お久しぶりの方はお久しぶり、はじめましての方ははじめまして。
アポロです。大量の別の小説の更新溜まってますが全て書く気でいますので安心してください。
ルールと注意です。
・荒らし、なりすましはNG
・原作に沿ったり沿わなかったり
・ここは私個人の小説ですのでリレー小説ではありません
・ここはみんなで書こう! と言う所ではないので私以外の小説の書き込みはNGです
・コメントは大歓迎です
・パクりや晒しに来たのなら速やかにUターンしてお帰りください。迷惑です。
・長編、短編を書き溜めていきます。
・女主、男主は恐らくチートかヘタレ。
固定ネームは『小原いおり』です。
プロフィール(女版)
小原いおり(16)
誕生日 …4/12
血液型…A型
個性……『剣炎』
身長……170cm
体重……52kg
髪型……肩上のショートカットに毛先が外に跳ねている黒髪。時々カチューシャをつける。
顔………イケメン、眼鏡着用
口癖……『大丈夫やろ』『くそが』
一人称…「こっち」「俺様」
備考
性格はクール。楽しいことは好きなのだがそれがあまり顔に出ず冷めていると思われがちである。クールだがそんなことはない。
口数はまぁ少ない方である、全くしゃべらないわけではない。関西弁。
身長が高く、胸さえ見なければ整った容姿と相まってイケメンになる。(胸はG)
彼女の個性、剣炎は掌やから剣を取り出したり、空中にいきなり炎を出してそこから剣を取り出したり。炎単体では汗は炎に変換しないが爆豪に似ている。
耳郎響香と居ることが多く、恐らくクラスで一番仲が良い。そのせいか男子からよく「発育が正反対」と言われる度にソイツ炎を飛ばす(主に峰田、上鳴)。
耳郎と仲が良ければ必然的に上鳴電気ともよく喋る。
とりあえず出席番号は切島鋭児郎の次。
身体能力でさえ高いのだが個性も相まり半分チート。
自分の個性に合わせて剣を使うために居合をしたり剣道をしたり、炎を使うために空手(威力重視)をしたり少林寺拳法(形重視)をしたりハイスペック。
勉強は普通。
ではでは!
いおりちゃんの画像(ヒーローコスチューム)
とりあえず顔
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全体
https://ha10.net/up/data/img/8861.jpg
次は小説です
すいませんミスりました。
全体
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次は小説です、ホントに
桃色の花びらの吹雪に舞われてこっちは制服姿で校門を少し越えたところで佇んだ。
ふわりふわりと桜が花を散らすなか、こっちは足を動かした。
ここで少しこっちの話をしよう。今日、こっちはここ、雄英高校に来るために大阪から上京してきた。関西弁は全く抜けないが、良いだろう。
**
入学式、と言うか話を聞いてから動きやすい姿でバスに乗り込み仮想地へと向かう。これが実技テスト。筆記の方は自己採点で満点を取っていたから大丈夫だろう。
さあ、ここからが大変だ。
受験生と共にいっせいに走り出した
.
