それは、ただ、何も書かれていない、白紙のようなもの。
2:&◆4w:2017/12/20(水) 16:37 *何も無かった。私には、友達や才能、これといった特技も、やりたい事も、将来さえも何も無かった。
*でも、勉強できない環境であったり、部活動ができない環境、そういう環境に恵まれないという訳では無い。ただ、部活動も勉強も私がただやらなかっただけ。自分にもしかしたら何か才能があるかもしれないなんて信じていないし、考えてすらいなかったからだ。自分に夢を持つことを許したくなかった。
*母が、ずっと前のことであるが、私はできない子だと言っていた。あの母が言うのだからそういうことなのだろう。だが、その時の私はそれを信じていなかった。自分には才能があると、人とは違う特別な何かがあると思い込んでいたからだ。
…だが、そんなことは無かった。
私には、才能も何も無かった。ちょうど、中学卒業の時にやっと気がついた。部活動をしたいと言っても、ダメ。無理よ。そう言って一言で終わらす母が正しかったのだ。
*高校1年生、春。
*私は、高校へ進学した。努力が苦手な私は、勉強は出来なかったが、まあ、それなりの進学校に受かることが出来た。1組がトップクラス、3組がその学年で成績が良くないクラス、と振り分けられている高校なのだが、私はごく平凡な2組だった。
*「えっと…、2組の教室は…?」
散々学校を歩き回ったが、教室にたどり着けない。しかも、人っ子一人いない。学校なのだからもう少し活気に溢れていても良いのではないだろうか。そんなことを考えていると、職員室と書かれている教室から女性が出てきた。
「あ、あら?あなた、もしかして新入生?」
「は、はい。でも、教室が分からなくて。」
「え、今は体育館で入学式をしていると思うのだけれど。」
「えっ!?」