とりあえず平和なのと迷ったけど。
結局平和なのって難しいよね。というわけで。
周りが書いてるから便乗しちゃった人です。
〈注意!〉
・書き手は気まぐれです。ちょいちょい失踪するかと。なるべく頑張るんで読んでくださるという方は気長に待ってほしいです。
・唐突な思いつきで書くので展開がおかしくなるかも。その際は指摘して欲しいです。
・アドバイス、感想などは喜びます。
・長さがどうなるかは未定。
あ、あと断り入れておきます。
文章書きたいだけなので名前が本当に雑です。
人名にせよ、地名にせよ、です。
「…貴女に意思があったとは、私も驚きです」
その場に静かに佇んでいたレリアが初めて口を開く。と同時にベルディアの方に向けて勢いの強い風を発生させ、飛ばす。それを打ち消すようにベルディアは水の壁を築いて、時間を稼ぎ、風の当たらない場所に逃げる。その後も容赦なく風を生み出しては飛ばし続け、更に息切れはひどくなっていた。やっとの思いで避けていた攻撃もついには避けきれず、風の渦に飲まれ、切り刻まれてしまう。
ここで負けるわけにはいかない、と持ちこたえ、自分の余力を使い切ってベルディアはレリアとの距離を詰める。レリアの方もベルディアが飛びかかってくるのを見てさっきよりも遥かに規模の大きい風を生み出す。それを見たベルディアは同じように水を発生させ、レリアの方に向けた。
発生した風はベルディアの体を切り刻み、水の方もまた、レリアを切り刻む。二人分の血が舞い、二人が戦っていた付近の地面はおびただしい血液で埋め尽くされた。血液の中に二人は倒れ、倒れた反動で少し血が飛んだ。どうやら相打ちだったようだ。
何かどんどん暗黒っぽくなって来てる?
続き気になるわ……!
>>54
いやいや、何か例えの表現とか、描写の仕方とか
めっちゃ文才あると思う!
でしょ?wwwほぼ一致だよねw
♪あーしーたーきょーうよーりもーすきにーなーれーるー
>>56
続き気になる?嬉しいなあ(笑)
マジ?でももっとすごい人がいるのはほんまやし…まあでもありがとう!!
♪あふれるおもーいがとーまーらーなーい
はい、本編の空気と違いすぎるだろってね()本編始まります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一方、セフェリノもまた、ハインツを相手に苦戦していた。能力は至って普通の地属性の魔法であり、能力の珍しさや威力、魔力の高さなどの面においてはセフェリノのほうが圧倒的に有利だった。が、長年の経験によってハインツは自身の能力の特性、弱点などを知り尽くしており、実戦経験がエマやヴィクターに比べて多いセフェリノであっても歯が立たないのだ。ハインツはセフェリノの行く先行く先の地面を操る。攻撃が飛んでこないように計算しているのだろう。長年の経験もあってか勘も鋭く、セフェリノの次の足場にする先を見事に当て、攻撃する隙を与えようとしなかった。
少し荒くなってきた息を整えようにも、ハインツは休ませる気など更々なく、容赦なく地面を操り、更には地面から得体の知れない、長いツタのようなものを伸ばしてセフェリノを締め付けようとする。余裕のない中、セフェリノはハインツに対抗しようと、影を伸ばす。が、その影がハインツのもとまで届くことはなかった。影はツタのようなものに打ち消され、影の消えた反動でセフェリノの体も軽く吹き飛んだ。
「所詮若造にできることなどない。レリアはまだまだ弱かった、それだけのことであって、君たち自身は無力なのだよ」
こんなときですら、ハインツは余裕の表情で微笑む。長年の経験による余裕から生まれる笑みなのか、それともただの悪趣味な笑みなのかを判断するほどの余裕はセフェリノのはなかった。
ーーーふと、セフェリノの脳裏に一つの手段がよぎった。失敗すれば間違いなく自分は敗北して、命を落とすことになる。それだけならまだいいものの、ヴィクターやエマ、ベルディアまでもが命を落としてしまうことも考えられるのだ。それでも今は僅かな可能性にすがるしかない。
ハインツにも、わずかに隙が生まれるくらいに激しいトラウマがあるという可能性に。
わずかに地面に足を飲まれながらも、セフェリノは落ち着いて、的確に魔術を当てようと集中する。ハインツはセフェリノが諦めた程度にしか捉えておらず、まだ余裕そうな笑顔を浮かべている。魔力が変化していることにすら気づかなかったようだ。ふと、ハインツの視界が暗転する。暗闇で視界がかき消されると、今度は頭の中に激しい痛みと、彼の中の忌まわしい記憶がぐるぐると駆け巡る。
「ぐぅっ…」
