万里一空!

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1:まつり@ゆず◆Go @は全角:2018/06/25(月) 18:23


  

     青春を全力で!  

       >>2

3:まつり@結珠◆Go シュガステのティンパニ死亡:2018/07/06(金) 15:59

《ヒロ×ヒロ 〜新学期〜》

「そーいや、今年のクラス、えらい曲者くせもの揃いやねー」

東堂 遥飛(とうどうはるひ)の言葉に大きく頷くのは、戸塚 尋(とづかひろ)と五反田 郁(ごたんだいく)。 

六年四組となった三人は、手提げ袋を腕にぶら下げながら、のろのろと歩いていた。

「まー、尋は比呂ひろとまた同じクラスになれたんやし、嬉しいんやろーけどー」

「んなアホな。そんなこと思うとらんっちゅうねん!」

尋とハルヒがテンポ良く会話をする中、大人しいいくはゆる〜く言った。

「ハルヒはやっととおると同じクラスになれて、嬉しいんやもんな〜」

「いや、それこそ何でやねん」

それに間髪をいれず、全力でツッコむハルヒ。
それをチャンスと見た尋は、話題を変えようと試みた。

「それよか、午後再登校せなあかんやろ。邪魔くさいわぁ」

最上級生の仕事は、初日からある。
これから家で昼食をとったら、十三時から入学式の準備をしなければいけない。

「あー、それな。一度帰ってからまた学校とか、しんどっ」

「ハルヒが言ゆうたら、なぁんか説得力ないわぁ」

いつもダルそうに喋るハルヒに対して、いくは変わらずゆるゆるとツッコむ。
 
「ま、一年生は可愛いんとちゃう?世話する側になったら、好きになれるやろ」

尋が言うものの、いくはうーんと考え込む。

「まあ、そりゃあそうやろうけど…。わざわざ再登校するのはけったいな話やない?」

「まあなー、それ言ゆうたらアカンやろ。可愛い可愛い一年生のためやから、頑張りまひょ」

尋の語尾にすかさず反応するのは、ハルヒ。

「いや、そんなセンセーみたいなこと言わんといて。うちらが一年生を嫌ってるみたいやんけ」  

いくも、どこか抜けたように話す。
 
「そんな、昭和みたいなしゃべり方せんといて〜」
 
「昭和みたいなってなんやねん!昭和生まれの人に失礼やろ!」

尋は全力で訴えるも、すでにその場は次の話題に移っていた。

「ハルヒィ、とおるがおるよ〜」

「おおっ、透がそこを通る…ってなんでやねん!」

ノリが良いのは、生まれも育ちも大阪だからか。
それにしても、ここまで典型的な『関西弁でノリが良い女子』も珍しい気がする。

 「尋ぉ、比呂もおるよ〜?」

いくの、少し面白がるような声に、ハルヒも乗っかった。

「ヒロとヒロ、相変わらずややこしいわー。幼馴染みで名前一緒とか、やっぱり運命やろ」 

「いやいや、だからなんでやねん」

おろおろとツッコむ尋だが、先程までの威勢がない。
……いや、威勢など最初からなかったのか。

「運命の赤い糸ってやつよ。ヒューヒュー」

妙に棒読みで、ハルヒ。
もう反抗することを諦めたらしい尋は、ポカポカの春の陽気を味わおうと、二人の少し先を歩いた。

4:まつり@結珠◆Go シュガステのティンパニ死亡:2018/07/06(金) 16:02

「と〜お〜る!ひ〜ろ!あっ、はじめも〜!!」

そして相変わらず、緩い声でいくは呼び掛ける。
完璧に面白がられているようだ。

いくの声に、男子三人組はそろって振り返った。
 
尋の幼馴染み、春日部 比呂(かすかべひろ)。
ハルヒと何かありそう?な水谷 透(みずたにとおる)。
大して紹介する内容は無いが、この流れで行くといくに関係がありそうな及川(おいかわ)はじめ。

通学路、クラスが同じ六人は、自然と一緒に帰る流れとなった。

「なあなあ、再登校嫌やない?」

「とーる、ハルヒとどうなってんの?」

「なにもないっちゅうねん。尋と比呂は?」

「おい、今わざと話そらしたやろー」

……誰が何を言っているのか、分からない状態だ。

――しかし。皆が思い思いに会話を楽しんでいるから…これで良いのだ。
尋はそう結論付けて、会話に加わった。

「比呂〜、再登校一緒に行かへん?誰かと一緒やないとサボっちゃいそうやわー」  

「なんやねん、サボるなっちゅーの」

続きの言葉を笑顔で待つ尋に、比呂は自分の頭をクシャクシャと掻き回して言った。

「……十二時半には、お前ん家ち行くから。忘れずに待ってろよ」

「比呂こそ忘れんといてよ?待ってるわ〜っ!」

ポカポカの晴れた日差し。まだ、少し冷たい空気。桜の花びらが散る季節。

――その場にいた四人が、ニヤニヤしながら見ていたことに、二人のヒロは気づかない。


Happy end


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