プロローグ
良家の子息子女が集まる名門私立・城下宗麟学園で6年間いじめを受けてきた貧乏主人公デブス(真美)は遂に学園を牛耳る2つの勢力を相手に強いメンタルで立ち向かう
敵とのゲームから生き残り真美は無事学園を卒業出来るのか?
第2話「あの日の約束」
真美の家にて
「ねぇお姉ちゃーん、俺本当にそろそろスマホ欲しいんだけど……もー中2だよ?周りで持ってないやつ居ないんだけど……」
「太陽あんたそれお父さんに言っちゃダメだよ、お父さんも持ってないのになんであんたが持つんだよ、これ以上悩み増やしてまた倒れたらどーすんの」
「んもーっ、なんで俺らこんな貧乏なんだよ、金もないのにお姉ちゃんが城宗なんか通ってるから余計苦しいんだよ」
「そりゃ私だってバイトしてちょっとでも家計の足しにしたいけどさ、城宗は面目を保つ為かなんか知らないけどバイト禁止なの」
「でも城宗って芸能人いるじゃん、それも仕事じゃん」
「私に言われても知らないわ、ごちゃごちゃ言うんだったらお母さんの所戻れば?お母さんならスマホでもパソコンでも何でも買ってくれるでしょ」
「……それは嫌ですぅー、なんで俺が父さんのところ戻ってきたか知ってるだろ、母さんと暮らしてても俺より新しい旦那ばっか優先してたんだよ」
「……自分が腹痛めて産んだ娘捨ててまで他人の男選ぶような人なんだから当たり前でしょ」
「お姉ちゃん、まだ母さんのこと恨んでんだなぁ」
「……そりゃね、それ覚悟でしょ、あんたはお父さんの泣いてる所も見てないじゃん、多分一生許さないよ」
「一生か」
「ま、お父さんが幸せになってくれたら許せるかも、かもだよ」
ガチャガチャ
「あ、父さん帰ってきた」
「さっきのスマホの話黙っときな?」
「あいあい」
「おかえり」
「おうただいま、あーしんど……」
「父さん汗臭っ!」
「今日は一日中動きっぱなしだ」
「お疲れさん」
「だから太陽もこんな仕事したくなかったらちゃんと勉強していい会社に入らなきゃいけないって言ってんだよ」
「説得力あるわぁ……」
「だろ?」
「はい……」
お父さんだいぶ痩せたな
顔もやつれた
1日中外で働いて日焼けして会社ではあんまり人間関係もうまく行ってないらしい
それでも私と太陽をたった1人で育ててくれてる
誰がなんと言おうと私らにとっては立派なお父さんだよ
あの日の約束____
『……私は……お父さんと一緒に居たい、お母さんはたまに会ってたけどお父さんはずっと一緒だったもん、髪の毛結んでくれるのも毎日ご飯作ってくれるのも運動会来てくれるのもお父さんだけじゃん……私お父さんと離れるほうが嫌!お父さんの事こんなに泣かせて絶対お母さんもおじいちゃんも許さない!!』
『……真美、いいか、お前は城宗に通え、あんな所誰でも入れる学園じゃないしお父さんと一緒に居てもこんなチャンスはもう絶対無い、辛くても頑張って大学卒業して立派な会社で働くんだ、それで見返してやれ、お前を捨てたお母さんを!大人になって幸せな姿見せつけてやれ!真美が幸せになってくれたらそれで良い……もう……本当に……それだけだ……』
『分かった、もう泣かないで良いって……私とお父さんの約束ね』
あれから6年
あの約束のためだけにあの学園に通ってる
「あ、そうだ真美、高校生になって学校どう?」
「めっちゃ楽しいよ!もう新しい友達もできたしね!早いでしょ〜」
「城宗いいな〜、お姉ちゃんだけずるいわ」
まさか学園でのけものにされて友達もいないなんて絶対言えない
