今日の客は!?

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1:客A◆P2:2019/08/06(火) 01:27

恋愛小説です!

2:客A◆P2:2019/08/06(火) 01:31

西には海、東には山、とそんな感じのバリバリ田舎の地元に帰ってきた俺は田中まさひろ、22歳、現在無職である。都会の大学生活を終えた後、見事就活に失敗し、母父にはブチ切れられる始末。その結果、母父から月ごとに送られていたありがたい生活費は停止。程なくして地元に帰ってきたわけである。そうして、俺は今実家にいる。

「 まさひろ! 話がある! 」

またか。また今日も一階から叫んでは、激怒を露わにする父。その怒りの声は近隣にも知れ渡っていることだろう。もっとも、俺はこうしてガリガリ君片手に、二階の自室に閉じこもったまま生涯を終えるつもりだ。

「 まさひろぉぉ! 返事をしろぉ! 」

勢いよくドタドタと足音が近づいてくる。父め、もう50歳なのにいとも容易く階段を登ってきやがった。

「 バカ息子! このドアを開けろ!」

ドンドンドンッ、とドアが叩かれる音。俺は咄嗟に、ドアへと向かって体当たりするように、ドアを押しあけようとする父に対抗した。

「 まさひろぉ! さっさとこのドアを開けろぉ! 」

さっきから同じことばっかり言いやがって。筋力のない俺は全身を使ってドアを抑え込む。しかし筋力がないのは父も同じだ。そのためしばらくの間、両者ともにはぁはぁと息を切らして沈黙の拮抗体勢が続く。そして、先日ギックリ腰になったばかりだというのに、父は、雄叫びを上げ始めてドアを押し出す。

「 うおぉぉぉぉぉ! バカ息子ぉぉぉ! 」

バコンッと弾ける木屑。自分の家の一部であるドアを躊躇いもせずに押し倒す父。重量のあるドアの下敷きになった俺。やけに重いと思えば、ドアの上に乗り掛かった父。

「 参った…参ったから親父…どいてくれぇ 」

「 …はぁ…ぜぇ…まさひろ 会議だ… 」

「 チッ… 」

その後。母、父、俺、犬、猫の臨時家族会議が召集された。場所は一階のリビングである。テーブルを境に俺の前に座る父。ギラリとした怒りの宿った目を俺に向けている。そして、テーブルの横側には母、犬と猫が、この圧迫した状況を見守っている。辺りはリビングだというのに、武士と武士の一騎打ちを彷彿とさせる緊迫状態。そう、この会議での議題は、明々白々。俺を父の仕事場で働かせるかどうかという、田中家恒例の会議である。俺はなんとしてでも現状を死守しなければならない。だから俺も父を睨みつけた。

「 息子、なんだ、その目は 」

「 俺は、自分で仕事を探すって言ってるだろ 」

「 自分で探すだと? で、いつになったら仕事に就くんだ?」

「 …出会いというのは分からないだろ? 親父、もっと大きく物事を見ようぜ。長期的に安定して働くためには、自分に合った仕事を見つけなければならない。それはつまり、仕事との出会いだ。出会いというのは、いつ訪れるかなんてものは分からない。そうだろ? 親父と母さんがあの日、大きな木の下で運命的に出会ったのも… 」

「 まぁ、まさひろちゃん嬉しいわぁ…!」

「 っしゃがわしぃわぁ!! 母さんは、テレビでも見ておいてくれ。 バカ息子、お前には半年という猶予を与えたはずだ。お前はその期間のうちに仕事を見つけられなかった。その時点でお前に選択権などないわい 」

「 くっ…あのなぁ、親父、俺だって」

「 問答無用!言い訳なぞ言語道断。惰気満々のお前は自業自得の結果! 」

「 …なんで四字熟語なんだよ。 」

「 今日の夜19時だ。夜19時にあの駐車場に来い。いいな。夜19時だぞ 」

「 … 」

「 来なかったら次こそ、お前を家から追い出すからな。いいな、息子。 」

「 くっ…分かったよ…。」

続く


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