ヤバイ。
私はこの言葉を人生であと何回聞くのだろうか。
俗語には、俗語。女子高生パねえ。
なんだろう、もうお前らの思考がやべえよ、と近頃悟ってきた。
JK強い。
そういえば、クラスメイトの色黒の元気な女の子が言っていた。
『インフルエンサーに私はなる!』
とまあ随分下らない話なんだけど。
その女の子は、現在浪人生だと聞いた。
インフルエンサーどころか浪人サーときた。是非頑張ってほしい。
そんな感じで、スマホに飼われている私達は『見ず知らずの他人の中傷』や『誰かの失敗』を餌に
何とも小心的な生き方をして死んでいくと分かった。
さて、どうする?
近所のユメさん。
僕が学校から帰るときによく、ハッカ飴をくれる。
僕は正直ハッカ飴は嫌いだし、個包装の中で溶けたのが固まっているのは最悪だ。
でも、ユメさんがこの前、薬用効果があって、すごい飴と言っていた。
薬用効果の意味はあんまりわからなくて、辞書で調べたらもっとわからなかった。
でも取り敢えずすごいのはわかったから、毎日それを貰いに行っている。
ユメさんちの犬のミケ君はとってもおりこうだ。
僕がユメさんちに近づくと決まって門から出てくる。
僕の顔だけ覚えているんだ。
ドーベルマンみたいに格好良くて僕の頬をザラザラの舌で舐めてくる。
それがくすぐったいけど、楽しくて大好き。
噛まれたことはないし、お腹に赤ちゃんがいるとユメさんは言っていたから、僕が大きくなったら一匹貰うんだ。
ユメさんの家はカッコよくて、外壁は真っ黒で薔薇が生い茂ってる。
どうして真っ黒にしたんですか、と聞いたら「秘密」って言われた。
ユメさんの家の中はどんな感じなんだろう。
一回、どうしても中がどうなっているのか確かめたくて侵入計画を立てた。
けどユメさんは、僕が塀の中に足を踏み入れた瞬間、光の速さで僕を取っ捕まえた。
僕が大きくなったら呼んでくれる、と言っていた。
ユメさんちに年賀状を贈ろうと思って住所を聞いたら
『天国の反対』って言っていて、僕は今でもその意味がわからない。
日常。
いつも忙しなく過ぎていく。
私には重荷すぎて少し苦手。
私が努力を意識して行動したとして、それをいとも容易く上回る人は億万といる。
その人たちは私の心労なんか知らないまま、一生を糞みたいに過ごしていくんだ。
私はきっと何者にもなれない。
悲しいな、寂しいな。
知識もなければ生き甲斐もないなんて。
ある日、こんな悩みすら否定されて私はとうとう生きる価値を見失った。
値札は剥がされていって最後には在庫処分だった。
私は回転椅子から足を離した。
立場。
そういうものが中学校の教室にはあるんだと思う。
スクールカーストとは違った、2つの境界線。
私は、それの一段上にいた。
みじめじゃ、ないほう。
一段下には、少しズレた理解できない人がいた。
空気を読めない、どんくさい等々。
小学校の時はみんな気にしないでいた。
あれはそういうものなんだと。
けれど、制服を着た途端にその常識は非常識になった。
遠巻きに笑う声や冷ややかな視線。
それはいつしか、物を使ったいじめになった。
大多数はそれを見て何も思わない。
異常なんて、誰も言わなかった。
道徳は、忘れている。
独特な言い回しの超短編で見てて面白いです!
この短さだからこそ考えさせられました。
続き待ってます。
>>5
ありがとうございます
起承転結をなってない胸糞悪い短編ですが続き頑張ります
あ、駄目だ。
私はそう呟いて、膝から崩れ落ちた。
多分、限界だったんだと思う。
いちいち腰を触ってくるセクハラ上司とか、嫌味ったらしくネチネチしつこいお局上司とか。
両親からの見合い話とか、同級生の旦那の愚痴とか。
こんな日は皮肉な歌詞の洋楽プレイリストを爆音で流しながらのふて寝に限る。
うあああ、と唸りを上げてスーツを脱がず、化粧を取らずでベッドに倒れ込んだ。
今まで生きてきて何回かある、リセットタイム。
その時、決まって思い出すことがあったりする。
中学二年の時、同じクラスの□□くん。
□□くんとは、ちょっと話すくらいの関係だった。
好きなアーティストが一緒でよくそれについて話してたんだと思う。
ある日、ほんとに何でもないある日。
告白された。
そんなの初めてでよくわからなくって、私はアタフタしながら『ごめんなさい』、と断った。
その後も普通。
何事も無かったみたいに卒業した。
なぜそんな青春時代の甘酸っぱい記憶を思い出すのか。
初めて思い出した時はどうしてかわからなかった。
最近は解った。
定期的に訪れるどうしようもない不安や痛み。
それは、自分のせいだとばかり思っていた。
けれど、その記憶を思い出す度に私も誰かに見てもらえていたんだって、こんな私でも好いてくれる人がいるって。
気づいたら、涙が出ていた。
明日も頑張ろうって、思えるんだ。
久しぶりに□□くんに会った。
彼は結婚していた。
彼のおかげで、生涯のパートナーってこういう意味もあるんだと知って、
両親に電話をかけた。