事故って転生したので小学生を満喫してみます。
というお話です。ちょっと類を見ない百合かもしれません。
皆さんこんにちは。
突然ですがわたしは死にました。
ブラック企業の残業帰り、強引に右折してきた車に轢かれてそのままご臨終です。
まあ、あのクソみたいな毎日から解放されると思うと少し嬉しかったです。
わたしは幽霊になるのでしょうか。
天国ってありますか。
叶うなら、一生仕事せずにいられますように。
そう願って深い眠りに落ち、やがて目を覚ましたとき、産声が聞こえてきました。
「おぎゃー、おぎゃーー!!」
これは夢か、走馬灯か。
開かない瞼の前、暗闇の中で産声が響く。
腕に抱かれる感覚と温もり。ずいぶんとリアルな夢だ。
「あなたの名前は百合よ」
百合?
誰それ。知らないんですけど。
あぁーやっぱり夢コースだ。
最後の謎特典として人生再体験システムみたいなのがあるんだ。
ていうか、夢見てるってことは死んでないってこと?
いやそれは困る。そしたら仕事しなきゃいけないし…
「これから家族になるの、よろしくね」
ちゅ、と頬にキスが小さく落とされた。
軽く触れた生暖かさ。
夢にしちゃ、やけにリアルすぎるような…
…まさか、
転生!?
…いや、いやいやいや。
なに言ってんの?
事故の衝撃で頭でも打ったかな…
転生っていうと、悪役令嬢にでもなるつもり?
ないない。そんなラノベみたいな展開…
…でも、もし万が一。
いや、億が一でもこの現象が転生だとしたら。
夢が覚めないなら。
私は第二の人生を謳歌してやる。
第二の人生を謳歌する。
その決意から数年が経った。
成長の過程で、色んなことも分かった。
まず私の名前は立花百合。
東京都内の分譲マンションに住むそこそこの家庭の一人娘。
「あら百合、お漏らししたの?」
母親は美人な人。
基本的にはなにしても怒らない。
会社の上司に当然こんな人はいなかった。
前世の母親なんか暇さえあれば米を買いに行かせるような人間だったし。
まあとてつもなく快適。
しかし、恵まれた環境でただ生活するだけじゃつまらない。
第二の人生の謳歌とは。
生前できなかったことをする絶好の機会でもあるわけだ。
まず始めに、お漏らしとか。
「ごめんなさいお母さん」
トイレの前で失禁するのは心地よかった。
生前もストレスで頭がおかしくなった時、漏らしたことがあったけど記憶にない。
新たな扉を開きそうである。
立花百合、4歳。
私は幼稚園に入った。
することはたくさんある。
給食タイムアタック、昼寝完徹、三輪車乗り回し、お漏らし、とか色々。
とりあえず難易度的に易しいのはお漏らしだ。
これはやりやすいし幼稚園なのでいくら漏らしても怒られない。
「うわ〜、百合ちゃんがまた漏らした!」
「せんせー!」
「なに? また漏らしたの!?」
「ふぇぇ〜〜、ごめんなさい…」
この困った視線。
背徳感。
はああああああ、たまらない…
なんて快感なんだろう。
「我慢できなくて、ぐすっ…」
「泣かないで百合ちゃん。でも今度からおトイレ行きたくなったら先生に言うんだよ?」
「あうう、ごめんなさいぃ」
最高じゃん。
中身はバリバリの社会人。
そういう大人の立場を使って周りを達観することもできる。
スパイにでもなった気分で楽しい。
まあそんな感じで楽しい幼稚園生活を満喫した。
親が先生とお漏らしの相談をしてたのはウケた。
そしてついに卒業の時期。
バイバイ先生。
問題児は去ります。
とても楽しかったです。
私は小学生になった。
クラスは1年1組。
生前じゃ覚えてなかった校長の話も、今聞くと実につまらないなぁと思う。
中身はわりとマイルドで、私が本当は実年齢20以上だと考えると笑えてくる。
某探偵の子も同じ気分だったのかなぁ。
入学式の長いお話の途中。
私はこれからの人生謳歌プランについて考えていた。
まず人間なら誰もが憧れるであろう、転生したらテスト全部100点の神童になる。
それから先生に反抗したり、できなかったことを色々やろう。
さて担任は誰かな。
「私がみんなの担任の三石です。よろしくね!」
若い女だった。
三石和子。
それが1年1組の担任。
黒髪をアップにした若い女の先生で、少しつりあがった目も含めてかなり綺麗。
どんな感じの先生なのか探ることにした。
そう、恒例のお漏らしで。
入学式初日。
私は思い切り漏らした。
「ごめんなさい…」
「いいのよ、大丈夫?」
まあ、まだ初日だし普通か。
これから回数を重ねて本性を暴いていこう。
二回目。
「ごめんなさい」
