6年前、京都____
私は家に飾ってある写真を眺めている。
「ねぇ、やっぱりぱぱとままって仲悪いの?」
「‥ゆら、いきなりどうしたの?」
「‥‥ぱぱがままの事もう好きじゃないって、この前あったとき言ってたよ?」
「確かに今まではお父さんとりさと離れて暮らしてたけどこれからは違う。また一緒に暮らせるのよ。東京にあるおばあちゃんの会社の本社で働けることになったからね!ゆらも来週からすごい学校に行けるの!試験頑張ったもんね!今のお友達と離れるのは寂しいかもしれないけどそのかわりお父さんとりさがいるの!だからゆらは何も心配しなくていいよ、お母さんと一緒に頑張ろうね!」
「うん!頑張ろ!!!!!」
「誰が弱いって?うちは逃げねえから!一条が言った通り確かにうちの味方なんか誰もいないわ!ずっと1人で一条派と戦ってきたからね、うちは仲間やら側近やら手下やらに守られて束にならなきゃなんもできないお前らとは違うの!自分に逆らう生徒を追い出すことで自分自身が相手から逃げてることにいい加減気づけよ!」
「この醜い豚めっ…!」
「さっきから聞いてりゃ優里亜ちゃんに好き勝手言いやがって!」
「そうよ!あんたなんか優里亜ちゃんと話せる価値もないのに!」
「逃げてる?私が?頭強く殴られた?」
その一言にその場が笑いに包まれる
「あんたがやってる事はターゲットにしてくれって頼んでるようなもんよ?威勢がいいのは今だけ、過去に何人もこの学園に残ろうと意地になる奴がいたけど残念…もう誰1人ここに残ってないの、ちょうど一年前にあんたに似たような奴を菊池派のターゲットにした事があった、無駄な正義感で自分の人生を無駄にした愚かな豚だった、長く楽しめると思ってたのにたった2ヶ月でやめちゃった、あんたも一緒、結局は負けを認めて散々後悔した後静かに消えてくんだよ」
「…うちは違うって言ってんの、いつまでも女王でいられると思うな!さっきも言ったけど簡単にやめたりできないの!ここに居たいのが本音だけどアホ丸出しの生徒と一緒になってあんたらに媚びるつもりは一切ない」
どの道引き下がれば退学しかないんだ
「あんたの勢力と戦うわ、関係ないあんたらを巻き込んだのはごめん、でもそれを正当化して他人の人生をぶち壊す権利なんかあんたにも一条にも無いじゃん、一条、うちはここに残るからね」
「はっ…だから言ったでしょあんたは退学だって!」
「カッコつけてうちに退学突きつけたところ悪いけどやめるかやめないかはうちが決めるわ、だいたい校則違反すらしたこともないのになんで強制的にやめさせられなきゃなんないの、あんたのくだらん見栄のためにうちの6年間を無駄にするつもりはない」
「…っ」
「ゆ、優里亜!これじゃあ莉愛羅が恥かくだけ!やっぱりこのまま退学にしようよ!ほ、ほらまた花梨ちゃんにこんなことバレたら今度こそ絶交よ?あんな豚相手することない!ねっ?」
「優里亜ちゃん!菊池派のやり方でまた私たちを楽しませてください!」
「菊池派のゲームが見たいです!」
「優里亜気分良くなっちゃったね、本当単純なんだから」
「こいつらの期待に背くわけにもいかないわな、私は一度あんたに逃げ道を与えてやったからね、そうまでして悪あがきしたいならさせてやるよ、ゲームとは勝負、ギブアップは退学を意味する、これはあんたが売った喧嘩だから逃げんなよ?久々に城下盛りあがろ!」
「でたー!33人目のターゲット!」
「ついにデブスが菊池派のターゲットになったー!」
「一年ぶりのターゲットだー!」
「実は最近退屈してたんだよね〜!」
「しかも今回は菊池派と一条派のダブルターゲットじゃん」
「やっば!テンション上がる!」
ガポッッッ
「ごめーん、手が滑った、ここの片付けやっといてねー、デブス」
「優里亜に名前覚えてもらってよかったわね、散らかしたのはデブスよ、そんなに城下にいたいならその辺の物ちゃんと処分して汚したところも全部綺麗にしといて」
「莉愛羅ちゃん!なんとか計画通りだね!」
「まあねぇ…デブスを優里亜のターゲットにする事は叶ったわけだし?」
「これから学園が盛り上がるね〜〜!」
「ふふん♪そうね」
「……」
退学は免れたんだよ
別に後悔なんかする事ないじゃん
『私は一度あんたに逃げ道を与えてやったからね』
あいつの言った通りこれはうちが選んだ道
この先何されてもそれは自業自得
「はぁ、悪い癖が出ちゃったな」
問題大きくしたくないからだいたいはスルーしてきたけど…
あんなん許せなかったし
何やってもダメな時はママに正直に話して過去のターゲット達同様うちも去ればいいじゃん
大丈夫、限界までやれるだけやってみよう
なんで抵抗もしないで黙って言いなりにならなきゃいけないんだよ、そんなんうちらしくない
今までだって一人でやってきたじゃん、ちょっと数が増えただけで大して状況は変わってない
___ただなんだろ…
この全身の震えはやっぱり覚悟とは裏腹の恐怖心なんだろうか___
「あーやっとシャワーだー、さっさと着替えてぇ、ったく鐘がなる前にあの場所に来いっつーから行ったらこのザマだよ?せめて水にしてよ」
「全くだよ」
「ごめんって瑠奈ー、瑠奈にまでかかるとは思ってなかったしー、瑠奈だけごめんー…」
「ありえない」
「だって優里亜…莉愛羅の意見聞かずにデブスをターゲットにしたじゃない」
「あんたそれ望んでたんじゃねーの?めんどくせぇ女」
「…だけど莉愛羅が言ってた通りのやつでしょ、デブスは過去のターゲットなんかとは比べ物にならないわ」
「……確かに今までの奴らとは目が違うよね、あれは強がりとかそんなんじゃなかったわ、正直一瞬怯んじゃったし」
「はぁ!?もう今からそんなんでどーすんのよ!ほんっと優里亜って生徒の前で見栄張ってばっかり!」
「あんたが言えんのかよ、さっきデブスに言われてたじゃん、あんたのくだらん見栄のためにうちの6年間はあげませんよとか」
「若干違うね」
「やめてよ、思い出してもムカつく」
「まぁ見てて、いざターゲットになればどうせ怖気づくからさ、どいつもこいつも最初だけだから」
「そうだねぇ、もって2ヶ月ってとこ?」
「…ねぇ優里亜、あまりデブスを甘く見ない方がいいと思うわ、初等部の時から一条派で追い込んできたけど何をしても6年間音を上げずに1人で生き残ってる変わり者よ?今までは大人しくしていたけど過去のターゲットのように生ぬるくやっていたら何がきっかけで反撃してくるかわからないし、下手をすれば莉愛羅達が敗れる可能性もあるから気を抜かないで」
「何者だよあの豚」
「ねー」
「ん?何瑠奈」
「いつも言ってるけど瑠奈を巻き込まないでよ」
「はいはいわかってるって、瑠奈は菊池派にいてくれればそれでいいから、一条も瑠奈も心配すんなー、今まで通り後悔→退場で終わり!反対派の集団ですら一瞬で潰したんだよ?あんなデブス1人に何ができんの?」
「だよね〜!まりあは優里亜ちゃん応援してる!」
「ならいいんだけど…」
女子用シャワールームにて
「うっわ、おいおい…腹赤くなってるじゃん、くっそどいつよ!嫁入り前の女の子の腹蹴りやがって、見えない所でよかったわ」
てか…
本当にここまでしてママとの約束守らなきゃいけないのかな
ママだってもう忘れてるかもしれない昔の約束の為に傷負わされてまで通ってるって知ったらそれでもママ喜ぶのかな…
いや今更何考えてんの!うちがそれ思ってしまったら自分で6年間無意味にしちゃうじゃん
こんなんじゃあいつらになめられるわ!
