私の名前は坂川美雨(さかがわみう)。高校1年生だ。
顔は良い方でも悪い方でもない。というか自分でもよくわからない。青春というものも経験したことがない、普通の女子。
私は双子に挟まれている。というのも坂川家は7人家族。高校3年の双子、私から言えば2人の姉、真奈と麗花。そして私の双子の妹、中学2年生。名前は歩実と佳奈。もちろんみんなこの5人この私を抜いた4人に注目するだろう。それが嬉しいのか最近私を見下してくる。
「…まるでシンデレラみたい」
「ねぇ何がシンデレラなの?」
登校中、急に話しかけてきた。なんだこいつ。ああ、同じクラスの小柳か。クラスの女子はほとんどこいつに惚れてる。小柳のどこがいいんだか。
「いや、なんにもない」
「え〜気になるんだけど」
あーもう。こいつといたら気が狂う。
「じゃあね」
「え、待ってよ!」
走って走って。息切れしながらも正門に着いた私は後ろを振り返ってみた。
「やっ!」
え。あれだけ走ったのに何で?どうなってんの。
「あははw?って顔してるwウケるw」
「…。」
こういうチャラいタイプは苦手だ。
「ねぇさっきから何なのあんた…。」
「やめてください。美雨ちゃんは僕の彼女です。」
……は?いつから私、小柳の彼女になったの…?
「あっそ。」
麗花は髪から手を離して逃げていくように走って行った。
「おれらも教室戻ろ!」
私の手を引っ張り、1−Bまで走る。
走って走って。1年教室がある北校舎に向かった。
教室はとても賑やかに各々お弁当を食べていた。
「…はぁ」
自分でも何があったか分かっていないのに、その混乱を余計に小柳がかき混ぜてくる。
鞄から朝コンビニで買ったサンドイッチとフルーツジュースを出し、机に座ろうとした瞬間、
「一緒に昼食べん?」
小柳がちんまりとしたお弁当とスープジャーを片手に持ち、私の机にやって来た。
「何で?」
「…理由なんていいじゃん!というかわざわざ椅子持って来たんですけどー。」
「あぁもう、はいはい分かった。」
「やったねー♪」
口にサンドイッチを頬張り、小柳のお弁当を見てみるとおにぎりはお弁当箱がべたつかないようにラップに綺麗に2個包んであり、ピックに枝豆とソーセージが刺さっている。
「私より女子してんじゃん…。」
「?」