作った小説読んで

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1:匿名:2021/07/12(月) 16:58

作った小説読んで下さい

2:匿名:2021/07/12(月) 17:00

人は偶然の重なりを奇跡と呼び、居る訳も無い敵を作り上げた。
その例の一つは吸血鬼だろう。
吸血鬼は、十字架を嫌い、噛まれると噛まれた者は吸血鬼になる。
御伽噺だった筈のソレはある日突然非日常から、日常へと変る。
第一次世界大戦中のアメリカで人間と動物を組み合わせる実験「Project:‪α‬」が始動された。
動物のDNAを直接人間の体内に入れるこの実験だったが、余りにも危険すぎる為中止を余儀なくされた筈だった。
しかし、研究者達は秘密裏に研究を進めていた。
彼らの好奇心がそうさせたのだろう。
相手の血を吸い取り、空を自由に飛びまわる人間。
科学者達はそんな生命を生み出したかった。
そして投与されたのが蝙蝠のDNAだった。
そして生まれた吸血鬼は、生み出された憎しみから脱走を図った。
現在その研究施設に残っている吸血鬼は2体。
それ以外の五体の行方は未だに掴めないでいた。
現在、様々な国に吸血鬼が潜んでいる。
しかしこの事は公にはなっていない。
脱走した五体の吸血鬼は始祖の吸血鬼達呼ばれ慕われた。
そして、現在も絶え間なく世界各地で吸血鬼達による大規模な派閥争いが行われていた。

3:匿名:2021/07/12(月) 17:00

第一章
目の前の少女は俺に恐らく自分が作り出したであろう話を語った。
数時間前、土砂降りの道路で倒れていた少女を家に連れていったのは良いものの、吸血鬼の説明をするばかりで、他の事は何もしない。
「なぁ、大丈夫か?どうしたんだ?」
聞いても答えない。
少女は俯いたままだ。
俺は、児童相談所に電話しようとした。
丁度その時、少女が口を開いた。
「ねぇ、どこに電話しようとしてるの?私の話信じてないの?本当なんだってば。」
少女は、涙ぐんでいる。
「ご……ごめんな、そういうつもりじゃないんだ。」
俺は少女を慰めた。
すると「信じているなら血を頂戴……お願いだから、お腹が空いてるの。」と少女は言い、俺は何も返事もしていないのに少女は俺の首に噛み付いた。
意識が朦朧とする。
「ごめんなさい。お兄さん。」少女の舌ったらずな声が耳に響いた。
痛さが身体中に広がる。
しかし、少し経つと、痛さが快感に変わっていた。
「ねぇ、知ってる?吸血鬼の唾には、快楽物質が含まれてるんだよ。ねぇ、どう?意識がぼんやりしてくるでしょ?」
くそ!!一体なんだってこんな事に……。
不味い、寝てしまいそうだ。
しかし、そんな眠気を吹き飛ばすような轟音が家中に響き渡る。
少女は音の聞こえる方へ向かって行く。
眠気が冷めたお陰で、今ならここから抜け出せそうだ。
こっそりと部屋ドアを開け顔だけを外に出すと、玄関前で見知らぬ少年が少女と戦っている。
一体なんなんだよ。
ドアから出した顔を元に戻すし、成る可く心を落ち着かせた。
近くにあった窓に目が止まる。
そうだ、ここから出てしまえば良いのだ。
俺は、慎重に窓に近づく。
そして、まさに脱出しようとしたその瞬間。
「眷属!応戦しなさい!」
その声を聞いた瞬間に俺の足は勝手に走り出した。
そして、少年に突進をした後に、倒れた少年の体に跨り、顔を何発も殴っていた。
これは俺がやっている訳では無い。
なんで勝手に体が動くんだよ。
すると、少年がいきなり叫んだ「Flash!」
その瞬間、目の前が急に明るくなり、俺は暫くの間その場に蹲っていた。
そして、後ろから聞こえたるのは少女の悲鳴。
少女も俺と同じような体験をしたのだろう。
そして、羽ばたく様な音が聞こえ、俺は急に頭痛を感じ、意識を失ってしまった。
目が覚めると、知らない部屋に寝かされていた。
知らないベッドに知らない匂い。
辺りを見渡しても知っているものなんて何一つない。
否、一つだけあった。
それは先の少年の顔だった。

