く音)
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−それから10分後−(ハトが鳴く効果音)
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女の子『お〜い、出雲〜大丈夫〜?』
出雲『だ、大丈夫なわけねぇだろこの暴力女!!危うく天に召されて三途の川渡りそうになったわ!!でもお花畑のいるお姉ちゃんは魅力的だったかも(笑)どこぞの暴力女にも見習って欲しいぜ全く』(ニヤニヤして想像する)
女の子『ほう〜それはごめんあそばせ。トドメをさしておくべきだったかしら〜?』(怒りを露あらわにして顔がひきづって拳を握りしめる)
出雲『スミマセンオレが悪いですごめんなさい許して下さい聖華様』(土下座する)
聖華『うむ。わかればいいのよ〜わかれば(笑)』(ニコニコ顔)
オレの名前は北島出雲(きたじまいづも)、島根県の出雲市に住む、ごく普通の16歳の高校生、髪型は長いストレートな為、いつも後ろは髪留めの輪ゴムで束ねている。身長は162センチ、赤とピンクの色が好きなごく普通の青少年である。あまりにも赤好きなせいか、思わず美容院に行って髪を赤に染めてしまったくらいである。実はオレの家である、北島家には、代々伝わる宝刀、『桜花狂乱・千本桜(おうかきょうらん・せんぼんざくら)が封印されており、悪人に取られないように厳重に保管されているのだが、オレはその北島家の末裔なのだ。とまぁ、毎度毎度いつもこの調子で平凡へいぼんな日々を過ごしている。
そして彼女の名前は、月島聖華(つきしませいか)。年は16歳で、オレの隣の家に住む女子高生だ。髪型はツインテールで、左腕には、オレが昔誕生日にあげたオレのお手製の無様なヘタクソのミサンガを未だにつけて愛用している。幼なじみだから腐れ縁というか、親が勝手に決めた許嫁いいなずけである。いつもお節介を焼いてくるしある意味迷惑なヤツだが、まぁ寂しがりの甘えん坊なとこもあるから可愛いと我ながら思う。おまけに料理も上手で美味い上に家事や洗濯などまさに主婦業が本職かと思うくらいテキパキと動く。まさに文句無しの最高の嫁の称号間違いなしのお墨付きだ。ただ、怒るとすごく怖い。あだ名は『ミクロちゃん』。由来は、昔見たアニメの『残虐ざんぎゃくスマイル天使・ミクロちゃん』のミクロちゃんにそっくりで、そのキャラがキレると出すスマイルフライパンシールドとお玉ステッキを持ってきて相手を撲殺(ぼくさつ)しかけたり、イタズラしたら必殺技のドリルすまいるミクロアッパーやドリルすまいるミクロパンチなど殴る蹴るの暴力ふるってくるという、聖華と同じ行動をすることから名付けられた。名付けた命名者はオレだが。ちなみにそのキャラは身長138pで、聖華も同じく138pというのもある。ミクロちゃんのツインテールのカツラと服来てコスプレすりゃ、リアルミクロちゃんになれるだろうなきっと。
ちなみに彼女のご先祖様は木野家一族、つまりオレの家系である北島家と聖華の家系である木野(きの)家(聖華の場合は、親が結婚したから月島になったが)は昔から深い繋がりがあるのだ。聖華にもう少し可愛げがあれば、オレも素直になれるんだが。
聖華『悪かったわね。可愛げがなくて』
出雲『え?ちょって待て!!なぜそう思ったんだ!?』
聖華『アンタが全部口から漏らしてたわよ?ふ〜ん、あたしのことそんな風に思ってたわけね。よ〜くわかったわ。(眉毛ピクピクさせながら怒りを露わにして拳を握りしめる)
出雲『ひぇ〜すみませんすみませんオレが悪うございました許して下さい〜…って言うとでも思ってたか!!』(逃げ出す)
聖華『あ、こら待ちなさい!!…って、キャア!!』(出雲を追いかける弾(はず)みでつまずく)
出雲『え?あ、ちょ、こら来るな!!わぁあああ!!』
—バタン—(倒れる音)
出雲『いってててて…おい聖華、大丈夫か!?』