実技テストも順調に終わって帰宅。きちんと合格できているだろうか、してくれないと困るなあ。とか考えながら家への道を辿る。
バスに少なからず揺られても、こっちの家は歩と近い。恐らくここら辺には人もいないだろう。
一軒家が立ち並ぶ住宅街の先にある一人暮しをし始めたマンションを目指しながらそう思った。
こっちは存外クールと言うもので、身長もあってかあまり人が寄り付かないのだ。
今は制服ではなく実技テスト時の体操服。体操服では(本当に)辛うじて胸が隠れ顔もあってか男に間違われる。それもあり、近寄りがたい人と思われることが多々。悲しきかな。
あ、実技テストの時遠くの方で雷バリバリ鳴ってたな。電気系だろうか、絶対事務所引く手あまただろあれ。
ふと足元に視線を向けるとキーホルダーの様なものが落ちていた。雷をあしらったようなそれに興味がなく、元の場所に戻そうか悩んでいると曲がり角から金髪つり目が勢いよく出てきてこっちの腹に頭突きを咬ました。
生憎鍛えているのでいたくない。それにどたんしりもちをついたのもそちら。少女漫画じゃキャッとか言って恋が始まるとかそんなんだろうけど、これは違うだろ。
金髪つり目は顔をあげて「悪い」と一言謝ってきた。おお、いけめんだ。
『……や、こっちこそすまん』
すっと手を差し出せば金髪つり目イケメンは一瞬呆けるも、「あんがと」と笑顔で手を取った。引っ張り起こして『こっち、小原いおり』「俺上鳴電気」と自己紹介をする。
どうやら上鳴も雄英高校ヒーロー科を志望しているらしく、受かって一緒のクラスになればいいなと話をする。
どうやら馬が合うらしく、下の名前で呼び合う仲になった。
ふと、電気が「あ」と声をあげる。視線はこっちのキーホルダーを持つ手へと注がれ『……これか?』とこっちは同じ様に視線をやる。
「それ俺の! 帰りに無くしてたのに気が付いてさー」
『……めっちゃ偶然やな。ほら』
キーホルダーを投げ渡すと「おー」と返事が返ってきて「じゃーないおりー」と電気はもと来た道へと帰っていった。
仲が良くなれたなぁとしみじみ思っていると、あることに気が付いた。
こっちは今体操服で、胸もギリギリ隠れている。顔立ちも身長も男。一人称もこっち。声も低い。
もしかすると電気はこっちの事を男と勘違いをしているんではないだろうか。
……もし彼と同じクラスだった時、不安である。
.
それから色々と終え、合格通知が着て、後に学校へ向かう。
採寸以来に着る雄英の制服に身を包んでいるが、どうにも胸回りが苦しい。
仕方ないかと観念し、玄関から外に出てがちゃりと鍵を閉める。これをするたびこっちは今一人やねんなぁと実感する。別に寂しいとは思わない。
電気に会うかなとか考えて道を歩いていくが、あいつは見た目からして早い時間に登校はしなさそうなので諦めた。
ふと、前を歩く少女が目に入る。黒く長いポニーテールが特徴だ、なぜだかとても育ちが良さそう。横まで来て顔をちらりと見てみればきりっとしていて美人さんだ。
まあこっちにはそれほど関係もないので通り抜けようとしたとき、その美人ちゃんが何かに「きゃ、」とつまずきふらりとバランスを崩す。
それを見て放っておけるたちでもないのでばっと腕を差し出して支える。
固く目を瞑ったらしく、いつまで経っても衝撃が来ないのに不思議に思ったのか恐る恐る目を開く彼女を少し心配げに見つめる。やがてこっちに気が付いたのか少しこっちの顔を見て、それから慌てて離れ「ごめんなさい、ありがとうございます」と律儀に頭を下げてきた。
『……いや、こっちはええねん。大丈夫か? 余計なことしてすまん』
「いいえ、貴方のおかげで怪我をしなくてすみましたの、ありがとう」
『そか』
それから、流れでその彼女と共に雄英まで歩く。心なしか顔が赤いのは気のせいだ。軽く自己紹介をして、二人ともヒーロー科に受かった、いやこの彼女は、八百万 百(やおよろず もも)ちゃんは推薦入学らしかった。すげえ。
『個性、強力なん?』
「そうですわ。私の個性は“創造”ですもの」
『創造なぁ。スゴいなそれ』
「あなたは?」
『こっちは剣炎。手のひらとか、空中に発生させた炎から剣取り出すねん。もちろん炎単体でも使える』
「戦闘向きですわね」
『せやろ? いやぁ、同姓に個性の事話したんはじめてやわ』
そういうと百は目を見開いて「あら、いおり君は女の子でしたの?」と驚いている。いやいや。
『胸、胸!』
「……私、そちらを見ていませんでしたわ」
『……結構目につく思うんやけどなぁ。スカートも履いとるやん』
どうやら百も男と勘違いしていたようだ。
そのあと、クラスが一緒で、『A組』へとこっちらは足を向けた。
.
