こんにちは!あやのんと申します!
このスレッドで、色んな小説を書ければなぁと思っております。
誤字脱字等あればご指摘お願い致します。
注意点です。
・文章が下手です。たまにどうした!?ってなることもありますので、その点はアドバイスをお願いします。
・ネタが面白くないと感じたら、直ぐにやめてしまうかも知れません。
なるべく粘りますが、もしかしたらやめてしまうかもしれないので…。
続き見たいよーって方は遠慮なく書き込んでください。ネタを絞り出します。
以上です!
それでは、彩音の世界にLet's go!!
❀カラオケ大会
「カラオケ行かねぇ?」
珍しく文音が提案してきたため、5人はカラオケに行くことになった(由梨は断ったが強引に連れてきた)。
「3時間でいいよね?」
「おけ。」
指定された部屋に入り、それぞれ好きなようにソファに腰掛けた。
末ズが飲み物を取りに行っている間に、姉ズはそれぞれの十八番を入れていった。
「ほーい、カルピスソーダは?」
「あ、うちー」
「アップルとメロンソーダ挙手。」
「アップルは私。メロンソーダは真白。」
飲み物を渡すと、「じゃあ歌始めるよー」と声がかかり、久しぶりのカラオケ大会が始まった。
ごめんなさい、一旦切ります!
❀カラオケ大会II
最初の曲が流れる。
「え"っ、最初俺ぇ?」
文音の十八番、「シュガーソングとビターステップ」が流れ出した。
まじかよぉ…とボヤきながらマイクを手に取る。首でリズムを取りながら、歌う所を待った。
「超天変地異みたいな狂騒にも慣れて こんな日常を平和と見間違う」
流石将来の夢は声優という感じの歌声だ。少しだけだが癖があり、しかし聞きやすい。末っ子の歌を、姉達は盛り上げまくった。
「ママレード&シュガーソング、ピーナッツ&ビターステップ 甘くて苦くて目が回りそうです」
「回るー!」
「フッw南南西を目指してパーティを続けよう 世界中を驚かせてしまう夜になる
I free上々 連鎖になってリフレクト」
「ふっふぅー!!!!」
「兎碧ねー笑わせんでwwwwww」
途中途中で兎碧に笑わされたものの、歌声は安定で歌い切った。
「相変わらずのアニ声〜」
「これでも抑えた方。」
文音はドカッと座り、オレンジジュースを飲んだ。
「次誰ー?」
「次はー__」
切ります
やべえ!!!まっしー呼びかわいい…
姉妹っていいね!(笑)
頑張って!!
>>50
ごめん三日前!(?)
可愛い?ありがとー笑笑
頑張りやす!
>>47
よかった!! 現に頭悪いけど!!(
ったー! んとね、えとね、とりあえずね、とびら開けてを誰かと歌いたい(?)
あとはえっと……そうだね……昨日のカラオケは宇宙戦艦ヤマト歌ったかな……??
めっちゃギャグ担当じゃんうちww
あ、うち炭酸飲めないからね!! フルーツ系のジュース愛してる!
うちが笑わすとしたら……なんだろ……とりあえず息吸いながら歌うかな? あとは音だいたい2オクとか上げて歌うんだけど、高くなると音出しずらいからハミングだよ!!
早く読みたいなう!!
>>52
ごめん四日前!((
おっけおっけ。とびらを開けて愛を語り合うんだね!(?)
ちょwww宇宙戦艦ヤマトwwwwwwマジで吹き出したwwwwww
じゃけん言ったやん!ギャグ担当やもん!
あーごめん。あれらいちゃんに変えようかな?らいちゃんウチ呼びやったよね。
テスト終わったら更新するー!
更新しましょ
❀カラオケ大会III
タタターン、タタタターン
「あ、うちだ」
『!?』
「宇宙戦艦ヤマト!?」
「え、兎碧ねーってこれ十八番だった!?」
妹達がギャーギャー騒ぐ中、1人すました顔でマイクを握る兎碧。
そう。兎碧が選んだ曲はなんと宇宙戦艦ヤマトだったのだ。
「さらばー地球よー」
「っwwwwww」
「上がってるw2オクぐらい上がってるwww」
歌い出しも、兎碧の得意とする2オクターブ上のキーで歌うというボケをかまし、妹達を盛大に笑わせた。
文音なんかは、ジュースを器官に詰まらせて笑いながら咳き込んでいて、苦しそうにもがいていた。
しかし、それも気にせず歌い続けるのがギャグ担当の兎碧である。
後奏迄、すました顔で2オクターブ上のキーで歌い切った。
「はぁっはぁっはぁー…死ぬかと思ったゲホッゲホッ」
「ダメだ、笑わんって決めたのに笑ってしまった」
心底疲れた顔の姉妹を見て、兎碧らゲラゲラと豪快に笑った。
「今回も、うちの勝ちやね!」
なんか急に恋愛もの書きたくなったんで書いてみます
次であげる
愛してるなんていう薄っぺらい言葉、本当は使いたくなかった。
でも使わせて下さい。貴方への最後の言葉に。
___愛してる。
「彩香!早く起きなさい!遅刻するでしょ!」
朝からよく響く母親の声で目覚める。
ほんっと、朝から元気よなー…。どこから出てくんの、その元気。
兄貴や姉貴を起こす母親を横目に、制服に着替えリビングへと下がる。
用意されていた朝ご飯を腹に何とか入れ、支度を整え家を出た。
「はよーっす。」
チャリをぶっ飛ばして、いつもよりも早く着いた学校。
昇降口で、ふと、自分の隣の靴箱を見る。
…まだ来てないのか。
顔に出そうなのを堪え、誤魔化すために階段を駆け上がった。
これ長編になりそう。
短編にしたいので、書き直します
愛してるなんていう薄っぺらい言葉、本当は使いたくなかった。
でも使わせて下さい。貴方への…最後の言葉に。
___愛してる。
「恋ってなんだと思う?」
そう聞かれたら決まってこう答えた。
『他の人には抱かない2文字の特別な感情』
聞いた人は皆、お前は国語辞典かよ!とツッコミを入れてくるこの返し。
そんな国語辞典女が、恋の定義を聞かれた時に、ある日から答えに詰まってしまうようになった。
なぜなら。
…お前に対する気持ちに気づいたから。
タイトルのセンスありすぎるなと思いました!(◍•ᴗ•◍)❤これからも頑張ってください!(๑•̀ㅂ•́)و✧
60:颯奏Licca*&◆Qk あらよかQFer:2019/07/27(土) 22:38 >>59
ありがとうございます!実はこれ、曲名なんです…笑笑。
続き、近いうちに出すんで、是非見てみてください!!
>>60 そうなんですね!!是非読ませてください♡(ӦvӦ。)
62:颯奏Licca*&◆Qk あらよかQFer:2019/07/28(日) 00:38 >>61
はい!気合い入れて作っちゃいます!
恋愛ドラマの何がいいんだか。
心の中で毒を吐く。
今日も母親がキラキラした目でドラマを見ている。
何故、俳優が言う薄っぺらい「好きだ」とか、「愛してる」に人々は魅了されるのだろうか。
経験ないから言えないけど、そういう言葉って、好きな人に言ってもらうのが嬉しいんじゃないの?イケメンに言ってもらえれば、もうそれでノックアウトなの?
