共に歩もう!

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1:アーリア◆Z.:2018/03/04(日) 22:26

 2029年7月。

 救世主の騎士団を自称する団体が世界各国を滅ぼした事件、即ち『世界事変』が勃発してから5年目となる。絶大なる組織力、そして個々の戦闘員の高度な戦闘力を以ってわずか半年程度で地球の殆どを掌握するに至ったのである。

2:アーリア◆Z.:2018/03/04(日) 22:30

第1話 囚人兵として

「お前は救世主の騎士団の人間ではないと言うのなら、我々と共に戦おうとは思わないのか? 」

 私は『秘密任務』で北千住を調査していたところ、救世主の騎士団とは対立関係にある抵抗軍の幹部に声をかけられて、救世主の騎士団の構成員ではないかと疑われたのである。そして事実と相違する旨を伝えたところ、今度は抵抗軍への入隊を強く勧められたのだ。

「そのつもりはない。私も色々と忙しいので帰らせてもらうよ」

 私はこの抵抗軍に入隊する気はない。早いところ、『秘密任務』を終えて『議長』に報告する必要があるからだ。

「入隊をしないなら、ここでお前には死んでもらうことになるがな」
「・・・・・・・・・・・私を消すと? 」
「お前が、ここ北千住で怪しい行動をしていたんだ。救世主の騎士団の構成員と疑われても仕方ないよな? 」

 ここ北千住には抵抗軍の拠点がある。そこで怪しいと思われるような行動をとれば、確かに抵抗軍と敵対している救世主の騎士団と疑われても仕方がないことだろう。

「しかし幹部さん。私を救世主の騎士団の構成員と疑っておきながら、何故私に入隊を勧めたのかね」

 これは、当然の疑問だ。

「疑問に思うよな? それは怪しい奴を捨て駒にして使うからだよ」

・・・・・・・・・・・・なるほど。

「つまり今この場で確実に死ぬか、又は戦場に行くかということか」
「物分りは良いみたいだな。お前は俺に捕まった時点で、もう逃げられないんだよ」

 こうして私は抵抗軍囚人兵として入隊することになってしまった。だが、『秘密任務』による調査結果についても1日でも速やかに『議長』に報告しなければならない。しかし、囚人兵という扱いから分かるように、私は抵抗軍の牢獄に幽閉され、身体の自由を奪われてしまったのだ。

3:アーリア◆Z.:2018/03/04(日) 22:32

 ※

 抵抗軍の囚人兵となって3日目。
 北千住に救世主の騎士団が攻め込んできた。それを迎撃をするため私にも出撃命令が下されたことにより、私もいよいよ戦うことになったのだ。
 広場に囚人兵たちが集められ、それぞれ武器が手渡された。

「その杖は、魔法が使えない者でも一振りすることで火炎系の魔法を繰り出すことが出来るものだ。しかし、杖1つにつき7回程度火炎魔法を繰り出すとただのゴミとなる。無駄使いはしないことだ」

 杖に関して正規兵による一通りの説明が為された。さらに、抵抗軍の軍服の識別についても説明がされ、将軍・佐官・尉官・下士官及び兵の4種類に分かれていること、最後に救世主の騎士団が赤いローブ姿で活動していることも伝えられた。因みに、囚人兵には軍服は支給されておらず、私服に青い腕章を身に付けることになっている。
 そして、正規兵の説明は終わり、私たち囚人兵は隊列を作り最前線へ移動することになった。

「あんたは家族とかは? 」

 突然、囚人兵の1人が声をかけてきた。私と同じ年頃の男性だった。

「姉と妹がいるが・・・・・・」

 実は私の両親は、すでに他界している。

「あ、いや、家族構成を聞きたいわけじゃないが、俺の家族は皆、救世主の騎士団に所属しているらしい。もしかしたら家族と戦うかもしれないと思うと、やってられないんだよ。それによ、あいつだって高い地位になったと聞くのによ! 」
「なるほど・・・・・・心中察するよ」

 これは国家同士の戦いではない。必然的に自分の大切な人と戦う可能性も高くなるだろう。もし今回の戦いで、姉や妹それに友人や幼馴染と出くわしたら、と思うと私も心が曇る。

