夜中にスレ立てごめんなさい
占ツクとかにも一応生息してるんですけど、そこでは書けない短編とかを細々と投下するための場所です
ちょっと腐、NLっぽいかも…
とりあえず自己紹介すべき?
掲示板で書くのは始めてだからよくわかんないや
【コテハン】H.K
♀/10代後半/微腐
烏野二年/ベンチ組/条善寺/伊達工が好き
ただし書くのが上手とは限らない
早速書いてく٩( 'ω' )و
【戻れなかった二年生の話】名無し視点/捏造
【page.1】
「サボってすみませんでした!」
放課後、第二体育館の近くを通りかかった俺の耳に聞き慣れた声が届いた。
練習に参加させてください、と続けるその声の主は縁下力。
クラスは違うけど数日前までは同じ部活に所属していたし、名前も顔も特徴的だったからよく覚えている。
そうか、あいつは戻るのか。
ぼんやりとしながら足を止める俺の前を縁下が駆ける。
「あ――」
縁下は足を止めて俺を見ると、名前を呼んだ。
練習中に出すのとは違う穏やかで聞き心地のいい声。
「戻るなら着替えていけよ」
縁下はそれだけ言って去っていく。
その後ろ姿は、バレー部から逃げていた時より頼もしく見えた。
強要してこないところが縁下らしくて、俺の涙腺は僅かに弛んだ。
しかし、足の爪先は体育館の方を向かなかった。
ごめん、縁下。
声かけてくれたのに応じることができなくて。
俺はお前みたいに強くないんだ。
「おせーよ」
校門を出れば、友人の姿があった。
俺は作り笑いを浮かべて軽い口調で謝り、烏野高校から遠ざかった。
とりあえずここまでにして寝る、次浮上するのは起きた後か夕方頃とだけ
6:H.K◆xE:2015/10/18(日) 19:49 ID:ERY 【page.2】
翌日、帰宅する途中縁下のことを思い出した。
あいつは戻れたんだろうか。
そんなことを考える俺は、少なからず未練を抱いているのかもしれない。
足の爪先は第二体育館を向く。
足音がバレることなんてないのになぜか忍び足になっていた。
半開きの重々しい扉の向こう側には、縁下だけじゃなく、成田と木下も居た。
少し気まずい表情を浮かべているが、パス練を始めれば徐々に消えていく。
あいつら二人は俺と同じように逃げた、けど恐らく縁下の言葉で戻ったんだろう。
それにしても静かだ。
あの少し老いた声が、よく通る低い声が中から聞こえない。
黒目を動かしてあの立ち姿を探してみるが、どこにも見当たらない。
名称と呼ばれてた“烏養監督”の姿は、ない。
なんで、と口が動く。
答えてくれる人は居ない。
「……ん?」
長く見すぎていたのだろう、視線に気付いた澤村先輩が扉の方を向いたかと思うと駆け寄ってくる。
俺は身長が170pに届かない分 俊敏さには自信がある方だったけど、この時は足が動かなかった。
がらがら、と目の前で音が立てられれば沢山の目がこっちを向く。
いやだ、こっちを見るな、そんな目で俺を見るな。
「…………す、すみませんっ……!」
澤村先輩が声をかけてくるけど、俺は自分の声で掻き消した。後退りをして、逃げる。
後ろから澤村先輩の声がした、ような気がした。
――俺は弱い、肉体的にも精神的にも。
改めて実感して無力さが腹立たしくなる。
立ち止まり、ふと見上げてみれば憎いほどの晴天が広がっていた。
懐かしいスレ掘り出した
続き書こうかな…二期終わったし
あれ、酉違ってた
思い出せないから新しいやつで書くか
【page.3】
夏が終わり秋となり、冬が過ぎた。
三月、宮城の気温はまだ低い。
退部して数ヵ月が経過した俺はバレーへの興味も薄れつつあった──
「昨日、なんで部活来なかったんですか」
ある日の放課後。
下足棟に向かう途中聞いたことのある声が耳に届いた。その言葉で古傷がちくりと傷む。
声がする方に視線を向けてみると俺よりも6pほど低い、けど精神的にも肉体的にも強いかつてのチームメイトが居た。
その近くには俺がバレー部だった時にエース候補と言われていた、東峰先輩。
「新年度になったらすぐに高総体なんですよ」
西谷の瞳はしっかりと東峰先輩を捉えている。
それに耐えられなくなったのか、顔を逸らす。
「…決まんないスパイク打ったって何も楽しくないからな」
何があったのか詳しくはわからないけれど、きっと逃げたくなったんだろう。
楽しくなくなるほどの“何か”があったのか。
「お前だって拾っても点に繋がんないなら虚しいだろ」
──本当にそう、思ってるんだろうか。
表情は俺の位置から見えない。
身長が高くて筋力もあって俺がひっそりと憧れてた東峰先輩がそう思ってるだなんて、認められない自分が居る。
「スガも俺が止められる度 責任感じて──」
「他の奴がどう思うかなんて関係ねえよ!」
西谷の叫びが言葉を遮る。
その迫力に俺の体がびくり、と震えた。
手前の扉から誰かが顔を覗かせた。
「こらぁ、誰だ大声出してるのは!」
げっ、教頭だ…!
