書いたはいいが行き場のない短篇群を投げるところ
乱入おけなのでアドバイスとか感想くれたら....いやなんでもないです(白目)
『タルパ』
「タルパ?なんそれ」
背を丸めて読書に耽っていた君は、唐突な私の言葉に反応するように、気怠そうな視線を虚空に移し言った。
全く君の横顔は美しくて困る。
「チベット密教に伝わる秘奥義だよ。「無」から霊体を人為的に作り出す術なんだけれどもね」
「あはは、なんじゃそりゃ」
君は目を細め、涼しげで整ったその顔を綻ばせた。血色のいい君の頬は、窓から射し込む光に照らされて、静かな輝きを帯びて見える。
もし君に触れられたら、君はきっとやわらかくて暖かいのだろうなあ。
「もう、笑い事じゃないよ!結構危ない術なんだよ?素人が何も知らずうっかり作ってしまった霊が、暴走を起こして術者をそのまま祟りころしてしまう事例もあってだね」
「はいはい。相変わらず君はそういうのが好きだねえ」
そう。私は好きなんだ。君のことが。
だからこそ、私は君に言わねばならない。
君への愛が止まらなくなる前に。
私が君を祟る悪霊に変わってしまう前に。
『桜の樹の下には』
僕の留学先、ドイツの片田舎。
僕の仮住まいである小さなアパート、その近隣に位置する公園には、一本だけソメイヨシノが植わっていた。
遠い異国の地に埋められた我が故郷の木は凛然と聳え立ち、淡い桜色の花弁でその身を飾っている。陽の光を浴びて輝く真っ白な花を付けたその大樹は、美しすぎて嘘くさい。
留学した当初、ドイツ人の友人に嬉々として案内されたが、その桜が僕の心に望郷の念を呼び起こす様なことは未だない。
「やあ、今日もきたんだねえ」
桜を見上げる僕に、のんびりとして少々低い、落ち着いた声が投げかけられた。
黒々とした髪に桜の花弁を付けて、今日も君は桜の木の下で佇んでいる。
君は風に舞う桜の花弁には目もくれず、白い陶器のような頬に薄っすらと傍若無人な笑みを浮かべ、澄んだ瞳で僕を見据えた。
「こ、こんにちわ」
「ふふん、まだ緊張しているんだね」
西洋人形のような顔立ちをニヤリと歪ませて、君は、挨拶と共に低頭した僕の頭にポスンと手を置いた。そしてそのままわしゃわしゃと撫でる。
何故だか少し面白そうだ。相変わらず君は腹の底がよく分からない。
___ソメイヨシノは明治初期、人工的に造られたクローンの桜だ。
ヤマザクラの様に葉が混じることはなく、似た色形の花だけが一斉に咲き誇り、一斉に散ってゆく。
自然の摂理と切り離されたその情景は、どこか不確かで気味が悪い。
「君、私が怖いと思ってるだろ?」
「そ....そんなことないですって」
彼女の心もこの桜も、全くもって得体が知れない。人工的で不気味なのに、僕を惹きつけてやまない。
君とこの桜はよく似ている。
>>2は語り手がタルパで呼び出された霊で、語り手の言う「君」はそのことに気が付いてないって設定なんだけど分かりにくいだろうか(白目)
5:ヒツ◆.o hoge:2018/11/07(水) 20:26 『桜の樹の下で』
遠い異国の地から来たこの桜は、元は一つの木であったらしい。一年前、君が初めての逢瀬で教えてくれた話だ。
風の揺らめきと共に匂い立つ桜の下、柔らかな芝生を踏み、君は桜を見上げている。茶色の瞳に桜色を宿して、ただ静かにそこに屹立している。
「やあ、今日も来たんだねえ」
声をかけると君の顔色は驚嘆に支配され、両の頬は桜色を帯びた。余りにも分かりやすいので面白い。瞳を逸らす君に薄い笑みが零れてしまう。
「こ、こんにちわ」
「ふふん、まだ緊張しているんだね」
硬い声音と共に低頭する君の頬は、一層紅潮している。ムクムクと湧く羞恥心を隠すようにして、私は君の頭を気の向くままに撫で回してみた。
___ソメイヨシノ、人間なんぞに支配された軟弱な木。
明治初期に人の手で造られたというこの花は、鮮やかに芽吹いて春の訪れを告げ、刹那、散ってゆく。
君はどうせ私とこの桜が似ているとでも考えているのであろう。微量の恐怖を孕んだ君の横顔は、鮮やかに色めいている。
「君、私が怖いと思ってるだろ?」
「そ....そんなことないですって」
君の心の内も、それに応えられうる私の気持ちも、私としては既知の事実である。だが、君はいづれこの地から桜の如く儚く消えるのもまた事実。
私は桜色のこれを、憂愁の念と共に隠すのだ。
君とこの桜はよく似ている。
『別世界の旅人』
「...後輩よ」
「なんですか、先輩」
「僕は、別世界の旅人なのだよ」
夕陽に照らされて、昼とは異なる様相を呈す教室の窓際。
西の空を染める黄昏の光が窓から射し込むのを傍目に、私と先輩は二人きりで帰り支度をしていた。
運動場から響く運動部の掛け声や、音楽室から反響した吹奏楽部の合奏の音色が、こじんまりとした教室の静寂を乱している。
