天羽 桜【あもうさくら】
阿部 優【あべまさる】
*性格は、見てれば分かります(*゚∀゚)
かっこ
すみません間違えて途中で作成しちゃいました(汗)
3:甘桜【あまおう】:2019/03/28(木) 21:49
『正直言って桜ってさ〜…調子乗ってない?』
その喋り声が聞こえた瞬間、
『私がなんだってぇ!?』
と叫んでしまったのが失敗だったんだ。
あーあ。ドンマイ私。
もう私の中学校生活終わったかも。
まぁ、私はもともと思ったことは口に出すタイプだし、気強いし、態度デカイし、色々と目立ってたと思うけど。
悪口言うなら直接言えっての!!
はぁ…
そもそも悪口言う方が悪いんじゃん。
私は悪くない!無罪だ!!
「うぃーす」
!?
「びっっっっっっくりしたああぁ!!」
「お前、朝からうるせぇな」
と阿部が耳をふさいだ。
阿部は、昔からの幼馴染み。なんだかんだ仲がいい…のかな。
「阿部が驚かすから悪いんじゃん」
「えっお前意外とビビリ?ウケるw」
「勝手にウケてろw」
「はぁ!?」
そのまま歩き出すと、
「ちょちょちょ、待てよ!感じわりぃやつだなー。」
「感じ悪い?あーごめんよ。(棒)」
「ていうかお前、なんで避けられてんの?意味不だわー。」
「は?知らないの?」
「どーせ女子同士の問題だろ?ほんっと女子ってめんどいよなー」
「まじそれな〜。女子とかまじめんどい。」
「お前が言うな」
「でも私、ほんとに女子ってめんどいと思う。客観的に見て」
「客観的に見なくても女子はめんどいよ」
「ってかさ〜、自分の悪口言われてて怒るの当然じゃない?」
「そりゃあな。」
「…えっ」
「ん?」
「いや、なんかさ、私が避けられてる理由、それなんだよね」
「…は?どゆこと?」
「前…実花と沙織が私の悪口…?みたいなの言ってて、それで、『私がなんだってぇ!?』って…バカだよね、私…それも登校途中だよ?周りに人もいる中で…」
「お前は悪くない。あいつらがイカれてるだけ。はい、ド正論。座布団10枚」
「…はいはい、正論だね。」
と苦笑いすると、
「ま、がんば!」
と阿部はそう言って走っていった。
なんやねん。
変なやつ。
だけど、
いいやつ。
*
教室に入ると、やっぱりチクチクと視線がささる。
そんなに見なくてもいいじゃんよ。
別に面白くないですよ、私。
机にリュックを置こうとすると、
衝撃的なものを目にした。
「…なにこれ」
調子のんな、うざい、消えろ、カス、媚売り女…
机に並べられた鋭く尖った言葉たちが、私の心を容赦なくグサグサと傷つける。
頭を鈍器で殴られたようなショックを受けた。
気づいたら、目頭が熱くなっていた。
そしてまた気づいたら、
涙が溢れていた。
なんで?
私、なにかした?
私はなんにも悪くない、悪くない…
必死に自分に言い聞かせる。
なのになんで、
涙が止まらないの?
「桜」
声が聞こえ、顔を上げると、阿部が立っていた。
まるで阿部もショックを受けているみたいだった。
「なんだよこれ」
阿部が、私の机に書かれた言葉を見て言った。
「大丈夫だよ、これくらい」と言って、強がって安心させないと。
でも、今の私にはそんな余裕なんてなかった。
自分を出すのが、怖い…
すると、阿部が立ち去る気配がした。
まさか、と思って顔を上げると、阿部はそこにいなかった。
見捨てられたんだ。
阿部にまで見捨てられてしまった。
私は今、本当に一人ぼっちだ。
阿部は、いつも私に話しかけてくれた。
たまにウザいときもあるけど、何気に阿部が話しかけてくれると嬉しかった。
阿部の笑顔が、いつしか心の支えとなり、そして私は、
いつの間にか阿部の事が好きになっていた。
いくらみんなに嫌われたって、
いくらみんなに無視されたって、
阿部がそばにいてくれたから、
ここまで来れたんだ。
すると、人の気配がしたので、再び顔を上げると、
阿部が、必死に私の机を拭いてくれていた。
さっき立ち去ったのは、
私の落書きを落とすために、雑巾を取りに行ってくれたからだったの?
なんで、私のためにそんなにしてくれるの?
もしかしたら、阿部までみんなから無視されちゃうかもしれないのに。
ごめんね、阿部。
本当に、ごめん。
ありがとう。
ありがとう。
大好き。
本当に、本当に、
大好きだから。
気づいたら、涙がもっと溢れていた。
「…阿部」
やっと出した声は、小さくて、弱くて、きっと阿部の耳には届かないだろう。
「どうした?」
届いたんだ。
「…ごめん…ありがと。本当に…」
嗚咽をこらえながら言うと、
「俺がなんとかするから。だから泣くな。」
なんで、そんなに優しい言葉をかけてくれるの?
