双子に挟まれた女子

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1:&◆L.:2023/08/16(水) 13:09

私の名前は坂川美雨(さかがわみう)。高校1年生だ。
顔は良い方でも悪い方でもない。というか自分でもよくわからない。青春というものも経験したことがない、普通の女子。


私は双子に挟まれている。というのも坂川家は7人家族。高校3年の双子、私から言えば2人の姉、真奈と麗花。そして私の双子の妹、中学2年生。名前は歩実と佳奈。もちろんみんなこの5人この私を抜いた4人に注目するだろう。それが嬉しいのか最近私を見下してくる。

「…まるでシンデレラみたい」

「ねぇ何がシンデレラなの?」

登校中、急に話しかけてきた。なんだこいつ。ああ、同じクラスの小柳か。クラスの女子はほとんどこいつに惚れてる。小柳のどこがいいんだか。

「いや、なんにもない」
「え〜気になるんだけど」

あーもう。こいつといたら気が狂う。
「じゃあね」
「え、待ってよ!」

走って走って。息切れしながらも正門に着いた私は後ろを振り返ってみた。

「やっ!」

え。あれだけ走ったのに何で?どうなってんの。

「あははw?って顔してるwウケるw」

「…。」

こういうチャラいタイプは苦手だ。

「ねぇさっきから何なのあんた…。」

2:&◆L.:2023/09/06(水) 18:20

「ねぇさっきから何なのあんた…。」

とっさに小柳に言ってしまった。

「んー?君に興味持っちゃって。って言ったら怒る?」

「はぁ? 何言ってんの。」

「美雨ちゃんは鈍感だねぇ…。」

「…だる。」

「えっちょっと待ってよ!!」

スタスタと早歩きする私に小柳はニヤニヤしながら小声でボソっと何かを言った。

《キーンコーンカーンコーン》

一時限目が始まった。シャーペンでノートを取りながらもも朝のことを思い出す。

小柳の方を見ると真面目にノートを取っている。意外だ。

でも久々にあんなに人と話したかも。

姉達と妹達に見下されてずっと部屋にいたからか、なんだか心がスッとした。

ぼーっとノートを見つめる。
何だか線がゆがんで見える。

「あれ…?」

おでこを触ってみると、とても熱い。

座る姿勢を維持できなくなり、美雨は床に倒れてしまった。

教室中からざわざわ声が聞こえる。
まあそれはそうだよね。授業中に人が倒れたんだもん。
もうどうにでもなれ…。

「ぼ…が連れ…きます」

…この声は小柳?私の記憶はここで途切れてしまった。

3:&◆L. お久:2023/09/16(土) 18:50

「…保健室?」

目覚めるとそこは保健室のベッド。
起き上がると保健室の先生からの書き置きが机の上に置いてあった。

『出張行ってます。熱もなさそうだから、気分良くなったら教室戻っても良いよ』

「『教室戻ってます。 坂川』っと…」

書き置きの右下に小さく書いた。

保健室から出ようと扉を開こうとした時。雲りガラスに写る後ろ姿。これは…

「小柳…!?」

茶色っぽくて黒い髪色。
あのおしゃれな立ち方。
あれは間違いなく小柳だ。

小柳にお礼言わなきゃ。

扉に手を触れると、

「あれ〜小柳くん?」

「…!麗花…」

麗花は真奈と双子の姉だ。

「小柳くんどーしたのぉ〜?」

あのネチャネチャとした喋り方と声。…嫌いだ。

「坂川先輩!えっとですね、美雨ちゃんが倒れたので保健室に…」
「あ?美雨を?」

…小柳は私が姉から見下されていることを知らないから…やってしまった。

「美雨なんてどーでもいいからさ〜私とお昼食べない?ホラ、もう時間も時間だし!」

「えっとその…」

麗花が小柳の手を引っ張る。

  ガラッ

「美雨ちゃん!?」
「美雨…!」

「やめて麗花。小柳いじめないで。」

「はぁ?いじめてなんかないわよ。 あーもうムカつく。ブスは黙ってろよ!!!」
「っ…!」

麗花が私の頭を掴んで髪を引っ張る。

「やめてください。先輩。」

「小柳…!」

4:&◆L. short:2023/09/17(日) 18:00

「やめてください。美雨ちゃんは僕の彼女です。」

……は?いつから私、小柳の彼女になったの…?

「あっそ。」

麗花は髪から手を離して逃げていくように走って行った。

「おれらも教室戻ろ!」

私の手を引っ張り、1−Bまで走る。

5:& ただいま:2024/02/18(日) 17:14

走って走って。1年教室がある北校舎に向かった。

教室はとても賑やかに各々お弁当を食べていた。

「…はぁ」

自分でも何があったか分かっていないのに、その混乱を余計に小柳がかき混ぜてくる。


鞄から朝コンビニで買ったサンドイッチとフルーツジュースを出し、机に座ろうとした瞬間、

「一緒に昼食べん?」

小柳がちんまりとしたお弁当とスープジャーを片手に持ち、私の机にやって来た。

「何で?」
「…理由なんていいじゃん!というかわざわざ椅子持って来たんですけどー。」
「あぁもう、はいはい分かった。」
「やったねー♪」

口にサンドイッチを頬張り、小柳のお弁当を見てみるとおにぎりはお弁当箱がべたつかないようにラップに綺麗に2個包んであり、ピックに枝豆とソーセージが刺さっている。
「私より女子してんじゃん…。」
「?」


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