インフルになって、寂しいから小説紛いのものを書きます。
2:アルカリ性:2018/02/06(火) 18:19 重い瞼を開けて、意識を現実世界へと戻そうとする。
私は花畑に寝転がっていた。空は青く、花は美しい。が、その光景はただただ永遠に続いているだけ。
「…よっ、気がついたか。」
声の低さからして、多分男性であろう人物が私に話しかけている。
頬ぐらいまであるような口がニィッと笑っていて、気持ち悪いとも思えるほどだ。しかも、灰色のローブを身に纏っている。いっそう不気味だ。
「エミリーはお寝坊さんだな。こっちは待ちくたびれたよ。」
ローブのせいでよく見えなかったが、その容姿に似合わないほど目がとても綺麗な緑色をしていた。
「…僕の顔に何か付いてるかい?」
「…!い、いや。なんでもない…です。」
思わず見入ってしまった。
そうだった。この人は私に話しかけているんだった。
「あの…あなたは…」
「僕はマティだよ。」
私が聞こうとしたことを悟ったかのように答えた。
この人は超能力者か何かか。
「さぁエミリー、起きたなら早く行こうよ。」
「えっ?ど、どこに?」
「エミリーは忘れんぼうだな。」
と言い、マティはドアを開ける。
どうやら花畑や空は、ずっと続いているように見えるただの壁だったらしい。
「ほら、置いて行くよ。」
そう言われて、私はマティに寄っていく。流石にこの空間で一人は怖い。
「ま、待ってよ。付いて行くから。」
「エミリーは良い子だね。」
マティは私を撫でようとしたけど、私はそれをサッとかわした。
ドアの奥には薄暗い道が続いていた。
マティは、私がまるで居ないかのように一人でスタスタと歩いて行っている。
聞こえるのは、二人の歩く足音だけだ。
「…道、すごく長いですね。」
少しでも怖さを和らげようと、勇気を出してマティに話しかける。
「そうだね、エミリー。」
だが、マティは顔色を変えずにただそう答えた。
…
静か過ぎる。
「あの…なんで私の名前知ってるんですか?」
「エミリーを僕が知ってるからだよ。」
「じゃあ、なんで私を知ってるんですか?」
「…」
とうとうマティは何も喋らなくなってしまった。
静かな道に響く足音が、ただただ私に恐怖心を与えてくる。
この道に終わりなんてあるのだろうか?
もしかしたら、この人は私を連れ去ろうとしているのではないか?
そんな疑問が頭を掛ける。
マイナスなことばかり考えていると、余計怖くなる。
「…もう!この道、どこまで続いているのよ!」
終わりの無い道に対してか、答えてくれないマティへのイライラが溜まったのか、とにかく大声を出してそれを発散しようとした。
だが、そこでマティが居ないことに気づいた。
「マティさん?」
辺りを見回すが、暗くてよく見えない。
「ちょ、ちょっと!どこに行ったの!?」
「エミリー」
気づけばマティは私の後ろに立っていた。
「キャッ!」
私はびっくりして尻もちをつく。
「エミリー、壁を見てごらん。」
そう言いながらマティは私に手を差し出す。
「か、壁?」
差し出された手は取らずに、自分で立ち上がる。
壁を見るが何も無い。
「何も無いじゃないですか…。」
「ボタンがあるよ。」
壁に近き、目を凝らす。
よく見てみると赤い小さなボタンがあった。
「ホントだ…。」
「押してごらん。何か起こるよ。」
何かって、無責任な…。
私はボタンを押した。