日本人

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1:Invincible:2019/09/14(土) 19:35

やたら海外を持ち上げる人間を見て思いついた短編。人によっては不快に感じるかも。

2:Invincible:2019/09/14(土) 20:23

「ここがニホンか」

と窓の外を見て呟く男は、英国人のアーサー・ウィリアム・ショートである。彼は、観光のために日本に来たのだ。空港に着くや否や、伸びをして、さっさと検疫カウンターを抜けると、入国審査を受けた。入国審査を担当するのは、AIである。これを見てショートは、日本人を心から賞賛した。英国では、狂ったようにAIを配備しまくったせいで、失業率が上がってしまったからだ。AIを程よく運用できている日本は、彼らにとって憧れの的である。彼はそのまま、パスポートを受け取って、荷物受け取りなども終えると、到着ロビーへ出た。

ロビーには中東やアフリカの人間が一番多かった。奴隷貿易船みたいに、ぎゅうぎゅうになっていた。東洋人や東南アジア人はその次くらいで、白人はとても少ない。子供の頃、ニュースで見たドイツのようだった。彼はちょっと落胆して、アフリカ人や中東人の背中を睨みつけながら、ロビーを出た。

狭っ苦しいロビーから解放された彼は、一目散に空港を出た。案の定、外は中東人やアフリカ人で一杯だった。バスやタクシーに死に物狂いで乗り込んでいる。これぐらい見苦しいことはそうそうないなと、彼は思いながら、端末を片手にタクシーを待った。

二時間ほど待ったところで、やっと彼の番がやってきた。彼はホッと一息ついて、端末をしまうと、タクシーの中の入ろうとした。その時、突然後ろから現れたアフリカ人に後頭部を殴られ、蹴り倒された。彼は痛みに身悶えした。そのアフリカ人は苦しむ彼を見ようともせず、乗り込もうとした。すると、今度は別な中東人が彼を殴った。忽ちに喧嘩が始まり、ドイツと同じような工合になった。地面に伏している彼は、何度も踏みつけられ、けられた。彼は、畜生、畜生と叫び、必死にもがいていたが、ついにどうしようもないと悟って、じっとした。そして、彼は、こんなことで、クソ難民に殺されてしまうなんて、と思って、涙を流した。その時であった。

「白人様に何をしている!」

突然現れた日本人の集団が叫んだ。彼らは、難民集団を、スタンガンや棒で打ちのめすと、ショートや他の白人を丁重に助けた。ショートは日本人の優しさに直面して、また涙を流した。だが、先ほどとは違う涙だ。すると、ある日本人は突然ショートの目の前に座って、

「白人様、申し訳ありません!」

と叫んで土下座をした。しかも、額を地にグリグリと押し付けている。そして、

「我々の頭を踏みつけてください」

と裏返った声で懇願した。

3:Invincible:2019/09/15(日) 15:56

ショートはすぐにかぶりを振って、

「それはできません」

と言った。しかし、その日本人はさらに額を地面に押し付けると、

「お願いします!」

と言った。その後も、日本人は踏みつけるように懇願した。彼が何度拒否してもである。だから、これ以上拒否するのも良くないかもしれないと思った彼は、顔を引攣らせながら、その日本人の頭を踏みつけた。足をあげると、その日本人の頭には砂がかかっていた。こんなことをされれば、誰でも怒る筈だ。しかし、その日本人は足を離される瞬間まで、興奮したような声を上げていた。さらにその日本人は、

「ありがとうございます白人様」

と感謝の言葉を述べた。皮肉で言った、というような素振りもない。心の底から感激しているようであった。

ショートは、呆然として、そのまましばらく立ち尽くしていた。

4:Invincible:2019/09/15(日) 21:03

ふと、ショートは右を見た。なんと、さっきのタクシーがまだ止まっていた。自動ドアを手で掴みながら、日本人の親切心に涙を堪えつつ、ショートはなぜ止まっていてくれたのか尋ねる。すると、

「白人様ですから」

と満面の笑みで答えられた。ショートはサッとドアから手を離すと、後ずさりして、引き止めようとするタクシー運転手を振り払って、走り去ろうとした。だが、いつのまにか集まった沢山の難民に遮られて、到底ダメだった。
途方にくれた彼は、そばにあったベンチに座ろうとした。しかし、ベンチの上にはゴミでいっぱいになっている。他のベンチは、と辺りを見回したが、残念ながら他のベンチには先客がいた。身なりからして、難民だろう。ショートは、頭を抱えて、

「クソったれ!」

と叫ぶと、そばにあったゴミ箱を蹴る飛ばした。すると、仕事にあぶれているらしい、土人臭い難民たちが、地に伏せって、生ゴミを漁り始めた。まるでゴキブリである。これで、ますます先に進めなかった。もう、どうしようもないなと、彼は諦めかけていた。その時であった。難民たちが奇声を上げて逃げていく。中には勇敢に立ち向かっていこうとするものもいたが、すぐに腹や頭を抑えて逃げていった。ショートは逃げ惑う難民たちの間隙を突いて、先へ進んでいった。

5:Invincible:2019/09/15(日) 21:43

「蹴る飛ばした」ってなんやねん。正しくは「蹴り飛ばした」です。

6:Invincible:2019/09/16(月) 15:23

えたりそう。助けて


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