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>>23
恋味*ドーナツ、いかがですか?
☆1話☆
私、君島ゆも。
『君島ドーナツ』の一人娘!
ゆもって、珍しい名前でしょう?
えへへ。
私にも、意味がわかんないんだ。
もうちょっと、わかりやすい名前にしてもらっても、良いよね。
「ゆもちゃーん。ドーナツお願い!」
途端に、私はパアッと明るくなる。
ウチのお得意様、夏音さん!
「はいっ!どうぞ〜」
夏音さんと一緒に、いつも通りカッコイい人たちがいる。
目の保養だよ〜。
「いつも、お手伝い偉いよね!まったく、みんなにも見習ってもらいたいわ!」
夏音さんが、愚痴る。
大柄な人が、目を輝かせて、私を見つめる。
何・・・?
「いつも美味しい、『どーなつ』とやらを作ってくれてるのは、あなたか!」
ええっ!?
そんな、大げさに言わなくても・・・。
呆れたように、イケメンさんがなだめる。
「近藤さん、いい加減止めてください・・・」
だよね!
でも、素直に喜ばれて嬉しい・・・。
「はいっ!頑張ります!また、食べに来てくださいね」
ニコッと微笑み、見送ろうとすると・・・。
夏音さんが、苦笑した。
「代金もらわないとダメじゃない?」
ああっ!
代金〜っっ!
☆2話☆
って言うのが、一昨日。
でも、なんか夢みたい・・・。
素直に誉めてくれるなんて。
喜んでもらえて嬉しいなぁ〜。
「ゆも!城里さまのとこに、配達に行ってきなさい」
ええっ!?
配達制度〜?
でも、スゴいワクワクしてる。
「行ってきまーす」
さぁっ、いざ出陣!
・・・と武将気分で出発。
ピンポーン
「『君島ドーナツ』です!配達に上がりました」
ドキドキ。
「ハーイ!」
夏音さんの明るい声。
爽やかだよ、相変わらず。
ドアが開いて、夏音さんとイケメンさん“その二”がいた。
「ありがとう、ゆもちゃん。上がってく?」
うえっ!?
そんなの、良いのかなぁ・・・?
「私たち、お客様と店員さんじゃないわよ。友達じゃん」
夏音さん・・・。
私は、とってもドキドキして高鳴る胸を抑えながら、夏音さんの家に上がった。
☆3話☆
家は、いたって普通に綺麗だった。
「汚いけど、上がってって」
汚くないよっ!
私の部屋より片付いてて、綺麗・・・。
と、夏音さんが笑った。
「聞こえたよ。ありがとう」
ほへ?
も、もしかして・・・。
心の声、だだ漏れ〜!?
「はいっ!ゆもちゃん特製の愛情たっぷりドーナツだよ〜」
ひぁ!?
夏音さん、うそ言わないでください。
と、ぬうっと大柄な人が私を見て、ニコッ。
「いただきま〜す!」
わぁっ、こんなに喜んでくれるなんて。
嬉しい。
「あのっ、お名前、教えてくれませんか?」
サービスしたいし。
「ふぉんふぉうふぃふぁみ」
はっ?
ドーナツのせいか、聞き取りにくい。
夏音さんが、通訳してくれる。
「近藤勇さんよっ!」
近藤さん!?
なんか、聞いた覚えがある名前だな・・・。
あっ!
もしかして!
「新選組の〜!?」
夏音さんが驚いてる。
なんで知ってるかって?
親友の真綾が好きな歴史人物だから!
うるさいくらい聞いている。
「やっぱ、近藤さんって、男の中の男だよね!カッコイい〜」
って、言ってたもの。