切島side
教室に入って目についたのは俺の後ろの席に座る人物だった。突っ伏して眠るコイツの制服は女子制服。遠目に見て肩で息をするたび揺れる胸は明らかに平均的女子とは規格外のサイズである、でかい。傍らに置いてある眼鏡でインテリかとふと思った。
行きしなばったり出会った上鳴電気と波長が合いその女の事を話していた。
「顔どんなだろーな」
「あれでブスとか俺泣くぜ」
「それな」
そう言えば前に会ったいおりも眼鏡であんな髪型だったなと上鳴は呟くが「ソイツ男だろ?」と聞けば「おう。クール系関西弁イケメン」と返された。ならちげぇだろ。
そこに、一人の女子がやって来た。黒髪ポニーテールの美人である。
顔面偏差値たけぇなこのクラス。
「いおり君、制服皺になりますわよ。起きなさい」
『……おん』
こっち低血圧やねん。そういったその女はむくりと起き上がり眼鏡を掛けた。途端に上鳴が「は」と吃驚したように声をあげる。
その声に反応したのか、ふと視線がこちらにやられ、控え目に、だが無表情で手をひらひら振られる。え、誰に。
『……久しぶりやな、電気』
それに反応して「え、いおり?」と上鳴がそのいおりと呼ばれる女子を指差した。その女子の顔はそこらの男子が霞むほどのイケメンである。がたりと立ち上がったその女子は意外に身長が高い。
「いおり、え、男子じゃねぇの!?」
『お前やっぱり勘違いしとったか。ちゃうちゃう、こっち女やで』
えええ、と吃驚する上鳴にいおりと呼ばれる女子の隣にいたポニーテールは「私も最初見たとき間違えましたわ」と微かに笑って告げた。
女子でこれほどイケメンが居るのかと心底吃驚した今日だった。
.
『……』
ホームルームが始まるまで、こっちは音楽を聞くのに浸っていた。みんな各々友達や知り合いと会話をしている中、一人音楽を聞いているのは異色だろう、だがしかし。俺様はそんなこと気にしないのである。
「ねえ」
『……? なん?』
不意に正面から声を掛けられた。斜めの前髪ぱっつんちゃんである。席に座っているこっちは見上げるようにしてイヤホンを外した。
「それ、なに聴いてんの?」
『これか? ロックのバンド』
聴くか? とイヤホンを片耳差し出せば微かに顔を綻ばせてこくんと頷くロック系少女に可愛いと思った。
「ウチ、これ知ってるよ。いいよね」
『せやなぁ。このバンド、こっちは好きやねん』
彼女はどうやら見た目通り、ロックが好きらしい。名前は耳郎響香、個性はイヤホンジャックと言う音の個性だと言う。
「席も近いし、これからよろしく」
『おん、よろしゅう』
二人で笑って握手をする。響香はとても可愛いかったです、まる。……あれ、作文?
.
こっから原作沿いません、脱線キャラ崩壊です。
そしてまぁ色々あり、とりあえず身体テスト的な事をして今日は終わり。こっちはとんでもない記録を叩き出し成績トップ、めっちゃ注目浴びた。やめれ。
そしてそれを切っ掛けにクラスメイトと仲良くなった、やったぜ。
そしてなぜかめっちゃ女子が集まった。きゃっきゃと言いながらこっちの周りで楽しく会話をしている。
そんな中、耳郎が呟いた。
「いおりって、超イケメンだけど、性格が姐さんか姉貴みたい」
それを聞いたお茶子が「じゃあいおりくんは姐さんか姉さんだね!」とキリリと指を立てた。おい待てそれどういう意味。
『おいおい、ちょお待ちや。こっちそんな大層なもんちゃうって。こんないっぱい妹おらん』
「それでもいおりくんは姉貴なの!」
女子からそう叫ばれ「分かった分かった」と宥める。そしてそれを偶然聞いていた男子達が「小原は姉貴」と呟き出す。ちげぇだろ。
「姉さーん!」
『こっち姉貴ちゃう!』
「いいのいいの!」
『ええ……。まぁ、みんながエエんやったらエエんやけど』
「姉貴ー、ちょっと来てー」
『誰だ今男子で姉貴つったの!』
「「上鳴」」
『電気面白がるんちゃうぞボケ!』
こうしてクラス公認の姉貴ポジションになってしまったのです。ええ、メンド。
.