聖華『いたたたた…う、うん。平気!!』
出雲『そっか。なら退きますか。よいしょ』(むにゅっと聖華の胸つかんで揉んでしまう)
聖華『Σにゃ!?』
出雲『ん?なんだこの柔らかいマシュマロは』(そう言いながら聖華の胸を揉む)
—モミモミパフパフ—(胸を揉む音)
聖華『あ、ちょ、あん//やめ、や、あ…って何あたしの胸揉んでるんじゃ!!出雲の〜…エロバカ!!』
—バシバシバシバシバシバシばこーん— (殴る蹴るのフルボッココンボしてからアッパーする)
出雲『うがうごぶほぐへギャア〜あばびゅ〜ん!!』(フルボッコされてアッパーされ、屋根を破って上空の遥か向こうに飛ばされ、キラッお星様になる)
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−それから10数分後−(ハトが鳴く効果音)
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出雲『さーふぇんボフが悪ふ〜ごはいまひた。』(顔がフルボッコ状態)
聖華『…次したら、息の根止めるわよ?』(出雲をヘビのようにギロッと睨む)
出雲『ひぃ〜ごめんなふぁいもう二度としまへん許ちで下はい』
聖華『ふん。まぁいいわ。早くさっさと支度しなさい!下で待ってるわよ?』
出雲『ふぁ〜い』
さすがにこれ以上ボコられたら傷物になりかねないので、オレはそそくさに着替えた。
ちなみに我が家の朝食は当番制である。
—ダッダッダッダッ−(階段をかけ下りていく音)
オレは急いで着替えて階段をかけ下りた。
女の子『お兄ちゃん、今日の朝食の当番は私がしといたから。』
出雲『おう。すまんな。紗耶香(さやか)。』
コイツの名前は、北島紗耶香(きたじまさやか)。年は12歳、来年には中学生になるオレの大事な可愛い妹だ。髪型はストレートヘアーで、いつも可愛い赤いリボンを髪留めに使うことが多い。今だからこそ言うが、聖華に料理教えたのは実は沙耶香で、沙耶香に教えてもらうまでは、聖華は料理一品すら全く出来なかったのだ。あの料理すら出来んかった不器用殺人兵器を、いとも簡単にテキパキとこなす万能主婦にしてしまったのがすごい。料理だけでなく、家事や洗濯も聖華にきっちり仕込んだのも彼女で、まさに我が家のスペシャリスト、最強な妹なのだ。だが…問題は残っている。それは我が家の姉である、桃霞(とうか)姉こと、北島桃霞である。この間まで女性向けのファッションデザイナーを務めていたが、上司から交際を申し込まれた為、面倒くさいとのことで退社、現在就活中である。家ではいつも下着姿の為、もう少し女性らしくして欲しいものだが。
女性『ふぁ〜〜…おはお〜。あ〜ねみぃ〜。』
出雲『やっと起きたのかよ。えらい遅くまで仕事なんか?桃霞姉』
桃霞『まぁね〜。さすがに眠いわマジ。それより、早くアンタご飯食べなさい〜お母さんとお父さんが待ってるわよ?』
出雲『わかったわかった桃霞姉。だから朝からその格好で歩くの辞めてくれ。目のやり場に困る』
桃霞『な〜に出雲。私をそういうエロい目で見てたのね。いいわ。私の弟が犯罪者になる前に食い止めるのは、姉である私の役目…さぁ〜抜きたいなら抜きなさい!このエロガキ!』
紗耶香『お兄ちゃん…不潔です…。桃霞お姉ちゃんのことそんな目で見てたなんて…。私に言ってくれたら良かったのに///』
出雲『ちょ!?Σ紗耶香何言い出すんだよΣ!桃霞姉の場合は、いつものことじゃないかΣ!!つか対抗すんな!うあっ!!』
−バタン−
(紗耶香と桃霞姉を覆い被るように倒れる)
出雲『いたたたっ…桃霞姉、紗耶香、大丈夫!?』
紗耶香『う、うん。なんとか…(苦笑)』桃霞『とりあえず早くどきなさいよ!』
出雲『あ、ごめんごめん。すぐにどくね。よいしょっと』
−プニッ−(胸を揉む音)
オレは桃霞姉と紗耶香から退こうとした弾みで、桃霞姉の右胸と紗耶香の左胸を思わず揉んでしまった。