「だが逃げれば正規兵に殺されるんだろ。じゃあもう俺の人生終わりじゃん」

 彼の言うとおり、私の人生も終わりに近づいているのかもしれない。
 
 抵抗軍の拠点から20分ほどかけて移動すると、前方からこちらへ向かってくる集団と出くわした。その集団は皆、赤いローブ姿で統一されていたのだ。
 

4:アーリア◆Z.:2018/03/04(日) 22:34

「赤いローブだ。あれは救世主の騎士団だぞ! 」

 年配の囚人兵がそう叫び、早速杖を振ったのであった。すると、杖の先からその集団を焼き尽くす如く激しい炎が繰り出された。

「やったか? 」

 私も他の囚人兵と同じく、敵の集団は全員激しい炎で焼き尽くされたと思った。しかし、敵は極少数が軽症を負った程度で、全員生きていたのだ。

「なんだと! 生きてやがるのか。ならもう一度だ」

 年配の囚人兵は再び杖を振った。それに続き他の囚人兵も杖を振り、それも一度ではなく何度振り、激しい炎が次から次へと繰り出された。
 そして、

「もう皆、7回振っちゃったかな? 」

 敵の集団はまたもや1人も死者が出ず、さらにその集団のリーダー格がこちらへ近づいてきた。そのリーダー格は女性であるようだ。
 一方、囚人兵たちは必死に杖を振るが皆、杖を使い果たしてしまったようである。もう炎は繰り出されることは無かった。

「さあ、もう降参しなさい。正規兵との戦いもあるから、速やかに降参しなければ貴方たちはここで死ぬことになるわ」

 リーダー格の女性はそう告げた。
 すると、そこからの事態の動きは早かった。囚人兵は皆、手を挙げて降参の意思を表示したのである。

「貴方は、どうするのかな? 」

 リーダー格の女性は私に目を向けてそう言った。

「私は大事な用があるから、降参は出来ないね」

 そう私は返答する。

「おい、あんた。馬鹿なことは言わないから降参してしまえよ」
 
 先ほど、家族が救世主の騎士団であると私に言ってきた囚人兵が、私を説得する。しかし『秘密任務』の結果ついて『議長』に報告しなければならない。
 救世主の騎士団の内部情報を探るのはありだが、降参するとなると、また牢獄に幽閉される可能性が高い。ならばこの戦いの隙に逃げた方がチャンスがあると私は考えた。

「悪いね。それは出来ないんだよ」

 これで私の意思も明確になっただろう。

「残念だわ。なら死んでもらうね」
「だが、私は死ぬわけにはいかない」

 私はそう言って、リーダー格の女性に向けて杖を振った。激しい炎が女性を包んだ。その隙に私は逃亡を図る。
 実は、私はまだ一度も杖を振ってはいなかったのである。今のが最初の一振りなのだ。

「くっ、小賢しいことをして! 」  

 後ろから、先ほどの女性の声が聞こえてくる。ただ、想定したとおり無傷のようだ。この程度の炎では敵にダメージを与えることは出来ないことは既に分かっている。だからこそ、ただ今は逃げることだけに集中したのである。
 しばらく走り続けると、先ほどの集団が追って来ては無いことに気づいた。

「敵さん、他の囚人兵の移送を優先したのかね」

 そう呟きつつも、私は走り続けた。

5:アーリア◆Z.:2018/03/04(日) 22:37

それから、どれほどの時間が経っただろうか? 私はただひたすら敵を避けながら移動続けていると、抵抗軍の正規兵たちが敵の集団に捕らえられている現場に着いてしまった。敵の数は20名程度に対して、正規兵の数は7人だった。そして、正規兵たちは、手を後ろに手錠をかけられている。つまり、私が奇襲をかけても咄嗟に身動きをとると言うことは不可能だろう。だから無視して私だけでも逃げたほうがよい。
 私はそう考えたのだが、それとは矛盾する行動をとった。私は杖を振ったのである。奇襲だ。
 しかし、私は何がしたいのだろうか? そう自問自答しながら、正規兵を助けることもせず、ただ杖を振りまくりながら、正面突破すると言う、意味不明な行動だった。助けるつもりが無いなら、見つからないように先へ進めば良かったものを。
 その結果、今度は追いかけられながら走り続けることになった。後ろを見ると、敵は半数ほどが私を追いかけているようだ。結局、杖も7回振ってしまい、救世主の騎士団からすれば私に攻撃能力は一切無い。
 先の見えない逃走劇になるだろうと思ったとき、突如後方で爆発音がした。咄嗟に後ろを見ると、私を追いかけていた敵が攻撃を受けていたのである。どうやら正規兵たちによる攻撃のようだ。私は走るのを止め、息を整えた。長い持久走が終わったこと、そして捕らえられた正規兵も解放されたことから安堵した。
 そして、