「そうか、ならよかった、金持ちの学校に金のないもんが通ってたらいじめとか浮いたりするだろうからな、やっぱみんな育ちがいいんだな、さすがしっかりした名門校は違うな、心配だったけどお前は明るいし優しいから周りから自然と人が寄ってくるよな、安心した」
「大丈夫大丈夫、なーんも心配しないで良いよ、あと10分くらいでカレー出来るよ」
「なら今のうちに風呂入ってくるか」
「太陽机の上片付けて」
「へーへー」
ごめんね
そうやってお父さんが安心してくれるんだったら
私はいくらでもこんな嘘つくよ
次の日
「うわっ!デブス!」
「早速見ちゃった最悪だわ〜……」
その言葉を聞き真美は
「ごきげんよう」
ばかにしているようにそう言う
「うっぜえぇ!!!」
あぁ、毎朝この大階段きついわ……
そんなことを思っていると後ろから登校した子たちに
「それにしてもみるみる太ったよなぁ!」
「ここに初めて来た時のデブスの姿もう思い出せねーもん!」
「で〜ぶ、で〜ぶ、で〜ぶす〜!」
鏡見て言えや
まぁ……でもそうだな
確かに太ったわ、それは否めない
元々真美達家族3人は社宅で暮らしていた
城宗でのいじめがどんどんエスカレートして行って
それを誰にも打ち明けられないストレスは食べる事で解消してたけど
去年____
『あのなぁ……お前らに話さなきゃいけない事があるんだ……最近会社が上手いこといってないみたいでな……社宅出ないと行けないんだ』
『え!?』
『一応新しいアパートは今の学校に歩いて通えるところだ、ここより狭いし古いけどそんなこと言ってられない、そんで……給料も前より減るから……その……ちょっと食べるものとかも節約しないとな……』
『た……確かに、分かった、控える』
『ごめんなぁ苦労かけて』
『いやいや』
あのドカ食いはまずかったよな
あれさえ無かったら【デブス】のブスはあってもデブは付いてなかったかも
次の日下駄箱にて
「おい知ってるか?あの1年靴箱に靴入れないで何でもあのカバンに入れてるらしいぜ、ああやってスリッパもわざわざ家に持ち帰ってんだってさ」
「はぁ?何で?」
「捨てられるからだよっ」
「ぎゃははははっ、靴箱鍵ついてんじゃん」
「莉愛羅さん相手に鍵なんか意味ねぇよ」
「うけるわぁ」
何がおもろいんすか、先輩方……
スリッパはともかく靴なんか何回も買う余裕無いんだ
そう思いながら教室の自分の席に行くと周りの子達がニヤニヤしているのに気づく
……?
不思議に思いながら自分の席の椅子を見ると
……針椅子な
祝20回目だ
暇すぎだろ……てか全部上向いてるわ
そう思いながらカバンを机の上に置くと誰かにばっとカバンを取られ
「よし!ゲット!!!」
「ちょっ……何してんの返して!」
「莉愛羅さん成功です!どうぞ!」
「やだあ!そんな汚いもの莉愛羅に近づけないでよ!病気になっちゃう!まりえに渡して!」
真美は莉愛羅達を睨みながら
「……菊池どういうつもりよ、怪我する前に大人しく返した方がいいよ」
「ふふん!ねぇデブス、莉愛羅とゲームしない?」
「は?」
「ルールは簡単!ここに泥水が入ったバケツを用意させたわ、制限時間内にあんたが莉愛羅に一度でもその泥水をかけることが出来ればバッグはすぐに返してあげるし二度と私物に手を出さない、どう?簡単でしょ?」
「……授業は?」
「授業?そんなもの莉愛羅が言えば何とでもなるわよ、制限時間は10分、ただ逃げるだけじゃつまらないから莉愛羅はこの水鉄砲でデブスを倒すわ!」
「莉愛羅ちゃん頑張って!」
「……何企んでんのよ」
「一々疑わないで、やるの?やらないの?」
絶対何かの罠だ……
まんまと乗ったら多分後悔するのは自分