私には理解できない世界だ。
だが。
そんな私にも、恋というものを知る機会があった。
よく分からなかった。
何故か胸の奥の方がつんとして、面と向かって話すと語彙力が低下する。
正直な話、病気かと思った。
でも、これが恋だと知った。
それから、私は貴方の沼にハマっていった。
学校に行けば、チャリを確認したり、靴箱確認したり。行動は変態だ。
ほら今も。
後ろの席が貴方だってだけで、鼓動が高鳴る。
顔は見れないけど。
班は一緒だし、それだけで嬉しんだ。
すっかり、おかしくなっちゃったな…。
私をこんなのにしたの、あんたなんだからね。
責任取ってよ。
正直今は幸せ。
好きな人がいるってだけで、こんな些細なことで幸せになれるんだから。
幸せなんてちょろかった。
ただ、すぐ壊れるやわなものだった。
あの子の方が可愛い。そんなこたぁ知ってるよ。
__でも。
ちょっとはこっちを向いてくれてもいいじゃん。その笑顔見せてくれてもいいじゃん。
心の中で呟いたって、なんも変化はないのに。
1人で勝手に傷ついている。
恋の辛さを知った。
今日で最後にしよう。
この幸せも、この苦しみも。
そう誓い、私はお前を呼び出した。
「何?」
そう言って面倒くさそうに歩いてくるお前。
来てくれた。それだけで嬉しくなる私は末期なんだろうか。
「急に呼んですまんな。
あのさ…私、お前の事好きなんだ。」
言った。言い切った。これで、もう悔いはない。
「…ごめん。受け取れん。」
「…知っとうよ。」
さよなら、私の青春。
さよなら、初めての恋。
********************
「恋ってなんだと思う?」
「好きに気づくこと。そして、嬉しさや悲しみ、辛さを教えてくれること。」
君への最後の言葉に。
______愛してました。一生懸命。
違う感じの悲愛書いてみよっかな
70:颯奏Licca*&◆Qk あらよかQFer:2019/08/07(水) 18:40 久々にクローバー更新!行くぜ第2章!!
ஐஐ第2章
「はぁぁぁ…テストかぁぁぁ…」
「彩華ちゃーん、手が止まってますよー」
塾の自習室。
私は大きなため息をついた。
なんでかって?テストが始まるからだよ!!お母さんとお父さんの期待が凄いんだよ、私に対しての!!そこまで出来ないのに!
まぁ…期待を裏切る訳にはいかんし、しょうがなく塾の自習室にいるってわけ。
だってさ?
私に課せられたノルマ、5番以内よ?無理。
中学入って初めてのテスト。どれだけ勉強したらいいのかもわからない。
そんな中で5番以内を取れはほんとに鬼畜だと思う。
恨むからね、お母さん!!
ちなみに、希夏は50番以内、珠里は30番以内、結葉は40番以内。差別だ。
まぁ…今、3人も隣に居るんだよね。頭抱えてるよ、ワークわかんねぇぇぇ…ってなってるみたいだ。
私はワークは終わってるので余裕。
テストノートを頑張って埋めてます。
たまにヘルプ頼まれるけど、だいぶ無視して進めてる。
「「「あぁぁぁぁあわからん…!!!」」」
3人の揃った叫び声に、私はこっそり爆笑した。
悲恋書く。
72:碧海Aoka*&◆Qk あらよかQFer:2019/08/16(金) 04:15
プロローグ
「好きです。」
君に向かって言おうとした言葉。
もう…それすら言えないんだね。
ひとつ、ふたつ。
涙が溢れた。
思い浮かばねぇ…
74:碧海Aoka*&◆Qk あらよかQFer:2019/09/17(火) 22:35誰かネタをくれ…
75:碧海Aoka*&◆Qk あらよかQFer:2019/09/18(水) 19:36 LETS悲愛
長編チャレンジ。
-------------------------
プロローグ
元々は、苦手だった。
いつもクラスで目立っている貴方が。
少し乱暴で、ぶっきらぼうな貴方が。
いつからだろうか。
「好き」だなんて、思い始めたの。
「ひえー今日から高校生だって。ウケるわ」
「何そのツボの浅さ」
「部活何入ろう。」
「気ぃ早くない?今日入学式だよ?」
「かぐは決まってんでしょ。どうせ。だからそんな余裕なんでしょ。」
「キレんなって」
なんて会話を、凛桜達と交わしながら、桜が散りばめられた道を進む。
碧井輝羽、15歳。今日から、仲渡部高校に入学します。
仲渡部は、野球の強豪校。ここを選んだのもそれが関係している。
私は元野球部。中学では女子野球がなくて、仕方なくソフトに入ってた。
でもこの高校はあった。
多分腕は落ちてる。でも、この強豪校でしっかりと取り戻してやる。
___
「ここだよねぇ、確か。」
「キング・オブ・方向音痴、瀬鳥がちゃんと来れてる…!」
「しばくぞこらぁ」
チャチャを入れつつクラス表を確認。
「お!クラス皆一緒じゃん!」
「やりぃ!またかぐの完璧な課題を見れる!」
「目的それかよ!」
クラスはとりま全員一緒、か。良かった良かった。
問題はあいつだな…。
「あ、かぐ。一緒だよ。」
「へっ!?」
「だから、雄大とクラス、一緒だよ。」
ま、ま、ま…
「まぁじかぁぁぁぁぁ!!!」
「良かったですな」
「ついでに告れ」
「馬鹿かお前は」
一緒だったか。へへっ。
…雄大、もとい青山雄大は、小学校の頃の野球チームで一緒だった男。
そして…7年片想いする相手である。
「りぃは…おったぁぁぁぁ!!!」
叫んでいるやつ約1名。
「りぃもいたの。良かったですな」
「あ、待って皆いる。なんで皆気づかないわけだい?」
……どうやらウチらは運がいいようです。
とりあえずஐを進めようと考えたので、悲愛は別スレで書きます
78:碧海Aoka*&◆Qk あらよかQFer:2020/01/09(木) 22:42 今までஐで出した話を一旦まとめて出します
それから続き書きます
ஐ〰ฺ・:*:・✿ฺ ஐ〰ฺ・:*:・✿ฺ ஐ〰ฺ・:*:・
とりあえず、設定(人物)
✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧
主人公
大宮彩華(本名:川上彩華)小学六年生
オオミヤ サヤカ
真面目だけどはっちゃけてて、皆から好かれている。信頼が厚く、言われた事はきっちりとやり遂げ、言ったこともきっちりとやり遂げるため、先生にも頼られる。現在委員長。
一方、ドSのツンデレで、ニコニコしながら酷い事言ったり、締めたりする。男子からは好かれていながらも恐れられている。
川上家の長女であり、四つ子の1番上。
相本珠里(本名:川上珠里)
アイモトジュリ
一見大人しそうだが、中身はほんとに馬鹿でみんなから好かれている。信頼は厚く、頼まれたことは嫌な顔一つしないでササッと済ませてしまう。現在副委員長。
Sっ気が強く、彩華と共にイタズラを仕掛けたり、反応を楽しんでいる。成功すると、悪ーい笑みを浮かべている。
川上家の次女であり、四つ子の2番目。
松井結葉(本名:川上結葉)
マツイ ユウハ
可愛くて女子力が高いが、中身はアホでしかないため、皆から好かれている。仕事をパパッと終わらせるので、信頼は厚いが、重要な事は天然なので頼んだら危ない。現在書記。