紗耶香『にゃ!?//』
桃霞『あん//』
出雲『ご、ごごごごめん!!大丈夫?!(顔真っ赤になる)』
2人『平気だからその揉んでる手退かさんかい!!(ダブルパンチ)』
出雲『ぎゃぶれぶ#◎◇&*§¥$℃!!』
ダブルパンチで吹っ飛んでそのまま椅子に頭ぶつける
−ゴン!−((椅子に頭をぶつける音)
そのぶつけた音が聞こえたのか、慌てて二階からダッダッダッっと聖華がかけ下りて来た。
聖華『え?!ちょっと、大丈夫?!』(心配そうに出雲に近寄る)
出雲『ぶは!!いい…パンチだったぜ…ガクッ』
ダブルパンチをまともに受けたオレは・・・またそのまま失神してしまったのだ。
−ぽくぽくぽくち〜ん−
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−それからさらに10分後−(ハトが鳴く効果音)
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出雲『それじゃ、行ってくるよ。桃霞姉、紗耶香。いてて・・・』
紗耶香『大丈夫?!もう朝からお兄ちゃんがエッチなことするからだよ。自業自得だかんね?それじゃあ行ってらっしゃい。気をつけてね。お兄ちゃん』
桃霞『あんまり父さんと母さんを困らせないようにね〜。』
出雲『わかってるってばよ。』
聖華『ばーか。ほら、おじさまとおばさまが待ってるんでしょ?そこまで見送るから』
出雲『へいへい、言われなくても行きやすよ。んじゃ紗耶香、桃霞姉、行ってくるよ。』
紗耶香『行ってらっしゃい!!お兄ちゃん』
桃霞『お土産(みあげ)よろしく!』
オレは両親が待つ外へ出るため、玄関開け、後にした。
−ガチャっ−
(玄関開ける音)
今日も良い天気だ。こんな時はのんびりして昼寝したいくらいだが、そうはいかない。今日は学校が休みの日曜日、待ちに待った旅行へ行く日なのだ。
−バタン−(ドアを閉める音)
聖華がドアを閉め、両親が待つ玄関先まで見送るため、後ろについてきた。そして・・・
出雲『父さん、母さん、お待たせ!遅れてごめんごめん』
???『おやおや、やっと起きてきたか。10分遅刻だぞ?しかしまぁいつもいつも聖華ちゃんに優しく起こしてもらってるとか、お熱いね〜このこの(笑)』(軽く肘打ちする)
出雲『ちょΣ父さん!べ、べべ、別にそういう仲じゃないし、な、何もないから!』(照れ隠しする)
母親『あらあら照れちゃってこの子は(笑)いっそのこと、聖華ちゃんがいずちゃんのお嫁さんになってもらおうかしら(笑)』
出雲『えΣちょ!?母さんまで何言い出すのさΣ』
父親『照れるな照れるな(笑)父さんには分かるぞ!聖華ちゃん可愛いから独占したいんだろ?(笑)あははは(笑)』
聖華『うぅ・・・お、おじさま、おばさま///からかわないでくださいよ///』(顔真っ赤にして照れる)
相変わらずのテンションなこの人が、オレの父親である、北島家13代目当主(とうしゅ)であり、管理者である神主(かんぬし)の北島陽助(きたじまようすけ)である。さすがに笑えない時があるが。
んで、父さんといるこの女性が、母親の北島美月(きたじまみつき)である。普段はノリがいい優しい母さんだが、怒ると怖い。元々父さんとは幼馴染(おさななじみ)であり、言いたい事を言い合う仲な為、もはや腐れ縁(くされえん)と言えるだろう。
陽助『全くいつも毎度ながら聖華ちゃんに優しく起こしてもらいやがって、羨ましいヤツだなこのこの(笑)(胸に肘打ち)オレも起こしてもらっちゃおうかな〜…なんちゃって(笑)あははは(笑)…って後ろから殺気がΣ!?』
美月『あ〜な〜た〜そんなに起こされたいなら私が起こして差し上げましょうか?(睨みつけながら拳を握りしめてから拳をポキポキと鳴らして怒りを露わにした微笑ましい顔になる)』
陽助『ひぃーΣか、かか母さん、ほんのお茶目な冗談に決まってるじゃないか〜(笑)(ビビり顔で苦笑して言う)』
