pixivで私が書いている小説です。
葉っぱにも掲載することにしました!
感想書いてくれたらうれしいです
ザァァァァァァァ――――――…
とめどなく降る雨。その雨に打たれながら私は歩く。
目的地など、なかった。雨粒が容赦なく私を叩きつける。
終わりの見えない迷路に迷い込んだ私を―――――誰一人として救うものはいなかった。
私はここで死ぬのだろうか。哀れな末路が目に浮かんだ。
耐え切れず、私は地面にしゃがみ込む。
消えたい―――――…その一心だった。
どれくらい時間がたったのだろうか。鈍い頭痛と共にゆっくりと立ち上がる。
目に映った景色は、何もかも変わっていた。
人も――――車も―――――建物も。ここには、何一つなかった。
ああ――――これは夢なんだ。そうつぶやき、染み渡る青空を仰ぎ見る。
「夢じゃないよ」
ハッと我に返り、声のしたほうを振り向く。
すると、さっきまでいなかったはずの一人の男が、私を見ていた。
男は静かに話し出した。
「君は――――消えたいと強く願った。だから消えたのさ。人間界から――――君の存在が。」
「じゃあ………ここは?」
恐る恐る、その男に問いかける。男は不敵な笑みを浮かべた。その笑顔から、得体の知れないものを感じ、背筋が寒くなる。
「異世界、さ…」
一瞬、沈黙が流れた。しかし私には、それが永遠のように感じられた。
頭が混乱し、錯乱して、私は訳が分からず、男に問い詰める。
しかし男は、二度と口を開くことなく―――――消えていった。
気が付くと、私は一人、広い広い高原に佇んでいた。
絶望のどん底に突き落とされた私は、これが夢であることを願うほかなかった。
醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ――――――――………
そっと目を開ける。景色は変わらないままだった。時折吹く風が、私の髪を揺らす。
どうやらこれは、現実のようだった。
突然、空が闇の色に変わる。轟々と音を立て、闇の中から無数の黒い「何か」が飛び出してきた。
逃げる余裕も、戦う覚悟も、今の私には存在しなかった。
ただただ呆然と、その一部始終を眺めることしかできなかった。
黒い「何か」が私をめがけて襲ってきた。
もう駄目だと思った瞬間、ふと脳裏に浮かんだのは、ただ一人の友人の顔だった。
辺りが闇に染まる中、再び意識が遠のくのを…感…じ………た………
再び意識が戻り、起き上がって辺りを見回す。
高原にいたはずの私は、いつの間にか小さな小川の傍に倒れていた。
これが―――――現実。
闇のように黒ずんでいた空は、真っ青な青空へと変わっていた。
私は特にすることもなく、ぼんやりと川の流れを見つめていた。
あの男がもう一度現れてくれたら、元の世界に帰してもらおう…
そう呑気に考えていた。
するとまるで私の心を読んだように、音もなく男が現れた。
心なしか、気分が少し弾んだ。淡い期待を抱きながら、私は男に話しかけた。
「ねえ、私を人間界に戻して」
私は男の答えを今か今かと待ち続けた。だがその期待も、希望の光も、次の瞬間には跡形もなく打ち砕かれてしまった。
「――――――残念ながら、それはできません」
「は…?」
男の言っている意味が分からなかった。
「なんで…どういう…こと?」
途切れ途切れになりながらも、必死で気持ちを落ち着けようとする。
「異世界に来たからには――――使命を果たさないと元の世界には戻れません」
「し、使命って…何?」
「………」
男は、何も答えない。言葉すら、発しない。
「…帰して…元の世界に…戻してよぉぉぉぉぉ!」
情緒不安定になった私は、泣きながら男に怒鳴った。
男は全く怯む様子もなく、静かに私を見ていた。
試すような、そんな瞳で。
「帰りたい…帰りたい…」
支離滅裂になりながらも、私は必死に訴えた。
男は相変わらずの不気味な笑みを浮かべ、一陣の風と共に消えていった。
「は、はは…」
元の世界にも戻れないという事実を知り、絶望した私は、もう笑うしかなかった。
異世界に連れてこられ、頼れる人もいない。仲間もいない。
それに………
私を愛してくれる人だって―――――いなかった。
途中ですみません。とても面白いと思います。(語彙力ェ…)
5:美香:2018/08/21(火) 18:42ありがとうございます!