Mっぽくて、希夏と共にイタズラの餌食になることが多い。冗談で言ったことも本気にしちゃうピュアさが特徴。
川上家の三女であり、四つ子の3番目。
櫻葉希夏(本名:川上希夏)
サクラバキカ
ド天然の元気者。クラスじゃあ珍しい素直さが持ち味で、皆から好かれている。ド天然だから重要なことは頼めないが、たまにクリティカルを出してくる。現在書記。
非常にドMで、イタズラの餌食になることもしばしば。ヤンキー2人をいつかは見返したいと思っている。
川上家の四女であり、四つ子の一番下。
1✧✧✧✧✧✧
「彩華、ちょっといい?」
お母さんからそう言われたのは、ついこの間だ。
イツメンとの遊びから帰ってきた直後のことだった。
「彩華…ごめんちょっと長い話してもいい?」
「へ?…いいけど、結論先に教えてよ」
「…そうね。そうするわ」
やけに様子がおかしかった。ずっと私の様子を伺ってるみたいな…なんかよそよそしい。
「なんなの?」
若干イラつきながら言った。
さっさと話してよ。宿題があるの。
すると、決意したかのように、お母さんが言った。
「彩華、驚くかもしれないけど、あなたは私の子供じゃないの。」
「……は?」
何言ってんのか理解出来なかった。
「…何言ってんの?私の名前は大宮彩華。思いっきり、このうちの子じゃん。」
「そうじゃないの。あなたは私が引き取った子なの。」
「ますます何言ってんの。私は捨て子だって言いたいわけ?」
キレ気味に言う。
なんでこんなにキレてんのか、自分でもわかんなかった。
もしかしたら、お母さんに「冗談よ!」って言ってもらいたかったのかもしれない。
あなたはうちの子よって。
で、変な冗談はやめてよねって言いたかったのかもしれない。
でも、現実はそんなに甘くなかった。
お母さんはこくんと頷いたのだ。
…嘘、だろ。
信じれなかった。信じたくなかった。
_今のは見間違いだ。
そう考えた私は、期待を込めてお母さんを見た。
でも、お母さんはさっきと変わらぬ表情で、こくんと頷いた。
私は…捨て子だったんだ。
そう確信した瞬間、何かが弾け、機関銃のように喋り出した。
「じゃあ本当のお母さんは誰なの?なんで私はお母さんに引き取られたの?てか、なんで今こんなこと話してんの?なんで今まで言わなかったの?このことは兄貴と姉貴は知ってんの?」
ノンブレス、is疲れる
「詳しくは明日、ここに行って聞いてくれない?私もあんまり知らないの。あなたを引き取っただけだから。姉貴も兄貴も知ってる」
だと。
そして地図を渡された。
青葉町…隣町じゃねぇか。一応学区域だけども。
…ここに行けば分かるのか……
明日が何故か楽しみになった。
希夏side
❀❀❀❀❀❀❀❀
「希夏ーちょっと来なさーい。」
お母さんの声。
「はぁーい、何?」
怒られんのかな。この前のテスト、悪かったし…。
もしかしたら、塾に入れるとか!?
そんな話!?
嫌だなぁー、行きたくないなぁー。
でも、現実はそんな甘い話じゃなかった。
「あ、来たきた。希夏、そこに座って」
「え、何?うち、またなんかやらかしたっけ?」
「そうじゃないけど。まぁ、座りなさい」
言われた通り、お母さんの前に座ったうち。
何となくワクワクしながらお母さんが話し始めるのを待った。
「ふぅー。…………希夏、驚かないで聞いてね。あ、いや、驚かないのおかしい位の話なんだけど。驚いてもいいから聞いてね。」
「何か最初と最後の言ってる子と違くない?」
お母さんにツッコミを入れてしまったが気にしない。
早く早くと急かすうちに、お母さんは言った。
「希夏、実は…あんたはうちの子じゃないの。あんたは、うちの養子なのよ。」
「はひっ?…ってええぇぇぇぇええっ!?!?うちの子じゃないっ!?そんなにうちいらない存在なわけ!?うぉおおお!!」
「落ち着きなさい。要らないんじゃないの。養子って言ってるじゃないの。」
わりかし冷静になってきたうち。
驚きは隠せないけれども、何となく脳が理解し始めた。
「養子って、いつからなの?」
そう聞くと、「赤ちゃんの頃から」という答えが返ってきた。
そっか、じゃあうちは、生まれた時からこの家の子だったんだ。
…いや待て。じゃあホントのお母さんは?
てかそもそも、なんで今頃そんな話を出して来てんだろ。
「二個だけ質問させて。なんで今頃そんな話をしようと思ったの?別に隠しててもよかった話なのに。急にどうして話そうと思ったの。
それから、私を産んだホントの親はどこなの。養子なんなら、他にお母さんがいるはずでしょ?どこにいんの。」
勝手に質問ぶつけたうち。答えを待つ。
「わかんないのよ。」
「はひっ?」
なんかデジャヴ。
わかんないってどういうこと?
「今日、お母さん宛てにこれが来て…あんたも見る?」
頷き、お母さん宛に来たという手紙を見る。
流し読みしていって、なんか分かりそうなとこないかさがしたりしたが収穫はない。
「気になるんだったら、えーっと…あ、あったあった。明日ここに行ってきなさい。希夏自分で本当のことを見つけてきなさい。分かった?」
「…はぁーい。」
この星マークがついてる所がうちが行く場所ってことか。
青葉町…隣町か。何故か学区内の。
ここで明日真実を知れる。
そう考えるとワクワクが止まらなかった。
珠里side
♛♛♛♛♛♛♛♛♛♛
「珠里へ。」
そう始まった手紙に、私は手を伸ばした。
お母さんの字。
遊びに行く前、こんなのあったっけ?
疑問になりつつ、私は手紙に目を通した。
「珠里へ。
今日話さなければいけない事なのですが、仕事で忙しく、直接お話ができません。なので、お手紙で伝えようと思います。驚かないで聞いてね。
珠里、あなたは私の本当の子じゃないの。
あなたは、うちの養子だったの。
12年前…あなたは家の前でバスケットに入れられてて、そこを私達が引き取ったってことなの。
なんでこんなこと今話すかというと、実は今日の朝、政府から手紙が届いたんだよね。
その手紙は、隣に置いときます。
お母さんも、本当のことを知りません。
隣の手紙に、地図が入ってるから、明日、そこに珠里が行って、話を自分で聞いてきて下さい。
その手紙にも目を通しておいてね。
大事な話なのに、手紙で書いちゃってごめんね。これは、珠里の人生に関わる事なのに、お母さんの口から言えることが出来なくて、お母さんも悔しいです。
あとは珠里に任せました。
本当のことを、珠里自身が確認してきて。
よろしくお願いします。
母より」
だってさ。
…これはお母さんの口から聞きたかったな。
いくらなんでも、ショックがデカすぎる。
手紙…見てみるか。
何だかしっかりとした封筒に手を伸ばす。
ハサミでジョキジョキ端っこを切って、中から紙を取り出した。
うわ多。
なっがい文章の手紙を流し読み、なんかいろいろ入ってんのは無視して、地図を探し当てた。
行かなきゃいかんとこは…青葉町か。
隣町のくせしてうちの学区内の町でしょ。
ここに行けば、本当のことを知れるってこと?
