1 目が覚めたら月にいたこと
Nが目を覚ましたら、なぜか月にいた。
「地球に帰らねば!」
Nは地球めがけて特大ジャンプした。
しかし、月の重力が、Nをひゅーんと、引っ張った。
ぽすん、とNは着地。
あっけない。
他に手段もないのでNは、寂しそうに地球を
見上げていた。
2 月にはウサギがいたこと
Nは美味しそうな匂いを嗅いだ。
「もち?」
匂いの方へ歩いて行くと、
確かに
もっちん もっちん もっちん もっちん
という音がする。
匂いのする方へ、夢中で向かう。
見るとウサギが餅をついていた。
もっちん もっちん もっちん もっちん
と。
お腹のすいていたNは、理性を失い、
「いただきまあす!」
と飛びついた。
3 ウサギにボコボコにされたこと
ばっかん ばっかん ばっかん ばっかん
Nはウサギにハンマーで殴られた。
「あいたた、ごめんよ、ごめんよ」
しかしウサギはカンカンで
「この泥棒め!お前なんか追放だ!」
4 Nは飛んだ
ウサギは言った。
「みんなでて来てください!」
すると、月の影から、大量のウサギが
ぴょんぴょこ ぴょんぴょこ
飛び出して来た。
「我らの国に、侵入者だ!」
「侵入者は、追放だ!」
「追放だ!」
「なるほど、確かにその通りだ!」
ウサギたちはそう言う。
ウサギたちはNを捕まえて、
月の裏かどこからか、
ものすごい大砲を持って来て、
Nをセットし、
火をつけた。
しばらく何もない。
まだ何もない。
なんともない。
ところが突然、
ばっこーーーーーーーーーん!!!!!
Nは飛んだ。
5 空の途中 その1
空の途中で、
ゴッツンと、
Nは流れ星にぶつかった。
流れ星は怒った。
「おい!どこ見てほっつき歩いてんだてめえ!」
「す、すいません」
「てめえのせいで、大事な用事に遅れてしまうわ!」
それなら、早く行けばいいのに、
と思いながら、
「すいません」
とNは謝る。
「すいませんですんだら、宇宙警察はいらねえんだよ!」
「すいません」
どうしようもないな、
ラチがあかんなこりゃ、
とNはげんなり。
その時、Nは閃いた。
「どっか行けどっか行けどっか行け」
三回願い事をNは言った。
すると願い事は叶って、
流れ星は消えた。
どっか行ったのだ。
6 空の途中 その2
Nはそれから、
飛ぶのを再開した。
地球に向かって、
勢いよく。
大気圏に突入した。
まるでジェットコースターみたいで
楽しい。
ところがまた途中で、
火の鳥と、
ゴッツンと
ぶつかってしまった。
火の鳥は
「あれ」
と叫んだかと思うと、
気絶して、
落ちて行く。
「気の毒なことしたな」
とNは思いながら、
飛び続ける。
7 帰って来た地球
Nはついに地球に
着陸した。
体操選手みたいに
綺麗に。
犬の散歩をしていたおじいさんが、
つい思わず、
ぱち ぱち ぱち ぱち
拍手した。
犬も目を
ぱち ぱち ぱち ぱち
させている。
8 流れ星との再会
「おい、お前、さっきはよくも」
Nが振り返ると、
そこにはさっきの流れ星。
確かにNは
どっか行けって
言ったけど、
よりにもよって、
Nの街とは。
流れ星は
Nに襲いかかる。
「お前のせいで、俺の大切な用事は台無しだ」
9 火の鳥に授けられしパワー
Nはもう俺の人生もここまでかと
観念して
「う、うわああああああああ!」
と叫んだ。
その時、Nの中から
黄金の光が出て
その光を浴びた
流れ星は
「熱い!熱いよう!」
と苦しみ始め、
たまらなくなって
空へと飛んでった。
Nは興奮した。
「俺にもこんなすごい力があったのか」
実はさっき、
火の鳥を気絶させた時、
伝説の力が授けられたのだ!
「よし、もう一回!」
とNは言った。
「う、うわああああああああ!」
しかし、なんともならない。
「あれ、おかしいな。う、うわあああああああああああ!」
通りすがりのおばあさんが、
「あれま」
10 アナザー・N
ともあれNは
家に帰ることができた。
もう夜だった。
入ると、みんなもう寝て入る。
「俺も寝なきゃな」
と思って、
Nは自分の部屋へ。
するとびっくり
「俺が寝て入る!」
もう一人のNは起き上がって、
「俺の名はアナザー・N」
と言って、
にんやり笑った。
「お前を月にやったのは、実は俺様」
「なんのために」
「お前という存在を乗っ取るためさ!」
「なんのために」
「なんのためにって、そりゃ、俺にも居場所が欲しいからさ」
アナザー・Nは、ポケットからナイフを取り出して、
「さあ、観念するんだな」
「ぐぬぬ」
11 しつこい流れ星
その時、
窓がパリンと割れて、
興奮した様子の、
あの流れ星が入って来た。
「さっきはよくも!お前のせいで、俺様の会議は台無しだって、
何度言ったらわかるんだ!」
流れ星は、アナザー・Nを、Nだと
勘違いして入る。
アナザー・Nは、
身に覚えもないことを言われて、
困ってしまい、
「ええ、ちょっと待ってよ」
「問答無用!」
流れ星はアナザー・Nを捕まえて、
「お前を宇宙警察警察に突き出してやるからな!」
そう言って、飛んで行ってしまった。
Nは、
去って行く流れ星を見送りながら、
「窓なおれ窓なおれ窓なおれ」
と願い事を言っておくのを、
忘れなかった。
割れた窓ガラスは魔法のように
キラキラ舞って
元の場所に収まって行く。
これで何もかも問題なし。
Nはベッドに入り、
ぐっすり眠った。
12 夢
Nは気がつくと、月にいた。
月の夢だ。
おまけ 何が何の象徴か
目が覚めたら月にいた
これは現実逃避
ウサギに追放される
これは現実に帰れ
流れ星
これは世の中の不条理
アナザー・N
自分の影
流れ星がアナザー・Nを連れて行くこと
今の自分とは、あらゆる自分が挫折した結果である
なぜループするか
自立する必要がない(のかもしれない)から
宣伝スレでも書かせていただきましたが、私が評価させていただきます。
普通の閲覧者で構いません。
非常に読みやすい改行の仕方素晴らしいと思います。
話の内容ですが、もっちん もっちんのように、音の再現が素晴らしいと思いました。
これからも頑張ってください。
失礼しました。
>>14
どうもありがとうございます。