真美が黙っていると莉愛羅が
「……本当つまんないわね、現実を受け入れなさいよ、あんたの場合たとえその醜い姿が奇跡的に良くなったとしても貧家である限り現状は変わらないのよ?今更何をしても嫌われ者じゃない、ここの生徒はあんた以外みんなお利口よ?莉愛羅を敵に回すと生きづらくなる事を知ってるもの、まりえ」
「はーいっ、じゃあまずはこの汚らしいペンケースから〜!」
そう言ってまりえは窓から真美のペンケースを投げ出す
「おおーーーっ」
「次は汚い財布〜!」
「あほ!何してんの!」
「ふふん!あんたが親に買ってもらったものを大事にしている事は知ってるわ、だけど大丈夫よ、死に物狂いで働くパパにまた買って貰えばいいじゃな〜い」
周りで笑いが起こる
「ねぇみんなデブスのパパのお仕事知ってる?1年中汗水垂らして外働きの上、出世した年下にこき使われているそうよ、なのに人並みの稼ぎしか得られないんだから庶民って怖いわよねぇ〜」
「こわ〜い」
「ありえない〜」
「ここへの寄付金も最初のうちは別れた母親の親が支払っていたんですってぇ、だけどデブスのためなんかにお金を捨てるのがきっとばかばかしく感じたのね、支払いがあったのは初等部のうちだけよ、パパに情報を聞いた時驚いたわ……本当にデブスのパパと莉愛羅のパパは何もかも違うわね、まず価値が違うもの!ゴミの親も所詮ゴミでしか無いのよ」
「……ざけんなよさっきから!!!」
私が怒っても莉愛羅はまるでばかにしたようにこう言う
「や〜ん、誰か〜」
「莉愛羅さん俺が守ります!」
「俺も!」
「おい!待てデブス!」
「何だよちびが!!!」
「っ……、ルールはこれだろ!」
バケツを指差して男子生徒は言う
「は〜いじゃあゲームスタートするよー!制限時間は10分で〜す!デブスが勝てば二度と私物には手を出しませ〜ん」
まりえがそういうと真美は
「それ絶対守れよ!!!」
そう言われてもまりえは首を傾げてばかにしたような顔で真美を見る
そしてゲームが始まる
くっそ、あの女ペラペラ言いたい放題言いやがって、絶対許さん!
どこ行った!
探し回ってるだけで時間減るじゃん!
これが狙いか
しばらく走り回る
はーはー……
「どこだよ!私を倒すんでしょ!!隠れてないでさっさと出てこ____いいいぃ!!」
菊池に水鉄砲の泥水をぶっかけられた
「ねぇ駒井!今の見た!?莉愛羅の命中率!」
「もちろん!さすが莉愛羅さん!何をされても完璧です!」
「意外と楽しいわ!」
「莉愛羅さんが楽しそうで何よりです〜」
……
クリーニングなんか出す余裕ないのに……
ブチ切れたわ……
1回でもあいつに泥水ぶっ放したら私の勝ちなんだな
そう思い菊池が油断してる間に準備をするが駒井に気づかれ
「莉、莉愛羅さん逃げた方が!この距離だと届くかもしれません!」
「逃すかあぁ!」
菊池を追いかけようとした時後ろからまりえの声がする
「デブスこっちよ!」
「あ!?」
真美が振り向くとまりえやまりえの友達が私に水鉄砲を打ってきた
びちゃあっ
「忘れてない?私達は莉愛羅さんの味方よ」
「今のうちに逃げてください!」
「……あんたらまで相手するなんて聞いてないけど?」
「言ってないもん」
「私達菊池派が莉愛羅さんを守らないわけないでしょ、さあ残り4分!デブスを莉愛羅さんさんに近づかせないように!」
周りからおーっという声が上がる
「まとめて全員ぶっかけたらぁ!」
「ねぇデブス良いの?莉愛羅さんに使う分が無くなっちゃうけど?」
「……」
くそ……
だめだ、こいつら相手してたら
時間も泥水も勿体ない
菊池を探そう!