なら行ってやろうじゃねぇか。
何だかワクワクしてきた。
久々更新だわ…。
ღღღღღღღ
結葉side
『留守電が入っています』
そう言いながら光る固定電話に、あたしは手を伸ばした。
誰から…?宿題わからんで希夏が留守電入れたのかな。
『用件を一件、再生します』
はいはい?
『母です。結葉、帰ったら電話ください。』
…ママかい。
なに?珍しいな、留守電入れるなんて。
とりま連絡するか。
プルルルル
『はい?』
「あ、ママ?結葉だけど」
ワンコールで出た。
帰ってきたのを報告して、何で留守電入れたのか聞いた。
『ああ。…結葉、ちょっと待っててね。
』
何してんだ。
『お待たせ。直接話したいんだけど今日帰れないからさ。』
「なにー?」
『詳しいことはあんたが確認してきて欲しいんだけど…。結葉、あんたはうちの子じゃないのよ。』
「何言ってんの?」
うちの子じゃないと言われ混乱するあたしの脳。
『あんたの脳じゃ理解できないかもしれないけどね、今日政府から手紙が来たの。長いから気をつけなさい。あと、地図も入ってるわ。地図に書いてある所に明日行って、自分で事実を調べてきなさい。』
待って…情報量多いわ…。
誰か、あたしの為にまとめてくれ。お願い…。
「なんで、いま、いったの。急に、なんで、今言ったの…」
混乱していて、途切れ途切れになる言葉達。あたしは冷静にいることが出来なかった。
「早く答えてよっ!!」
怒鳴った。意味がわかんなかったから。
信じたくないから。
『今言わなきゃいけないのは手紙が来たからよ。しょうがないでしょう。
とにかく、地図を見て、明日そこへ行ってちょうだい。手紙もみなさいね。分かったわね、じゃあ』
ガチャり。
…ふざけるなよ、マジで…。
仕方ない。手紙見るか…。どこや、手紙…。
あ、あった。見るか。
…………なっげえ。そんでむっず。
もういいや。
えっと地図は…あったあった。
青葉町かよ。隣町なのに学区内の。バス乗りかな、こりゃ。
ここに行けばいいのか。なんだ簡単か。
明日は土曜だし、朝から行くか。なんか楽しみかも…
さてと、準備しときますか。
彩華side
✰✰✰✰✰✰✰
「えっと…ここを左か…」
青葉町方面のバスを降り、目的地へ向かう。
地図を見ながらてんやわんや。どこやココ。
…あ、ここか。なんじゃここ。
着いたところは、めっちゃ立派な一軒家。
ぱっと見四階くらいあるよこれ。は?でか。あ、でも1階はお店かな。袋持っていろんな人が出てきてる。
とりまインターホンを探し、押す。
『はぁーい…あ、どうぞ。裏口に回ってすぐの部屋にいてちょうだい。』
…誰や。
女性らしい艶のある声。透き通ってるな…。
いや待て。裏口ってどこやねん。
この玄関は違うってことだろ?はぁ…?
とりあえず、この玄関の真逆の場所に回ってみた。
あ、これか?結構立派なドアだけど。
ガチャリ。
あ、開いた。いや開くか。来いって言われたし。開かんかったら問題か。
「失礼します。」
なんか特別教室入った時みたいな声出たんだけど。すげぇハキハキした。
入ってすぐだろ?てことは…ここか。
ノックノック。
コンコン
「失礼します」
返事がないので、ドアを開ける。
「…そりゃないわけだわ」
誰も居なかった。
なんかあった、ソファの上にちょこんと座ってみる。
…暇だな。あいつらに会いてぇな。
昨日も一緒に遊んだ親友達を思う。
はぁぁぁ…今頃何してっかなぁ。珠里はゲームだろうな。希夏は読書…と言っても漫画かな。結葉は…雑誌見て興奮してんだろうな。
ぐるぐると想像してると、ドアが開く音がした。
慌ててソファから降りる。
くっそ、ノックしろよ!
ガチャリ。
「失礼し…って彩華ぁぁあ!?」
「は?…!?珠里っ!?」
入ってきたのは、紛れもなく、先程何してるか考えていた親友の1人、
珠里だった。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰
「え、マジで珠里か?」
「マジで珠里だわ。お前、マジで彩華か?」
「マジで彩華だ。」
え、何。ドッキリ?怖ぁ…。
何で珠里がくんだよっ!?ここにこいつも呼ばれたのか!?
「珠里!お前、なんでここに来た!?」
「勢い良すぎじゃあ!…なんか、親からホントの子供じゃねぇって言われて、ここに行けって地図渡されたんだよ。お前は?」
「…マジかよ、全部一緒だ。」
こいつもほんとの子供じゃねぇって言われたんだ…。
でも、なんでうちらだ?
なんでこいつも、私と同じ理由なんだ?
「…怖ぇよ」
「…同感」
シーンとなる2人。
うう、この空気嫌い。しゃあねぇ、破るか。
「あのさぁ珠里。なんで2人ともここに呼ばれたんだろうな。なんか関係あんのかな?」
「…わかんねぇな。ただ、政府から手紙が来たって言われたんだ。だから行けって。正直、てんで理解出来てない。」
「あ、その手紙読んでねぇわ」
手紙とか存在してたのかよ。知らなかったんだけど。
「…まだ来んのかな」
「流石にもう来ねぇだろ。…来るとしても誰が来るんだよ。まさかあいつらか?」
「そこまでは知らねぇよ」
一旦座るか。
そう言い、2人で並んで座る。
なんか珍しいな。こんなに静かに座るなんてさ。
あぁ…話題がねぇ…。
話題に困ってたその時だった。
コンコン、と、控えめなノックが聞こえた。
慌ててソファから降り、床で正座。
「失礼します。」
ん?この声ってもしや…?
ガチャリ。
「!?あんたらかい!なんでいんだよ!」
…予感的中か。
ドアを開けたのは、希夏だった。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
「希夏も、ホントの子じゃないって言われたのか?」
「もってことはあんたらも?そうだよ。養子って言われた。」
「同じだな。てことは…残るはあいつってことかぁ?」
…あぁ笑
この3人揃ったら、あいつが来ないわけないもんなぁ。
コンコン
ほら、やっぱ来た。
「失礼し…ってえ!?なんで居んの!?」
もう言わなくてもわかるよね。
来たのは結葉だった。
「うちの子じゃないって言われた?」
「ん、言われた。あんたらも?」
「ビンゴ。」
はい、親友兼学級委員全員揃いました。
ニコニコしている中で、私はふっと考えた。
何故、4人が呼ばれたんだろ。
私は、捨て子だって言われた。
そしてここに行けって言われた。
残り3人も、私と同じ理由でここに来た。
=私とこいつらは、何らかの関係、例えば、血縁関係にあるんじゃないかってこと。
…そんなことありえねぇか。
そうだよな、うちら同い年で誕生日違うし。
血縁関係なんかあるわけねぇよな…。
でもなんで呼ばれたんだ…?
あぁー!!気になるっ!!誰か事実を教えてくれっ!頼むっ!