西谷は注意する教頭の声なんか耳に入っていないのか、西谷はそれでも続けた。
「あんたはまたスパイク決めたいって思わないのかよ!」
ずしり、とその言葉が胸にのし掛かる。
ああ、俺がまだ退部届けを出してなかった頃もこんなことを言われたっけ。
そんなことを考えているうちに旭さんは去っていく。
「旭さんっ!」
「廊下で騒ぐんじゃない!」
「うるせぇっ!!」
西谷の肩に手を置く教頭、それを振り払う。
ふらついた教頭の肘が近くに置いてある花瓶にぶつかって床に落ちて割れる音が響いた。
「西谷っ……!」
ダメだ、それはまずい。
そんなことをしたらお前は──
【page.4】
一週間の自宅謹慎。
約一ヶ月の部活禁止。
それが西谷に言い渡されたことだ。
西谷は素人の俺から見ても上手だ。
中学生の時は賞をとったと聞いている。
リベロで、ばんばんレシーブを拾っていた。
最初はとにかくスパイクをしたがっていた俺だけど、西谷のプレイには憧れた。
そんな西谷に耐えられるんだろうか──
三学期が終わり春休みとなる。
俺はこの春休みからバイトを始めることにしていた。坂ノ下商店だ。
その先の店番の人の苗字には聞き覚えがあった。
「烏養繋心だ」
烏養。その言葉に動きが固まる。
目が見開いてしばらくは瞬きも忘れた。
「う、烏養ってあの…バレー部の名将の…」
言葉が巧く出てこない。
本人ではないことは確かだけど、俺がバレー部に居た頃からこの店番をやってる人があの烏養監督と関わりがあると思うと──
「ああ…うちの爺さんのことか。もしかしてお前、バレーに興味あんのか?」
「え、あ、その…一応前に少しだけやってて」
うろたえる俺を烏養さんが凝視する。
顔に何かついているのだろうか。
「…ああ、お前去年バレー部に入ってた奴か」
通りで見たことのある顔だと思った、と烏養さんは続けた。
俺はあの頃より身長があまり変わっていないけど、髪だって伸ばしたしちょっと明るくした。
顔にこれといった特徴はないからすぐに思い浮かばなかったんだろう。
「……はい、何か、すみません」
これからやっていけそうにない。
けど、ここでまた逃げたらあの時と同じだ。
「お前があの爺さんが言ってたチビか…」
「チ……っ!? ひ、酷い…」
そんなこと言ってたのか…。
確かにあの時の俺は162pくらいしかなかった正真正銘のチビだけど…
「ほぼ初心者のわりには物覚えが良くて教え甲斐がある、と言ってたが…辞めたのか」
「っ!?!?」
「とまぁ…バレーの話はここまでにするか。今から教えていくからちゃんと覚えろよ」
「は、はい…」
これからこの坂ノ下商店でやっていけるのだろうか……