弱みを見せるな弱気になるな!
「あ、そういやペンケース取り行かなきゃ」
そろそろ授業終わる頃かな
流石にちょっと今は誰とも会いたくないしなぁ、生徒が出てくる前に帰ろ
もうこんくらいでいいでしょ
どっさり
本当にこれ全部処分すんの?
もったいな
さてと制服も洗わなきゃだし一旦帰って_
ん?なんだろあれ
高等部ー寮ー
「それがデブスのデータね、初等部四年の頃に京都の公立小から城下に来た編入生よ、その年両親が離婚、別れた父親の親は和谷中コーポレーションの和谷中優香」
「すげぇ福耳」
「何見てんのよ、今は業績不振で低迷しているそうねぇ、そりゃあ戸籍上、他人のデブスの為に寄付金なんて出してられないわけだわ、現在は母子家庭で妹を含む3人で貧しく健気に暮らしているそうよ」
「デブスの母親の会社はもっとヤベェんじゃねえの、去年親会社がリストラしてんじゃん」
「あぁ…そう言えば社宅を追い出されてその後転居報告があったってママが言ってたわ」
「ふ〜ん、反対派だったマヌケ野郎の場合は親が菊池の傘下企業だったからじわじわ追い込んでやったけどデブスの母親リストラから生き残っても年内には会社ごと消えてんじゃね?」
「そんな下層階級がこの学園に通ってるってだけでも城下の汚点なのにその上まだ莉愛羅達に刃向かうんだからまともじゃないわ」
「それにしてもなんで優里亜ちゃんを敵にしてまで通いたいのかな?自分には理解できない」
「初等部の時にデブスから聞いたわ、さっきも言っていたでしょ?母親との約束を果たす為だって、優里亜、デブスの唯一の弱点は家族よ、優里亜がデブスのバッグを蹴り飛ばした時の顔見た?」
「見てない」
「デブスにダメージを与えるには私物に手を出すのが効果的よ、「家族」は最終手段でいいわ、今はじっくり追い込んで行きましょ」
「それはいいけど莉愛羅があいつに目ぇ付けたきっかけ何?初等部の時からデブスデブスってうるさいけど」
「え……」
「別にお前たちのすることに口を挟むつもりはないけどあまり目立ったことすると本当に花梨が戻ってこなくなるかもしれないよ」
「花梨んんん、どこにいんの」
「優里亜ちゃん…」
「…」
「とにかくくだらないことでこれ以上花梨との溝を深めんなよ」
「もぉー、瑠奈〜今のだとまるでデブスに遠慮してやれって言ってるみたいで莉愛羅やだぁ」
「でも花梨ちゃん本当最近よくテレビに出てるよね、やっぱり仕事忙しいのかな…」
「両親は共にアカデミー賞を獲る人気役者だしねぇ、二世タレントの中でも群を抜いて花梨ちゃんの人気はすごいし今は学業よりも仕事なのかもねぇ」
「学園内で最近花梨ちゃんを見かけた情報はちらほら入るけど自分たちで見たことはないなあ」
「花梨のやつ、とことん私を避ける気か、こうなったら意地でも見つけてやる」
「んもー大丈夫よ!2人は幼馴染で大親友なんだから!あれは過去のことだし、花梨ちゃんだっていつまでも怒ってないわよ!それより明日からどうやってデブスを懲らしめるのか考えてよー!」
「うるっさいなぁ、私は正直デブスなんかより花梨の方が気になってしょうがないわ」
「ばかーっ!」
___これは図書館か…
古いから立ち入るなって入学式で言ってたけどここなら生徒も来ないかも
「まぁ開かないよね」
ぎぃ…
「え___開いた?」
残されたままの本と時間の止まったホールクロック
「へぇ、良い所じゃん、静かでひんやりしてて昼寝にはもってこいだ、取り壊す予定なのかな?」
「…」
『絶対なんかの罠だ…まんまと乗ったら後悔するのは多分自分』
あの時嫌な予感してたのにまんまと乗ったんだ
あほじゃん…
あんなゲーム意地でも拒否ればよかった…
いや、この学園にいる限りいつかはこんな日が来たかもしれない
でも、もっと遅らせることもできたかもしれない
菊池って確かこの学園を支えてる有名ななんかだったっけ
情報がなさすぎる…
とりあえず家に何もされないならそれでいいんだけど
ばささささっ
誰かいる
早速仕掛けてきたか!
ここじゃ逃げ道がない
気づかれないように一旦外に出よう
トントントントン
なんの音…
どこにいる?
「!」
「…っ」
「……」
「こ、こんな時間に何してんの!?」
「そっちこそ何してんの?ここ立ち入り禁止なんだよ」
「それはお互い様でしょ、そっちこそ何?」
何こいつ、本当城下はうち含め変な奴しかいないな
「その本どうしたん?」
「あー…、床に積んであった本の山につまづいて…あなた授業は?もしここに用がないなら悪いけどでてってくれない?」
「…まぁ、いいけどどうせ帰るつもりだったし」
「帰るってこの後体育じゃないの?」
「え?」
「あー…ちょっと色々あって、あんたもサボってないで授業行きなよ」
「じゃ」
「で、ここをデブスが通った瞬間に〜、この上から仕掛ける!!!!」
「流石優里亜ちゃん!才能の塊!」
「素敵!まりあは一生優里亜ちゃんについていく!」
「莉愛羅ちゃん明日の作戦素晴らしいものになりそうだよ!」
「ふふん♪それは楽しみね、優里亜にすべて任せたんだからしっかり頼んだわよ」
「あいよー」
「あら、伶奈じゃない、今日は朝から撮影だったのね、デブスが菊池派のターゲットになる瞬間を見られるチャンスだったのに残念ね」
「別にどーでもいいわ、着替えて午後の授業受けてくる」
「ちょっと待ちなさいよ、なんなのその態度、どーでもいーことないでしょ、あんたも一条派の人間なんだからもっと積極的に___」
「悪いけど暇を持て余してるあんたとは違って疲れてるの少しは気を遣えないわけ?」
「なんなの誰に向かって言ってんのよ!最近少し売れてきたからって莉愛羅に生意気な物言いは許さないわよ!」
「何様なのよあんたは」
「待ってまた莉愛羅を敵に回す気!?!?一条派にいるからあんたなんかでも特別な扱いを受けてこられたくせに恩を仇で返す気!?」
「どの口が言うの、あんたに恩なんて感じた事ないわ、私にもう許されたと思ってんの?鼻で笑うわ」
「いい加減にしなさいよ!伶奈のくせに!」
「あのーーー、取り込み中悪いんだけど、伶奈さ、お前にも花梨から連絡とかないの?あいつずっと私のこと避けてんだけど…」
「ないわ、今は寮じゃなく家に帰ってるみたいだし城下でも仕事でも会わないし、優里亜がちゃんと本気で謝るまで許さないんじゃない?本当余計なことしてくれたわね」
「…いつまでも過去の事を根に持って……本当に憎たらしい女だわ…」
ゆらの家にて
うーわ、明日買い物行かなきゃなんもないわ
あとでお茶も沸かさなきゃ
「ただいまー」
「あ、おかえりー、あれ一緒だったんだ?」
「そうそうそこでちょうど会ってさー」
「そっか」
「今日ご飯なにー?」
「昨日の残りのカレーうどんともやし炒め、ご飯今作り出したとこだからまだ時間かかるよ」
「ならその間に風呂入ろうかな」
「それはいい提案だと思います、はい」
「ぷっ、誰のおかげで生活できてるか思い知らせてあげればいいじゃん!」
「ほんっとに!」
「すみません」
「ねえゆらなに?あのシャツどーしたの!?」
「え、あ…ちょっと泥水浴びちゃって…」
「泥水?何で?」
まずいな…しまうの忘れてた
ブレザーは色濃いから目立たないけどシャツは漂白剤なくて完璧に落ちなかったんだよな
どう言ったら怪しまれないんだろ
「まさかお姉ちゃんいじめられてんの?」
「え、ゆら___」
「そんなん違うって!」
「ならなんで泥水浴びるの?」
「ママの仕事じゃあるまいし」
「んね、ママは泥水も浴びるし上のものから罵声も浴びるしね、誰かにひっかけられたん違うよね!?」
「本当にそんなの違う___って言いたいところなんだけど実はクラスで泥水掛け合って遊ぶイベントあってね!」
「…あの城下学園でぇ?」
「…そだよ!ほらこれ証拠!」
そして私はあの時一個持ち帰ってきた水鉄砲を見せる
「うわなにそれかっこいー!お姉ちゃんりさこれほしー」
「いいよ」
「まじで!やったー!お姉ちゃんありがとう!」
「それよりみんなも制服汚れたんじゃない?」
「みんな金持ちだもん、換えの制服くらいいくらでもあるって」
「そりゃそーだね」
あんとき持って帰ってきててよかった
それにしても___
りさ危険すぎでしょ!勘がいいから焦るわ
「本当にゆらなんかあったら言って?」
「うんわかってるありがと!」
…嘘も方便だ
いつか自分でも気づかないうちについた6年分の嘘に囲まれて身動き取れない日が来るかもしれない
その時はそのときだ
うちが原因で2人に暗い顔して欲しくないからね
家でくらい笑って過ごしたいわ
もし無事に卒業できたらいつか笑ってこれまであった事全部話すわ
「…」
わかってるよねうち…昨日の今日だよ
菊池派のターゲットになった事で今までうちの存在を知らなかった生徒にまで知られることになったんだ
高等部は全員敵だと思っていい
気ぃ抜いてたら本当に大怪我するかもしれない
それこそママ達に下手な嘘は通用しない
「恐れんな、うちは強い」
二回も汚されたらたまらないからね今日は制服の上にジャージ着てやったわ
カバンも百均のにしたし!