声にならない声が耳に入ると、セフェリノはすかさず影を伸ばした。勢いよく伸びた影はハインツのもとまで届き、うずくまるハインツを貫く。貫いた影はセフェリノの足元へと静かに帰っていき、ハインツの体もまた、静かに倒れる。運任せではあったものの、なんとかセフェリノは勝利を収めた。
『いやぁ、お見事です』
長らく黙っていたエマ、もといロイダは手拍子にも似た軽い拍手をする。そしてセフェリノの方にニタニタと笑って近づき…
パキッ、と音を立てて何かをぶつけようとしてきた。嫌な予感がして反射的に後ろに飛ぶ。すると、ロイダは勘はよろしいようですね、とあの怪しい笑みで言う。彼女がそういった直後、地面がパキパキと音を立てて徐々に凍り始めた。どうやら音の正体は氷だったらしい。凍った面積が広がるにつれて辺りの空気は冷やされ、うっすらと寒さを感じる。
『氷の魔術…水の魔術の上位互換とでも思っていただければ。少なくとも一族の中で唯一平凡な能力しか持ち合わせてなかったベルディアさんよりは強力ですよ。まあ、私の能力はこれだけではないのでね』
ベルディアの方にそっと視線を向け、見下すようにロイダは言った。これだけではない、という言葉が気になるが、彼女の本領発揮を待っていれば間違いなくセフェリノもやられてしまうだろう。ならば本領を発揮する前に始末してしまえばいいだけのこと。そう簡単に敵うはずもないことは薄々感じながらもセフェリノは影を伸ばした。
ーーーロイダがうつむき加減に笑ったことにヴィクターもセフェリノも気づかなかった。
無論、初手は氷で薙ぎ払われる。氷で薙ぎ払うとロイダの方も氷柱のような尖った、鋭い氷の棘を無数に飛ばしてくる。その大きさゆえに動けなくなるほどの傷になることはないだろう。しかし、距離を詰めることも難しければ、視界も不安定で、セフェリノの方が圧倒的に不利である。涼しげな顔で氷を放ち続けるロイダをどうすればよいものか、とセフェリノは被害が最小限になるよう薙ぎ払えるだけの棘を薙ぎ払い、懸命に、冷静に策を練った。トラウマの再起には集中力が必要であるために使えない。あまり最善ではなかったが、セフェリノは近くの木陰に体を同化させ、一時的に考えることに集中しようとした。自身の体を影に変形させることは魔力の消費が激しい。あまり長くは考えられないのだ。
攻撃を避ける必要がない分、今なら集中力を保てる。ロイダのトラウマを再起させることもできるだろう。さっきほど時間を稼げなくてもいい、とにかく今は厄介な氷の棘の雨を止めて隙を作ることが最善だ。
ーーーしかし、そううまくはいかないのである。
棘の雨が止まった。次の手はなんだ、と静かに構えていると…
ザシュッ、と自身の体を貫く音がする。激しい痛覚と冷たい感覚も同時に襲ってきた。
ああ、さっきもこんなことがあったな。
せっかくヴィクターが傷を癒やしてくれたというのに。
…やっぱり僕じゃ敵わなかったな。
意識が薄れゆく中、セフェリノの目には自身を貫いた鋭利な氷が、あらゆる方向に飛び出している光景が焼き付いた。
わずかに意識を保っていたヴィクターは今起きた惨劇に目を見開き、朦朧としていた意識がはっきりしたことを感じた。3人の中で一番実戦経験も豊富で魔力の高いセフェリノが負けてしまったのだ。そもそも彼の敗北した光景を見たことがなかったのだから意識がはっきりとしてしまうのも無理はない。むしろ今意識がはっきりすることは都合がいいとも言える。いや、実際に自分の体が元気になったわけではないので意識がはっきりとしたところでどうしようもないわけだが。
『どうしても貴方は残される運命なのですね。それでは貴方にあなた方の運命を私が教えてあげましょうね』
子供に語りかけるようにロイダは言って、本当に彼らの運命を語り始めた。
『と、その前に。ベルディアさんについても少しお話しておきましょう。彼女がエマさんのご両親を殺したのはあなた方の操られる運命から逃そうとしたからですよ。まあ結局偽物といえど吸血鬼が選択した運命は絶対的なものだったみたいですね』
あははははははっ!!と辺りに響き渡るようにロイダは高笑いした。
『私達が選んだ未来…それはあなた達が最終的には破滅するということ。もちろんベルディアさんも含めてです。それがアスピヴァーラに永遠の栄光が与えられるという未来に繋がっていたのですよ…!!』
「…栄光を得てまで新魔術の実験がしたいか」
『勿論ですとも、いずれ私も永遠の存在となって、永遠にこの世界を支配する者として君臨するのです…そのための準備ですよ、新魔術の実験は!!』
高ぶった様子のロイダに、ヴィクターは呆れを通り越したのか笑っていた。ロイダはそれが気に入らないのか、むっとしてヴィクターの方を見つめる。何が面白いんですか、と尋ねると
