超短め短編集です!
気まぐれ更新です〜〜
ハッピーエンド、バッドエンド、その他もろもろエンドです!
登場人物は基本男女で1人ずつが多いです!
それぞれの話が同じ世界線かはご想像にお任せします。
文才ほぼ0&展開グダグダですがどうか温かい目で見ていただけると嬉しいです(^-^)
ですです言い過ぎですみません
-1- early spring
「睦月ー、今日空いてる?空いてたらカラオケ行こうよ」
「別に、いいけど」
高校に入って初めて出来た女友達、薺(なずな)が行く気満々という顔で声をかけてきた。
そんな顔をされたら、断れないじゃないか。
「まじか!やったー!正直断られると思ってた」
「断ってたらどうなった?」
そう訊ねてみると、薺は頬をかきながらヘヘっと笑った。
「無理矢理にでも連れてってたよ」
「だろうな」
お前はほんとに、なんでそんなに無邪気に笑うんだよ。
こっちまで、つられて笑っちゃうじゃないか。
「あとさぁ、なんでそんなに俺に構うの?」
俺なんてつまらないし、もっといい奴なんてたくさんいるだろ、そう続けた。
逆に俺にとっては、薺みたいな人間は生まれて初めてだった。
根暗でコミュ障でネガティブで、おまけに人間不信で。
そんな俺とは真逆みたいな存在だった、薺は。
根明でポジティブで、誰とでも仲良く話せて。
「睦月と居たいから、…じゃ駄目か」
「……別に、駄目じゃないけど」
駄目じゃないけど、
駄目って言ったらどうなる?
-2- electric shock
「あ、あの子。めっちゃ可愛くない?」
「そう…?」
「えー、可愛いじゃん!」
と言いつつも、少し嬉しそうなのを隠せてない。
きっと、俺が共感しなかったことに安堵しているに違いない。
「それで俺が同意したらどうすんのさ」
アイスコーヒーをストローでかき混ぜながら訊いてみる。
氷がカラコロと心地いい音を立てた。
「そんなん、嫉妬するに決まってんでしょ」
「じゃあなんで訊くんだよ」
思わず笑みがこぼれる。そんな俺とは裏腹に、紫温(しおん)の顔は曇っている。
「だって、不安だから。如月が他の女に目移りしそうで」
「それはこっちの台詞だよ、紫温だって俳優見てカッコいいカッコいい言ってるじゃん」
「俳優は別だしー」
そう言って口を尖らせる彼女は、机の上に伏せてあったスマホを手に取った。
その先の光景は目に見えているので、あえて何も言わない。
目を閉じて、カフェのあちこちから聞こえる楽しげな声に耳を傾けていると、
「ちょっと、彼女とのデートがそんなに退屈?睡眠時間足りないんじゃないの?」
正面から不満そうな声が聞こえてきたので目を開く。
「いや…どーせまた女優の写真見せて『可愛い?』って訊いてくるんだろうなぁって」
「は?ご名答じゃん私のこと大好きだね」
「まぁ、否定はしないけど」
あ、思わず口が滑ってしまった。
まあいい。いい気味だ。
これで分かっただろ。他の女なんか見てないって。
「えっ、あ…りがと」
お前が一番可愛いって。
-3- creepy
今日は3月14日。いわゆるホワイトデーってやつだ。
バレンタインとかいう私にはほぼ無縁の行事と同類。
男子が女子にお返しをする的な日だ。
かなり前だが、バレンタインデーに友達にチョコを貰い、そのお返しに板チョコをあげた。
無論、良い反応はされなかった。
決めつけるのはよくないけど、女子って見返りを求める生き物なんだなって分かった。
「女子って…めんどくさいなぁ」
「ほんとにね。めんどくさそう」
「…え?」
絶対に誰にも聞かれないくらいに小さい声で呟いたはず。
「弥生ちゃん、おはよう」
「え、あぁ…おはよ」
私の困惑などつゆ知らず、朗らかな笑顔で挨拶をしてきたのは、女の子より女の子と噂の霞(かすみ)くんだった。
名前だけでなく仕草も顔も、女である私より可愛いのだ。
人見知りなのか、誰かと話しているところを見かけたことがない。
ていうか、“弥生ちゃん”なんて呼ばれるほど親しかったっけ…?