___てか…
高等部の生徒がいない___
なんで…
おかしい、絶対どっかに潜んでるはずだ
慎重に行かなきゃ…
「優里亜ちゃん、デブスが階段を登りきったよ」
「やっと来たかちんたらと豚めが…」
「それでどんな作戦なの?」
「まぁ見てな、あかり、駒井もしっかり頼むよ?」
「任せて〜」
「瑠奈ちゃんがまだ到着してないけど」
「待ってらんない!」
「いくよ、3、2、1」
「いけっ!」
ぎいいいぃ
上か!?
あれは___!!
ばっ
ぱしゃああぁっ
「うーっし!やった命中〜!」
「きゃー!優里亜ちゃん最高の連携プレーだったね!」
「え…これだけ___」
「作戦大成功!あらかじめ帰宅組の生徒たちには大階段の使用禁止を伝えていたのもこれまた他に被害が出なくて大成功だったね!」
「どう!私のゲームは!朝から不快でしょ!これから毎日不快を与えるから!」
くだらなさすぎ
莉愛羅とゆらは同時に思った
「まぁ今回のは挨拶代わりよ、悪いことは言わないからさっさと降状した方が身のためだよ?」
「ドヤ顔やめろやさっきからうっとうしい」
「ねーわかってるよね?その汚れたとこちゃんと綺麗にするまで授業は受けさせねーから!」
「はっ…ふざけんなよ!お前らが勝手にぶちまけたじゃん!自分らで片付けろよ!」
「ゲームの放棄は退学を意味するけど?もうゲームオーバーかな?じゃしっかりやってねー」
「待てよ!」
「優里亜ちゃん、瑠奈ちゃんが到着したけど…」
「今!?おせーよ瑠奈あ!」
「は?来いって言うからちゃんと来たし」
「この寝坊助が〜!」
「瑠奈はいいの!あ、そうだあのね瑠奈ロンドンにいるりーちゃんたちから美味しい紅茶が届いたの!一緒に飲も!」
「まじか私も飲むわ!」
「まりあも!」
「自分も〜」
うちほったらかしじゃねえか
「……っ」
シャアアアア
「ふざけんなよ!!!!!!」
くっそ!二日連続で泥水かけやがって
もうこれ以上着替え持ってねえんだよ!
キーンコーンカーンコーン
「なんだよ…昨日も今日も1時間目は掃除して終わりかよ、何しに来てるかわかんない」
「さっき優里亜ちゃんたちデブスにすごい事したらしいよ!」
「知ってる!私寮じゃないから昨日側近の愛梨ちゃんから大階段使用禁止のNNE来たもん!」
「あ!私も来たよ!」
「デブス見てよありゃ相当やばい事されたんだね」
「菊池派こえぇー」
「こわ〜い」
「菊池派まで敵に回すからでしょ、自業自得〜」
「みんなああなりたくないから頭使ってるのにね〜」
「あ〜私も菊池派のゲーム見たかったなあ」
「やっぱり菊池派は一条派よりスケール大きくて最高!」
「明日は何するんだろ!」
見てもないくせに何スケールのでかさ語ってんの、上から泥水ぶっかけただけでしょ
やっぱ休み時間はここに限るな!
「風強すぎでしょ、風量加減しろって」
菊池派……
たかがあんなもんでもてはやされて調子乗ってんのか
腹立つわぁ…
それにしても菊池優里亜___
思ってたよりへぼくない?
本当にあの程度のもんで城下の生徒びびってんの?金持ちには強烈なのかな?
うちが昔聞いた菊池派の噂は___
菊池派によるこの学園の闇の現状を外部に漏らそうとした生徒がいたらしい。
しかし未遂に終わり菊池にバレた後親の会社が倒産、多額の借金を背負わされ一家心中したと聞いたことがある。
本当かしらないけど。
その噂が一気に学園中に広がって恐怖心を植え付けられた生徒達は菊池派を支持するようになり、それ以来ますます菊池派の勢力が大きくなったとか
うちもそんな噂を聞いたもんだから菊池派は怖くて避けてきたけど…
やっぱただの噂だったのかな
ていうか菊池派の正式メンバーってもっと人数いたような___
がちゃん
ギィィィ
ぎ…ぎ
昨日の変な子だ!
なになにその目は
「はぁ、やっぱりいるじゃん、またあなた?」
「いやこっちのセリフだって」
「てかあんた、見るたびに服装変わってくね」
「…色々あってね」
「逆に制服姿見たいもん…あんたさ、昨日もいたけどこの図書館気に入ってんの?」
「うん、いいとこだなぁ、取り壊さないでほしい、まだまだ綺麗だし」
「…あのさ、私がこんな事言う資格なんかないんだけど特別な用事がないならもうここには来ないでくれないかな」
「…まぁ別に用はないんだけど、ちょっと事情があって静かに休める場所が欲しくてさ、ここだったらあんた以外の生徒も来ないかと思って…」
「……わかったよ、しょうがないな、昨日譲ってもらったし今回は私が移動するよ」
「ごめんね、ありがとう」
てか、この女、この学園でこんなナメた格好して…
もしかして菊池派の人間なんじゃ…
「ねぇ…あんたひょっとして菊池派のメンバーだったり…?」
「……」
「やっぱそうなんだ!」
「違う!これ見ればわかるでしょ?」
「確かに菊池派のワッペン違うけど…」
「私あいつら嫌いだから」
へぇ、うち以外にも菊池が嫌いな生徒いるんだ
「でも…菊池の仲間でもないのにそんな目立つ格好してて大丈夫なの?何かあった時あいつらに勝てんの?」
「……」
「何?」
ダッ
「あ、ちょっ…」
ほんと変な奴
もっと菊池派の情報がいるわ、あいつらはもうとっくにうちの情報掴んでるだろう
今のままじゃあまりにも不利すぎる
そもそもギャルが金持ちとかやりにくいにも程が___
ダダダダダダ
「ああああああ!」
何!?