美月『言い訳無用!私に大人しく殴られなさい!(怒)』
陽助『ぎゃああああす!!』
−バシバシボコボコバシバシボコボコバシバシボコボコ−(美月が陽助を殴り倒す)
出雲『父さん…ご愁傷様…(苦笑)(合掌する)』
−ぽくぽくぽくち〜ん−
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−15分後−
美月『じゃあ聖華ちゃんこれかもいづちゃんのこと、頼んどくわね?あと、下らないこと言ったら・・・どうなるかわかってるわね?あ・な・た?(聖華には笑顔、そのあと振り向いて鬼の顔になって陽助を見る)
陽助『ヒィィィィィィ!!!すびませんでした』(タコ殴りされた顔で謝る)
聖華『あははは・・・(苦笑)じゃあおじさま、おばさま、行ってらっしゃい!!あと、ついで出雲も』
出雲『オレはついでかよ!』
聖華『当り前じゃない。まぁ行ってらっしゃい』
出雲『へ〜い』
父さんが運転する積丹(しゃこたん)された改造車のマークUが、オレ達を乗せて出発を開始した。
−ブォーン・・・ヴィ〜ン−(車が走り去る音)
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−車で移動中−
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出雲『やれやれ(汗)父さんは、冗談に聞こえないから笑えないんだよな。マジ』(呆れ顔で言う)
陽助『すまんすまん(笑;)冗談のつもりだったが、お茶目過ぎたな。あはは(笑)』
美月『まったく・・・あなたって人は・・・』(呆れながら言う)
とまぁ、いつものように日常茶飯事な会話が飛び交う日々であるが、休みの日になると行きつけの松平(まつだいら)温泉に行くことがオレの楽しみになっていた。
しかし、この時のオレはまだ予想もしてなかった事が…この後に起こる事態に気づかなかった。
そう…オレやオレの両親を巻き込み、オレの両親の命を奪ったあのトンネル事故を…。もっと早くこの事態になることを想定してたら…きっとオレの両親は命を落とさずに済んで助かってたかもしれない…。
そして、オレ達は松平温泉へ向かうべく、例の北浦(きたうら)トンネルに入った。トンネルを走り抜けようと中盤場所にきた時のこと。
−パラパラ−(上から微量の小さな瓦礫(がれき)が一瞬落ちる)
陽助『ん?今なんか一瞬何かが落ちて来た気がしたが、何か見えなかったか?』
出雲『え?オレは何も見えなかったが』
美月『あなたの気のせいなんじゃない?』
陽助『う〜ん…だといいんだがな。何やら不吉な予感がするのだ』
出雲『あはは(笑)大丈夫だって。気にし過ぎだよ父さん』
陽助『…だといいがな』
−ドーーーン!!−(ものすごいでかい爆発音)
突然ものすごい爆発音と共にトンネルが崩れ落ちてきた。上から崩れ落ちた瓦礫が散乱するも、父さんが運転するオレ達の車は必死にそれらを交わした。
陽助『くそ!!しっかり捕まっとけよ?!』
出雲『わかった!!父さん!!』
美月『あ、あなた!!危ない!!瓦礫が!!落ちて来るわ!!』
目の前に大きな瓦礫がオレ達の車を襲った。
陽助『何!?し、しまった!交わしきれない!』
陽助・出雲『うああああああ!!』
美月『キャアアアアア!!』
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一体どれくらい時間が経ったのだろうか。気がつくとオレは車から投げ出され、トンネルの外で倒れていた。あたり一面はトンネルの崩れ落ちた瓦礫や、瓦礫に巻き込まれて大破した車や人の倒れている姿だった。瓦礫に挟まれて怪我をしてる者や瓦礫の下敷きになって死んでいる人もいた。大破した車からガソリンが漏れて炎上した箇所もあり、その光景は、まさに大惨事を物語るものだった。