【爆豪と小原姐さん】
昼休み、爆豪は自席で一人昼食を取っていた。ふと、自身の喉が渇いていることに気が付き一人で悪態をつきながら立ち上がろうとした時、ことんと机に何かが置かれた。
未開封のペットボトルのお茶、それに差し掛かる影。爆豪は何事かと僅かに眉を潜め視線をやればいつもと変わらないポーカーフェイスの小原いおりが立っていた。
「んだよ、イケメン女」
『……』
A組の姉貴、小原はイケメン女と呼ばれ、だが視線をあちこちに散らす。「てめぇのことに決まってんだろ爆乳女」と不機嫌さを明らかにさせる。
遠目から女子にはらはらしたような視線が向けられている事に気が付いた爆豪はちっと舌打ちを咬ます。
『……爆乳女は心外やな、爆豪』
「何しに来たんだよイケメン女」
『ほら』
すっと机を滑らせて差し出された先程のペットボトルに爆豪はまたも眉を寄せる。「お前、喉渇いたんやろ」と言われ、図星だったので黙る。
『飲んどけ』
「要らねえよイケメン女! 何企んでやがる!」
『別になんも。ただお前を一人のクラスメイトとして平等に見とるだけや。ほなな』
それだけ告げて小原は自席へと足を向けた。一方の爆豪は少し面を喰らって唖然としている。やがて眉間に皺を作り、「くそが」と悪態をつきながらペットボトルへと手を伸ばした。
.
【上鳴と小原姐さん】
それは、唐突だった。
「いおりくんが姐さんなら、このクラスで姐さんの彼氏的存在って誰やろうね」
お茶子の一言に女子一同はうーんと唸る。不意に蛙吹が「いおりくん、このクラスで一番仲良い男子って誰?」といおりに問い掛けた。
女子一同、それと会話を盗み聞く1-A男子勢。いおりは表情を変えずに即答した。
『電気』
その一言でいっせいにバッと上鳴に視線を向けるクラスメイト。いおりは少し焦るが、それは上鳴も同じである。
「おいおい、なんでみんな俺んこと見んだよ」
「上鳴かぁ」
「上鳴なぁ」
「確かに姉貴が男で名前呼びしてんの上鳴だけだしな」
「上鳴くんといおりくんなら……」
「許せるかもしれませんわね」
「……上鳴チャラいけど姐さんが正して良い具合になると思う」
「「「「それな」」」」
そして葉隠は言う。
「みんないおりくんの弟妹になるの?」
「「「「そうだろ」」」」
なぜか知らないが上鳴が彼氏設定にされた。みんないおり姐さんの弟分妹分になった。不思議である。
.