ぎぃ
「…何してんの」
「ってぇ…っ」
「本の次は何につまづいたの」
「階段踏み外した、あ…あぁ、痛ぇ、血が…」
「それぐらいなんだよ、おいで、鞄に緊急セット入ってるから、あ大したことは出来ないよ?一応消毒だけしな?」
「えーすご!めっちゃかわいー!」
「いいでしょそれ!お母さんが腰痛持ちでさ湿布買った時に薬局でもらって、勿体無くて使えなかったの」
「えーまじ?なんかごめん、お母様お大事に…」
「どうも」
「ちゃんと絆創膏持ち歩いてるとか感心する〜」
「大袈裟だなぁ」
ここにいたら怪我はつきものだしな
なんか不思議だ
この学園でこんな風に誰かと話したことないからちょっと嬉しかった
「よっし、行くか、あ…あのさ私がここにいたこと誰にも言わないでくれる?」
「?うんわかった、じゃあうちがここにいることも内緒でお願い、菊池派のターゲットになって校舎以外で休める場所が欲しくてさ、そんで昨日たまたまここ見つけてね、だから___」
「菊池派のターゲットって…?ねぇ、ターゲットってどういうこと?」
今ここで正直に話したらこの人また走って逃げてくか、菊池派に居場所バラすんだろうなぁ
せっかく普通に話せる生徒見つけたと思ったんだけどな…
「ね、ねぇ…どうしたの?」
___いや、普通に話せる人だからこそこの人と関わり持って巻き込むわけにはいかないのか
「…あんたうちのこと知らないんだね、実は昨日菊池派のターゲットに認定されて、確か33人目とか言ってたな、もともと一条には初等部からターゲットにされてたんだけど、今回晴れて菊池派のターゲットにも___」
「あのくそやろーが!まだんな事してんのかよ!進学しても成長しねえなあ!だから嫌いなんだよ!」
は……
「今のきいた?うち、昨日菊池派のターゲットになって」
「らしいじゃん!!腹立たねーの!?」
「そりゃ腹立つけどそれよりもうちみんなの敵なんだよ?」
「らしいじゃん!」
「うちのこときもいとか思わないの?」
「は?んなの思うわけないじゃん」
こんな人もいるんだ…
「もしかしてあんたが制服じゃないのも菊池派のターゲットに関係してんの?」
「あー、まー、うん」
「……」
「半袖じゃ寒いでしょ、ここちょっと冷えるし、はいこれ、私の着てな」
「え、いいよ!うちなんかにそんなんしたらあんたまであれだよ」
「あれって何?誰もいないんだからかにすることないって!」
「ご、ごめんありがとう…」
ミシ…
「あ、ありがとう…」
「うん!」
痩せよ……
「…あんたさ、まじで菊池派と戦うの?」
「戦うよ、もう後戻り出来ないもん、絶対あんな奴らには負けない、降状なんかしてたまるかっつーの」
「……私も菊池派と一条派のやり方にはずっとうんざりしてた、なのに私は何にも…」
「…ねぇ、さっき菊池派の事嫌いって言ってたじゃん?あんたは何があったの?言いたくなかったらいいけど…」
「………一年前、密かに憧れてる子がいたの、その子は明るくて正義感の強い子で、いつもあの子の周りには友達がいた…でもその正義感が菊池派の悪行を無視できなかったんだろうな、その子は既にターゲットになってた別の生徒を庇って周りが止める中1人で菊池派に立ち向かってその子の身代わりになったの、確か32人目のターゲットだったと思う」
32人目ってうちの前の___
『ちょうど一年前にあんたに似たような奴を菊池派のターゲットにした事があった』
『無駄な正義感で自分の人生を無駄にした愚かな豚だった』
『長く楽しめると思ってたのにたった2ヶ月でやめちゃった』
あいつが言ってたのって___
んならその子が………
「けどその子が菊池派のターゲットになった途端手のひら返すように友達だった奴らから裏切られて…」
『だから止めたのに…っ』
『あんな子ほっとけばよかったんだよ!』
「人助けってなんだろうってたまにわかんなくなる、私もちょっと色々忙しい時期であんまり登校出来てなくて全部後から聞いた話なんだけど…その間もあの子はきっと一人ぼっちで校舎にも寮にも居場所がなくなって、1人が耐えられなかったんだと思う、誰も気づかないうちにやめてたらしいの、私は何度も何度もやめるように説得したのにあいつらは全然聞かなかった、だから嫌いなんだよ、菊池派も、裏切った生徒も、説得するだけで何もできなかったクソ弱い私も…」
「…そうなんだ、中等部の時そんな子いたんだね、自分の事が精一杯で周り見てる余裕もなかったわ、立派な子だね」
他の生徒のために自分を犠牲にか…
うちには出来ないわ、あんな奴らのために自分を犠牲にするなんて、情けないけどそんないい子にはなれないな
今でも責任感じてる、この人には言わないけど、結局自分の事は自分で守るしか無いんだ
「話してくれてありがとう、自分の事責めたらダメだよ?あんたは何も悪く無いじゃん、ていうかそんなん聞いたらなおさら負けるわけには行かないな、うちは戦うよ、その子の分までね、いつまでも好き勝手させないから、イエスマンばっか残してあいつらだけが居心地良い学園にはさせない、邪魔してやる、あいつらがこの学園を逃げ出したくなるくらいにね!!!!!」
「……あんた強いね、初めて会った時からただ者じゃない気はしてたけど」
「そりゃね、見たまんまの肉厚メンタルだもん!伊達に6年も一条の相手してんだよ」
「6年!?1人で!?まじかよ何者だよ、だいたいターゲットなのになんでこんなふつーにしてられんの!?」
「これがうちの生き様だよ、誰も止められやしねえ、ははっ、なんてね!そりゃうちだって人間だもん、不安もあるよ」
「…いやあんただったら……私も…もうあいつらから逃げるのやめる、私もあんたと一緒に戦うよ」
「私も一緒に戦うよ」
「…戦うって何と…まさか菊池派と一条派じゃないよね?」
「そうだよ!目的は同じ、2人であいつらの勢力に立ち向かお!1人より絶対心強いから!」
「…それはちょっと考えさせてほしいかも」
「なんで!?」
「だってあんたいい人だもん」
「え?なにそれ」
「正直さ、巻き込みたくないんだ、あんたが思ってるほどうちへの攻撃甘くないんだよ?」
「んなのきいたら私こそ尚更…!」
「指擦って血ぃ出たくらいで焦ってるようじゃとてもじゃないけど……」
「足手まといって事?」
「違う、あんたのために言ってんの」
「…じゃあ1日考えてほしい、確かに昨日会ったばっかの奴にこんな事言われても困るだろうし、もし私への不信感を払拭できたら__」