「いいのよ…」
三回目。
「ごめんなさい」
「先生と一緒にトイレ使ってみようか」
四回目。
「次からちゃんと先生に言ってね?」
五回目。
「言ってって言ったでしょ?」
六回目。
「わざとやってるでしょ!?」
…ついに本性が姿を現した。
三石和子はヒステリック系の女だった。
生前の上司によく似てる。
まあ私が完全に悪いけどね。
とりあえずこれで三石の性格は分かった。
重要なのはここからのプラン。
宿題を忘れまくる、発表で珍回答、
そして、私は先生を手なずけるということをしてみたい。
この三石を使ってそのプランを実行する。
「宿題忘れた人」
「はい」
「また立花さん?」
「ごめんなさい」
「理由は?」
「特にないです」
「はぁ…」
ヒスの波動を感じる。
よし、今だ。
「先生、きょうはいつもより綺麗ですね」
「え?」
勢いで変なもの書いてました。転生小学生×女教師の謎百合をやろうとおもってました。
しかしテンションが如何せん意味不明でなにを考えてたのか分かりません。
『脈絡のない話』
喉元に冷たい刃先が当てられる。
刃渡りは10cmほどの、なんの変哲もない包丁でした。
まるで時が止まったみたいに静かな世界の中で、黒い前髪の奥から荒い息だけが聞こえます。
震える刃先が喉元に傷をつけた。私も震えた声を絞り出す。
「…本当は、知ってました。
あなたが人殺しだと。
ぐうぜん通りかかった路地裏で。
それでも言わなかったのは、黙っていたのはなぜだと思いますか。」
「…」
「あなたのことを愛しています。愛しているから、殺されてもいいんです」
勝手に両目が滲む。瞼が瞬きに追い付かなくて痛いです。
当てられた刃先に透明な雫が落ちては垂れる。
「いつか殺されると分かってて、それでも愛したかったんです。」
寂しいことは言わない。常に誰かの邪魔をしないように口をつぐむのが最善。
それは小さな意地のためでもある。ならばこの感情はどこへ行くのか。
せめて受け止めてくれる居場所があれば。
でもそんなものはありません。ぜんぶ一人ぼっちです。
「悩みがあったら話してよ」
そう言われて何度口を開きかけたことか。
ずっと前から心の奥にあって、腐った言葉を何度紡ぎかけたことか。
いつもありもしない返答を探すのはなぜでしょう。
そして今日も私は寂しさを抱えてひとりぼっちでした。
私が雨の中で濡れていたらあなたは傘を閉じるでしょうか?
差し出すのではなく一緒に濡れてくれますか?
そんな愛が欲しい。この心の穴を塞ぐ愛が。
寂しさの形に壊れてしまった心を取り戻してくれるなら。
好きです。好きです。でもあなたにはきっと好きな人がいる。
結局すべて妄想で、頭で描いた絵空事。
偶然知ったこと。あなたがあの人を殺したこと。
ああ、あなたも寂しいんですね。少し安心しました。
これはエゴでしょう。自己中心的な願望でしょう。
でも…
「私はあなたを愛しています。だから、殺してください。
あなたの寂しさを私で埋めてください。」
ポロポロ涙が流れました。
怖かったんじゃない。ダムのように塞き止めていたものが溢れ出しただけ。
「とても寂しいです。寂しいから、愛していたいんです。どうかこのまま殺してください。」
何度懇願の言葉を投げかけても震える刃先は一向に動きません。
だんだん熱くなる私の頬に滴が垂れて流れました。
なぜですか。なぜですか。
あなたに殺されるならそれでも構わないのに。
どうしてそんな顔をするんですか。
「ごめん、ごめん…」
謝らないでください。
『意味不明』
「ゅぅた、ぃまなにしてる?」既読 : 5分前
は?なんで返信こなぃの?
ねぇ、ふざけんなょゅぅた。
ぅちのライン無視するとかぁりぇなくなぃ?
ぉぃ、ゅぅた。
「返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信返信しろゅぅた」
なんで?ぅちのこときらいになったの??
ぇ、まじ病み。。。ぃみふなんだけどゅぅた、ゎら
ぉまえがその気ならぅちにも考えがあるから。
「ゅぅた、ぅち、悪魔になる」
「悪魔になって、ゅぅたを飼う」
「ぇさは、ちゃんとあげるから。ゎら」
「とりま、大和煮で。ゎら」
「まってろょ、ゅぅた」
「にげんなょハゲ」
ゅぅた!!ぅちは悪魔になる!!
歯ァァァアァァァァァ!!!
悪魔と契約して悪魔になるんだぁぁぁ!!!
…そして、ぅちは返信の悪魔になった。
もぅマヂ無理。。。ゅぅたも悪魔と契約した。
これからどうすればぃぃの?
ゅぅたを撲滅すれば、ぃぃょね。ゎら。