はじめまして、猫さくらと申します。
これから、私の創作小説を不定期で書いてみようかなと思います。
注意事項
*荒らし、アンチはやめて下さい。
*初めて書くので、下手な部分も多々あるかと思いますが、そこはどうか目をつむって頂きたいです。
*感想、又はもっとこうした方がいい、こういうところが分かりにくいなどの、文章に対する意見はOKです。
*頑張りますので、よろしくお願いします!
第2話
みんな死んだ。
冬の猛吹雪がレリアを責め立てるように降り注ぐ。視界は最悪。足元も最悪。気分も最悪。レリアは両腕を交差して吹雪に抗い進む。
「超凡人でドジってのはァ、嘘だ!」
「お前には、金もいい男も、手に入らねェよ!」
「お前のせいでみんな死んだぁぁぁぁ」
しつこい程に浴びせられる罵倒と吹雪。吹雪をかき分けて、ブーツの意味を成さない積雪の地面をのっしのっしと一歩一歩を着実に辿る。
「お前は悪魔だ…悪魔だぁぁぁ!」
終わらぬ罵倒に段々と、レリアの眉が若干動き、困惑と不満が表情に浮き出てくる。
レリアの像のような足取りは、背中に負傷者、ジークを背負っているためだ。彼を背負っていなければもっと早く進める。
「お前のような悪魔に、頼ってたまるか」
「じゃあ、一人で進んでくださいよ!」
ーーどさりっ
レリアは彼を振り落とした。彼は雪に深く沈滞した。
「…どうすればよかったんですか?何をすれば私は正解だったのでしょう。魔法を使わなければよかったんですか?」
「そうしたら、死んでいたじゃないですか。私と、あなたも」
「メリーと死ぬことができたら、俺はそれでよかったんだよ…!」
レリアは、彼の胸元を力強く掴んだ。
「メリーはあなたに生きてと言っていました。彼女の気持ちを蔑ろにすることなんてできますか!」
「このおバカ!」
彼の一発頬へ、手袋に包まれる拳をぶつけた。彼の目から涙が溢れるたびに凍る。凍る涙は吹雪と共に去りぬ。ジークは拳を受けた後、一向に呆然として、瞳から色が消えた。諦念。そんな言葉を彼から連想させたレリアは、仕方なしに彼の腕を自分の背に回して、脱力した彼の体を支えることにした。
「行きますよ」
目指すべきは、この雪原を越えた氷河の拠点。
「はぁ、はぁ…」
しかし、真っ白。どこまで行っても真っ白。あまりに白く、あまりに無変化の景色にレリアの足取りも鈍化してくる。
レリアの動きは自然と、自分に残された体力、人ひとりを担いだ重さ、吹雪という前方の抵抗力など全てを考慮した釣り合いの結果として現れる。一定の歩調、一定の呼吸、一定の気分。
この世界は無限に続くんじゃないのか。
この無限の世界の一部に自分はなってしまったんじゃないのか。
脳裏にちらつくそんな可能性に、レリアは込み上げる涙を堪える。
進む。進む。進む。
兄の言葉を思い出しながら。
“この世に限りないものはない。この世のものはすべて有限だ„
なんて学者めいた兄が14歳の時、幼いレリアに教えてくれた言葉である。当時、宇宙を恐れていたレリアは、兄の言葉にとてもとても救われたものだった。
今も若干、救われた気がする。