出雲『うぅ…こ、ここは一体…あ、そう言えば父さんと母さんはどこだろう。父さん!母さん!いたら返事してくれ!!』
オレは必死になって父さんと母さんを、血眼(ちまなこ)になって探していた。辺り一面はトンネルから崩れ落ちた瓦礫や土砂に覆われ、事故によって車が炎上し、その光景はまさに焼け野原、地獄そのものだった。
捜索して10分後、父さんと母さんを発見した。しかし、時既に遅し…父さんと母さんの胸には鉄筋コンクリートのむき出された鉄筋が刺さっているという無惨な状態で、一刻も争うくらい非常に危険な状態だった。瓦礫の下敷きになって頭を強く打ってるのか、血が滲(にじ)んでおり、手足すら動かすのが困難だった。
出雲『父さん!母さん!しっかりして!父さん!母さん!』
陽助『うぐ…ハァハァ…い…出雲か…ケガはないか?……ゲホゲホゲホゲホ!』
出雲『オレは大丈夫だよ!父さん。それより早く病院連れて行かないと!傷の手当てをしないと!』
陽助『いいのだ出雲よ…どの道父さんも母さんも助からん…ハァハァ…ゲホゲホゲホゲホ!』(吐血する)
出雲『な…何言ってるのさ!父さん!いつものからかい…何でしょ?…アハハ…ほら…冗談なら冗談だって言ってくれよ…ねぇ…父さん…(泣)』
オレはケガしないように庇(かば)ってくれた両親のケガを目の当たり(まのあたり)にして思わず泣いてしまった。そしてオレはいつの間にかその不安を消すように、母さんの右手を握りしめていた。
美月『…ハァハァ…いずちゃん…男の子が泣くんじゃないわよ…あなたは…代々受け継がれし我が北島家の末裔…あなたが…ハァハァ…私達の跡を継ぐのよ…人はいつかは死を迎えるもの…
私達は…それが今日だったということだけよ…でも無事で良かったわ…あなたが無事なら…それで充分よ…ゲホゲホゲホゲホ!今日まであなたと共に生きてこれて本当に良かったわ…あなたに辛い想いさせる私達を許してね…い…ず・・ちゃ…』(息を引き取り目がゆっくり閉じていって右手の力が抜けて落ちる)
出雲『Σ!?母さん!しっかりして!母さん!うぐ…うぅ…母さん…うわあああああ!!!』(号泣する)
静かに息を引き取って冷たくなっていく母さんの右手を握りしめ、母さんを死なせてしまったことに対する気持ちが溢(あふ)れて号泣するオレに、父さんはこう言った。
陽助『泣くな…出雲よ…母さんが言ったことは事実だ…お前は代々受け継がれし北島家の末裔…お前には酷かもしれぬが…オレから頼みがある…ゲホゲホ!…ハァハァ…』
出雲『と、父さん!もうしゃべらないで!待ってて!救急車呼ぶから!あ・・・携帯が壊れてる・・・ちきしょ!!!』
—ガシャン—(割れた携帯を怒りに任せて遠くへ投げ捨てる音)
オレはさっきまで気が動転してたのか…携帯がさっきの事故の衝撃で壊れているにも気づかなかった。救急車を呼ぼうとしていた事に気が付いたのはいいが、このままでは母さんも父さんも助からない…。両親を助けたいのに、肝心な時に何の役にも立てない自分自身のやるせなさに憤(いきどお)りを覚え、自分自身を責めていた。
出雲『待ってて!!今誰か呼んできて携帯借りてくるから!!』
慌てて生き延びてる誰かに携帯を借りに行こうと立ち上がろうとするオレだったが、父さんはそんなオレの左手を握り、こう言った。
陽助『…ハァハァ…いいのだ出雲よ…どの道オレは母さんと一緒でもう助からん…ゲホゲホゲホゲホ!…ハァハァ…いいか…出雲よ…お前はこれから北島家の末裔として…長男として代々伝わる我が家宝を守らねばならん…』
出雲『家宝…それって…あの祭壇に封印してるあの刀のこと?』