コンコン
「え、誰だろ?」(小声)
「大宮彩華ちゃん、相本珠里ちゃん、松井結葉ちゃん、櫻葉希夏ちゃん。全員いるかしら?」
あ、さっきの透き通ってる声の人だ。
「はい、全員います。」
「入るわよ」
そう言いながら入ってきたのは、ものっそい綺麗な女性、端正な顔立ちの男性、いかにも金持ちって感じのジジィだった。(←)
3人も外にいたのかよ。気配無さすぎだな。
「あ、写真の通りね。…なんで立ってるのよ。ソファに座りなさい。」
ぽけーっとしてたウチらははっ!とし、慌ててソファに座った。
「これから、あなた達の全てをお話したいと思います。」
_ついに知れんのか。
自然と胸が高鳴った。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
「まずは私達の紹介からね。私は川上佳蓮よ。こっちのスーツを着ているのは、私の夫。
川上慧斗っていうの。で、こっちの元気そうなおじさんは、政府の関係者。清水洋平さんよ。」
…要するに、川上さんが2人と清水さんが1人か。
政府の関係者って、この人人脈凄すぎない?
え、なに?こわぁ。
「とりあえず…結論から先に言った方が早いわね。
あなた達は、川上家の子供達。そして、4つ子の姉妹よ。」
「「「「は?」」」」
ハモった。
え、川上家の子供?4つ子の姉妹??
本当に血縁関係にあったの?こいつらと…。
「…どういうことですか。ウチらが4つ子なんて。そんな話有り得るわけないじゃないですか。うちらは赤の他人ですよ?」
珠里の声だ。キレた時の。
うちら全員キレっぽいから、よくキレてんだよ。その時の声だから、間違いなくキレてるね、こいつ。
「まぁ今から詳しく話すわ。焦らずに聞いてくれるかしら。」
「…分かりました。」
渋々、珠里が了解すると、かれん、さん?は満足そうな顔をした。
そして直ぐに顔を引きしめ、真剣な顔で口を開いた。
「貴方達は、私と慧斗さんの子供なの。生まれたのは、2006年の4月25日よ。生まれた時は、本当に嬉しかった。
でも…5月19日、家族で公園に遊びに行った時に、貴方達は誘拐されてしまった。
どこを探しても、貴方達はいなかった。
でも、貴方達はどこにもいなかったの。
犯人は4人組。その人達が、貴方達を別々に切り裂いたのよ。
そして、5月29日、彩華ちゃんが大宮家の前に捨てられていた。
その約2ヶ月後…7月21日、珠里ちゃんが相本家の前に、8月15日に希夏ちゃんが櫻葉家の前に、10月7日に結葉ちゃんが松井家の前に捨てられたのよ。これは調べてわかったんだけどね。」
「「「「…」」」」
みんな驚きすぎて、言葉が出なかった。
だって、毎年楽しみにしてて、家族から祝ってもらってた日が、家の前に捨てられた日だなんて。
想像もしてなかった。
「で、この事件、結構有名な事件で。政府も動いていたの。その中心人物が清水さんよ。
清水さんは、私たちのために12年前に生まれた子供達を徹底的に調べてくれてたの。
そして、貴方達を見つけ出した。本当に、奇跡だったわ…。」
だからこのおっちゃんいんのか。
政府ってなんで。って思ったけど、中心人物だからここに来たんだ、なるほどな。
政府の関係者なのに、うちらを探し続けてくれたんだ。優しいな。
「直ぐにお手紙を出したわ。早く会いたい。成長した我が子を見たいってね。でも…まさか子供達が親友になってるとはね」
「6年間、クラス一緒だったんで」
希夏がドヤる。そうだよ、うちらはずーっと同じクラスなんだぞ。仲良いに決まっているだろう。
「分かってくれたかしら?
で、ここからが本題なんだけど…。本当に急なんだけど、来週卒業式よね?」
「そうですけど」
「卒業式の三日後から、この家に住んでもらおうと思うの。中学…は、公立に進む予定、よね?」
「はい」
「ここから中学に通ってもらう事になるんだけど、良いわよね?」
なんか、めっちゃ話進んでんだけど。
え、まとめると、3月25日からここに住んで、中学はここから通うってこと?
待って、迷子になりそう。
「今日の話はこれで終わりなんだけど…。せっかくだし、家を見て回る?」
佳蓮さんが微笑む。
私達はアイコンタクト。もうこれで通じる。
「はい、よろしくお願いします。」
✰✰✰✰✰✰✰✰✰
Let's goお家探検。
「まずは1階ね。1階はお店よ。私と母が経営してるの。帰ってくる時は、裏口から入ってね。ここはお客さん用のドアだから。」
あ、この人が経営してたんだ。なんかすげぇ人気店っぽかったけど。
厨房の隣の廊下を通り、階段を登って2階へ。2階はリビングらしかった。みんなが過ごすような場所。
「この階には、リビング・ダイニング・お風呂・私の両親の部屋があるわ。リビングの隣の和室が私の両親の部屋よ。リビングの奥はダイニング。まぁ、言うならば食堂ね。カーテンをくぐって行くの。そして、ダイニングの隣がお風呂よ。」
うん、この家広いって確信した。
続いて三階ヘLet's go。
「この階は慧斗さんの書斎、私達の寝室、洗濯場があるわ。書斎には自由に出入りしていいから。気になる本とかあったら、ここから取っていいわよ。洗濯場は、主に私が入る場所よ。貴方達が入ることは少ないと思うわ。私は大抵、ここかリビングに夜は居るから、用があったらどっちかに行くといると思うわ」
…書斎って、仕事場じゃねぇの。勝手に入って大丈夫なのか?
