病んだ時に書く

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1:−96:2021/05/29(土) 03:47

ただの自己満

2:−96:2021/05/29(土) 04:03

無題命な子


外は青空、内は暗闇。
カーテンを閉めきった部屋の片隅で、冴えない少年は自分の腕に赤い線を増やしていく。
痛い。たしかに、痛い。
痛いけれど、脳に溜まっている怒り、嫉妬、劣等感の感情が傷口から少しずつ流れていくような気がする。

「もっと出さなくちゃ……」

学校行きたくない。

「もっともっといっぱい!…」

いじめっ子がいるから。

「い……った!」

ハマりすぎると、刃が皮膚にめり込みすぎてしまう。皮膚のみならず筋のスジまで削ってしまう。血がたくさん出て、オケに落ちるその音は ぽたぽた から ボタボタ に変わってしまう。

「 おーーい ! クズ息子。オケ返せぇ」

下の階からの父親の声だ。

「 ごめんなさい!すぐ返します!」

もはやこの家では習慣化しているやり取り。
少年は急いで腕に包帯をぐるぐる巻き、オケの血を拭き取る。そして、階段を降りた。

「 おまえあんまりしすぎるんじゃねえぞ、気持ち悪いから 」

「 え、え? なにを、ですか? 」

「 右手の青春 」

「 えっ………はっ、そんなんじゃないです! 」

「そうか?じゃあ何してるんだ? 」

少年は、片腕をソッと隠した。

「 …しゅ、宗教的な儀式です…」

3:−96:2021/05/29(土) 04:43

無題命な子 2


太陽の光が眩しいほどに照らしつけている。
だから何もかもが見える。生い茂る草花。木にしがみつく蝉。遥か遠くの山々に点在する送電塔までもはっきり見える。

もちろん、今こうして進む道も嫌というほどに見える。あとどれくらいで学校に着くがが分かってしまう。

・・・

到着した。最悪の気分で、靴を上履きに履き替え、さっさと廊下へ向かう。
そして校舎を歩いていると、ドンッ と背後からの衝撃にコケそうになる。どうやら、ぶつかったらしい。

「わりぃっ」

と、ぶつかった男子生徒はすぐに行ってしまう。その生徒の手には銀色の丸くて大きなものが。しかし、それが何かまでは確認できなかった。

廊下を進むごとに心臓の鼓動が強まる。
少年は鼻から空気を取り込み、口から静かに息を吐く。クールダウンしつつも足は休ませない。
そして少年の冗談でも恵まれたとは言えない骨のような脚でたどり着いたその場所は 2 - A 教室のドア前。

そこで、少年の伸ばした手は、ドアのほんの僅か手前で止まる。

…いつもは開放されてるのに、なんで今日に限ってドアが閉まってる?

その疑心暗鬼な疑問のもと、少年が立ち止まっていると、どこかで笑い声がする、誰かに見られている気がする。

…もう開けてやる。きっと笑い声も視線も何もかもぜんぶぼくの被害妄想なんだ !

「 クズくん? 入らないの?」

「 わぃぃぃぃっ ! !」

咄嗟に背後からの声へと振り向くと、首をかしげた少女が少年をじっと見ている。同じクラスのミダリちゃんだ。ずっと後ろにいたらしい。

「 わい?」

「 ご、ごめんぼーっとしてた。今入るよ、」

「あ、うん」

とって を掴む。だが 開 か な い 。

「 あーぁ、また男子たちがロックしたんだ。向こうのドアから入ろ?」

「 …うん 」

別のドアはミダリちゃんが開けた。しかしその時、少年は気づいた。天井付近、今にも落ちそうな銀色のナベを。

「 あ! あ! みだりちゃんっ !!! 」

少年が最大級に声を張り上げた時には、ナベは落下し始める。あんな大きいものが頭に落っこちたら絶対痛いはず。みだりちゃんが泣いてしまう光景なんて見たくない。

無力な少年は、無力のまま、目を強く強く閉じてしまう。『ザザザザザッ 』

「 ん、なになに!? 」

くそ。見たくない。

「 おーーい。クズくん?どうしたの?」

予想に反するミダリちゃんの声。…平気、なのか?
恐る恐る目を開くと、そこには、彼女の平気そうな顔。かわいい…

だけじゃなくて、その後ろ、教室内の、目と目と目と目と……ひぃぃ…。シーーンとしている教室。
極め付けには、結局なぜか落下してない金属ナベ。

「 あ…いや、てんじょ」

「 「「「ギャハハハハ!!」」」」

急に笑い出す教室。少年はワケが分からないし、ついていけなかった。
さらにある男子生徒は叫ぶ。

「ドッキリでした〜〜〜ァ!!てかクズくん目ェ開きすぎィ!こわいよ???人殺しそうだよ??? 」

「「「「ギャハハハハハ!!」」」」

少年の目は普段から、不気味で面白おかしく見えるそうだ。とくに少年が困惑した時の目を、みんなが見ると、彼らの口の形は逆三角に。だから、少年も。

「…あはは、はは、は。」

たぶん、この場面は笑わなくちゃいけないのだろう。だから必死に笑いの表情を作る。本当はなにも笑えないけど。

「 ねぇ、クズくん」

「 …うん、」

ミダリちゃんは、視線だけを動かし、天井付近の金属ナベをぼくだけに示した。

「 ありがとね?教えてくれて。あと、私は笑わないから 」

そう言い残したミダリちゃんは、笑いの声で溢れる教室内には無関心で自席についた。

…………ぼくも席につこう


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