君とは、もう生きられないと思ってた
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小6の時に書いていた小説をリメイクして書きます(現中2)。
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とく、とく、とく…
鼓動がだんだんと速くなるのが分かった。
ガラ、と乾いた音を発しながら扉を開いた先生を先導に教室の中へ。
これからを共に過ごす子達からの視線が刺さる。
悪い子では無さそう、そんな第一印象だった。
「この子が転校生の川崎さんだ。自己紹介、できるか?」
目配せをされ、それに返事するように頷き、一歩前に踏み出す。
「初めまして、川崎由緒と言います。佐賀県から親の都合でこっちに来ました。
得意な事は野球、です。よく男子と川の土手でやってました。よろしくお願いします!」
最初は毅然すぎるな、と思い最後は明るいイメージを持ってもらえるよう若干声を高くした、つもり。
……何故だろう。数人の生徒から冷たい視線を送られた気がする。
気のせい、と気にしないのが得策だ。気にしない気にしない。
「…ということだ。皆、仲良くしてやれよ。川崎は廊下側の1番後ろの席に座れ。…あ、視力は大丈夫か?」
「大丈夫です」
最初、先生には怖そうな印象があったが、その心配は無さそうだ。
先生に言われる通り、指定された席に座って数分後、授業が始まった。
はぁ…
この溜息の理由はたった1つ。転校初日、最初の授業が苦手で嫌いな数学だった。
この学校には転校生を質問責めにする陽キャはいないと判断した。
突然眠気が襲ってきた為、机に身を委ねようと身を少し前に傾けた所で私にひっそりと視線を送る女子に気付く。
どうしたんだろう…よし、話しかけるのが得策か。
「あの…」
「ん?」
何故か、隣にいる男子に反応された。