とりま四階へGO〜。
「ここは貴方達の部屋よ。右から、彩華ちゃん珠里ちゃん結葉ちゃん希夏ちゃんの部屋よ。ネームプレートでもかけときましょうか。
ベッドと机は新しくしといたわ。あと、クローゼットも全員あるし、収納もバッチリあるわよ。」
そっか。25日からここに住むのか。親友達と、今日であったばかりの人達と。
なんか実感ねぇなぁ…。
「もう終わりましょうか。あ、お土産にうちのお菓子、持って帰ってちょうだい。卒業式、見に行くからね。じゃあまたね。」
お菓子を渡され、家を出たうちら。
「なんか…上品な人だったよなぁ」
「ほんとそれだわ。うちらはこんなにもガサツなのによ。」
「口悪いし」
「言うことはほとんど男口調だし」
「喋り方とか行動まじヤンキーだし」
「…悪いことしかねぇな、うちら」
「「「それな」」」
みんなで自虐大会して、一斉に笑う。
4人でバスに乗り込み、バス停から1番近い希夏を送り、その後結葉を送り、信号で珠里と別れた。
なんか…夢みてぇな一日だったな。
あいつらと姉妹…か…。
なんか実感わかねぇな。とりま帰るか。
私は、家への道を急いだ。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
なんだかんだで時は過ぎ、今日は卒業式。今日は朝早くから行って、黒板アートを描く。
集合は6時。特別に開けてもらった。
用意していた晴れ着に着替え、朝ご飯をかき込む。
そして、お父さんに送ってもらった。
「お父さん…今までありがとう」
まだお別れではないが、何か言いたくなって言った、感謝の言葉。
お父さんは、すごい驚いていた。
「行ってきます!」
そう言うと、私は門をくぐった。
まだ辺りは暗い。昇降口に急ぐと、既に3人は来ていた。
「おう、おはよ。」
「「「おはよ。」」」
そして校長先生の登場。鍵を開けてもらい、バタバタと教室へ走った。
教室に入る。
自分の席にカバンを置き、中からエプロンを出す。
エプロンを身につけ、グッパー。
前黒板と後ろ黒板を書く係だ。結果、前黒板は私と希夏ペア、後ろ黒板は結葉、珠里ペアとなった。
「頑張るぞっ!」
「「「おうっ!」」」
私達は作業を開始した。
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7時半前。
「「「「出来たぁ…!」」」」
なんとか時間に間に合った。
これが4人での、学級委員としての最後の仕事。
「今までお疲れ様」
「あぁ。」
全員で、黒板を見つめた。
そして、賑やかになる廊下。
「おはよー!!…ってすげぇー!!これお前らが描いたん!?」
驚く男子達。
ふふ、成功だな。これ、校長先生しか知らないことだったからな。
やがて、先生も来て、黒板見て目を見開いていた。
そして、泣きそうになっていた。
え、待ってよまだ早いよ泣くのは。
前黒板に描いたのは、クラスのメンバー。
後ろ黒板に描いたのは、うちらがデザインした絵と、学級委員からのメッセ。
見事、サプライズは成功したみたいだ。
その後、卒業式が行われた。
私の弾くピアノにのせ、全員が合唱。
先生達、全員泣いてた。
感動させたわ。先生絶対泣かないって言ってたけど。
教室でも、先生にサプライズ。
花とアルバム、文集をプレゼントした。
先生、もっと泣いちまった。
それにもらい泣きした女子数名。大丈夫かな、今から写真撮るのに。
そして最後に記念写真。
イラストのクラスメイトをバックに、実際のクラスメイトで写真を撮った。
このクラスとも、もうお別れか。
寂しくなるな…。
気づいたら泣いていた。
3人の顔を見ると、涙でぐしゃぐしゃだった。
お母さん達が泣きながら寄ってきて、4人の写真をパシャパシャ。
最高の思い出となった。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
あれから三日後。
ついに、大宮家を去る日が来た。
「彩華…今までありがとうね。中学の入学式、行くから。…本当に、ありがとう。」
…泣かないで。お母さんが泣いたら私いま確実に泣くから。
「ん、ありがとう。…さよならね。」
その時、後ろでガソリン音が。
振り向くと、川上家にあったアルファード。
既に全員が乗っていた。
「じゃあ…行ってきます」
その瞬間見えた。普段感情を見せない姉貴と兄貴が泣いているのが。
私はびっくりして、お母さんのにもらった涙が溢れてきた。
兄貴…姉貴…ありがとうね。
涙が見られないように車に乗り込み、荷物を後ろに投げ込む。
珠里の隣に座り、シートベルトを付けた。
窓を覗き、小さく手を振った。
家族全員泣き笑いで手を振り返してくれた。
「存分に泣けよ。うちらしか見てねぇから。」
「迷惑かけない程度に泣くわ。」
「もううちらは大泣きしたけど?」
「嘘つけ。珠里は泣いてないだろ。こんな早く泣き止むかよ。」
「そんなに泣けなかったんだよ。」
「うっわぁサイテー」
「お前が言うな」
こいつらと話してると、涙が出なくなんだよ。笑っちまうから。
車を15分程走らせ、やがて川上家に着いた。
…やっぱでけぇな。
それぞれ荷物を持ち、裏口へ。
玄関に持ってきた靴を置き、靴を脱ぎ、廊下に足を踏み入れた。
四階に移動し、ネームプレートが掛けられた自分の部屋に入る。
洋室で、結構広い感じ。ベッドと机を置いてもまだまだ余裕がある。4人が入る位のスペースは充分あるだろう。
造り付けのクローゼットもあり、その中には白のタンスが入っている。
窓際にベッドが置かれており、その横に机が置かれている。机の前には棚があって、教科書やノートを置くことが出来そうだ。コンセントもついている。
スタンドライト(?)もちゃんとついている。
…ええやん。
隣は本棚。その横にクローゼットって感じだ。持ってきたアップライトピアノも置かれてある。
さてと、片付け始めますか。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
だぁぁぁぁ!疲れたぁ〜!
ある程度のものは向こうで処分したものの、小説とか漫画が多いぶん、片付けに時間がかかった。 引っ越した事ないし。
ペンとかシャーペンとか細々した物をどうしまえば使いやすいのか、そういう所まで頭を使ったので、超疲れた。
そして、私の好きなものを全面にだした部屋にしたかった。
私はジャニヲタ。ジャニーズWESTの、神山智洋君にどハマりしている。
神ちゃんを全面に出したヲタ部屋、でも、スッキリしていて綺麗な部屋にしたかったので、そこにも頭を使っちゃって、もう何も考えたくない状態だ。
片付けた部屋を見回す。
なかなか悪くない。見栄えもいいし、見えない所も、几帳面なので綺麗にしといたし。
CD、DVDコーナーや、グッズコーナーも整理出来たし、ポスターも斜めにならずに貼れたので大満足。
雑誌や漫画、小説が入った本棚も、いい感じだ。
あれ、もしかして私センスありすぎ?
すっかり気分が良くなった私は、神ちゃんを見ようと切り抜きスクラップを取り出した。
神ちゃん時々WESTみたいなスクラップをうっとりと見つめていると、下から声がした。
「みんなー、ちょっと降りてきてー」
佳蓮さ…じゃねぇ、お母さんだ。
なんだろうか。もうちょい神ちゃん眺めときたかったなぁ…。
なんてことを思いつつ、私は下に降りた。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
お母さんに呼ばれ、4階から2階まで下がったうちら。
「どしたの?」
そう聞くとお母さんは、
「ごめんね片付け途中だった?もうちょっと待っておこうかと思ったんだけど、先に渡しておこうと思って。」
そう言って一人一人に渡されたのはなんとiPad。
カバーも付いていて、しかもそれがうちらのイメカラ。それぞれの趣味にあったデザイン。
みんなでポカーンとしてると、お母さんはクスッと笑った。
「初期設定はしてあるわ。パスワードはメモの中に書いてあるから、それでアプリをダウンロードしてね」
言われて、早速スマホを開く。
LINEも入ってるんだ。YouTubeも入れてくれてる。
「ありがとう、お母さん。」
「いいのいいの。LINEには貴方達のグループと家族LINE、それぞれの個人チャットを既に入れてあるわ。
規約を守って、安全に使ってね。」
「「「「はーい」」」」
その後一人一人充電器を貰い、また部屋に上がった。
机のコンセントに、ウォークマンの充電器が刺さっている。その下のコンセントにスマホの充電器を刺した。
スマホを繋げる。
ピコンッとスマホの画面がうつった。
そうだ、待ち受け変えよう。
「えーと、画像検索っと」
メモを開き、パスワードを頭に叩き込む。
それからストアへと行き、『画像検索』と入れる。
出てきた中から一番いいのを入れた。
検索して、出てきたのをダウンロードする。
おし、完了。
画像検索に行き、今一番好きなYouTuberや、アニメの人物などを入れまくる。WESTはもちろん、少しハマり気味の嵐も入れた。
ある程度溜まったので、写真に行き、フォルダ分けをした。これが一番楽しかったかも。
設定に飛び、ロックを神ちゃん、ホームをWESTにした。
キーボードはなんかおすすめにでてきた好きな柄のやつ。
今日はこれで終わろう。あんまり触ると悪いし。
そう思い、私はウォークマンの電源をつけ、音楽を流した。そして、もう少しで終わる春休みの宿題に手を付けた。
毎日一本とか言ってたのに、全然更新してなくてごめんなさいっ!