「ねぇ…霞くんってさ、バレンタインデーにチョコとかもらったりしたの?」
「ううん。…あぁでも、貰ったっちゃ貰ったんだけど。」
「…え、どういうこと…?」
霞くんは、少し低くなった声のトーンを元に戻し、こう言った。
「好きな子から貰うチョコ以外食べたくないんだ、俺は。だから、全部捨ててる」
「は…?」
「あぁ、言っとくけど、流石に貰った人の目の前では捨てないよ?だってほら、可哀想じゃん?好きな子に振り向いて欲しくて俺、色んなことしたんだ。」
目の前でさも普通のことかのように言い放つ彼は、私の知っている霞くんじゃなかった。
「俺、その好きな子以外とは話さないって決めてるんだ!」
と同時にチャイムが鳴り、彼はひらひらと手を振りながら、席に戻っていった。
あれ…
好きな子以外とは、話さない?
-4- liar
いつだって私はみんなに好かれたかったし、実際好かれていた。
だって、可愛いし、優しいし、いい子だから。
そう見えるように振る舞ってるから。
みんなが好きなのは、上っ面の私。本当の私なんて、私にしか分からないのに。
どうしてみんなあんなに単純で、馬鹿なんだろう。
なんて、私が言えたことじゃないけど。
なのに、どうして。
「ねね、私好きな人できちゃった♡」
「ふーん」
どうして。
「私のタイプ、知りたい?」
「いや、別に」
どうして。
「私…彼氏できた」
「良かったね」
どうして。
どうしてあんただけは振り向いてくれないの?
「私…さぁ、隣のクラスに、気になる人がいるんだけど」
「へぇ」
こちらを見向きもせず、さぞ興味も無さそうに気の抜けた返事しかしない、クラスメイトの卯月(うづき)。
…ムカつく。
なんでこんなに釣れないの。
卯月だけが、私を見てくれない。私は、卯月に振り向いてほしくて、話しかけてるのに。
「…なんであんたは、そんなに私に興味なさげなの?」
色んな感情が混ざり合い、か細い声が教室にふよふよと漂った。
早く、拾ってよ。このままじゃ、私が可哀想な人みたいになるじゃない。
しばらくの沈黙が続いた後、口を開いたのは卯月の方だった。
「…あのさぁ、聞きたいことがあるんだけど」
今まで基本受け身だった卯月が、自ら質問をしてくるなんてなんだか新鮮で、
そして、やっと私に興味を示してくれたみたいな気がして、
少し、嬉しかった。
「ねぇ、聞いてる?」
「あっうん、聞いてる」
今までろくに会話してくれなかったくせに。
そんな苛立ちも今は気にならない。
「四葉ってさぁ…いつも嘘ついてるだろ」
「…え?」
予想外の言葉に、豆鉄砲を食らったような気持ちになる。
「みんなの前でさ、偽者の自分演じてるだろ。」
「…は!?何いきなり!私のことなんか全っ然見てくれなかったくせに!」
二人だけの教室に、私の情けない声が響き渡った。
「図星じゃん。ほら、『彼氏できた』とか『隣のクラスに気になる人がいる』とかも、全部嘘だろ?」
「………」
嘘に、決まってるじゃん。
彼氏なんて作るつもりないし、気になってる人は隣のクラスじゃなくて。
「……卯月は、気づいてたの?」
「何に?」
どーせ、分かってるくせに。
大体、毎日放課後の教室に誘って話しかけるくらいなんだから、気づいて当然なのに。誘ったら来るくせに。
表情一つ変えない卯月の顔になんだかムカついた。
「私が……卯月のこと、好きって」
「うん、知ってるよ」
なんで、そんなに優しく微笑むの。それじゃあ、勘違いしちゃうじゃん。
なんだか悔しくて、机に突っ伏した。
今は卯月がどんな顔をしてるのかも分からない。分からなくていい。
「……嘘だよ、ばーか」
また一つ、嘘をついた。