陽助『そうだ…あの刀は…北島神社の奥の囲い部屋に厳重に封印のお札で封印されている禁断の宝刀なのだ…我が先祖、“御祭神の大國主大神乃命(おおくにぬしのおおかみのみこと)”が使用したとされる『命珠』(みことたま)と共に代々北島家が受け継いで封印してきた神をも切れる宝刀…それが『桜花狂乱・千本桜』だ…持つべき者である、正義の心を持つ者が持てば悪を退治する清き退魔の剣となるが…逆に心が穢(けが)れている者が持てば災いをもたらす悪の神殺しの剣と化す…恐ろしい諸刃の剣だ…オレと母さんは…この刀を悪しきものが悪用しないように先代から受け継いで今日まで守り抜いてきた…だが…その千本桜を悪用しようとしている不届きな輩(やから)が…どうやらいるようなのだ……いいか…出雲よ…ハァハァ…これからはお前が北島家の長男として…そして北島家の末裔として…我が家宝を狙う悪人達に奪われないようにお前が守ってくれ…ゲホゲホゲホゲホ!ハァハァハァハァ…』(吐血する)
出雲『父さん!死なないで!死んじゃ嫌だ!それ以上しゃべったらホントに死んじゃうよ!!今すぐ救急車呼ぶから待っててね!!』(涙流しながら陽助の左手を握って励ます)
オレはもう父さんの状態が危険だと判断した為、助けを呼ぼうと再び立ち上がろうとした。しかし、父さんは自分の死が近づいてることに気付いていたのか、まるで死を悟ったかのようにオレの左手を握りしめ、首を振って助けを呼びに行こうとしたオレを引き止めた。そして・・・父さんは続けてこう言った。
陽助『ハァハァハァハァ…どうやら…オレもいよいよダメみたいだ…母さんとオレの意志を引き継いでくれ…すまんが後は頼む…出雲よ…ぶは!…ハァハァハァハァ…美月…今からそっち行くよ…お前や出雲を・・・こんなことに巻き込んでしまって…すま…な…い…ふがいない父を・・・ゆ・・るし・・て・・く・・れ・・・ぶは・・・ガクッ』
(吐血して左手を握りしめていた父の手が緩んで落ち、そのまま息を引き取る)
出雲『と…父さん?…父さん…ねぇ起きてよ父さん…返事してよ父さん!噓でしょ父さん!!…うぅ・・・うああああああああ!!ち・・・ちきしょう・・・意識がもう・・』(泣き叫んでから意識を失う)
—バタッ—(倒れる音)
目の前で死んだ両親のショックからか…その後の記憶は覚えていない。後で桃霞姉さん達に聞いた話では警察から事故死ということで片づけられたとのことのようだが…結果的に両親を死なせたのはオレ…その事実に変わりはなかった。それからのオレは…まるで自分の感情を閉じ込めたかのように心閉ざしてしまっていた。
両親を事故で失った出雲・・・・果たして・・・出雲の今後の行く末は如何に?!
—次回へつづく—
※この話から最終話までに出るキーワードの頭文字を合わせると、この話の謎を解くカギがわかります。是非、探してみてください!
今回のキーワードは・・・・・・『北島神社に眠る封印されし刀』の詳細の中に隠しました。さぁ・・・君はもう分かったかな?
第2話『呪縛(トラウマ)』
両親をトンネル事故で亡くした出雲の前に立ちはだかる斬新(ざんしん)な光景・・・その現実を受け止めるには、あまりにも残酷(ざんこく)なものだった。両親が託した約束と運命を胸に、出雲は宝刀を守る事、即(すなわ)ち後継者としての役目を果たす事を誓(ちか)う。果たして・・・出雲達に待ち受ける運命とは?!
オレは、あの日から笑顔が消えてしまった。朝起きてからテレビをつけてみると、昨日起こったトンネル事故についてのニュ−スが報道されていた。両親を失ってから・・・すべてが変わってしまった。世帯主は、姉の桃霞姉になり、妹の紗耶香は毎晩泣いてばかりいた。桃霞姉も、紗耶香も・・・冷たくなって安らかな顔をした母さんと父さんの顔を見て号泣していた。
美月・陽助『・・・・・・。』
医者『すいません。全力を尽くしてみましたが・・・すでに手遅れの状態でした。・・・ご臨終です・・・。』
紗耶香『お父さん!お母さん!ウソでしょ?!冗談だって言ってよ!うぅ・・・うわぁぁぁぁぁぁぁん』
桃霞『泣くんじゃないよ!父さんと母さんを無にしない為にも・・・うぅ・・・』
出雲『うぅ・・・・父さん・・・母さん・・・・約束は守るから・・・』
