葉っぱ今度こそやめるんで、卒業にちなんだ二次創作を何個かそっきょうで作ります。
暇な方はどうぞ。ご覧下さい。
正直、神楽はうんざりしていた。
校長や来賓の長い長い話に。
そんな神楽にお構いなしに話しはエンドレスに続く訳なのだが、いい加減椅子を投げるくらいしても良いんじゃないかと思えてくる。
きっと他の奴等も思ってるはずだ。
右隣の新八をふとみやる。
新八の目にはうっすら涙が浮かんでいた。
その様子に驚きを隠せずに神楽は空気をほのかに揺らす程度に「あっ」と言った。
今まで決して自分の前では涙を見せなかったあの新八が。泣くなんて。
なさけねーな。だから新八なんだヨ。
なんて、いつもなら言っているのに……言えない自分がいる。
今度は左隣のマダオを……
こっちは泣きもせずに、というか話を聞きもせずに内職の花を作っている。
思わず、拳をぶつけたくなったがなにもしないでおこう。
しかし、神楽のなかでは新八が泣いていることはショックすぎた。
そのショックは少なからず神楽が新八に対して男女間の好意を抱いているというこの小説の中での設定によるのだが、ここでは詳しく語らないことにしよう。
神楽が初めて新八に会ったのはこの高校に来てからの事だった。
留学早々、転がりながら近づいてきた新八に不意をつかれ、パンツを直で思いっきり見られたのも今は微笑ましい思い出。
そのあと、ボコボコにしばきまわして川に捨てたのが忘れられない。
その時の新八の心境は……後で語るとしよう。
とにかく、その後からも自然に二人は話すようになり距離は縮まったかに見えたが。惜しいところで卒業の時期が来た。
マダオにあったときの事は……覚えていない。
思えば、卒業したら生まれ故郷に帰らなくてはいけない。
家族ごと寮に住んでいるものの、生徒以外は原則立ち入り禁止なのである。
やだなぁ。皆に会えなくなるのは……
もちろん、新八以外にも神楽には沢山の思い出がこの学校にある。が、しかし、時間の都合上割愛させていただく。
はぁ、なげえな、話……
しかし、神楽は気づく。この話しはそんな私達のために長いのではないかと。別れをおしむ生徒達を少しでも長くひとところにいさせるための粋なはからいではないかと!
ありがとう! 今まで悪く言って悪かったな!
心の中のうんざりは晴れていた。
新八はこの三年間の思い出に終止符を打ってしまうこの式が恨めしかった。
この行事終わってしまえば一人残らずバラバラだ。いくら、皆の思い出があっても時間はお構いなしに人と人との繋がりを引きちぎって進んでいく。
そう思うと悲しくて仕方ない。
悲しくなるともう、止まらない。目の奥が一気に熱くなり涙がホロホロと流れ出てくる。
ダメだ。隣にきららさんがいるのに……。こんなとこ見せちゃ、ダメだ。
左隣の神楽の目線を感じる。
こいつ……泣いてる僕を見て馬鹿にしてるのか?
神楽の気持ちなど、知らない新八は目線を無視した。
新八はずっと隣に座るきららに想いを寄せている。つもりだ。
あれは、ちょうど告白の勇気が出て踏み切ろうとした日の事だった。新八の性質上、そういう日に限って決まらないのが常である。
その日も盛大にミスをおかしたのだ。
廊下を歩くきららに向かって
「きららさーん! はなしたいことがあ……」
まで、言ったところで足がもつれて、こけた! こけた!だけならまだいいのだが、そのまま新八の体は前転を開始。見事その日来たばかりで、学校探検をしていた留学生の足元に滑り込んだ。
そのあと新八の身に何が起きたかは察していただければいいと思う。
ともあれ、そのあとは銀八先生の拳による素晴らしい仲裁を挟んで和解し、良き友となったわけだが、どうも主従関係のような壁を感じることが多々ある。
(告白の方は不発に終わったのだが。それはまた、別のはなし)
と、いうところでようやく涙も乾いてきたし、式も終盤を迎えている。
今日は、今日こそはきららさんに告白を!
もう、幾度となく思ってきた事。
もうすぐ。保護者代表の挨拶が終われば退場となる。
早くして欲しい気持ちと勇気が出ない分もうちょっと長続きして欲しい気持ちの板挟みになる。
緊張で腹まで痛くなってきた。
※
全く時間とは人間に対して厳しい。
新八の緊張が絶頂に達した瞬間、司会の
「卒業生、退場」
というアナウンスが会場に響き渡った。
おい嘘だろ……
ああああああああああ!
結果的に新八は会場の笑いを事となったのだが、あまり詳しく語ると彼の人権をおかしてしまうのでこれ以上は何も言わないでおこう。
ご想像にお任せする。
さて、所と時間を大幅に変えてここは謝恩会の会場の外で、時刻は7時を回っている。
そこにいるのは、新八と神楽……ではなくきららである。
何とか新八不運はいまのところ発動せずにいるので二人とも無事にたてているわけだが。
このまま黙ってても何が起きるか分からないので、とにかく新八は
「ずっと前から好きでした」
きららの反応は……
「その言葉……そのままお返し致します」
か、感想をめぐんでください……
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