「ありがとう」
…本当は、伝えたかった。
大好きだよ、って…
*
結局、机の落書きは、阿部と私で頑張って落としたけど、やっぱり全部は落としきれなかった。
先生に言って交換してもらったけど…
先生は、私の机に落書きをしたのは誰か皆に訊いたが、案の定誰も名乗り出なかった。
そして、案の定今日もみんなは口を利いてくれなかった。
やっぱりそうやって過ごすのは辛いけど、
いちばん無くしたくないものはいつもそばにいてくれるから。
*
ちなみに、桜のイメージはこんな感じですhttps://i.imgur.com/kUpToNU.jpg
7:甘桜【あまおう】:2019/03/29(金) 12:19阿部のイメージは…ごめんなさい、男子かけません…(汗)
8:甘桜【あまおう】:2019/03/29(金) 12:21なんで桜の髪色がピンクなのかは、気にしないでください
9:甘桜【あまおう】:2019/03/29(金) 12:31 私が、思ったことを口にしたり、強がったりしてたのには、理由がある。
それは、
妹の死だ。
去年、妹の遥が死んだ。
事故ではない。
自殺だ。
一個下の遥は、明るくて、優しくて、悩みなんて一つもないように見えた。
でも、大雨の日、
遥は橋から飛び降りて自殺したのだ。
遺書には、こう書いてあった。
『いじめられてて辛かった
みんなから理想を押し付けられて苦しかった
もっと本音を言いたかった
もっと強く生きたかった』
と。
私は遥の事が大好きだった。
本当に本当に大切だった。
悲しくて、切なくて、いっぱい、いっぱい泣いた。
そして、
遥の分も強く生きてあげよう。
と決めたのだ。
本当は私は強くなんかない。
本当は誰よりも弱いのだ。
遥の分まで生きるなんて、最初から無理だったのだ。
ごめんね、遥。
こんな情けないお姉ちゃんで。
*
「桜、おはよう」
「おはよう」
相変わらず、阿部はいつも私に話しかけてくれる。
阿部は、私の心を灯す光だ。
やっぱり、阿部は優しい。
『優』という名前だからかな。
…そういえば私、
阿部の事下の名前で呼んだことなかったかもしれない。
せっかく、『優』という素敵な名前があるのに。
阿部は、私の名前を呼んでくれる。
『桜』という、私には似合わない名前を。
私は、桜のふりをしている、違う花だ。
「桜?元気ないな」
阿部の声で、我に返る。
「あ…ごめん」
曖昧に返事をする。
しばらくの沈黙が続き、
阿部が口を開いたその時、
「まーた媚売り女が男とくっついてる」
後ろからはっきりとした声が聞こえてきた。
実花だ。
多分隣には沙織もいるだろう。
そして、きっと媚売り女とは、私のことだろう。そして、「男」とは…
実花は、一人のときには何も言わない。
言えないのだ。
私は決して振り向かずに、走ってその場を去った。
その時に、阿部の困ったような顔が見え、申し訳なさがこみ上げてきた。
ごめん、阿部。
私のせいで阿部まで悪く言われるのは、どうしても避けたい。
だけどね、
一回でもいいから、
名前、呼ばせて。
*
今日は、机に落書きはされていなかった。
でももう限界だ。
阿部までみんなから無視されるようになってしまった。
私がいちばん避けていたことが現実になってしまった。
私のせいだ。
私が、阿部に頼りすぎたから。
私が、阿部のことを好きになってしまったから。
全部、私のせい。
うつむいて唇を噛み締めていると、
「ねぇ、阿部」
と、実花の声が聞こえてきた。
なんで、
なんで無視してたくせに。
気安く阿部に話しかけてるの?
振り返ると、自分の席に座っている阿部に実花が話しかけているようだった。
阿部は不満そうな顔をしている。
「あのね…これ…」
と、実花が阿部に手紙らしきものを渡した。
なにあれ。
ラブレター?
阿部は手紙をじっと見つめ、机の中に入れた。
そして、だんだん私の中でふつふつと怒りがこみ上げてきた。
実花なんかに阿部の事好きになる権利なんてない。
大体、今まで無視してたくせに、
気安く話しかけるとか理不尽すぎる。
私は、想いを伝えることすらできないのに。
私は、想いを伝えてはならない。
伝えてしまったら、
私は…
*
ー約1年前…
とある女の子が死んだ。
天羽遥という女の子と…
天羽桜という女の子だ。
橋から、
落ちたらしい。
*
私は、
もう死んでいる。
去年ー…
一緒に橋を歩いていた遥が、突然橋から飛び降りた。
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
バシャン、という水の音で、我に返ると同時に、私は、
橋から飛び降りた。
遥を助けるためだ。
助けられる訳がない。
子供なのだから。
だけど、
思うより先に、身体が動いていたのだ。
かなり深い川だった。
もがいてもがいて、やっとの事で遥の姿をとらえ、遥の身体を掴む。
だが、助けるということは、簡単ではなかった。
服が水を含み、ずっしりとした鎧のようなものを身に着けているように身体が重く、ただでさえ水面に顔を出すことでさえやっとなのに、それプラスもう一つの身体を支えるという非常に過酷な状況で。
この手を離したら楽になれる。
でも、そうしたら…
私は絶対に遥を…離さなかった。
そして、大きく水を吸い込んでしまい、息をするのが苦しくなった。
水面に顔を出そうとしても、力が出ない。
火がついたように喉や気管が痛くて、気が遠くなっていくのを自覚した。
もうだめだ。
全身に力が全く入らなくなり、私は遥を抱いたまま、
川の底へと沈んでいった。
…はずだった。
沈んでいく途中、
阿部に、想いを伝えておけばよかった。
と、強く思っていて、
気づいたらなんと、
中学生の自分になっていた。
記憶があんまりなくて、
ただ、
『遥が死んだ』
と、脳が強く認識していた。
それともう一つ。
私は、死んでいるということも。
*