真美が走り出すとまりえは
「追いかけるよ!」
そう言いまりえ達は走りながら水鉄砲で真美に当て続ける
ふざけんなよ!
あんなハイテクなもん使いやがって!
何の訓練だよ!せめて水にしてくれ
ん……菊池の強烈な香水の匂いが……
近いな____
そう思い階段を見に行くと菊池が居た
「……っ!」
「そこに居たか菊池いぃー!」
ぱしゃああぁっ
「やああぁん!!」
「く……っ!莉愛羅さんに手出しさせねえ……!」
くそほど邪魔だわ
「雑魚はひっこんどけ!」
そして真美はまた菊池を追いかける
「莉愛羅さんあと1分逃げ切れば勝ちです!計画通りです!」
あと1分かよ!
あの時階段で全部ぶっかけたら良かったな……!
「……っ!嘘でしょ……っ、そんな……っ、行き止まりだなんて!!」
よし!今しかない!
「おらぁ!菊池!お前の負けだわ!!」
ぱしゃああぁっ
「ふふん!いいえ……負けはあんたよ、デブス!」
キーンコーンカーンコーン
「明日磨!楼七まで!大丈夫なの!?」
「う、うわーっ、デブスの奴……!クロ派の明日磨さんと楼七さんに……っ!」
「デブス遂にやっちゃったねー」
「今回はマジで終わったな」
この学園であの菊池以上の権力を持つグループのトップ
黒月明日磨と河田楼七____
「莉愛羅は悪くないの!莉愛羅を怒らないで!」
名前くらいしか知らない……
正式なメンバーこそは少ないけど
相当やばい奴らってのは城宗の人間なら誰でも知ってる
「ちょ、ちょっとデブス!楼七にまで汚い泥水を……っ、最低!」
「おい」
「だってぇ〜」
「だってぇ〜じゃねーだろが、いきなり何なんだよ、どーいうことか説明しろや」
「だから莉愛羅を怒らないでよ、明日磨、楼七、紹介するわ、この目の前の醜い豚が菊池派のターゲット、デブスよ」
「あー……例のか」
くそ……
この6年間目すら合わせないように気をつけて来たのに
「何度も何度も莉愛羅が明日磨におすすめしていたのに全然興味を持ってくれなかったデブスよ、菊池派のゲームに巻き込んでごめんなさいね、2人が汚れる事になったのは全部このデブスが悪いのよ」
「……!ちょっと待ってよ!そんなんずるい!あんたが言い出したゲームでしょ!何で私だけ____」
真美が言いかけていると明日磨がバケツをかぁーんと蹴り飛ばし
「でもさー、お前がやった事には変わりねえだろ」
「そっ、そうよ!2人に泥水をかけたのはデブスでしょ!莉愛羅のせいにしないでよ!ねっ!みんな!」
「そーよ!」
「あんたのせいでしょ!」
「……でも……これはハメられて……」
「あ?」
「は……ハメられたんです、私だって本当はこんな事したくなかったんですけど」
「みんなぁ!あのデブスが敬語を使ってるわよ!」
「やっぱり誰だって明日磨さんの前ではこうなりますよね!」
謝罪したくらいで事態が収まるわけ無いだろうけど謝らないよりはましかもしれない
実際泥水かけたのは私だしな
「あの……クロ派の皆さんには関係無いのにすみません、本当にわざとじゃ無かったので……」
6年間これだけは避けてきたのに
ここに来てターゲットか……
いじめの規模が変わる
「ふふん!敬語なんて使っちゃって無様ねぇデブス!明日磨達は知らないだろうけどこの豚、菊池派の中じゃかなりの有名人よ、今は明日磨を前に大人しくしているけど下層民の癖に生意気に反抗はするし下品でみーんなの嫌われ者なんだからっ、本当目障りで仕方ないの!ね?デブス」
莉愛羅がそういうと明日磨は
「んじゃ、退学」
そう言った
「はっ……」
「え……明日磨退学って?」
「俺様は楽しい事が好きだって知ってんだろ?初っ端から謝るような弱い奴ターゲットにしても張り合いなくてつまんねぇわ、目障りなら菊池派で消せば〜?」
「え〜結局そうなるの!?」
待ってよ、何でいきなり退学なんだよ
今までと違うじゃん!