「先ほどの奇襲はお前がやったのか」

 なんと、ちょうど3日前に私を牢屋へぶち込んだ張本人がやってきた。だがしかし、今日は彼の攻撃によって私は助かったのようだ。
 ・・・・・・そもそも彼が私を囚人兵にしなければ、ここで戦うことも無かったであろうが。

「あの時の幹部さんじゃないか。今回は助けてくれて感謝するよ」
「いや、お前の奇襲こそ我々を助けてくれたよ。こちらこそ感謝する。私は大道陽一、階級は少佐だ。これからよろしく頼む」

 私の仕掛けた奇襲がどのように彼らを助けたのかは分からないが、大道少佐に握手を求められ私はこれに応じた。

「私は栗希聯太狼と言います」

 私も自己紹介を済ませると今度は、外見からして私よりも年下と推認できる女性幹部がやってきた。服装からして尉官であろう。

「へえ、あんたが私たちを助けてくれたんだ。ありがとね。あっ、私は兎川ミヤっていう名前で階級は中尉。よこれからろしくね」
 
 兎川中尉とも握手を交わし、自己紹介を済ませさらに、他の正規兵たちからも感謝の言葉をもらったのであった。彼らの話では、私の奇襲によって結果的に敵を戦力を裂くことに成功し、その隙に大道少佐率いる手勢が、兎川中尉を含め捕まっていた正規兵を救助したという。

「しかし気になることがあるんだが、お前以外の者たちは一体どうしたんだ? 」
「そ、それが・・・・・・」

 私は、ここに至るまでの顛末を大道少佐に話した。

6:アーリア◆Z.:2018/03/04(日) 22:37

「お前を除いて、皆降参したわけか。で、お前は降参しなかった? まさか抵抗軍に忠誠を誓っているわけでもあるまいし」
「単に身柄を拘束されるのが嫌なだけだ。もうこの戦い以降は、抵抗軍から除隊させてもらえると助かるね」

 これは、本音だ。先ほど、「これからよろしく」と言われたが、『秘密任務』について『議長』に報告しなければならない。抵抗軍に在籍して共に戦う暇などないのだ。

「正直なところ、お前を完全に信用しているわけではない。だが、我が軍の兵士たちが拘束されている中、お前は単身で突撃を行い敵を混乱させたわけでもあるから、少なからず功績はある」
「それで? 」
「スパイの可能性もあるから、お前は抵抗軍から解放することは出来ないが、今回の功績を鑑みて今後は正規兵として採用したい」

 なるほど。私を抵抗軍の正規兵にして、今後も『価値無き戦い』に付き合わせたいらしい。私としては拒否したところだが、それが出来る状況に身ではない。

「囚人兵よりも待遇が良いなら、文句は言いませんよ」

 とりあえず、そう答えた。とにかく今は牢獄に幽閉されなければ結構だ。『秘密任務』についての報告は、隙を見て抜け出せば何とかなると考えたのである。

「そうか、ありがとう。今日付けでお前を抵抗軍二等兵とし、兎川中尉の隊に配属とする」

 こうして暫しの間、私は抵抗軍兵士として戦うことになった。
 
 尚、この後も戦闘は続いたが、救世主の騎士団側も損害を出して撤退した。降参した囚人兵たちについては、そのまま連れて行かれたのであろう。




第一話 終わり

7:アーリア◆Z.:2018/03/04(日) 23:07

第2話 正規兵

 全く不本意ながら抵抗軍二等兵になってしまった私は、兎川中尉の隊の下で戦うことになった。二等兵と言うと、嫌な雑用を押し付けられがちだが、私は一切それらに応じず、自室の中に篭っていた。配属して早々に嫌われ者となっているようだが、そんなもの私には関係ない。そもそも地球の人間同士が争う場合ではなく、私の理想としては地球連邦政府でも出来ればと思うところである。
 その点では、救世主の騎士団が『世界事変』を引き起こし、統一された統治機構になりつつあることは支持できると思っているくらいだ。