紗耶香『父さんと母さんが死んだ原因・・・そうだ!お兄ちゃんのせいだ!!お兄ちゃんが父さんと母さんと一緒に温泉に行かなければ・・・助かったんだよ!お兄ちゃんなんて嫌い!!父さんと母さんを・・・返してよ!!!』
−バチン−(紗耶香のほっぺたをひっぱたく音)
桃霞『やめなさい!!紗耶香!!一番辛いのは・・・出雲なんだからね!!』
怒り悲しむ紗耶香がオレに怒りと悲しみをぶつけようとするのをビンタで制止する桃霞姉。桃霞姉もまた・・・泣いていた。
出雲『いいんだ・・桃霞姉・・・事実には変わりないから・・・ごめん紗耶香・・・桃霞姉・・・全部・・・オレのせいだよ・・・オレが・・・父さんと母さんを殺したようなもんだよ・・・』
紗耶香『・・・卑怯だよ・・・お兄ちゃん・・・そんなこと言われたら・・・私何も言えなくなるじゃん・・・うぅ・・・うああああああぁぁぁぁん』
出雲『・・・・・・・。』
その日紗耶香はオレの胸を叩いて両親を失った原因である、オレを責め立てるように泣いていた。
父さんと母さんの亡骸を確認した後・・・その日に通夜を行い、話を聞きつけた親戚や親族がぞくぞく集まった。
お坊さん『帰命無量寿如来(きみょうむりょうじゅにょらい)、南無不可思議光(なむもふかしぎこう)、法蔵菩薩因位時(ほうぞうぼさついんにじ)、在世自在王仏所(ざいせじざいおうぶつしょ)・・・・・』(正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)を唱えて、目をつぶり、お経を読む)
親戚1『この度はご愁傷さまでした。辛いでしょうが、みんなで力を合わせて頑張っていきましょう。』
その夜・・・お通夜が無事終わり、葬式の準備と手続きを終えた桃霞姉の顔は、泣きすぎて目が赤くなってくまができていて、少しやつれているかのように見えた。
翌朝、オレは学校に連絡して休ませてもらった。桃霞姉と紗耶香は両親の葬式(そうしき)の準備に追われ、朝10時にはすでに親戚や友達、亡くなったことを聞きつけた人達が参列して供養に来ていた。その後に後片付けをして、無事両親の遺骨を焼いてもらった。紗耶香から笑顔が消えて、オレを憎(にく)んでるような顔をしていた。桃霞姉はひどく疲れている様子だったが、聖華は結局お通夜も、葬式にも顔を出さなかった。
そのあと、オレは気分転換に北島家の神社に咲いている、桜の樹を見に行った。晴天で穏(おだ)やかな北風が流れ込み、桜の花びらが風に舞っていた。
出雲『いい風だな〜こんなにいい天気だと、眠たくなりそうだわ。ふぁ〜・・・』
オレは眠たくなってしまって欠伸(あくび)をしてしまい、桜の樹の下で横になってしまった。
その時、ふと社(やしろ)の祠(ほこら)の方へ目をやると、巫女服を着た小さな少女が見えた。
出雲『ん?』
少女『・・・・・』
出雲『君は誰だい?』
少女『・・・(ニコッ)』(笑顔になる)
出雲『あ、ちょっとまって!君は一体・・・・』
少女『・・・・・・』
謎の少女は、オレの方を見てにこやかな顔をした後に、そのまま宝刀が封印されているとされる、北島神社の封印されし祠(ほこら)の方へ向かい、姿を消した。
出雲『なんだったんだ?一体・・・あの子は誰だ?気になるな・・・でもあの子が向かった先は・・・宝刀が封印されている祠のはず・・・・どういうことだ?まぁ、どうも胸騒ぎがする・・・よし・・・行ってみるか』
妙な胸騒ぎを胸に秘め、それを確かめる為に宝刀が封印されいる北島神社の祠へ向かう出雲。果たして、北島神社の桜の樹で会った謎の少女の正体は・・・・何者であろうか?そして、祠へ向かう先にあるものは一体?!出雲が待ちかまえる運命とは?!
−次回へつづく−
※今回のキーワードは・・・・・・『出雲の父親の呼び名』の中に隠しました。さて、君はもう答えが分かったかな?
第3話 『謎の少女』
北島神社の桜の樹の下で出会った、謎の少女の後を追う出雲。謎の少女が向かう先に・・・一体何があるのだろうか?