【轟と小原姐さん】
休み時間、上鳴の席を借り、耳郎と好きな音楽の話で盛り上がっていたら、不意に背後から声を掛けられた。
「小原」
『……お、轟』
最近やけになついてくれた轟に笑う。轟は一瞬固まるがすぐにこう言った。
「先生にプリント運ぶのやらされてんだ。手伝ってくれねぇか」
『……ああ。おん、かまわんで』
ぴっと指差した教卓の上には高く積み上げられているプリント。これは一人で運ぶのは無理だと耳郎に断りを入れ、席を立つ。
『……轟、これどこ持ってったらええんや』
「俺も一瞬に行くから、ついてこいよ」
『……了解』
プリントを半分ずつ持って教室を出る。廊下を歩いていけば、そこは職員室で、失礼しますわー、と堂々と入った。
**
「助かったよ姉貴」
『轟までそれかいな』
がらりと扉を閉めて振り返ってそう言った轟に苦笑する。
『まあ、カワエエ弟分が頼ってくれるんは嬉しいな。また頼ってや』
「……そうする」
そこから数日。なぜかことあるごとにべったりになられた。……カワエエ。
**
同時刻、一方こちらは耳郎響香はめんどくさいと悪態をついていた。
「姉貴どこ!?」
「姐さーん!」
「いおり姐さんどこですのー!?」
「どこいったイケメン女!」
「さっき轟くんと出てったん見たよ!」
「とーどーろーきー!」
「轟が姐さん独り占めしやがった!」
いおりが居なくなればこれだ。クラスに居なくなるとみんな途端に騒ぎ出して煩くなる。どうやらいおりが目につくところにいないと不安らしい。
「で、アンタなにしてんの」
先程いおりが座っていた自分の席に素早く座った上鳴に耳郎は呆れた視線を送る。突っ伏してむくれている上鳴も上鳴でいおり大好き人間である。
「別になんもねぇよ……」
「……彼氏役は大変だね」
「うぅああああ!」
「メンド……。いおり早く帰ってきて」
ただひたすらに耳郎はそれを願った。
いおりが教室に入った瞬間みんなはドッといおりの方へ押し寄せたと言う。少なからず怖かったらしい(いおり、後日談)
.
【いおり姐さんとバイクと耳郎】
朝、ようやくバイクの免許を取ったいおりはマンションから降りて駐車場に向かう。今日からバイクで登校だ、先生には雄英の駐車場を使っていいと許可を得ている。
いおりはヘルメットを被ってエンジンを掛けハンドルをきった。
**
「いおり?」
『?』
バイクで走行し、信号につかまっていれば背後から自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、ヘルメットのまま振り返る。そこには鞄を持って登校中である耳郎が。
『響香、どないした』
「え、いおりバイク免許取ってたの?」
『おん。ああ、せや。ヘルメットも一個あるから乗れ』
いおりはちょうどいいとばかりにヘルメットを投げ渡し、後ろに乗るように催促する。耳郎は僅かに困惑しながらヘルメットをかぶり、バイクに飛び乗った。