その時先生が来て
「おい君たち!!とっくに鐘が鳴っただろう!早く教室に____」
先生は明日磨達を見ると
「んんっ」
そう言って去って行った
城宗では先生なんか居ても居ないようなもの
「クロ派のターゲットにしてよぉ、すぐに退学じゃ莉愛羅達もつまんないじゃない」
「興味ねーわ」
「んもーっ」
莉愛羅達が話してる中周りの生徒たちは
「まさかのターゲットにもされないとわな」
「初めてだよねぇ」
「でも明日磨様が言うんだから仕方ないよ」
「だよね」
だよねじゃないって!
「はぁ……ざんね〜ん、おすすめだったのになぁ……」
「でもそれなりに楽しめましたよね!」
「そうねぇ」
「確か小4からだから6年かぁ、まぁ持った方だよな」
「だな」
待て待て待て!なにこの空気!
本当にこのまま学園から追い出す気かよ!
「シャワー浴びてーし戻んぞ?」
「はぁ……仕方ないわね……」
「ちょ、ちょっと待って!待ってよ……私、あの……」
正直に家の事情話して理解してもらう?
価値観の違うこいつらの前で?
言うだけ無駄でしょ……
分かり合えるはず無いんだから
「ふふん!退学だって聞けばデブスのパパどんな反応するんでしょうねぇ、だけど今より家計はラクになるだろうし案外喜ぶかもしれないわよ?」
『心配だったけどお前は明るいし優しいから周りから自然と人が寄ってくるよな、安心したわ』
辞められない
「……退学だけは勘弁してほしい……あんたらには一生理解出来ないだろうけど辞められない理由があるの、寄付金が払えるかどうかお父さんにも聞いてみる!言っとくけど私がいない学園は面白く無いよ!」
「自分で言うかよ」
「必死すぎ〜」
莉愛羅は
「そうね、確かにデブスの居ない学園は退屈かもしれないわ、あんたよりもメンタルの強い生徒も中々居ないでしょうし」
「そうだよ!私だから6年も____」
「でもね、莉愛羅分かったの、この6年間あんたが莉愛羅に屈した事は無かったわ……莉愛羅はね、それが一番つまんないのよ」
「は……?」
「あんたは味方も居ないくせにいつも平気な顔で余裕を見せつけて莉愛羅に逆らうばかりで従おうとしない、自分は他の生徒と違って追い出される事が無いと勘違いしていたんじゃ無い?そもそも庶民が無理をして入るような学園じゃ無いのよ、城宗は将来美しい白鳥になるヒナだけが通う事を許された学園よ、紛い物の醜いアヒル……いいえ、醜い豚は立ち入る事すら許されないの、明日磨達と一緒に遊びたくてこんなくだらないゲームまでしたけどクロ派がターゲットにしないって言うのなら尚更もうあんたに用はないわ、丁度飽きてきた所よ、真美、あんたを城下宗麟学園から追放するわ」
莉愛羅の言葉に周りは
「おー!遂にデブスが退学だ!」
そんな言葉を無視して真美は
「だ、だから待ってよ!簡単に辞められないの!家族に心配かけたくなくていじめられてる事も黙って来たしお父さんとの約束があってそれを果たすために____」
「あー、貧乏人のその手の話はここじゃ通じねえよ?んなもん聞いたとこで誰も共感出来ねえしな」
「共感なんか別に求めてない!ただもうちょっと他人の意見に耳を貸してもいいじゃん!なんであんたらはそうやって一方的に____」
あぁ、あの時と一緒だ
権力のあるものから居場所を奪われて潰される
次は私の番か____
「皆も6年間よく我慢したわね、莉愛羅にまで見放されたデブスとは今日でお別れよ、みんなで最後の思い出を作ってあげて」
莉愛羅がそういうと他の生徒達が一斉に殴りかかってくる
