へいへいおんおん!
2:おむすび:2018/03/16(金) 06:39 今日も平穏、だがそれは破られるのであった。
「てんめぇ!コノヤロウ!今、私にぶつかったネ!3秒以内に誠心誠意を込めて私に謝るネ!」
「んだとコラ!てめぇこそ俺にぶつかってきたんだろうが!お前こそ俺に心の底から平謝りするべきだ!」
「だあーれが平謝りなんかするネ!私は嫌ネ!お前みたいなバカちんと遊んでいる暇はないネ!」
「ああ?じゃあ俺とやろーってのか!そんなんお前みたいなチビ女が勝てるわけねえだろ!」
「そんなんやってみないとわかんないネ!消えるのはお前の方だと思うネ!」
小さな橋の上、言い争う二人、周りを取り囲むギャラリー、そしてギャラリーに紛れる僕。
「おーぉ、そんなに自信があるんだな?やってやるよ。」
その言葉におお!とわきあがるギャラリーの声。喧嘩を止める訳ではなく、ただ観戦かなにかと似たような感覚だった。
「おー、てめぇが負けたら土下座ネ!」
「お前が負けたらお前が土下座だ!」
いざ、と拳をくり出す二人が拳で相手を叩きのめす寸前に、ギャラリーの、男が二人の間に割って入った。
「お前ら、そこまでだ。」
と、ここで僕はようやく気づく。チャイナ服の娘と学ランを着た高校生くらいの男の容姿が似ているのだ。
「お前ら、また問題起こして俺の金もぎどっていく気か。」
ついでに、この割って入り二人の拳を止めた男も。とても似ていた。
「おめえらな、兄妹喧嘩をよそでやるなって何度言えばわかるんだ。」
男は、二人を睨みつけ、すっと優しく目が戻ったと思うと、橋の真ん中で大きく息を吸いこんだ。
「うちの息子と娘がお騒がせして申し訳ございませんでした。」
と叫んだ。ギャラリーはもちろん、ただそこを通っただけの通行人は驚いていた。
「お父さん、私は悪くないネ。このクソ兄貴が…」
「もうやめておけ。後でどうなっても知らないからな。」
父の言葉に口を閉じるチャイナ娘。それを無関心にただ眺める兄。こんな親子がいるんだな。