「ちょっと待ってあんたひょっとしたら誤解してるかもしれないから先に言っとく!うち、本当はめっちゃ嬉しいんだよ!ただ初めて気の合う生徒に出会えたからさ傷つけさせたくないだけだよ、別にあんたにはなんでか不信感とかないし足手まといとかそんなん全然違うからね?誤解しないでよ?」
「わかった、私もあいつらから逃げてばっかじゃなくてあんたみたいに少しは堂々としなきゃな、ブレザー明日でいいからまたきてくれる?ここに」
「え、返すなら別に今でも帰りでも…」
「私午後から抜けなきゃいけないから明日でいいよ、その時あんたの答えも教えて?」
「あ…うん、じゃあ明日ちゃんと返しに来るね」
「よろしく、じゃ行くわ、あ、それと絆創膏かわいいのありがとっ!」
この学園でありがとうなんて言ってくれたのあんたが初めてだ……
ありがとう
明日改めて自己紹介するわ
家にて
「なんかお姉ちゃん今日やたら機嫌いいじゃん」
「ん?なんか良いことでもあったの?」
「ちょっとね〜、初め……ゴホッ、新しい友達ができそうでさ!」
「へぇ〜そりゃ良いことだ、友達はいくらでも作ったら良いや」
「あ、そだ、ママ、城下の菊池って知ってたりする?」
「城下の菊池?菊池金奈美の事?」
「か、かな…?誰?」
「金に奈良の奈に美しいって書いて金奈美だよ」
「あー…いや、優しいに里に亜って書いて優里亜」
「なんだそれ知らない」
「逆に気になる〜!なにそれ!」
「え、いや…なんもない、聞いてみただけ」
あいつほんときけんだ
…まぁ知ってるわけないか、やっぱコツコツ情報集めてくしかないな
今日もう一回だけ確認してあの人が昨日と同じ気持ちなら是非とも仲間になっていただきたい。
でも、あの人だって1日冷静に考えてやっぱ気が変わってるかもしれない
友達になれたら良いなぁ
「優里亜ちゃん!今日はどんな作戦でいくの!?」
「…そうだなぁ、流石にデブスもまた同じ事されると思うほど馬鹿じゃないだろうし」
「いやいやわかんないよ!傘とか持ってきてたりして!」
「キャハハッ!それは間抜け〜!」
「クッソ勝てねえ」
「ねぇ、優里亜…莉愛羅もっと凄いのを期待していたんだけど…」
「だから言ったでしょ、昨日のは挨拶だって、私に泥水かけたお返しよ、理にかなってんだろ」
「じゃあ次は上から虫なんてどう!?」
「それは無理!私が無理!」
「まりあちゃん、優里亜ちゃんは虫とおばけが何よりダメなんだよ」
「えっ、そーなのごめん!」
「誰にも言わないでよ!」
「もちろん!」
「優里亜…他の生徒たちが菊池派がこの程度だって思い始めたらどうなると思う?たちまちデブス以外にも莉愛羅たちに逆らう生徒が出てくるわよ、ちゃんと力を見せつけておかないとそのうち手のひら返す生徒が必ず現れるわ、莉愛羅はデブスを退学にして終わらせるつもりだったのに阻止したのは優里亜じゃない、ただでさえ今菊池派の正式メンバーが3人も学園に不在な上花梨ちゃんまで姿を見せずに活気も低下してるのよ?一番人気の瑠奈がもしも菊池派を抜けたら優里亜、独りよ?この学園の主導権を菊池派が握っていたいならそれ相応の威厳を保ってよ、なんならまた和解する前の一条派と菊池派の状態に戻る?今の菊池派勢いないし」
「そ、それは嫌だよ…っ、生徒たちも昔の様な対立は望んでないと思うっ!」
「まりあは黙ってて」
「優里亜ちゃん!莉愛羅ちゃーん!里奈さっき花梨ちゃん見かけたから報告しにきたー!」
「花梨ちゃんを!?」
「まじか!どこで!?」
「大階段の下にある噴水広場!」
「よくやった!」
「ありがとう!」
「莉愛羅ちゃん!ようやく花梨ちゃんがっ」
「まぁ…なんとかなりそうね、ありがとう駒井、これで花梨ちゃんが菊池派に戻ればまた学園が華やぐわ、瑠奈にも教えてあげなきゃって、そういえば瑠奈は?」
「トレーニングしてるんじゃない?」
「あの人もう来てるかな?」
ざっ
「ここで何してんの?」
「…!?」
河田と側近__!
「何って、別に何もしてないけど…っ」
まずいな
『あのさ、私がここにいた事誰にも言わないでくれる?』
あの人がここにいる事もバレてしまう__
「そこに用ないならどいて」
「あ、あるある!用ある!大事な用が!その〜、本の整理とか片付けとか!なんかそんな感じの…!だから…悪いんだけど今回は譲ってくれませんかね…」
「というかお前その格好…くくっ」
「なんだよ」
「どうする?瑠奈ちゃん」
「…今回は譲ってあげる」
「ほんと!?ありがとう!」
「二度とくんなよ」
「は?」
「次にここで見かけたときは優里亜に伝えるからね」
「何でよ…居場所まであんたらに制限される必要ないじゃん、こっちだってタダで城下にいるんじゃないのに!本当あんたら何様__」
「それともう一つ、優里亜とは勝手に遊べばいい、私には近づかないで」
「はいはい喜んで、なんなん低い声でクール演じて厨二病かよ、ご苦労さん」
その時瑠奈が睨む
「…っ…」
「やめなよ馬鹿!優里亜ちゃんでさえ恐れてる方よ!あの方とは違って瑠奈ちゃんに冗談は一切通用しないの、言葉には気をつけて!」
「…さーせん…」
こっわ…なんなんあいつ
菊池ですらびびってるって、誰が菊池派のボスだよ
怒鳴るわけでも、暴力的なわけでもないのにもの恐ろしいな…
あんな冷めた目する奴初めてみた、苦手なタイプだ
言われた通り近づかないようにしなきゃ
【感想】
会話ばかりで目が滑りますが、テンポだけを見ればそれはいいと思います
ただ、この話の主題がどこにあるのか、を掴みかねます
これは「自分たちを捨てた父方家族への復讐代わりに踏ん張る少女の物語」ですか?
「閉鎖的で特殊な学園の中で少女が虐められるだけの物語」ですか?
それとも、「どんでん返しで虐めっ子たちを追い詰める物語」ですか?
また、主人公の少女もそうですが虐めに回る側の少女たちの内面、動作を示す描写が極端に少ないです
セリフ一つの間、何も棒立ちで微動だにしないわけないですよね
想像の余地を残さないセリフ回しなのに動作がないので、違和感が残りました
【アドバイス】
地の文(会話ではない文)を増やしましょう
いきなりは厳しいでしょうが、まずは一つのセリフに対して句点三つ(三文)書きましょう
また、虐め系統を主題にしている漫画を読みましょう
試し読みでも構いません
そうすれば「虐め」のパターンが増えると思います
書いているので分かっているでしょうが、虐め方なんてものはそんなに数がありません
虐める側の心情を反映して、在り来たりな虐め方から一つを選ぶのです
そして、結末をきちんと見据えましょう
伏線を掛けない状態で完結はさせられません
詳しくありがとうございます!色々な漫画読んだりこのアドバイスなど見て参考にします!