「おい!莉愛羅さんの話聞いただろ!さっきはよくもちびって言ってくれたな!」
「部外者はさっさと出てけ!」
「莉愛羅さんの仰る通り醜い豚が通う所じゃねえんだよ!ターゲットにもなれねえくずが!」
「おい誰か抑えてろ!」
「俺にもやらせろ!昨日親父にキレられてイライラしてんだよ!」
「ふざけんな……っ、お前らのくだらん憂さ晴らしなんかに付き合う気無いわ!」
「菌が喋んじゃねーよ!」
殴られ蹴られの真美を見て明日磨は
「ほら見ろよ、やりあう気にもなんねぇ、やっぱ女じゃダメだな____あ?これなんだ?」
明日磨の所に真美のバッグが転がって来た
「やだぁ、デブスのバッグよ、生徒が持って来たんだわ」
それを聞くと明日磨はカバンを蹴り飛ばし
「汚ねえ」
そう言った
その言葉に真美の中でぶち……と糸が切れた
……私だって好きでこんな所通ってるんじゃ無い
でもここで辞めたら今まで我慢して嘘を通して来た6年間が全部無駄になってしまう
「明日磨、俺は寮に戻るぞ、さっさと着替えたいからな」
「あっ待って楼七、莉愛羅も行く〜」
「ま、まてよ……」
真美がそう言うと
「よー、昨日はよくも缶を投げ返してくれたね?危うく大事なメガネに直撃する所だったじゃん」
そう言って女の子は パァンと真美をビンタする
「明日磨さんと莉愛羅さんに逆らう奴はこうなるんだよ、醜いそのつら二度と見せんな、くたばりやがれえええええぇ」
そう言ってバケツを真美に当てようとした時真美が並んでいるのを見て女の子はぞっとした
そして真美は女の子を遂に蹴り飛ばした
「どいつもこいつもなめくさりやがって……」
そう言って女の子のメガネを踏みつける
「こんの……っ!ゴミがいつまでも調子にのんな!!」
そう言われて真美はバケツを女の子に投げ返して
「まんま返したるわぁ!!!……黒月____っ!!」
真美が叫んで呼ぶとさすがの明日磨も振り返る
「……誰が弱いって?私は逃げない!!菊池が言った通り確かに私の味方なんか誰も居ないわ、ずっと1人で菊池派と戦って来たからね、私は仲間やら側近やら手下やらに守られて束にならなきゃなんも出来ないあんたらとは違う!!!自分に逆らう生徒を追い出す事で自分自身が相手から逃げてることにいい加減気付けよ!!」
「……逃げてる?俺様が?頭強く殴られたかな?……大体お前がやってることはターゲットにしてくれって頼んでるようなもんだぜ?威勢がいいのは今だけ、過去に何人もこの学園に残ろうと意地になるやつが居たけど残念……もう誰1人ここに残ってねえよ、丁度1年前にお前に似たような女をクロ派のターゲットにした事があった、無駄な正義感で自分の人生を無駄にした愚かな豚だった、長く楽しめると思ってたのにたった2ヶ月でやめちまった、お前も一緒、結局は負けを認めて散々後悔した後静かに消えてくんだよ」
「……私は違うって言ってるでしょ、いつまでも殿様でいれると思うな!さっきも言ったけど簡単に辞めたり出来ないの!ここに居たいのが本音だけどアホ丸出しの生徒と一緒になってあんたらに媚びるつもりは毛頭ないわ」
どのみち引き下がれば退学しかないんだ
「あんたの勢力と戦うわ、菊池のゲームで関係ないあんたらを巻き込んだのはごめん、でもそれを正当化して他人の人生ぶち壊す権利なんかあんたにも菊池にも無いじゃん、菊池、私はここに残るからね」
「はっ……だから言ったでしょ!あんたは退学だって!」
「格好つけて私に退学突きつけた所悪いけど辞めるか辞めないかは私が決めるわ、大体校則違反すらした事ないのになんで強制的に辞めさせられなきゃいけないの、あんたのくだらん見栄の為に私の6年間を無駄にするつもりは無いわ!」
