西宮中学校に転校して来た宇ノ宮 楽美__
ラクは、新しい友達と交流を深めていた。
しかし、ある日突然、“リアル人狼ゲーム”
というデスゲームに参加させてられてしまう。
生死をかけたゲーム中でも、ラクは明るく居ることを心掛けた。
市民側と人狼側__そして、妖狐は本気になってこの人狼ゲームに挑んだ。
>>2-3
やっぱり、新しい中学校は緊張する。
桜の散っていない校舎へ一歩踏み出し、新生活を今、スタートさせる。
風邪が制服を揺らし、ぶるぶるとスカートが震えた。
「西宮中学校。」新しく通う学校名だ。
公立にしては綺麗な校舎。制服は地味なものの、前よりかは良い。
だって、前はセーラー服だよ?あの萌えアニメによく出てくるセーラー服だよ??
あんなのボクみたいな男子っぽい女子が着たって、なんも可愛くないし。
美少女に着せてあげた方が絶対良い。
セーラー服=美少女の着るもの、だ‼
____いかん。また妄想が始まってしまった…。
と、とにかく、この学校は綺麗だし制服も良いし、ボクにとってはものすごく良いところだ。
素晴らしい。
「お〜い!君は…宇ノ宮 楽美ちゃんかな?」
「え?あ、はい…そうです…。」
宇ノ宮 楽美。それがボクの名前だった。
楽しく、美しいと書いて楽美。
正直この名前、大っ嫌いだ。苗字も珍しくし、変だし、嫌だなーと思う。
コンプレックス(?)というものだ…。
ボクに話しかけて来た方を見ると、四人の男女がこちらに向かってくるところだった。
そして、話しかけて来た人、チャラそうだが見た目のわりにイケボだ。
うおお!と萌え上がってしまう。
「あの、神辻さん。女子のことちゃん付けで呼ぶのやめた方が良いですよ。キモいです。」
「な、なぬ…!?。」
イケボ男子に冷たく注意したのは、前髪がおかっぱで16分音符のピンをした後ろ髪の長い少女だった。
態度や声が凛としていて、たよりになる優等生オーラを出している。
『メガネをかけた方がいいよ!』と叫ぼうとしたが、ハッとしてその言葉を飲み込む。
この子はツリ目だからメガネは似合わないな…。
「えっ、キモいって…良いじゃん!ちゃん付けするのがこのオレだよ!?。」
「___俺も、キモいと思う。」
「え、要も…!?分かった、止める。」
ボクの居ない間に話し進んでるぞ…全く付いて行けない。
すると先程の女子がハッとして、貼り付けたような笑顔を浮かべた。
「失礼しました。こちらが、出席番号の近い…同じ班の方々です。私は菊池 栞利。呼び捨てで構いません。困ったことがあったらすぐ聞いてくださいね。よろしくお願い致します。」
クールな人だと思っていたが意外と礼儀正しくて良い人らしかった。
「オレは神辻 海。…要とは幼馴染!よろしくね!。」
この人はボクを呼んでくれた人だった。優しそうな目に長めの髪。
いつでも声が弾んでいるのがそれが逆にムカつく…。
「俺は田中 要。ゲーム実況やってる。よろ。」
ボソッと喋り、そして目の下にクマが出来ている。おそらくゲームのしすぎだろう。
身長は高めで細身だ。
「僕は秋ノ宮 和紀。宜しく、です!。」
声も顔も愛想があり、かなりモテそうな男子だ。
片目を前髪で隠しているが、それも分かるイケメン。
そして先程から慌ただしくなっている心臓を落ち着かせ、コミュ障のボクが喋り出す。
「えー、宇ノ宮 楽美です!名前が変なのでラク、と呼んで下さい。___アニメ、ボカロがだーい好きです。あ、あと天才です!宜しく!。」
「___________……。」
沈黙が痛い…。天才と言ったのは間違いだったか。
いや、でも真実を言っただけだ。
沈黙を破ったのは意外にも和紀だった。
「はぁ。結構痛いけど面白いね、ラク。何より痛いのはそのリュックのストラップだね…。」
「いやあああああ!馬鹿にしてんの!?アニメキャラはね!可愛くて、可愛いんだよっ!?。」
「マジで痛いね…。」
要以外の男子に嘲笑われてるよ…あぁ、悲しくて哀しいなぁ…。
要は呆れ顔をしてため息をついた。
そのため息は深すぎて深海まで行ってしまいそうだった…