「そんなこともわからないやつが世界を支配するなんてできっこないさ」
と笑った。バカにされたと思い込んだロイダはついになにがおかしいんですかっ、と怒りを顕にした。それを見てヴィクターは更に笑い、あろうことか咳き込み始めた。元々体の調子が全快でないことも要因してのことだろうが、それにしても尋常ではない。
「貴様は我々が破滅すると言ったな?しかしそうはならない。させないんじゃなくてならないんだ。先程も申した通り貴様にこの世界の支配者なんて大層なことはできない。運命の示す通りに行動すれば自身の求める未来が待ち受けていると信じ切っているのだからな。もしもこの先も生きていられるなら、一生、この言葉だけを覚えてろ。
ーーー全部が全部、お前が過信している運命のご示し通りにはならないとな!」
そう言い切るとヴィクターは最後の力を振り絞り、セフェリノとベルディアの回復に全力を尽くした。己が持ち切る魔力のすべてを注ぎ込んで。体のあらゆる場所から血が吹き出ようと止まることはせず、本当に全力を尽くしたのである。
「さあ、私はここまで、だ…」
そう言って血みどろの地面にヴィクターの体は倒れ込んだ。
「…やるじゃないか。と、その前に。ありがとう、ヴィクター。君にこの先もしぶとく生きてられるだけの悪運があればいいね」
「すごい…これ、呪いまで回復してるの…?」
「正確には呪いの分の負傷をヴィクターが背負ってる、ってところだね。さあ、こうしちゃいられない。早くそこの化け物を退治しよう」
「でも中にはエマが…」
「生憎僕はヴィクターのように甘っちょろくないものでね」
そう言って早速セフェリノは影を伸ばそうとするが、瞬時に先程の二の舞になるのでは、という考えが浮かび、トラウマを再起しようという考えに転換した。ロイダのいる方向に魔力を向け、勢いよく放つ。確かに魔法は彼女にぶつけられた。…しかし、ロイダがトラウマに頭を痛める様子も、苦しむ様子も見受けられない。平然と立っているのだ。魔法をぶつけられてしばらくするとにっ、と急に口角をこれでもかと言わんばかりに引き上げて笑って、狂ったように氷を放ち始めた。先程のような棘だなんて可愛いものではなく、一度貫かれてしまえば回復すら間に合いそうもない。間違いなく即死してしまうような大きさだ。
「こんなの…!!」
「いや、これくらいならなんとか避けられるよ」
セフェリノもベルディアも自衛を怠ることなく無我夢中に避け続ける。ただ逃げるだけでは無駄だと分かりきっていたし、トラウマの再起が効かない訳も、急に氷が大きくなった訳も、なんとなく想像がついていた。しかし、どうにも打開策が思いつかないまま、ただ逃げ続ける時間が続いているのである。
攻撃を当てようと二人はそれぞれ、がむしゃらに影を伸ばし、水の粒を放ち、刺し切り刻むことを繰す時間が続いた。そのうち、数回に一度だけロイダもといエマの体が影や水を掠めることにセフェリノが気づいた。理由はなんとなく察しがついた。けれどまだ、その時ではない。ベルディア同様、無心に影を伸ばし続ける。
ーーその時だった。ガクッ、とエマの体が傾いた。
「邪魔しないでくださいっ!!!」
ロイダが声を荒げた。ロイダの方も必死に抗おうとする様子が伺えた。刹那、抗う動きが止まり、エマの体は少し重たげに、低木にもたれかかりながら意識を取り戻した。
「私が今から全力で彼女の力を抑制します!その間にありったけの魔力を私の体にぶつけてください!」
「で、でもそれじゃあ君も」
「いいんです、そのくらいしなきゃ彼女は私から消えない。さあ、あなたたちの手で、そして私の手で。彼らが決めたくだらない運命なんて壊してやりましょう」
伯爵令嬢らしくない、不敵な笑みを浮かべた。いや、そうは言ってもやはり少しばかり可愛げを含んだ、悪戯めいた笑みだった。
「さあ!!!今です!!!」
その声は屋敷で声を荒げた時よりも、先程ロイダが声を荒げた時よりも遥かに大きい、勢いのある声だった。いつになく張り上げた声を合図に、ベルディアが勢いの強い水を放ち、セフェリノが鋭利な影をロイダの方へと伸ばした。無論、両者の本気の攻撃にいくら魔力の有り余ったロイダといえど反応できなかった。
青と黒が混ざり合って、彼女を包み込むよう周りに取り巻いた。二色が消えた時、地面に倒れこむエマの体が二人の視界へと入った。きっと軽傷では済まない。きっと、エマはこの街を守れるならなんでも良かったのだろう。それが自身を犠牲にすることになったとしても。
「……疲れたねぇ。僕達も、ここまで、か……」
「ええ……我ながら、よく、やった、わ……」
ドサドサッ。二人分の倒れる音がした。