真美のその言葉を聞き莉愛羅は明日磨に
「あ、明日磨……っ、これじゃあ莉愛羅が恥をかくだけだわっ、やっぱりこのまま退学にしましょうよ!ほ……ほら、またより君にこんな事バレたら今度こそ絶交よ?あんな豚相手する事ないわ、ねっ?」
周りは
「な〜んか最近ちょっと退屈なんだよなぁ」
「明日磨様もう1年もターゲット作ってないんだもん〜」
「明日磨さん!クロ派のやり方でまた俺たちを楽しませてください!」
「またクロ派のゲームが見たいっす!」
「クロ派!」
「クロ派!」
「クロ派!」
「クロ派!」
「明日磨気分良くなっちゃったわね、本当に単純なんだから」
「そこが明日磨さんの素敵な所なんです〜!時々お茶目な一面を見せてくれるそんなギャップにまりえはもう初等部の時からメロメロキュンキュン!略してメロキュン!」
「わかったわようるっさいわね!」
明日磨は
「こいつらの期待に背くわけにも行かねぇわな、俺様は1度お前に逃げ道を与えてやったからな、そうまでして悪あがきしてぇならさせてやんよ、ゲームとは勝負、ギブアップは退学を意味する、これはお前が売った喧嘩だ、逃げんなよ?ひさびさに城宗盛り上がろうぜ」
「おー!出たー33人目のターゲットー!」
「遂にデブスがクロ派のターゲットになったぞ!」
「1年ぶりのターゲットだ!」
「実は最近退屈してたんだよな」
「しかも今回はクロ派と菊池派のダブルターゲットじゃん」
「やっばテンションあがる〜!」
明日磨達が去って行く際明日磨はバケツを持ち上げ
ガポッ
と、真美の頭にバケツを被せた
「悪りぃな、手が滑った、ここのお片づけもよろしくね、デブス」
「明日磨に名前覚えてもらって良かったわね、散らかしたのはデブスよ、そんなに城宗にいたいならその辺の物ちゃんと処分して汚した所も全部綺麗にしておいて」
「莉愛羅さん何とか計画通りですね!」
「まあねぇ……デブスを明日磨のターゲットにする事は叶ったわけだし?」
「これから学園が盛り上がりますね〜!」
「ふふん!そうね」
明日磨や莉愛羅達が去って行くと真美はバケツを取り
……退学は免れたんだ
別に後悔する事無いじゃん
『俺様は1度お前に逃げ道を与えてやったからな』
あいつの言った通りこれは私が選んだ道
この先何されてもそれは自業自得だ
はぁ……悪い癖が出ちゃったな
問題大きくしたく無いから大体はスルーしてきたけど……
あんなの許せなかったんだもん
何やってもダメな時はお父さんに正直に話して過去のターゲットたち同様私も去ればいいじゃん
大丈夫、限界までやれるだけやってみよう
何で抵抗もしないで黙って言いなりにならなきゃいけないの、そんなん私らしく無いわ
今までだって1人でやってきたじゃん
ちょっと数が増えただけで大して状況は変わってない
大丈夫、私は強い
____ただ、何だろ……
この全身の震えは
やっぱり覚悟とは裏腹の恐怖心なんだろうか____
その頃明日磨や莉愛羅達は
「あー、シャワーだシャワー!さっさと着替えてぇ……ったく、鐘が鳴る前にあの場所に来いっつーから行けばこのザマですわ、せめて水にしろよな」
「全くだ」
「ごめん楼七……楼七にまでかかるとは思ってなかったの、楼七だけごめん……」
莉愛羅の言葉を聞いた明日磨は
「ありえねぇ……」
「だって明日磨……莉愛羅の意見聞かずにデブスをターゲットにしたじゃない」
「おめぇ、それ望んでたんじゃねーのかよ、めんどくせぇ女だな」