4:匿名:2021/07/12(月) 17:01

第二章
「お兄さん大丈夫?」
彼が俺に向けて初めて発した言葉だ。
「大丈夫も何も、未だに全容が掴めないんだけど?」
いきなり首筋を噛まれたり、気を失ったり、目を覚ましたら見知らぬ場所に居たり、そんな事を同時に体験してしまったのに、大丈夫な訳が無い。
すると少年は丁寧に説明をしてくれた。
説明の内容はあの少女と同じような内容の話もあったが、彼女よりもっと深く色々と話してくれた。
吸血鬼に噛まれた者は吸血鬼となり、自分を噛んだ吸血鬼の眷属となる。
そして、噛まれた所に、主人の紋章が刻まれる。
これは絶対服従の証であり、眷属は主の言うことに逆らえないし、主を殺せない。
しかし、主の傍に眷属が居ないと絶対服従は成立しない。
俺はこれを聞いて、自分の首筋を確認した。
すると薔薇の紋章が刻まれていた。
それを見ていた少年は一言「ラグリフォン軍に属している吸血鬼に噛まれたんだね。厄介なことになるよ。」
「ラグリフォン軍って何だよ?」
聞いた事も無い軍の名前を出されても困ってしまう。
「さっき言った五体の吸血鬼居るでしょ?それぞれの吸血鬼に名前があってね、ラグリフォン、サリード、ルヴィアン、フェイルと呼ばれたんだ。それぞれの吸血鬼は、自分達の軍を持つようになったんだよ。ラグリフォン軍に属している吸血鬼の紋章は花なんだよ。」と、落ち着き払った様子で答える。
「あっ。あと、お兄さんの能力見せて!」
能力?なんの能力なんだ?
身体能力?学力?
「の……能力?」
「うんうん。能力だよ能力。」
そう言うと彼は俺に殴りかかって来た。
「お……おい!何するんだよ!」
「能力ってのはね、吸血鬼が一人一つ持ってる特殊な力の事を指すんだよ!こうやって、攻撃されると能力が発現することがあるんだ!」
「いてぇんだよこの野郎!」
俺が怒ると、殴られて出てきた血が固まった。
それだけではなく、固まった血は、彼向かって伸びている。
「おー、良い能力だね!」
そう言うと、彼は俺の血を掴み、一気に力を加えて破壊した。
「壊れた……?」
「そりゃ壊れるよ。だって、血なんだもん。」
と、彼は平然に答える。
「あっ!そうだ、お兄さんの名前、まだ聞いてなかったね。」
「草稿 近江(そうこうこのえ)だ。」
「かっこいい名前だね。僕には名前が無いんだ。お兄さんが羨ましいよ。」
「お前……名前無いのか。」
「うん。お父さんは人間に殺されて、お母さんはお父さんの後を追ったんだ。」
少年の目には涙が溜まっている。
「俺がお前に名前付けてやるよ。」
「ありがとう……!」
少年の目には更に涙が溜まっている。
「ナナなんでどうだ?名無しからとってナナ!」
「うんっ!ありがとう!」

5:匿名:2021/07/12(月) 17:02

第三章
俺はふと脳裏に横切ったある疑問を少年にぶつけた。
「なんで俺が女の子に襲われてるのがわかったんだ?」
するとナナは笑顔になる。
「吸血鬼は、他の吸血鬼が居ると分かるようになってるんだよ。お兄さんさ、今、頭痛くない?」
確かに、先からずっと頭痛を感じていた。
「あぁ……確かに痛いよ。」
「それはね、近くに僕が居るからなんだ。吸血鬼同士が近くにいると頭痛を感じるんだよ!」
彼は優しく俺に教える。
「あと、もう一つあるんだけど、お前はどこの軍に所属してるんだ?」
きっとまた優しく教えてくれるのだろうと思ったのに、ナナは俺に背を向け、何も聞こえないふりをしていた。
暫くして、ナナは口を開いた。
「それより近江、近くに敵居るよ。」
そう言うとナナは、蝙蝠に変身して、窓の外へ出ていってしまった。
彼奴、さっき少し動揺してたよな、そもそも、俺が少女に襲われていたとしても、感知したとしても、助ける意味があったのか?
俺にそれだけの利用価値があったのか?
一体ナナは何を考えているんだ?
近くにある机に目をやると、そこにはナナの顔写真が貼ってある生徒手帳のようなものがあった。
α学園吸血鬼科3年生 個体番号052 能力不明
なんだこれは?
生徒手帳の中を見ると、なんと、電子手帳になっており、色々なことが記載されていた。
ナナは、逃げ出さなかった2体の吸血鬼の子孫であり、その施設(表向きでは学校)で教育を受けている。
吸血鬼達を協力させ、人間と敵対させる事を目的てしており、2021年8月15日までに人類が死ななかった場合、Ωday(8月15日)に人間に効くが吸血鬼には効かないガスを世界中に撒くらしい。
そんな事をさせない為に、ラグリフォン軍は全人類吸血鬼化計画を実行しているらしい。
まさか、あの少女は……
もっと調べようとしたが、ふと後ろを振り向くと、ナナが笑顔でこちらを見ていた。


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