そこで丁度信号が青にかわり、再び走行を開始した。
『ちょうど前にとってん、免許』
「ふーん」
『これから登校はこれやな』
「じゃあウチも乗せてよ、待ち合わせしてさ!」
『おん、かまへん』
いおりは続けて「後ろの席は響香のもんやな」と笑う。耳郎も「いいね、それ」とつられて笑った。
.
お姉さんシリーズは一旦停止。短編入ります。
この話だけいおりくんの個性が『放電』になります。
___
『……あー、あかん』
二時間目が終わった頃、いおりは机に突っ伏していた。八百万が「またですの?」とこっちの席に来てそう呟く。
『あー。……おん、また』
「大変ですわね」
『おん、ちょっと行ってくるわ』
いおりが席から立ち上がると八百万はいってらっしゃいと手を振ってくれた。いい友達を持ちましたといおりはしみじみ思う。
いおりは席に座って切島と楽しげに話す上鳴を見つけ後ろから首に腕を回して抱きつく。切島は「またかよ小原」と呟いたのにだるそうに頷くいおり。もうこんなのこのクラスじゃ日常茶飯事である。気に止めるものはいない。
『あー……すまん上鳴、放電さして』
「おー」
いおりは振り向かずなんともないようにひらひらと手を振る上鳴に感謝しつつ存分にゆっくりと放電させてもらう。
いおりの個性は放電。文字通り体で作った電気を放電させる個性である。具現化して武器にもなるのでヒーロー基礎学ではそれで頑張っているのだが、具現化するのも放電していることになる。午前中は放電が出来ず体内に電気が溜まってしまうのだ。高校に入学するまでは父親のサポート会社でつくってもらった『放電機』を駆使してこのダルさは回避できていたのだが、如何せん雄英。午前中はサポートアイテム使用禁止だ。
そして見付けたのが上鳴電気である。彼の個性は帯電、名前通り自分の体に電気を纏う個性だ。だが彼は体内で電気が作れないのでコンセントや充電器から電気を充電する。
とりあえず、電気を放電したいいおりと電気を充電したい上鳴とで意気投合し、こうしていおりの溜まった電気を上鳴に移しているのだ。
『……お前、充電もうないやん』
「お前は溜めすぎじゃね?」
『昨日は気分が良ーて午前中してへんからなー……』
ぐりぐりと上鳴の肩に顔を押し付けるいおり。切島は「マジねぇわー」と呆れ気味にぼやいた。
それに反応していおりは顔をあげた。
「小原さー、上鳴に放電してるとき気持ちいいのか?」
『あー……コイツに限らず放電するときは少なからず気持ちはええな』
「ふーん」
『ゆっくり渡し取ると疲れはちゃんと取れる、上鳴には迷惑かけてもーとるけどな』
「別に上鳴も迷惑とは思ってねぇだろ、むしろそのでけぇ胸当たって役得だろ」
「そんなんじゃねえよ! 単純に放電されてると俺も気持ちいいんだよ!」
『こっちは別に胸当たっとるとかきにしてへんなぁ……女子ってそこ気にするん?