「……だけど莉愛羅が言ってた通りのやつでしょ、デブスは過去のターゲットなんかとは比べ物にならないわ」
「……確かに、今までの奴らとは目が違うな、あれは強がりとかそんなんじゃねぇわ、正直一瞬怯んじまったしな」
「えっ」
「はぁ!?もう今からそんなでどうするのよ!ほんっと明日磨って生徒の前で見栄張ってばっかり!」
「おめぇ言えんのかよ、さっきデブスに言われてたじゃねーか、あんたのくだらん見栄の為にうちの6年間はあげませんでとか」
「若干違いますね」
「やめてよ、思い出しただけでむかつくわ」
「まぁ見てろ、いざターゲットになれば怖じ気づくからよ、どいつもこいつも最初だけだからな」
「そうですねぇ、持って2ヶ月と言ったところでしょうか?3ヶ月持ち堪えた者はいませんからね」
「おうよ」
「……ねぇ明日磨、あまりデブスを甘く見ない方が良いと思うわ、初等部の時から菊池派で追い込んできたけど何をしても6年間音を上げずに1人で生き残ってる変わり者よ?今までは大人しくしていたけど過去のターゲットのように生ぬるくやっていたら何がきっかけで反撃してくるか分からないし下手をすれば莉愛羅達が敗れる可能性もあるから気を抜かないで」
「何者だよあの豚」
「おい」
「ん?なんだ楼七」
「いつも言ってるが俺を巻き込むなよ」
「はいはい分かってます〜、お前はクロ派にいてくれりゃそれで良いんだよ、菊池も楼七も心配すんな、今まで通り後悔、退場で終わり!反対派の集団ですら一瞬で潰したんだぜ?あんなデブス1人に何が出来んだよ」
「なら良いんだけど……」
その頃真美は
____てか……
本当にここまでしてお父さんとの約束守らなきゃいけないのかな
お父さんだってもう忘れてるかもしれない昔の約束の為に傷負わされてまで通ってるって知ったら
それでもお父さん喜ぶのかな……
いやいや、今更何考えてんの
私がそれ思っちゃったら自分で6年間無意味にしちゃうじゃん
こんなんじゃあいつらにナメられる
弱みを見せるな弱気になるな
あ、そういえばペンケース取り行かなきゃ
いやいや、今更何考えてんの
私がそれ思っちゃったら自分で6年間無意味にしちゃうじゃん
こんなんじゃあいつらになめられる
弱みを見せるな弱気になるな
あ、そういえばペンケース取り行かなきゃ
二回書いてしまいすみません
56:まなみ:2020/05/03(日) 11:22 それからしばらく掃除して
そろそろ授業終わる頃かな
流石にちょっと今は誰とも会いたくないしなぁ
生徒が出てくる前に逃げよ
「よしもうこんくらいでいいでしょ、てかこの水鉄砲全部処分すんの?もったいな……まぁ制服も洗わなきゃだし一旦帰って____ん?何だろうあれ」
もしかして漫画のみにあひ参考にしてます?
58:まなみ:2020/05/03(日) 14:33参考にしてます
59:匿名:2020/05/03(日) 14:58 すぐに作品名が分かってしまうような名前の付け方は、例えそのつもりがなくともパクリと捉えられても仕方ないので避けた方が賢明だと思います
特に同じいじめがテーマですから
少し変えてみるなりしてみては
というか文章そのままじゃ?
二次創作ならまだしも漫画の分まんま、しかも漫画の書き写しとも言わず自分の作品のように発表してるのはまずいよ
会話文の小説でたんぱくなのが気になります。
背景や註釈がなく読み手が憶測で、展開を読み図るのはどうかと感じました。
>>61
そりゃ漫画の文書き写しで、絵がある前提の文だから