49:まりん:2020/01/11(土) 14:16 ギィ…
あれ…
「なーんだ、まだ来てないんだ」
ずんっ
バッ
「やっほ!来てくれたんだね!おはよ!」
「おはよ…」
なんかもうあんたの存在が癒しだわ…
「あ、これブレザーありがと!畳んで来たからシワになってたらごめん…!」
「別にスーツじゃないんだし気にすんなって、昨日それで派手に転んでるしね、それより今日はまた何か…凄い格好で…雨降ってんの?」
「身を守る為だよ、もう脱ぐけど、あんたはえらい可愛い服着てるじゃん、フード」
「でしょ!?私もあいつらと戦うための気合の証だよ!この熊でガオッて!」
「……てことは昨日と気持ちは変わってないってこと?」
「な〜んも変わってない、あんたが来てくれて嬉しかったもん」
「…でも、うちと一緒にいたら絶対あんたも被害にあうよ」
「覚悟してる」
「それこそアンタだって友達離れるかもしれないんだよ?」
「んな奴は最初から友達じゃないよ」
「あと一条派にはいじめをなんとも思ってないくだらんタレントがいるけど高等部以外にもファンが多いから気をつけな、危ないよ?ってあれ?菊池派にも芸能人いたような…ま、どーでもいいけど、城下のタレントは誰も信用できないからね、それでもいいならうちは大歓迎だけど…」
「え、うん…!アンタが大丈夫なら私はなんも問題ない!アンタと一緒に戦うって決めたから!あ、そういえばあんた名前は?私ら昨日からあんたあんたってさ」
「そうそう自己紹介まだだもんね!うちはゆら!」
「へぇ!」
「「………」」
え…何この間…
「あの…あんたは…?」
「えっと…い…犬…いや…猫…(城下のタレントは誰も信用できないからね。ってどうしよう私…!!)……」
「名前は…?」
「…ゆ、雪…かな…」
「雪ちゃんか!両親はやっぱ雪とか冬が好きな感じで?」
「う、うん」
「そりゃ納得の名前だね!雪ちゃんも冬とか雪降ったら一緒に遊ぶの?」
「た、たまに」
「へぇ〜っ!いや実は亡くなったおじいちゃんが雪とか冬が好きな人でさ!なんか親近感湧くわぁ、多分おじいちゃんがうちを図書館に導いてくれたんだ!ありがとう〜!」
「(うう…私のバカ…!おじいさまごめんなさい…悪気はこれっぽっちもございません、雪の知識もございませんが…)」
「ちょっと花梨はどこ!?」
「もう移動したんだよ」
「くっそ…どこに…」
「あ!瑠奈ちゃん!」
「ねえ瑠奈たち花梨見た?」
「え…見てない」
「また逃したか…そういやもうデブスは来てんの?」
「あ、デブスならさっき見たけど」
「は?どこで?」
「図書館!中で用があるって言ってたからおそらく今も中だと思う!」
「ちょっと」
「えっ」
「図書館…?なんでデブスが菊池派の元溜まり場にいんの?立ち入り禁止ってことにしてんでしょ、まぁいい機会か、デブスに菊池派の怖さを叩き込んでやる……あっ、駒井がさっき花梨見たんだって!あんたらも探しといてーっ」
「じゃあね」
「あの…瑠奈ちゃん、自分優里亜ちゃんにデブスの居場所を伝えたのはまずかった?」
「私は次にあの場所で見かけたらって言ったでしょ」
「あ…そうだった、これは少しデブスに悪いことしちゃった」
「__そんで一条のゲームにまんまと乗っちゃって菊池派の2人に泥水をバシャアっと…あの瞬間は本当頭真っ白になった…元はと言えば一条の計画だから菊池も河田も大して悪くないんだけどね?泥水かけたのうちだし、ま、昨日倍返しされたからお互い様だ」
「だからって1人を相手に大勢で攻めていい理由にはならないよ」
「そりゃごもっとも」
「その時一条派の秋元伶奈って人は?」
「えー…そういやあの日も昨日も見てないな、仕事じゃない?最近人気だし、凄いよねぇ、人気タレントが学園ではいじめグループにいるんだよ、裏の顔隠してきゃあきゃあ言われてさ、羨ましっ」
「…あのさ、私あんたに言わな__」
「ちょっと待って!声が聞こえる!」
「え…」
「誰かこっち向かってる!」
ハッ
河田だ…!
「ここに入る前河田と側近に出くわして!あいつら菊池にバラしたんだわ!」
バンッッッ
「本当にここにいんの?」
「優里亜ちゃんが言うんだから間違いない!」
やっぱり…!
「ちょっとデブス!ここにいんのはわかってんだよ!デブス以外の生徒は返事をするか速やかにここから消えて!」
「デブスって何?」
「うちのこと」
「デブスって…あんたのことだったのか」
「そうだけど、どした?」
「慎重に行けよ、一条派の噂では色々ヤバい奴だって聞くからね」
「そうなの?」
「…何回か一条が同じ学年に面白い生徒がいるって話してたのを覚えてる、あんたのことだったんだ…」
「……」
どう言う意味…
「ゆら、私が後悔してるのは中2の時あの子を助けてやれなかったこと、私、仲間になっても仕事で来れない日もあって側にいてやれない事の方が多いと思うし力になれるかどうかも正直わかんない…でも、私はゆらの味方だからね」
「いた!二階にいた!」
「雪ちゃん!ここじゃ狭いからとりあえず外に出よ!うちがなんとかするから先に降りて!」
「いや私が気を引くからその間にここ出て、私はまだバレてない、外に出たら私を呼んで!」
「1人で大丈夫なん!?」
「私に任せて!」
「…わ、わかった、気をつけてね!」
「あいつ降りてここを出る気だ!先回りして逃さないで!」
「ねぇ。」
「…え……」
「あ…お久しぶりです…」
「雪ちゃーーーーーん!出たよー!」
「ゆき?」
「私の新しい名前だよ❤てへっ、じゃ!」
「いや、ややや、ちょ、ちょっと!!」
「くそ!優里亜ちゃん!デブス外だよ!建物から逃げた!」
「聞いた?今の!」
「近くにデブスが潜んでるな」
「雪ちゃんやるじゃーん!」
「でしょっ」
「優里亜ちゃん早速ターゲット発見!」
「驚かせてやるか」
「この辺に菊池いるみたい!走ろっ」
「うん!」
「え………優里亜ちゃんあれは…」
「デブスなんかと何してんの…花梨」
はぁはぁ
「ここまできたら大丈夫でしょ」
「だね…っ、久々に走ったー」
「そう言えば雪ちゃんさっきなんか言いかけてたよね、なんだった?」
「え?」
「ほら、さっき菊池派の手下が来る前に____」
「あ…ああ、えっと…」
「どうした?何でもいいな?うちらその…味方だしさ」
「…だよね、隠してたっていつかはバレるしね、私さっきゆらに嘘ついちゃった」
「嘘?何を…」
味方のふりしてるとかじゃないよね
「私、雪とか言ったけど本当は__」
ザッ
瑠奈って人また出た!
ちょっとトラウマだわ
「……」
雪ちゃんもびびってる!
「ちょっ…あんたなんなん!近づくなって言ったのそっちでしょ!やる気!?」
ギロッ
ひいぃっ
「でも…菊池にうちの居場所バラしたのはあんたでしょ、今回は譲ってやるって言ったじゃん!嘘つき!」
「それはごめん、私のミス、つい優里亜ちゃんに言っちゃった、瑠奈ちゃんは悪くない」
「すいません…」
「久しぶりだね、花梨」
花梨…?
花梨って何…
「優里亜ちゃん!デブス見つけた!」
やばい
「雪ちゃん見つかっちゃった!あいつ相手にしてたら面倒だよ!早く逃げよ!…雪ちゃん?」
「優里亜ちゃんこっち!あ!瑠奈ちゃんもいる!」
「か、花梨ちゃんも…」
!!
ちょ、ちょっと菊池らまで来ちゃったじゃん!雪ちゃん置いていくわけにはいかないし
どうしよ
「おいデブス、ブサイクなツラでオロオロしてんじゃねーよ」
あいつ…!!
