はじめまして、猫さくらと申します。
これから、私の創作小説を不定期で書いてみようかなと思います。
注意事項
*荒らし、アンチはやめて下さい。
*初めて書くので、下手な部分も多々あるかと思いますが、そこはどうか目をつむって頂きたいです。
*感想、又はもっとこうした方がいい、こういうところが分かりにくいなどの、文章に対する意見はOKです。
*頑張りますので、よろしくお願いします!
あらすじ
時は第三次祖国戦争が始まって、十六年。士官学校を卒業する予定の新米軍人レリアは、校長から自分が所属する部隊(つまり自分の就職先)が世界最強だといわれる超エリート部隊であることを知らされる。
超凡人でドジなレリアが何故?
実は彼女は士官学校で秘密にしていたことがあった。それは「自分は魔法を使える」ということ。
実はその部隊はレリアのような「異能力者」の集まりだった。
いざ入隊してみると、奇人変人だらけでトラブル続き、人使いが荒い司令官に振り回されて超ブラック環境、さらには毎回命がけで戦う日々。レリアが目指すはお金持ちになって、いずれはいい男と結婚してのんびりと暮らすこと!
なのだが、これじゃあいつまでたっても叶えられないじゃないか、と嘆く日々。
あらすじを見て分かると思いますが、ジャンルとしては一応戦記・魔法物です。そこのところよろしくです。
では、始まります!
第1話
「あれだけ非常ベルが鳴っているというのに!人生初めての戦場で、寝坊しましたというのはどういうことだ!?」
黒髪をボブカットにし、前髪からは緑の双眸をのぞかせる、中性的な容姿をしたジークという名の兵士が少女と向き合う体勢で叱っていた。
「すみません。本当、すみません!」
一方、叱られている本人、レリアは申し訳無さそうに直立不動で何度も頭を下げていた。
プラチナブロンドの髪を後ろで一つに束ね、澄み切った青い目はジークを見ていた。
新米兵士である彼女は、初任務であるにもかかわらず、早朝から鳴り響く非常ベルに気づかずに爆睡した。
そして遅刻してしまい、上官に今大目玉を食らっているのだった。
「ふん、謝罪はもういい。お前の実力を結果で示せることが出来たなら、許してやらなくもない、私は優しいからな」
上官は頬杖をつきながら真顔で言った。
「あ、はい…………………」
「ん、どうかしたか?」
上官はレリアに尋ねるが、それに対して彼女は首を横に振った。
私は優しいからな、という言葉をサラっと言うとは相当自分に自信あるんだろうな、この人。とレリアが思ったことは秘密である。
「位置につけ、お前の力量を測ってやろうじゃないか……」
緑の双眸が、レリアの澄み切った青い瞳を射抜く。
「……っ!」
レリアには一つ心配ごとがあった。それは。
自分の「異能力」で、自分以外の人が死なないか、というものだった。
第2話
みんな死んだ。
冬の猛吹雪がレリアを責め立てるように降り注ぐ。視界は最悪。足元も最悪。気分も最悪。レリアは両腕を交差して吹雪に抗い進む。
「超凡人でドジってのはァ、嘘だ!」
「お前には、金もいい男も、手に入らねェよ!」
「お前のせいでみんな死んだぁぁぁぁ」
しつこい程に浴びせられる罵倒と吹雪。吹雪をかき分けて、ブーツの意味を成さない積雪の地面をのっしのっしと一歩一歩を着実に辿る。
「お前は悪魔だ…悪魔だぁぁぁ!」
終わらぬ罵倒に段々と、レリアの眉が若干動き、困惑と不満が表情に浮き出てくる。
レリアの像のような足取りは、背中に負傷者、ジークを背負っているためだ。彼を背負っていなければもっと早く進める。
「お前のような悪魔に、頼ってたまるか」
「じゃあ、一人で進んでくださいよ!」
ーーどさりっ
レリアは彼を振り落とした。彼は雪に深く沈滞した。
「…どうすればよかったんですか?何をすれば私は正解だったのでしょう。魔法を使わなければよかったんですか?」
「そうしたら、死んでいたじゃないですか。私と、あなたも」
「メリーと死ぬことができたら、俺はそれでよかったんだよ…!」
レリアは、彼の胸元を力強く掴んだ。
「メリーはあなたに生きてと言っていました。彼女の気持ちを蔑ろにすることなんてできますか!」
「このおバカ!」
彼の一発頬へ、手袋に包まれる拳をぶつけた。彼の目から涙が溢れるたびに凍る。凍る涙は吹雪と共に去りぬ。ジークは拳を受けた後、一向に呆然として、瞳から色が消えた。諦念。そんな言葉を彼から連想させたレリアは、仕方なしに彼の腕を自分の背に回して、脱力した彼の体を支えることにした。
「行きますよ」
目指すべきは、この雪原を越えた氷河の拠点。
「はぁ、はぁ…」
しかし、真っ白。どこまで行っても真っ白。あまりに白く、あまりに無変化の景色にレリアの足取りも鈍化してくる。
レリアの動きは自然と、自分に残された体力、人ひとりを担いだ重さ、吹雪という前方の抵抗力など全てを考慮した釣り合いの結果として現れる。一定の歩調、一定の呼吸、一定の気分。
この世界は無限に続くんじゃないのか。
この無限の世界の一部に自分はなってしまったんじゃないのか。
脳裏にちらつくそんな可能性に、レリアは込み上げる涙を堪える。
進む。進む。進む。
兄の言葉を思い出しながら。
“この世に限りないものはない。この世のものはすべて有限だ„
なんて学者めいた兄が14歳の時、幼いレリアに教えてくれた言葉である。当時、宇宙を恐れていたレリアは、兄の言葉にとてもとても救われたものだった。
今も若干、救われた気がする。