「栗希二等兵。いい加減、部屋から出てきなさい」

 兎川中尉だ。
 
「拒否権があるかは分からんが、拒否するよ」

 我ながら、堂々過ぎる反抗的態度と思う。

「今日は雑用は押し付けるつもりはないわ。重大な作戦について貴方に知らせなければならないの」
「どんな作戦だ。遂にここにも宇宙人が攻めてきたのか? それは大変だ! 10個の青く光る目から光線を放ち私たちを焼き尽くす。それの迎撃か」

 間違えなく、今の私の発言で色々と私に対する誤解を生むだろうが、徹夜明けの異常にテンションが上がってしまい、つい言ってしまった。

「何を・・・・・・言ってるの? も、もしかして戦場に出たくなくてわざと変なことを言っているかしら」

 なるほど。そうも考えられなくもない。
 ともかく、徹夜明けの私は何も考えず無意識に部屋から出た。

「栗希二等兵。明日午前10:00より日暮里での偵察任務ため、ここを発つ。ただし午前9:40にはブリーフィングルームに集まるように。説明は以上よ」
「了解した」

 日暮里の偵察か。私の知る限りでは、日暮里には救世主の騎士団の活動拠点の1つがあったはずだ。救世主の騎士団関東支部が、秋葉原にあるからか(日暮里に関しては北千住に対する睨みか)、そのような拠点が秋葉原を囲むように多く設置されているのだ。

「日暮里は、先日の救世主の騎士団による北千住攻撃の出撃拠点であることもあり、近い内に私たち抵抗軍が攻撃し、奪取する方針となっているわ」 
「なるほど・・・・・・それに、日暮里を落とせば北千住への防波堤にもなるかもしれないね」

 仮に日暮里を奪取できれば、敵を日暮里に引き付けることもできるだろうから、北千住で直接戦闘になることは少なくなるかもしれない。逆に日暮里を放置すると、北千住に対する前線基地として今後も機能するだろうし、当然、北千住での戦闘も多くなるだろう。

「でも、今回は敵戦力の偵察が任務よ。いつ奪取する作戦を決行するかは決まってないらしいから、ここ北千住での戦闘も減らないかもしれないね」

8:アーリア◆Z.:2018/03/04(日) 23:09



 同時刻、日暮里。

「真桐部隊長、先日捕まえた抵抗軍の兵士は皆、秋葉原関東支部への移送が完了しました」

 と、中年の男性が報告する。

「そう、ご苦労様。それよりも、先日の戦いで43名が負傷したけれど、支部からの増援は無理そうなの? 」

 それに返答するのは、若い女である。名は真桐零華(しんどう れいか)と言い、日暮里を活動拠点とする関東支部第2部隊の部隊長だ。また救世主の騎士団の中では『女男爵』と言う地位でもある。
 
「それが、『例の作戦』の実行にむけて、関東支部からもかなりの人員が投入されるとのことで、増援は難しいとのことです」
「・・・・・・そう。仕方ないわね。日暮里は放棄して秋葉原へ引くことにしましょう」

 真桐零華がそう言うと、途端に中年の男性は驚いた。

「ほ、放棄・・・・・・するのですか? 」
「そうよ。日暮里にある私たちの戦力だけでは、北千住にある抵抗軍の戦力には勝てないわ。それに日暮里は北千住方面からの壁になるかといえば、ちょっと微妙な位置にあるのよね」

 真桐零華は戦力的問題点と、日暮里の位置的問題点を理由に、日暮里の放棄を決めたのであった。位置関係については、日暮里を抵抗軍が無視して、関東支部がある秋葉原へ直接的に攻撃ができるからだ。

「現状を考えると、そうなりますかな」

 中年の男も、日暮里における状況を理解したようだ。

9:アーリア◆Z.:2018/03/04(日) 23:09



「栗希二等兵・・・・・・だよな? 」

 私は食堂で飯を食べていると、中学生くらいの少年が現れた。何か用があるのだろうか。

「その通りだが、私に用があるのか? 」
「いや、俺たち兎川隊に新兵が配属されたと聞いたけど、一度も顔を合わせたことが無かったと思って声をかけただけだ」

 少年はそう言って、私の横に座った。

「俺は藤原照光(ふじわら てるみつ)って名前で、歳は15歳。それと、階級は一等兵だ。これからよしくな」
「ああ、よろしく」

 互いに挨拶をして、私と藤原は握手を交わした。

「ところで、蘇我美由(そが みゆ)って知らないかな? 俺と同い年で階級も一緒なんだけど・・・・・・」
「女性か? 」
「ああ。女子なんだけど、あいつ迷子になってないか心配でさ」