私は目を細めた。
もちろんこの表情は、先輩への呆れみと同情心からくるものであり、それ以外の何物でもない。むしろ他の要因が思いつかない。
「おやまあ、なにやら不満気だね、後輩?」
「いや...先輩....」
先輩は、邪眼系中二病がメディアで専ら痛い奴の代名詞として取り上げられ、世間一般にも周知されて久しい現代、時代錯誤も甚だしい絶滅危惧種の純・邪眼系中二病患者である。
それこそ、その言動は中二病当事者たる中学二年生も裸足で逃げ出す代物で、自らを中世欧羅巴を股にかけた謎多き貴人・サン=ジェルマン伯爵だと吹聴したり、やたら難解な言葉を並べた理解に苦しむような詩を呼吸の如く撒き散らしたり、日頃からその中二病的膂力を磨き上げることに余念がない。
「先輩、事実無根という言葉をご存知です?」
「失礼だなあ...知っているさ」
「先ほどの先輩の発言はこれに当てはまります」
頬杖をついてむすっと先輩を見据える私に、先輩は切り返す。
「いいや、もちろんこの発言は事実に則ってのことさ。
キミは知っているかい、眼は別世界の窓であるという一節を」
「は、はぁ....」
先輩特有の不可思議中二病ワールドに当惑の念を募らせて唸る私に、先輩は濡れ烏色の艶やかな髪を揺らし、その整った顔立ちに不敵な笑みを浮かべた。
認めるのは悔しいものの、先輩は眉目秀麗である。それこそ先輩が先輩たる所以であり、彼が纏う胡散臭くもミステリアスなオーラの源泉だ。こんな箇所にまで顔面偏差値の影響が及ぶとは、世の中は不公平なものである。
「....毎回言ってますが、先輩がそうおっしゃるのであれば明確な証拠をご提示くださいよ」
「ふふん、証拠がほしいのかね」
眉間に皺を寄せて不満気に喋る私に、先輩がニヤリと口角を上げた。
束の間。
唐突に、私の頬に大きな手が触れた。にわかに訪れた、ひんやりとした感触に驚く。それは先輩の手であった。
そして、あろうことか、先輩は蛇に睨まれた蛙の如く硬直した私に、身を乗り出して顔を近づけてきた。
人間の脳というものは複雑怪奇であるが故に、想定外の出来事に対し咄嗟に情報を処理できず、固まることがままある。
私もその例に漏れず、私の思考は停止状態に陥っていた。結果、いつもの回避行動が取れず、私は先輩の瞳に映る自分の惚けたような表情を見続ける羽目になってしまった。
....私が先輩を突き飛ばしてしまうのも無理はないというものである。
「ギャー!!なな、何をするのです!先輩のえっち!」
「おっと...えっちとは失礼な」
「いきなり乙女の唇を奪おうなど...など..」
「...唇を奪う?ふふ、違うよ
僕は君の世界を覗いたんだ」
「へ、せ、せかい...?」
先輩は私の反応にケラケラ笑いつつ、再び私を真っ直ぐ見据えた。
勘違いの恥ずかしさと、いきなり根無し草理論で軽率な行動を取る先輩への怒りを逸らすように、先輩を視界から外す。運動場で走り込みをしていたサッカー部が、いそいそと後片付けを始めるのが窓越しに見えた。
「君自身は堅苦しい真面目ちゃんなのに、君の世界は随分と桃色なんだねえ」
「な、そんなことないです!」
先輩の言う桃色がなにを指すのか要領を得ず、私は明確な反論も出せず口ごもる。
「...先輩、突き飛ばしたことと先程の勘違いは謝ります。ですが、まさか女の子にみんなこんな事やってるんじゃ」
「あはは、僕はそこまで破廉恥漢じゃないぞ。特別に思っている子にしかやらないさ」
軽率に口走る先輩の声色は日頃より散見される通り歌うように軽やかで、真剣味のカケラも見当たらない。先輩があまりに恥ずかしげも無く言うものだから、私が二倍の恥ずかしさを背負わねばならないのが癪に触って、私は溜息を漏らした。
先輩の真意は分かりかねるが、一連の言動がどうせ私をからかってのことであるのは先刻ご承知である。
腹の底に沸々と湧く寂しさを押し潰しつつ、私は言った。
「...先輩、閑話休題です。もう、帰りましょうか」
黄昏時が終わりを告げ、地平線沈む太陽が空を紅に満たしている。天頂には仄かに夜の色が混じり、一番星の金星が輝いていた。夜の帳が降りて、満天星空が私達の街を覆うのも近いだろう。
先輩が本当に別世界の旅人であるならば、私の世界を旅できるのであれば、私はここまで苦悩することもない筈だ。つくづく突飛なお話である。
視界の端に映る先輩は、何故だか俯いている。
私は先輩の手を取った。
ヒツは「おもちゃ」「糸」「無敵のカエル」を使って創作するんだ!ジャンルは「大衆小説」だよ!頑張ってね!
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診断メーカーより
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