「花梨…久しぶりだね、やっと見つけた」
「あんたら花梨花梨って何のこと?この人は雪ちゃんだよ?」
「雪?」
「デブスは花梨ちゃんを雪って呼んでるみたい」
「へぇ、流石花梨、偽名使って正体は明かしてないのね、信用してねえ証拠じゃん」
「んなんじゃねぇし…」
「は…偽名って何が、何の話なんだよ!」
「犬塚忠頼と由木奈美恵の二世タレント、犬塚花梨、ここまで言って分かんないわけないよね?」
犬塚…
犬塚花梨て言ったら__
「菊池派の正式メンバーよ」
「ちげぇわ、バカ…」
「雪____…あんた騙したの?」
「違う」
「仲良くなったふりして本当は馬鹿にする為に__」
「そんなんじゃないわ」
「……」
「ねぇ花梨、お前この豚が何者か知ってる?こいつは私の新しいターゲット____」
優里亜が花梨の肩に手を置こうとすると花梨がパシッと払いのけた
「……っ」
「一年経って少しは反省してると思ったのにあの時のままかよ…いつまでんなくだらない事やってんの?優里亜……」
「何言ってんの花梨…何だかんだ言いつつ今まで一緒だったでしょ、あんただって菊池派の人間には変わりねぇんだよ」
「私はあんたとは違う!そっち側の人間じゃねぇんだよ!一条にしてもあんたにしても…立場的に弱いものを束になって退学に追いやることしかできねぇお前らと一緒にすんな!お前らを慕う奴らとは違って同調しない生徒を追い出す理由はいつかそれが敵対勢力になった時自分たちの立場を脅かす存在になるのが怖いからでしょ、これまで散々威張り散らかしてきたお前らを良く思わない生徒がいても不思議じゃないのに、お前らに立ち向かおうとした勇敢な生徒はみんな不利なゲームのターゲットにされて消されてきた、お前らがやってる事は自分を守る為に支持する生徒を盾にしてるだけじゃない!報復を恐れて逃げ回ってるお前らが一番弱ぇってことに気づけよ!」
あの菊池派が押されてる____!!
凄いじゃん犬塚…いや、花梨ちゃん!
うちもあの日こいつらに同じこと言ってやったんだ!
『自分に逆らう生徒を追い出すことで自分自身が相手から逃げてることにいい加減気づけよ!』
やっぱりあんたとは気が合うな!
菊池派に恐れず自分の意見をズバッと言える…
花梨ちゃんかっこいいわ!
「本当に!花梨ちゃんの言う通りだ!前にも言ったけどびびって逃げてんのはあんたらなんだ!この腰抜けどもが!」
ゴオオオオォ
優里亜たちが睨みつける
え……?なんかうちには反応が…
「えっと…あの…」
「……花梨、まだ許せないの?中等部の時あの女がここを辞めたと知ってから一度も私たちの前に姿を見せなくなったでしょ」
「はぁ…?まだあの女の事好きなの?でもお前…」
花梨ちゃん全部言ってやればいいんだ!
「…別にそういう事じゃないんだよ、私が言いたいのは高等部に上がってまでこんなガキくさいいじめはやめろって事だよ、ゆらを見てよ、たった1人で大勢を相手に戦ってる…相手は1人なんだよ、なのにゆらは自分の事肉厚メンタルとか言って強がってた…」
「それは言わないで恥ずかしいから!」
「ごっごめん!でも…本当はか弱い女の子なんだよ!わたしにはわかるの!私には!」
「で、肉厚メンタルって?」
拾うなって!!
あいつ絶対わざと!
「肉厚メンタルが気になる」
「しつこい瑠奈!それにはもう触れんな!」
「お前らが相手にしてるのは普通の女の子なんだよ!ゆらだって私やお前らには見せねえけど影では泣いてんだよ!」
……。
「普通の女の子ねぇ…」
「何よ」
「私が守ってやらないと誰が城下でゆらをまもってやんの!瑠奈なんか本当はいじめなんか興味ないんでしょ?」
「私は直接関わってない」
「だったら瑠奈だけでもゆらのこと見直してやってよ!可愛い女の子だよ!」
「……」
ゆらと瑠奈は見つめ合う
「…なんかムカつく……」
「わかる、わかるよ瑠奈……ちょっとデブス!瑠奈は短気なの!怒らせんじゃねーよ!」
「いや何かした!?」
「おめぇの髪が一瞬ふわっとなった事にイラついたんだよ!」
「知らねーよ!風に言えや風に!」
「デブス菌が風に乗って学園中に広まったらどぉ責任取るんですかぁ?」
「世界中に広まる前にあんたの財力で薬の開発に手を貸してやればいいんだよ!」
「なんなんだよこいつ腹立つわぁ…!いちいち言い返してきやがる」
「優里亜ちゃん…恐らくデブスに口では勝てないと思う…」
「キィィィ!」
「猿かよ」
「あぁ!?なんだ豚が!」
「キーキーうるさいんだわ猿!」
「ふざけんなよ、私を誰だと思ってんの!豚がブーブーライオン様に盾突きやがって!」
「豚も猿も黙れ」
……。
「わたしは猿じゃない!」
「…ねぇ優里亜、お前とゆらならきっとうまくやれるはず、もうくだらないゲームなんてやめなよ、ゆらは今までターゲットになった生徒とは明らかに違う、それはお前らも感じてんじゃないの?優里亜が認めれば解決なんだよ、そしたら私も過去のことは割り切ってお前への態度も改める、でもここで引きさがらねぇなら私は二度とお前を許さない、親友、これが最後よ、どうする?」
「…優里亜ちゃん、自分は反対かな、だってもしそんなことしたら莉愛羅ちゃんがどう出るか……それにここでデブスとの関係を修復するということは菊池派がデブスに負けたって誤解されない?生徒だって見てるんだよ、変な噂でも流されたら……ターゲットにしたばかりなんだよ?そうなれば莉愛羅ちゃんが言ってた生徒達の反乱も本当に起こるかもしれないよ、それどころか菊池派が消滅したら何が残る?莉愛羅ちゃんが支配する学園だよ」
「無理だ、ごめん花梨、それは出来ないわ」
「……なんでよ、もう十分でしょ、こんだけ長い間女王様やって来たじゃん…あんたがどんな決断下しても今はもう誰も逆らえない権力手に入れたでしょ、親友よりも自分の地位がそんなに大事なの!?」
「………ねぇデブス、そんな簡単に引き下がれない、あんたもそうでしょ?だからあの日ここに残って戦う事を選んだんだよね?私もそう、プライドが許さないんだわ、また、三流生徒になめられるくらいなら」
「…っ!」
「花梨、あんたなんかいらねぇよ」
「………そう、だったら私もあんたみてぇな恥ずかしい友達いらねぇしもう二度と菊池派には戻らない」
「最初からそのつもりでしょ」
「………」
「一条も言ってたな…デブスには生ぬるいゲームじゃ物足りないようだわ、あんたら、デブスと花梨に菊池派の敵になるとどうなるか思い知らせてやって」
はっ…?
「なんで花梨ちゃんもなの!?うちだけにしてよ!花梨ちゃんはあんたの友達なんでしょ!?」
「花梨?なんだそれ、菊池派以外には容赦しないよ?さあ行って!!!」
くっそ!いちいち手下使って来やがる…!
