このまえの出来事を書きます。
登場人物
私:高校2年の女子
今回のウイルスで、通っている高校が休校になったため、私はしばらく家に閉じこっていました。
しかし、さすがにずっと家にいると、体が疲れてきます。そのため、ちょっと運動でもしようと、近くの河原にジョギングにいくことにしたのですが、走り始めてしばらくすると、なんだか急にお腹が痛くなってきたのです。
始めのうちは大したことないだろうと思っていました。しかし、走っているうちに痛みはどんどんひどくなっていき、しまいには、走ることもできず、ゆっくりと歩くようになっていました。
まずい、どこかトイレ……。
たしかもう少し先の橋のとこに、河原のトイレがあったはずだということを思いだし、私はお腹が痛いのを我慢して、必死に橋の方まで歩いていきました。
あと少し、あと少し。
お腹は痛くても、一歩一歩進むと、遠くに見えていた橋がゆっくりと大きくなっていきます。それはなんとなく、マラソンのゴールを目指しているかのようでした。
そして、
「や、やったぁ」
ついに橋のところまできました。近くに公衆トイレも見えます。これでようやくトイレに行ける。私はそう思いました。しかし、トイレの前まで来た時です。トイレのドアには紙が貼られていて、そこに
”ただいまウイルス対策につき、トイレを閉鎖しております”
と書かれていたのです。
「う、うそでしょ、うそだよね……」
しかし、何度ドアを開けようとしても開きません。張り紙はうそではないようです。私はもう、どうすればいいか分かりませんでした。
とりあえず、、、とりあえず来た道を戻ろう。
トイレがない以上、他に方法がありませんでした。
しかし、帰り道は行きよりもはるかにつらく、あいているトイレがどこにあるのかも分かりません。私はしばらくよろよろと、あてもなく歩いていたのですが、もはやそれも限界でした。そして、
だ、誰も見てないし、仕方ないよね。
私は誰もいないことを確認すると、河原の脇に生えている草むらの方に、一目散に駆け込みました。
「待って、お願い、もうちょっと、もうちょっとだからっ」
そして、体を隠せそうな場所を見つけると、
「も、もうだめーっ」
ジョギングパンツを力いっぱい下ろし、私はその場にしゃがんでいたのです。
ふわぁぁぁーーっ。
私は生まれて初めて天国を見ました。そしてその後、何事もなかったかのように家に帰りました。