白痴な記録

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1:更互無◆WM:2020/12/31(木) 22:48

Hello, world!



更互無と申します。
・文章力を鍛えるために短い小説かきます。
・浮上率、悪いので上げる頻度は遅めでしょう。
・中学生なので、知識が間違っているかもしれません。その時はすみません。+誤字あったらすみません。

2:更互無◆WM:2020/12/31(木) 23:03

題 : ココロリサーチ
1-1 : 存在理由




たまに「自分は生きていて意味があったのだろうか?」と思う時がある。
オレは醜く、未来なき人間だ。そしてこの不平等の生みの親、世界そのものに中指をおっ立てる一人でもある。もしも、この世界に創造主” クラフター ”がいるのなら、ソイツにはこう言いたい。クソッタレ!


「……ノウくん?
おーーーい、ノウくん!聞いてます?」


ゴォォォォォォォ–––!!
騒音に入り混じる、聞きなれた高い声。
人と話している時、こうしてボーッとしてしまうのは悪癖だ。
真横の少女がまじまじと顔を近づけてきたことで、こちらの体は、少女から距離を取るよう自然と壁へと傾いた。少女のただでさえ大きな目を強調する、白くて、上向いたゲジゲジまつ毛が、自分の頬に触れまいかと、なんだかドキドキしてしまう至近距離だ。


「 え、あ 」

ゴォォォォォォォ–––!!
時速、数十キロもの速度で進む地下鉄列車。
割れた窓からは、暗黒の残像が通り過ぎ、電車のヒビ入り扉はガタガタ揺れる。こうした騒音演奏会に耳を塞ぎたくなる中、真横の少女は、丁寧に、耳元まで自身の口元を近づけた。そして文句を言うのだ。

「まったく、なんです?その間の抜けた態度は。しっかりしてください。アナタは学年の中でも、非っじょーに!成績が!いいんですよ。ワタシ、アナタの未来を楽しみにしているんですから」

「そうなのか」

「素っ気ない返事です。もっと自分の将来だとか、自分の目標に目を向けてください。もっと、自分に関心を持ってください。ワタシ、アナタがとても心配です。最近アナタ、学校ずっと休んでいましたし」

「それはごめん、もっと自分に関心持つ」

「また素っ気なくてもう!って感じです。アナタの抱える問題には、時間が必要のようです。
…そうです!ノウくんは何か、したいことはありませんか?」


したいこと?
この少女は、オレのことを何も知らないからこんなこと言えるんだ。それに、さっきからずっと、オレの将来だとか目標だとか言っているが、オレには文字通り、未来がない。これは比喩なんかじゃなくて真面目な意味で。
このことについて、オレの数少ない友達の一人であるオマエにだけ、教えよう。

3:更互無◆WM:2020/12/31(木) 23:16

題 : ココロリサーチ
1-2 : 存在理由




ーー数週間前に、真っ白な病室で告げられた言葉が、今も、頭の中でずっと繰り返される。


『キミは未知の病気』『絶対治らない』『心臓を中心に体中に触手が』『残り寿命、持って半年』『仮病名、混沌病』『お気の毒に』


というわけで、オレの今の体は、異常だらけだ。例えば、右腕の皮膚の色は黒色へと変色。また体の、あちらこちらからは『伝説の古代生物チンアナゴ』みたいな黒色の触手が。この無数の触手たちは、朝、パンをかじっている時も、夜、フトンの中で目を閉じている時も、いつでもどこでも、うごめき続ける。想像してみろ。ほら醜くて、キモいだろ?
当然、それらは隠さなくちゃいけない。だから体中は、包帯でぐるぐる巻き状態にある。それから、つい最近、右目を突き破ってきた忌々しい触手には、眼帯でフタをした。
以上の対策で、姿は病人みたいになってしまったが、これらは醜悪さを隠すためで、みんなとやっていることはそう大差ない。画像加工やメイクと一緒さ。


「ノウくん、またぼーっとしてる」


少女は真横から睨む。子どもみたいな膨れっ面で。オレとは違って、堀の深い明確な輪郭顔の持ち主だ。雪のような冷たい肌に、ツンとキレイな三角形を描く整然とした鼻。人種の差異を感じさせるプラチナ色の髪に青さを残した透明な目と・・・このように顔立ちからして大人っぽいにも関わらず、幼なげな行動がやけに似合う。ギャップというやつか?


「フグみたいな顔だな」

「電車がうるさくて聞こえないです」

「フグみたいな顔!」

「フ、ゲ?」

「フグ!」

「プク」

「わざとだろ」

「ふふ、わざとです。
ところで、フグってなんですか?」

「次降りる」

「もう!」


彼女の名前はメイヴ、愛称メイ。
市民番号912098。年齢は17歳でオレの数少ない友達…いや、ここでは幼馴染と言った方が正確な表現かもしれない。オレと唯一、同じ共通の過去を待つからだ。
それから、急に重い話になってしまうが、すまない。彼女の存在はオレが自殺しない理由の一つでもある。
彼女はすぐに人を信用してしまう良い子だ。逆に悪く言えば、あまりにも楽観的であまりにも無知。疑うことを知らないんだ。今の過酷な世界において『あらゆるものへの疑い』は生存確率を上げる常識的な工夫とさえ言えるのに。
電車から降りた今だって、別クラスの男子生徒からストーキングされているのに彼女は気付いていない。まさか、自分が普通に接した相手が、自分に対し、異常なほど好意を寄せるなんて疑いもしないからだ。

守ってやらないと。

ともあれ、そうした理由で、オレは存在している。クソなこの世に芽吹く数少ない儚いモノを守るために。これを偽善的に思うか?
オマエのその感性は正しい。オレは偽善者さ。エゴイストであって、決してヒーローなんかじゃない。


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