「1人じゃ何も出来ねぇくせに、優里亜」
「……本当にこれで良かったの?優里亜」
「……だってしょうがないじゃん、ターゲットにした日あんなに盛り上げちゃったんだよ?生徒の前でデブスと仲直り〜なんて出来るわけないって……それとさっき花梨には手ぇ出すなって手下に言っといた」
「それと一番厄介なのは莉愛羅ちゃんなんだよね〜、今日も菊池派を軽く敵視した発言があったし…」
「とりあえずもう一回花梨と話してみるわ、ちゃんと説明すればあいつはぜってぇ分かってくれる」
「それはどうだろうね、あまり期待しないほうがいいと思う、花梨は昔から義侠心の強いやつだからね、デブスがターゲットである限り私達は花梨の敵だと思う」
「自分もそう思う、花梨ちゃんから許しを得るにはまずデブスをターゲットから外してその後ターゲットを作らないっていうのが条件に入ると思うな…」
「………私は元々デブスをターゲットにするつもりなんかなかったもん」
「確かに優里亜ちゃんは花梨ちゃんを怒らせてからターゲットよりもスマホゲームとかそういうのに趣味が移行してたもんねぇ」
「今ならまだ間に合うかもね」
【優里亜が認めれば解決なんだよ、そしたら私も過去の事は割り切ってお前への態度も改める】
『まーた1人でこんな所にいるっ、あのさ優里亜?皆本当は優里亜の事が羨ましいだけなんだよ、優里亜って絶対先生に怒られないしすっごい特別でしょ〜、でもさパパは仲間はずれとか悪口言うのは恥ずかしい人がする事だって言ってたよ、私もそう思う、だから優里亜のパパ達の事笑ったり嫌な事言ったりする人は恥ずかしいんだよ、私は優里亜の味方だからね!私は絶対優里亜と一緒にいるから大丈夫!元気出して!』
『親友よりも自分の地位がそんなに大事なの!?』
『何であの子が32人目のターゲットになってんの!?やめてやってよ!』
『出た出た正義の花梨ちゃん、優里亜聞くことないよ、そんなことしたら示しつかないよ?』
『ねぇ優里亜!今回は私に免じて許してやってよ!頼むから優里亜!』
「……そりゃ怒るわな、アイツが嫌うことばっかしてる、花梨は私が一番辛い時期に支えてくれた唯一の恩人なのに…本当はあの時にアイツの気持ちに答えてやるべきだったんだろうな……花梨は失いたくない…………あーーーーーったく、デブスの奴よりによって私の親友を味方につけやがって!やりにくくてしゃーないわ!」
「だね…」
「いい?これは私の負けじゃないからね!前代未聞の訳ありドローよ!」
「は?」
「は?じゃないから瑠奈!菊池派のボス様が今、一大決心したの!」
「……」
「はぁーーーーーっ、たく、アイツらどこまで行ったの!?ってちょっと何してんの!早く来てよ!」
「…あの、どうすんの?」
「デブスのターゲットを取り消す」
「____わかった…って優里亜ちゃん今手下から連絡きて高等部の校舎前で、その…助けて欲しいって」
「はぁ!?5対2だよ!?それに花梨には手出しすんなって言ってんだから相手はデブス一人じゃん、何手こずってんだよ」
「こんな調子だとどの道デブスには勝てないかもね」
「確かに…」
「花梨ちゃああああん!」
「どうやら花梨ちゃんもばれてるみたいだね」
「あ!瑠奈ちゃーん優里亜ちゃーーーん!」
「ねぇ優里亜ちゃんのあのトップス今月の雑誌で花梨ちゃんが着てた物じゃない!?」
「あーっ絶対そーだ!やっぱり優里亜ちゃんって友達思いで素敵〜!」
「あ!優里亜ちゃん来てくれたんだね…」
「え?そいつどした?何されたの」
「一度は追い詰めたの、それで一斉にデブスに殴り掛かろうとしたらデブスがつば吹っかけてきて終わったのはこいつだった……で、今まさに私たちにもそれを…っ!」
「ダメだよ瑠奈ちゃん!死にに行くようなもんよ!」
「……。」
「そんで次は誰?そいつの二の舞になりたくなかったら、大人しく教室戻ったほうがいいんじゃない?すでに気づいてるかもしれないけど…猛毒だよ…おるぁっ!」
「優里亜ちゃん助けてえええ!」
「おらおらおら!」
その時一人が転んだ
「あっ!愛美ーーー!」
「よしなって!もう愛美は助からない」
「何を見せられてんの?」
「瑠奈ちゃんダメ!デブスの目がこっち向いたらどうなるの!」
「や、やめて…お願いします見逃してぇっ」
「神様にでも祈りな…」
「ねぇ花梨、あれどっちがいじめっ子に見える…?」
「…。」
「優里亜ちゃんごめん!私たちもう限界!戻るね…っ!」
「あの…デブス、話があんだけど」
「うわこっち見たつばかけババア!」
「…あと花梨にも」
「何?」
「あんたらにも話がある」
「私も今日知った、花梨は今デブスの味方で、このまま菊池派を脱退しようとしてる」
「え、花梨ちゃんがデブスの味方?」
「なんで…」
「あんたらも知ってるように花梨は私の大事な親友よ、花梨とはこれ以上争いたくない、そこで一つ菊池派で決定したことがあるの、これは花梨を取り戻すため!今日をもって33人目のターゲットデブスを____!!」
優里亜がふと莉愛羅達の方を見ると莉愛羅達は睨むように見ていた
「優里亜ちゃーん、何ー?」
「…デブス……と、花梨を掛けて勝負することにしたの!!!」
「は!?」
「デブスそう言うことよ!もしお前が勝てば菊池派はデブスのターゲットを取り消すことにする、さっさと決着つけた方がお互いのためでしょ?ねっ?」
「ちょっと優里亜何するつもりなの!?」
「まだ決めてない!」
「は?」
「とにかく詳しい事はまた後日、次こそぶっ潰すから、逃げるなよ?デブス」
キーンコーンカーンコーン
「意気地なしってあんたの為にある言葉ね?優里亜」
「何するか考えなきゃ…」
勝負?終わらせる…?
何仕掛けてくるのか分からないけどその勝負でさっさと決着つけてこの状況が変わるならそれはそれでいいかもしれない
「………まりあ、優里亜達が何をするのかさり気なく聞き出してきて、どうせ莉愛羅には教えてくれないだろうから」
「はーい」
「まさかデブスが花梨ちゃんを味方にしていたなんて…いつの間に…っ、これじゃあ優里亜ちゃんもやりにくいよ…っ」
「そうね、本当…どこまでも気にくわないわ、あの醜い豚……」
「__優里亜…あいつ何するつもりなんだろ」
「まだ何も決めてないって言ってたし別に大した事じゃないと思うよ?」
「いやほんとゆら強すぎるって…私助けに入る隙間なかったもん、あってか授業受けなくていいの?」
「そりゃまぁ受けなきゃいけないけど三時限目に行くわ、どうせ体育だからこのまま行けるしせっかくだから「生花梨」ちゃんと話したいしさ」
「花梨でいいよ、私も勝手にゆらって呼んでるし、あとごめんね、雪とか嘘ついて、ゆらが菊池派を嫌ってるの知って言い出せなかったの、悪気なんか全然無いし優里亜が言ってた信頼してねぇとかそんなのまじで無いから!」
「わかってるよ、河田が来る前本当はあの時に明かそうとしてくれたんでしょ?気にしないでいいよ、意識してなかったけどたまにテレビで花梨ちゃん見てたわ〜」
「ゆらは家であんまりテレビ見ない人?」
「いや家にテレビ一台しかないからチャンネルの主導権はお母さんでねぇ…ドラマとか歌番組とか興味ないみたいでさ、クイズ番組とかお笑いとか主にバラエティかな、だからバラエティに出てる花梨ちゃんは何回か見てる」
「なるほどね〜」
「でもこれからはなるべくチェックするわ!頑張って!」
「ありがとう!」
その頃
コンコン
「伶奈入るわよ」
「…何よ」
「なんなのせっかくいい話を持ってきてあげたのに」
「さっさと言って出てってくれない?次の授業は受けるつもりなの」
「ふふん、花梨今学園にいるわよ、デブスの味方としてね」
「え__……」
続きを待ってますよー!!
70:まりん:2020/03/04(水) 20:19 遅くなり大変申し訳ございません
書き始めます
その頃外では
「あのさ、花梨が菊池派のメンバーってわかった上で聞きたいんだけど、菊池派の事はどうすんの?菊池は花梨に戻ってきて欲しいみたいだけど…」
「私はゆらといるよ、図書館でゆらの話聞いた時からそう決めてた」
「…それはめっちゃうれしいけど、親友は菊池派、で、伶奈って子は一条派で花梨の大事な人どっちもうちの敵なんだよ?本当に戦える?」
「…私は菊池派の良いところも優里亜の良いところも知ってる、でも今の優里亜は絶対間違ってる、もし伶奈が一条のやり方を正しいと思ってんならあいつらに付くだけ、私は優里亜達を正してやりたいしあいつらのやり方を支持する生徒にも目覚めてもらいたい、だからゆらについていきたいだけ、実はマジで迷惑だったり…?」
「んなわけないじゃん」
あの図書館でどれだけ励まされたか
うちだって1人より本当は誰かと一緒の方が心強い