「知らないな。そもそも、私は自分が所属している兎川隊のメンバーすら殆ど知らないからね。自己紹介もしてないのもあるが」
「そうだったな。飯の最中に声をかけてすまなかった」

 藤原少年はそう言って、その蘇我少女を探しに食堂を出て行った。一方、私も飯を食べ終えた後、自室へと戻ることにした。

「何とか報告しないとな……」

 自室へ戻る最中、私の頭の中は『議長』への報告のことしかなかった。早急に報告しなければならない事実があるからだ。

「ええ、早く報告しないとなりません」
  
 !?。
 私はその声に驚いた。抵抗軍の誰かが、私の正体を知っているのであろうか。それともその声の主も私と同じ任務を帯びている仲間なのだろうか? 私はその声が聞こえてきた方へと、音を立てずに進んだ。

「日暮里攻撃のことね? 」
「そうです」
「それは明日の偵察の時にするつもりよ。実際に報告するのは貴方に任せるわ」

 なんだよ。私とは一切関係の無い話のようではないか。驚かせるんじゃないよ。全く。
 と、心の奥底で愚痴を言った。

「栗希じゃないか。こんなところで何をやっているんだ」
「お、おう」

 相変わらず蘇我少女を探しているのだろうか、藤原少年が駆け寄ってきた。

「って美由、お前ここに居たのか。あっ中尉さんも居たんですか」

 藤原少年の言動から察するに、どうやら「報告を云々」と話していたのは、兎川中尉と、例の蘇我少女だったようだ。

「あら、藤原君。もしかして蘇我さんを探してたのかしら? 」
「そうです。美由、心配したぞ」
「ごめんね、照君。もしかして、栗希さんにも手伝ってもらったのかな? 」

 蘇我少女。
 私はここで初めて彼女と顔を合わせた。

「先ほど、藤原少年にあんたのことを聞かれてな。ここで女性の声がしたからもしやと思って、私も声をかけようとしたところだ」
「あら、珍しいわね。栗希二等兵が外を出歩くなんて」

 兎川中尉がやたら私の顔を見つめてくる。私を疑っているような感じる。やはり、本当は正体がバレているのか? いや、正体こそは分からなくても、先ほどうっかりと口に出てしまった独り言の内容を聞かれた可能性がある。

「食堂で飯を食ってただけですよ」

 とりあえず、私はそう答えた。

「それより栗希さ、俺のこと藤原少年って呼ぶなよな。普通に藤原って呼べよ」

 そう言って、藤原少年は蘇我少女を連れて食堂がある方向へと向った。この場には兎川中尉と私の2人が残されたが、特に聞き耳をたてていたことを追及されることもなく(そもそも中尉がそれに気づいていたのかは不明だが)、明日の出撃にはきちんと参加するよう念を押されただけで済んだ。




第二話 一時中断

10:アーリア◆Z.:2018/03/06(火) 23:21



 目の前にいるのは、気味の悪い者たちであった。奴らはおそらく人間ではないだろう。人間の人体とほぼ同じ形をしているものの、顔と呼ぶべきところに目らしきものが10個以上もあるのだから。
 だが、この気味の悪い生物は人間と同等、或いはそれを超える知的生命体であることは推測で来た。

「おい……奴らの目が光ったぞ」

 部下の1人がそういった途端、その各々の目を発生源として光線が飛んできたのである。そして辺り一面は大爆発に見舞われた。

「ぐ……。こ、攻撃のつもりだろう。動けるものは各自、銃で応戦しつつ撤退するぞ! 」

 私は動ける部下だけを撤退させ、後は見捨てたのであった。



「夢……か」

 気づくと、私は抵抗軍の自室のベットで寝ていた。時計を見ると、朝8時を回っている。今日は任務がどうのこうので午前9時40分に集合だったはずだ。

「やっていられるか」

 私は面倒なので、バックレることにした。




第二話 一時中断

11:アーリア◆Z.:2018/03/06(火) 23:27



第二話終わり。

12:アーリア◆Z.:2018/06/24(日) 23:29

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とりあえず、試用ということでなろうに投稿してみました。
一応、多少の修正はしてあります。

尚、続編は葉っぱ天国での投稿を優先したものと考えております


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