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
「ご飯よ〜」
お母さんの声がする。
小説を読んでいた私はそこに栞を挟み、部屋を出た。
急いで下に降りると、見たことの無いおばあさんとおじいさんが居た。
「あら?貴方が、今日から家で暮らす子?」
…優しそうなおばあさんだな。口調がお母さんそっくりだ。
この人があれか。一緒にお店をやってる私の母って。ここまで似るか…。
「はい、これからよろしくお願いします。あと3人います。」
「あら、そうなの。なら夕食の時に自己紹介でもしてもらおうかしら。ふふふ。」
…確信したわ。この親子めっちゃ似てるわ。
「ごめんなさい、遅れました。」
お、希夏登場。やっぱ律儀だよなぁこいつ。
その後、珠里も結葉も入ってきた。
そして夕食。
なんか豪華じゃね?え、これがこのうちの普通?
メニュー聞く?
おかずはコロッケ。1人2個。
サラダは綺麗なボウルみたいなさらに山盛り入ってる。
で、副菜なのかな、かぼちゃとかの煮付けが小さな皿に入っている。
で、ご飯と味噌汁。…これ食いきれるか?
「じゃあ食べましょうか。いただきます」
『いただきます!』
コロッケに箸をつける。口に含むと、衣はサクサクで中はほくほく。すげぇ美味しい。
かぼちゃの煮付けも食ったけど、しっかり味が滲みてて美味しかった。
かぼちゃ苦手だけど、食えるかも。
食事がだいぶ進んできたところで、おばあさんが口を開いた。
「じゃあ、この子達の名前を聞いてもいいかしら?孫ですから、きちんと名前は覚えないと」
「んー、じゃあ私が言うから、その子の声も覚えてね。
今、青いパーカーを着ていて、ポニーテールのこの子は、川上家の4つ子の長女、彩華よ」
あ、私長女なんだ。小二の頃やったおままごとと同じだ。
「彩華です。迷惑をかけると思いますし、煩いですが、お役に立てる様頑張ります。これからよろしくお願いします。」
躾はしっかりされてるからな。こういう態度だってできんだよ。全員。
おばあちゃんはにこやかに頷き、彩華ねぇと呟いた。
「黄色のトレーナーを着ている、ハーフアップのこの子は、4つ子の次女、珠里よ。」
「珠里、です。これから4人迷惑をかけると思いますが、よろしくお願いします。」
「緑のセーターを着ていて、ショートカットのこの子は4つ子の三女、結葉よ。」
「結葉です。皆馬鹿なんですけど楽しくさせられると思います!よろしくお願いします。」
「最後に、赤いカーディガンを着ていて、ツインテールのこの子は4つ子の四女、希夏よ。」
「希夏ですっ!アホな4人ですが、おばあちゃん達にも笑って貰えるようなアホなので、ぜひ笑ってください!よろしくお願いします」
それぞれ個性出てんなぁ。希夏、なんか日本語おかしいし。
「彩ちゃんと、珠里ちゃんと、結ちゃんと、きぃちゃんね。覚えておくわ。」
おばあちゃんはそう言って微笑んだ。
こうして、和やかな夕食は終わったのだった。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
今日は、初めて川上っていう苗字で顔馴染みと会う日。
そう、入学式だ。
「結葉、ご飯もうひと口食べなさい。倒れたら大変よ。」
「大丈夫。いつもこの量だし」
「もっと食っとけよ。お母さん、お代わり!」
お母さんに味噌汁のお代わりを頼む。
自分でご飯をよそいに行き、戻ってから味噌汁も貰う。
「お前朝から食うなぁ…」
「人の事言えねぇだろ。」
珠里に言われたが、こいつもご飯2杯食ってる。味噌汁もお代わりしてる。
「もう…いつも言ってるでしょ。綺麗な言葉を使いなさいって。貴方達、女の子なのよ。」
「元は友達だもん、そう簡単には抜けないんだよ。」
「そういう事じゃないの。せめて、お前はあんたに変えなさい。本当は貴方がいいんだけど。食うも食べるに変えなさい。」
うちら、いっつも言葉遣いで注意される。
「女の子なんだから女の子らしくして!」って言われるんだけど…無理だよなぁ。
「まぁそのうち直るわよ。早く直して欲しいけどね。彩ちゃん珠里ちゃん、おかずのお代わりはいる?」
おばあちゃんがやんわりと言う。
私と珠里は顔を見合わせ、同時に「じゃあいるっ!」と答えた。
川上家の朝食は和食だ。The、和って感じ。
卵焼きと、焼き鮭、おひたし、納豆or海苔、ご飯、味噌汁!
朝食も豪華なんだぜ。すげぇよなぁ。
卵焼きもお代わりした。珠里と半分こで。
卵焼き、一番好き。だからすぐ食べあげる。
「「ご馳走様でした!」」
部屋に行き、クローゼットのハンガーラックから真新しい制服を取り出した。
セーラー。紺が中心となった、シンプルなデザイン。
これから服選ばなくて済むー。
セーラーを着て、黒のワンポイント靴下を履き、机へと向かう。
買ってもらった、中学の重たい荷物でもイケる、丈夫なリュック。
いつも通り、ポニテに髪を結ぶ。
ん、完璧。
「そろそろ行くわよー。」
下から聞こえるお母さんの声。
私は部屋を出、リュックを持って下へと向かった。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
「着いたやん。」
「そりゃ着いただろうな。」
体験入学以来の中学。
やっぱりデカい。小学校とは比べ物にならん。
「じゃあ、お父さん体育館行くからな。教室迄迷うなよ〜。」
「迷うかい!」
ニヤニヤしながら言ってきたお父さんに軽く文句を言い、私達は中学校へ足を踏み入れた。
少し進むと、掲示板に人だかりができていた。見ると、そこには小学校の同級生達。
あぁ、クラス表か。
「見に行ってくる」
そう言って人混みを掻き分けて前に行った希夏。
「あいつよくこの中スイスイ通っていけたな」
「流石希夏さんですわ」
とかなんとか言ってると、希夏が戻ってきた。凄い顔をして。
「どしたお前。この世の終わりみたいな顔してっけど」
「クラス…分かれた…」
「そういう事ね」
希夏はショックを受けていた。
そりゃそうだ。今までクラスが離れたことがなかったんだから。
この3人がいない教室なんて、想像もしたことない。
「四つ子だし、しょうがないって」
そう言い希夏を慰め、自分のクラスを確認しに行き、昇降口に向かった。
私は1組。珠里は2組。結葉は3組。希夏は4組。
1年の階まで上がって、それぞれのクラスへ行くため、分かれた。
「頑張れよ」
そう言って教室に入った。
クラスの半分以上は知り合いだ。去年からよく見ているメンツもいれば、今年初めて同じクラスになった人もいる。
知らない子もいて、これが中学かぁ…と謎の感想を抱いた。
自分の席を探し、座る。
隣は、一度も同じクラスになったことの無い男子だった。
あ、でも後ろは女子じゃん。その子の隣も女子だし。
私はくるんと振り返り、その子達に声をかけた。
「あのー、これからよろしく。」
「ん?あぁ、よろしく。あたしは河野小春。」
「よろしくー。うちは川崎優乃だよー。」
「私は川上彩華。」
そう言ってちょっと微笑んでみた。
この子達も同じクラスになったことないし。
第一印象ってやっぱ大事じゃん?
