屋敷の前に物乞いが
ぼろ布まといやってきた
奥様どうかこの私
雨風しのげる馬小屋に
一晩泊めてくださいな
屋敷の奥様優しくて
物乞い哀れに感じては
善意のナイフを剥き出しに
ニコニコ笑顔で差し出した
一晩といわずいくらでも
ぼろ布だけでは寒かろう
私に不要な服の山
物乞いあなたにゃ必要だ
哀れな物乞い悲しくて
涙をぽろぽろこぼしては
優しい刃物を胸に刺し
何も言わずに泣いていた
奥様怪訝な顔をして
なぜ泣くのかと問うてみた
物乞い悲しく目を伏せて
なんでもないと呟いた
ぴゅうぴゅう かぜが ふきあれる
くるくる おちばが まいおどる
かれはの だんす たのしげに
じかんも わすれて おどってた
ぴいぷう かぜが よわくなり
おちばも しずかに ゆられてた
そよそよ かぜに なびかれて
かれはも しずかに ねむってる