6:美香:2018/08/23(木) 15:52 途方にくれながら、輝く夕日を見つめる。
もういっそ、死んでしまおうか………
そんなことを考えながら。
私の涙はすっかり乾ききってしまった。
私が「消えたい」と懇願した理由。それは…
昔から、人と関わることが苦手だった。自分の考えや意見を伝えるのが苦手だった。
学校でも孤立しがちだった私。でも、ただ一人の友人が私を救ってくれた。孤独という名の、泥沼から。
差し伸べてくれた手の暖かさを―――――今はもう思い出せない。
友人は、変わってしまったから。
消えて、嫌い、目障り…様々な罵詈雑言を浴びせられた。
それでも、私は信じ続けていた。友人…梨子のことを。
きっと、何か理由があるはずだって。そう思っていたのに、それでも、梨子は私を欺いた。
とうとうある日、頭の中で何かが切れた。
ぷつん、と小さな音を立てながら。
つかつかと梨子に近づき、手を伸ばした。
そして――――――梨子を殴った。
殴った瞬間、もう何も見えなくなった。
自分の姿も、梨子の姿も。周りの事も。
我に返ると、皆が私を見ていた。
見下すような、嘲るような、蔑むような―――――そんな瞳で。
弱い私は、教室を飛び出し、雨に打たれながら、歩いていた。
ただ一人の友人の事を考えながら。
泣いて、泣いて、泣いて、また泣いて。
そんな私を嘲笑うかのように降り続く雨、雨、雨。
そんなに簡単に裏切られるくらいなら、もう孤独のままでよかった。
結局、傷つくのは自分なのに。分かっていたはずなのに…
なぜだろう。なんで、こんなにも胸が痛いのだろう。
その答えを、今は探そうとしなかった。
pixivのほうもフォローしてくれると嬉しいです。
8:萌夏:2018/08/23(木) 17:44かくのうまい
9:美香:2018/08/23(木) 17:58 突き抜けるような青空を見上げ、これから先のことを考える。
眩しい朝日が私を照らす。
風に木々が揺れ、静かな音色を奏でていた。
まるで、私を慰めるかのように。
少しだけ、希望が見えてきたような気がした。
私が今まで、信じてきたものは――――――何だったんだろう。
いつの間にか、人をも恐れるようになっていて。
悲しみ、失望、落胆、嫉妬、妬み、嫌悪、苦しみ――――――………
思いつくのは、マイナスの感情ばかり。
どれも、もう味わいたくなかった。
忘れていたはずの「トラウマ」が蘇る。
負の感情ばかりにとらわれていて。
気づけば、一人ひっそりと箱の中にこもるようになった。
気持ちも、思いも、自分自身さえも、すべて中に閉じ込めて。
敵も味方もいない、そんな箱の中から。
それは、私の心。
封じ続けてきた、「本当の私」………
それは、時々、目を覚ます。
なにもかも全てがそれに繋がっていて。
もう、私はその箱を開けようとしなかった。
――――――――違う。
その箱を開ける勇気すら―――――私にはなかったのだ。
現実の世界に意識を引き戻す。
遠くから、小さな足音が聞こえてきた。
それは、だんだんと近づいてくる。
私は、反射的に身構えた。
現れたのは、同い年くらいの少女だった。
白いワンピースを身に纏い、風に髪を靡かせている。
微笑みを浮かべながら、私を眺めている。
ただそれだけで、私は安心感に包まれた。
そして、再び幾度目かの涙を流した。
悲しみの冷たい涙じゃなく――――――喜びと希望に満ちた、温かい涙を。
>>8
頑張ります
とても面白いです。頑張って下さい。
12:美香:2018/08/25(土) 12:01 白いワンピースの少女に、名前を問う。
私はようやく、顔を上げた。
少女の僅かに愁いを帯びた表情に、懐かしい面影を感じ………
そして、次の瞬間――――――――私は、逃げた。
林の中を、走って、走って、走り続ける。
私が逃げたのは、あの少女の顔が、梨子にそっくりだったから。
忘れかけていた記憶の断片が、蘇り、繋がって。
思い出したくもない「トラウマ」が目覚め始めた。
完全に思い出すその前に、私は、少女の前から―――――走り去った。
いつの間にか、林を抜け、小さな野原に辿り機いていた。
見上げれば、人間の世界と変わらない、果てしない青空。
それが余計に辛く、苦しく、痛かった。
突然、あの「男」が現れた。
相変わらずの、不気味な笑顔を浮かべながら。
「ねえ……人間界に戻る方法、教えてよ」
睨みながら、私はそう呟く。
男は、口の端を持ち上げ、薄笑いを浮かべた。
「………いいでしょう。ただし………」
男は手を高々と、青空に突き上げ、指を鳴らした。
パチン………乾いた音が、広い野原にこだまする。
現れたのは、黒いスーツを身にまとった男たちだった。
人間だろうか。薄気味悪さに、私は激しい憎悪を覚えた。
二十人…いや、三十人は確実にいる。
「…で、何をすれば言いわけ?」
私は男に問いかける。
「あなた一人で、この男たちを全て倒したら、教えて差し上げます」
卑怯というほか、言葉が見つからなかった。
「最低、ね…」
顔をしかめ、吐き出すように、男に告げる。
男は何も言わず、黙って私を眺めていた。
「分かった。受けて立つ」
私は、躊躇しなかった。そんな理由など、存在しなかったから。
受けて立つ――――――そう言い放った瞬間に、男たちが飛び掛かってきた。
運動神経と体力だけは自信があった。
男たちの攻撃を―――――避ける、避ける、避ける。
迫りくる男たちの顔に、次々と回し蹴りを食らわせる。
あっという間に、十人もの男が倒れていった。
次の瞬間、背中に視線を感じた。
殺気といったほうが正しいのかもしれない。
慌てて振り向いても、もう遅かった。
一人の男が、私の腰に後ろ蹴りをした。
腰に激しい痛みが走って突き抜ける。
痛みに歯を食いしばりながら、その男の顔面を殴る。
男は、悶えながら、苦しみながら、声をあげる。
そして、十分が経ち、二十分が経過した。
残るは―――――――――あと十人。
ずっと動き回っているせいで、少しずつ、体力が消耗してきた。
足も、腕も、思ように動かない。
まるで、泥の中で動いているようで。
「―――はあ、はあ………」
息切れがする。ほとばしる汗が目に染みた。
その汗を手で拭い、長い溜息をつく。
立ちどまった瞬間、頭上から私の頭をめがけて男が降ってきた。
「――う………っ……………」
男に蹴りを食らい、地面に倒れ込む。
いつの間にか腕や足は、傷だらけになっている。
私はもう、動くことさえできなくなっていた。
意識が朦朧とする中、十人もの男が、倒れた私に迫りくる。
私は最後の力を振り絞り、立ち上がる。
ここで、負けたくない。負けるわけには、いかなかった。
膝蹴りをし、五人の男たちが次々と倒れる。
完全に体力を使い切った私は、力なく地面に座り込んだ。
あと、五人。終わりは見えてきたのに………
もう、死を覚悟するしかなかった。