それから、小春と優乃と話しまくった。
もう、趣味が合うこと合うこと!
小春も優乃も両方ジャニヲタで、小春は関ジャニ、優乃はKinKikidsが好きだというのだ。
3人とも関西ジャニーズが好きだという共通点で、益々仲良くなった。
うん、中学も楽しく過ごせそうだな。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
それから入学式が行われた。
校長のなっがい話を聞き流し、何度か欠伸を我慢する。
早く終わんねぇかなぁ…。
あ、終わったや。
教室に戻り、担任が前に立つ。
「初めまして。貴方達の担任の山田莉子です。これからよろしくお願いしますね。」
優しそうだな…。
「じゃあ早速…自己紹介をみんなでしようか。
順番に名前と好きな物、好きな事を言っていってー。」
出席番号順に自己紹介。私は9番だから、もうすぐで来る。
あ、もう来た。
「川上彩華です。好きなことは野球。ジャニーズWESTが好きで、特に神山君が好きです。よろしくお願いしまーす。」
拍手が起こる。危ねぇ危ねぇ、噛むかと思った。
自己紹介も終わり、次は係決め。級長、副級長、書記は、違う小学校から来た男子達がなった。
私は、悩んだ末に風紀委員に決めた。
相方は、5、6年で同じクラスだった柳井真央ちゃんだった。
無事係も決め終わり、今日はそこで終了。
明日はオリエンテーションばっか行われて、明後日教科書が配られるらしい。で、教科ごとのオリエンテーション、明明後日からは授業だ。
いやだああああ…。
でも、お母さんは勉強に厳しい。この前、春休みの宿題が終わってなかったけど遊んでいた希夏を叱っていた。
…真面目でいよう。
そう決心し、私は教室を出た。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
入学から2週間。
部活も決まり、ソワソワが落ち着いてきた頃の土曜日、野球部に入った私とソフトボール部に入った珠里は部活が休みだったので家のソファでテレビを見ていた。
バラエティを見ながら談笑していたが、急に珠里が背もたれに頭を乗せ、真面目な顔になった。
「なぁ、うちらを誘拐した人達は、何が目的で誘拐したんかな。」
「…それ今言う?」
今ジャニーズパワーで幸せやったんに。とふざけながら返しつつ、私も珠里の真似をした。
「誘拐の理由なんか、わかんねぇよ。」
「でも、何かしらあって誘拐した訳だろ?やりたかったから誘拐なんて聞いたことねぇし…」
「確かにそうかもしれねぇ。でも、今うちらは生きてる。生きて、親友になって、そして家族になった。誘拐なんて、今のうちらには関係ない。」
「でも、」
「この話は終わりだ。…腹減らねぇ?お菓子なんかあったかな…。」
強制的に終わらせた、うちらの闇に包まれた過去の話。
生まれてすぐの出来事のわけだから、当然うちらに記憶はないわけで。
お母さんもお父さんも、この事は話したくなさそうにしている。
…気にならないと言ったら嘘になる。
誘拐の理由も、うちらを別々にした理由も、時効になったであろう事件を、追い続けうちらを見つけようとした理由も。
全部全部、気になって仕方がない。
「…なぁ珠里。そんなに気になんだったらやってみっか。」
____理由探し。
この時はただの好奇心だった。
まさか、あんなことになるなんて。
あんなことに発展するなんて。
うちらは知る由もなかった。
✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰✰
理由探しを決めた日から三日後、うちらは私の部屋に集まった。
「とりま参考にはなんじゃねーかってやつ、調べてきたよ」
結葉のクラスは今日パソコンルームに行ったらしく、そこでうちらの事件を調べてきてくれたらしい。
広げられた3枚ほどのコピー用紙にびっしり書かれた文字。
「全部メモったんこれ」
「基本自由だったから。時間の限り書けるところは書いたつもり。最後の方は、時間やべーってなったからURLだけ書いといた」
「お前優秀」
結葉調べのやつを見ると、ざっくりと言えば
・5月19日、4つ子の赤ちゃん(うちら)が誘拐された。
・犯人は複数犯で、全員男。
・両親の顔なじみの犯行として捜査されたがめぼしい人物はおらず、見つからず。
・その後の捜査で、容姿などが一致した人物を一人逮捕したが、その人は無実を主張。裁判の結果、弁護人によって無実が証明され、釈放、事件は迷宮入りとなった。
「…1回、捕まってはいるんだ」
「でもその人無実だったんだって」
「無実が証明されることなんてそうそうないだろ…どうしても犯人に仕立てあげたかったのかな」
「だったら警察やばくね?冤罪って言うの?にならないわけ?」
4人で頭を抱える。
「だめだ…なんのヒントもねぇ」
「それに、結葉が調べてきてくれたこと、なんも引っかかるところないし」
「詳しく書いてるから付け足しもないだろうし」
「まじでどうするよ…」
初手にして完全に行き詰ったうちら。打破するものがなく、悩ませていると希夏が急に声を上げた。
「あ、清水さん」
「清水さん?あぁ、あのときいたおっさんね。あの人が何でき…ん?あの人ってうちらを見つけた人、だっけ」
「政府の関係者、っつってたよね」
「情報持ってんじゃね!?」
うぉおおお!!!っと一気に盛りあがったうちらだったが。
「待って、どうやってアポとんの」
「政府に連絡する方法知ってる人ー?」
「いる訳ねぇだろ」
「じゃだめだ。なんも出来ねぇ」
せっかくいい方法思いついたのに…と項垂れる。
でも、この案は本当にいいと思う。何とかして、清水さんにアポを取らなければ、うちらは永遠に真実にたどり着けない。
何かいい方法はないか頭を悩ませていると、部屋のドアがノックされた。
慌てて紙をかき集め隠し、ドアを開けるとお母さんが立っていた。
「そろそろお風呂入りなさいよー?…って、何?彩華、」
「これだっ!!!」
困惑するお母さんを無視し、私は振り返る。
「お母さんに頼も!」
「え、何を?」
混乱してるお母さんに向け、うちら4人は横並びになり、正座をした。
「お願いします、お母さん」
「清水さんにお礼がしたいので」
「アポを取っていただけませんか」
「お手伝いでもなんでも致しますので」
『どうか、お願いします!!』
そしてぴったりと揃った土下座を披露した。
「え、待って、分かった!とるから!顔上げなさい!」
『ありがとうございまぁぁぁぁす!!!』
こうして私達は、清水さんにアポを取ることができたのだった。
「一歩前進だな」
「やったぜ!」
「にしてもうちらやべぇなぁ、打合せなしであっこまで息ぴったりなことある?」
「さすがですわ」
お母さんに感謝しつつ、私達はそれぞれの部屋に向かった。