オレは謎の少女の正体を突き止めるべく、後を追いかけていた。
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ダッタッダッダッっと走る足音と共に、謎の少女の後をオレはひたすら追っていた。
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−ダッダッダッダッダッダッダッダッダッ−(走る足音)
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走る度に、オレが祠の洞窟の中で聞こえる走る足音が、まるで走馬灯そうまとうのように響き渡った。
出雲『ま、待ってくれ!君はどこまで行くんだ?!はぁはぁはぁ・・・』
謎の少女『・・・・・・・』
オレは息を切らしながらも、謎の少女を見失わないように必死で後を追いかけた。
そして・・・・ある場所に着くとついに謎の少女が走るのを辞め、立ち止まった。その場所は・・・北島家に伝わる宝刀・『桜花狂乱・千本桜』が祭られている、灯籠とうろうが並ぶ不気味な祭壇だった。謎の少女はついに口を開いた。
謎の少女『・・・はじまりの場所へ・・・ようこそ・・・・』
出雲『はじまりの場所?どういうことだ?君は一体・・・』
謎の少女『・・・自己紹介が遅れたわね。私の名は・・・千雨ちさめ・・・あなたをここへ導く者・・・』
出雲『千雨、か。なら千雨・・・君はオレをここへ導くと言ったが、それはどういう意味なんだ?』
オレは千雨の言った意味が知りたくて、質問をした。すると千雨はこう答えた。
ごめ、修正^^;
本編は次からはるね
オレは謎の少女の正体を突き止めるべく、後を追いかけていた。
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ダッタッダッダッっと走る足音と共に、謎の少女の後をオレはひたすら追っていた。
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−ダッダッダッダッダッダッダッダッダッ−(走る足音)
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走る度に、オレが祠の洞窟の中で聞こえる走る足音が、まるで走馬灯(そうまとう)のように響き渡った。
出雲『ま、待ってくれ!君はどこまで行くんだ?!はぁはぁはぁ・・・』
謎の少女『・・・・・・・』
オレは息を切らしながらも、謎の少女を見失わないように必死で後を追いかけた。
そして・・・・ある場所に着くとついに謎の少女が走るのを辞め、立ち止まった。その場所は・・・北島家に伝わる宝刀・『桜花狂乱・千本桜』が祭られている、灯籠(とうろう)が並ぶ不気味な祭壇だった。謎の少女はついに口を開いた。
謎の少女『・・・はじまりの場所へ・・・ようこそ・・・・』
出雲『はじまりの場所?どういうことだ?君は一体・・・』
謎の少女『・・・自己紹介が遅れたわね。私の名は・・・千雨(ちさめ)・・・あなたをここへ導く者・・・』
出雲『千雨、か。なら千雨・・・君はオレをここへ導くと言ったが、それはどういう意味なんだ?』
オレは千雨の言った意味が知りたくて、質問をした。すると千雨はこう答えた。
千雨『・・・・・・その意味を知りたいなら・・・宝刀の封印を解けばわかる・・・』
出雲『なんだって?!だが・・・この刀は代々北島家が守り続けてきた宝刀・・・封印を解く訳にもいかないんだ。』
千雨『・・・・そう。まぁ・・・どうするかはあなた次第だし、別にいいけどね』
溜息を吐きながら、千雨はそう答えた。そして続けてこう述べた。
千雨『そうそう・・・あなたに伝えないといけない事があったのを思い出したわ。あなたの幼馴染・・・確か・・・・聖華さんだったかしら?』
出雲『え?!どういうことだ?!聖華に何かあったのか?!』
オレは動揺が隠せず千雨に問い詰めた。だがオレはこの時、千雨に聖華について問い詰めたことをものすごく後悔することになるとは思っていなかった。
千雨『・・・知らない方がいいと思うわよ?まぁ、あなたにウソ言っても仕方ないし、どうせ後でわかることだから教えてあげる。あなたの幼馴染の聖華さんだけど・・・彼女は・・・本当はこの世に存在していないのよ。・・・この意味がわかるかしら?』
出雲『え?!ちょっと待ってくれ!ふざけるな!!なら今までオレと話していた聖華は・・・誰だっていうんだよ!!!』
オレは千雨の胸倉を掴み、怒りをあらわにして取り乱していた。だが千雨の言葉から出るのは・・・幼馴染の存在そのものを否定するものだった。
千雨『・・・現実を受け入れられないのも無理もないわ・・・でも紛れもない事実・・・つまりあなたの幼馴染である、『月島聖華』は・・・死んでるのよ』
出雲『ウソだ・・・父さんや母さんだけではなく・・・聖華までも死んでいただと・・・?!オレは・・・認めないぞ!!まさか・・・千雨・・・あんたが殺したのか?』
怒りの矛先を千雨に向けたが、千雨は動じず淡々と事実だけを述べていく。
千雨『いえ・・・私ではないわ。・・・聖華さんの事とご両親の事はお気の毒だけど・・・それが真実なのよ。そして・・・これから話すことは・・・あなたが知らなくちゃいけない事・・・それをあなたにすべて話すわ。それが・・・北島家の次期当主となった、出雲さん・・・あなたに伝える私の役目だから・・・』
聖華が死んでいた?!謎の少女の千雨から告げられる、聖華の死。そして新たな真実を、彼女の口から告げられる出雲。果たして・・・その真実とはいったい?!
−次回へつづく−
今回のキーワードは・・・『祠の先にある、祭壇に並ぶ不気味なもの』の中に隠しました。さて、あなたはこのキーワードが分かったかな?