こっちはそれよりダルさを取りたいねん。なんなら正面向かって上鳴に飛び付いて放電したいわ』
真顔で言えば切島に「お前変態かよ」と告げられる。いおりはぐりぐりと上鳴の首に顔を押し付け『ちゃうって、峰田と一緒にすんな』と口を動かす。すると
「っ!」
不意に上鳴の顔が紅潮し、肩がびくりと揺れた。「……は、どうした上鳴」と戸惑う切島にいおりは顔をあげずくくっと笑い声をあげる。そして再び口を開いた。
『……なんや、気持ち良かったんか?』
「ぅ、! はぁ!? ちが」
『へえ……』
「っ、」
いおりがそこで喋るたびに上鳴の肩がびくびくと揺れる。そこで切島は察した。「俺ちょっとトイレ」そういって席を立った切島に上鳴は視線で助けを求めた。だがそんな抵抗はむなしく散った。
続きます
.
『……なあ、上鳴』
「ひっ……!」
傍目から見ればただいおりが上鳴をイジめている様にしか見えないのに気が付いたクラスメイト達がそわそわと二人を見つめる。
女子なんていおりのイケメンさに頬を紅くしてとろりとした目でいおりを見つめている。同時に上鳴うらやましいとか思っていたりする。
ふと、上鳴が顔を赤くさせ身動ぎして口を開いた。
『上鳴……』
「っ……おっ、まえなあ! 放電し過ぎると元々ドSなのにさらにドSになんのやめろよ!」
その一言に一同がぴくりと反応する。放電し過ぎると? と皆疑問に思うが、思い返せば上鳴といおりの電気移しを最後まで見たことが無かったと納得する。ばっといおりから離れた上鳴の膝はノックアウトで微かに震えている。
上鳴が離れたいおりは虚ろな目に光を灯しハッと我に返る。
『……あ、上鳴すまん』
「あ、上鳴すまん、じゃねぇわ!」
またも放電しようとにじりよるいおりに上鳴は後退る。このあとのことを知っているからこその反応である。
『……』
いおりは自分の両手を見て、ちらりと視線を上鳴に寄越す。冷や汗を掻いて口を一文に引く上鳴はサッと目をそらした。
『……上鳴、すまん、まだや』
「ちょ、俺もう溜まった! 溜まったから!」
『……まだダルいねん、仕上げやから……』
「俺以外にしろよ!」
『じゃあ爆豪な……』
気だるげにふいと視線を爆豪に寄越したいおりはそのままスタスタと爆豪の席へと向かうが、冷や汗を流した爆豪が焦った様にガタタッと立ち上がり、眉間に眉を寄せながら教室から脱走した。
一同は思う、何をされるか知らないが爆豪は一度やられた、と。
そんななか、一人の少女が名をあげた。
「はいはーい! いおりくん! 私が相手する!」
お茶子である。無邪気に手をあげるお茶子の手をゆっくりと下ろさせるのは上鳴である。
「えぇっ!? 上鳴くんなんで下ろしたん!?」
「やめとけ麗日! あれはマジやべぇ! 声出る! あれはマジですっきりするけど!」
「声出る事ってなんなん!? すっきりする事ってなんなん!?」
驚いた様に、頬を染めて勢いよく手を下ろしたお茶子の発言にクラスメイトはだいたいを想像した。声が出てしまうこと、すっきりすることと言えば、である。
『……じゃあ、轟』
「は、なんで俺なんだ『もう拒否権は爆豪が使った。時間勿体ないからはよ保健室いくで』なんだと……」
強制的に引きずられて連れていかれる轟は唖然、上鳴は「……次は俺か……」と遠い目をしているのに気が付き、あぁ抵抗できねぇんだなとあきらめた。だいたい何をするかはみんな予想がついていたので、みんなあわせて合掌した。
**
一方ここは保健室、リカバリーガールに許可をもらいベッドを利用させてもらっている。轟はリカバリーガールが「あら、今日は上鳴くんじゃないんねぇ」とのほほんとしているので、あぁ上鳴な……、と心中お察しした。
ベッドに座らされた轟はいきなり『上脱げ』といおりに催促される。
「はぁ!? なんで『はよ』……くそ」
しぶしぶ脱ぎ出した轟にいおりは微かに微笑み『ベッドにうつ伏せに寝ろ』と指示を出す。抵抗するだけ無駄と感じとったのだろう轟は速やかにうつ伏せになった。
**
「ねえ」
突然蛙吹が口を開いた、「保健室に見に行ってみない?」と。それを止めたのは意外にも上鳴である。
「ちょ、やめてやれって! あれは聞かれる方もツラい!」
「尚更ね」
蛙吹が多数決を取ればほとんどの手が上がる。こうしてA組は保健室に出発した。
.
A組みんなが保健室についた頃、中からは轟の微かな声が聞こえてきた。
「……ふっ、あ、こは」
『あー、ここ?』
「まっ、うあ」
それを聞いてみんな顔を見合わせてそろそろと中に入っていく。入ればリカバリーガールが普通に仕事をしていた。これにはみんなびっくりである。
すると、一際轟の鋭い声が聞こえてきた。
これにはもう我慢の限界だったのか、飯田がカーテンをシャッと開けた。
「小原くん! ここは学校だ……ぞ……、何をしているんだ?」
飯田の発言になんだなんだとみんながわらわらとよってくるなか、見えた光景は。
うつ伏せに寝転ぶ轟の上にいおりが股がり、電気を使ってマッサージしている所だった。
案の定、轟は顔を赤くして向こうをゆ向いている。
「……上鳴、これは一体」
「一体って、見ての通りマッサージだろ。小原、放電である程度俺に渡したら残った電気使ってここでマッサージしたがるんだぜ!」
「……それに毎回上鳴くんは付き合ってるの?」
「おう! まぁ俺のかっこいい彼女だしな!」
「あー」
みんなが納得したようにうなずいた瞬間であった。
【終】
次から普通にお姉さんシリーズ。
.
これは姐さんがみんなとそこまで仲良くなる前のお話、(耳郎、上鳴、八百万除く)
時はちょっと遡って。
【個性把握テストと姐さん】
「個性把握テストぉ!?」
みんなが同時に叫んだ。確かに、入学式もガイダンスも無しはと思うが、我らが担任相澤消太、イレイザーヘッドの指示なら仕方がない。イレイザーヘッドってどこ情報って? 俺様なめんな。
そしてデモンストレーションでヘドロの時にタフネスを評価されていた爆豪が球威に爆風を乗せて投げた。掛け声は「しねぇ!」である。
結果は705.2m。やべー。
そしてテスト最下位には除籍処分、なんとも厳しいものである。
50m走。
飯田天哉が個性『エンジン』を発動させ、記録3秒ほど。速すぎるだろ。そして青山優雅、へそからビーム出して5秒ほど。うーん、なにがしてぇんだ。麗日お茶子は無重力の個性で服と靴を軽くして走り7秒ほど。
そしてこちらの番。
よーいの時点で足の裏に集中し、クラウチングスタートの構えを取る。ドンで足の炎を爆発させ、ターボとして使い走った。
結果は4.65、まあまあである。
次は握力。
握力はどうにもならないので普通に握る。78kg、まあまあである。
走り幅跳び。
青山がネビルレーザーで砂の外まですっとび、爆豪は手にターボを発動させて砂の外まで飛んでった。すげえな、飛んでったよ。ぴゅーんて。
こちらも助走をつけて足で踏み込む時に足の裏を爆発させ、爆風で飛ぶ。そのまま手のひらに意識を集中させて爆豪と同じような飛んだ。
記録は良いほうだと伺える。
ハンドボール投げ、麗日お茶子がボールの重力を無くし、∞まで飛んでいった。
爆豪とこちらの個性の剣炎は、似ている。爆発させることも出来るからだ。こちらも球威に爆風を乗せて吹っ飛ばす。
記録は704.9m。三番手か、くそ爆豪に負けた。
すると、緑の縮れ毛のそばかす少年がボールを持った。やけに深刻そうな顔をしてボールを見つめている。
そして目をキッと前に向け振り被る。何か来る。本能でそう思ったが記録は60m後半だった。
そして爆豪が見下したように言った。「デクは無個性」と。
そして二度目、彼の記録は705.3m、スマッシュだの言いながら投げた。すげえ吹っ飛んだ。
っていうか人差し指真っ赤だけど大丈夫か!?
少なからず、こっちは緑谷出久に興味を持った。すげえ縮れ毛だな。面白いな。
そしてこっちは女子ながらにとんでもない記録を叩きだし続け、一位通過。主に女の子に集まられ、きゃっきゃ言われた、女の子かわいい。
除籍処分はどうやら『合理的虚偽』だったらしい。どうだか。
.
【個性把握テストと小原姐さん 2 】
こっちが緑谷に感心していると耳郎が「いおり凄いね」とこっちの背後から姿を現す。あああああ、可愛すぎるよじろちゃん!
『……ありがとさん。今回は一位取れたし、こっちも良しとしてんねん』
「イケメンはやっぱり何でもできるんだね」
『やからこっちイケメンちゃうって』
そんな言葉に微かに苦笑いしていると、横から「君すごかったね! かっこよかった!」と可愛らしい声が聞こえてきた。そちらを見れば満面の笑顔、きらきらした目でこちらを見つめる麗日 お茶子(うららか おちゃこ)がこちらを見つめていた。
『おん、ありがとさん。え……と』
「あっ、私 麗日お茶子! お茶子で良いよ! よろしくね!」
『こっち小原いおり、よろしゅーお茶子』
「後ろの子は何て言うの?」
「ウチは耳郎響香、よろしく」
「よろしく!」
とりあえず、響香と二人でお茶子に癒やされた、のほほんとするし響香とは違った可愛さがあるのである。
そしてそれを見た女の子達がなぜか我先にと自己紹介をしに来て身動きが取れなくなってしまった。いや、可愛いけど。
**
ようやく女の子に解放されれば八百万(やおよろず)が寄ってきた。
「モテモテですわね、いおりくん」
『なんでやろなぁ、不思議やわ』
「あら」
しばらく百(もも)と談笑していれば「うぇい! いおりー!」と電気が駆けてやって来る。隣まで来て百の姿を確認すると「お、おぉう」と身じろぎした。いや、何しに来たんだよお前。
ふと電気後ろの男子に目をやる。それに気がついたのかその男子は「俺切島鋭児郎、よろしくな小原!」と挨拶して来たので、『おん、よろしゅー切島』と返す。そこで電気はこう言った。あ、百居ない。
「なぁいおり、どうやったらあんなに女子にモテんだ!? なんでお前ばかりに女子が行く?」
『知らんし。話し掛け易いんはおんなじ女子やからやろ、ちゃうん?』
「……あー、女子な所……」
電気はそう言いながら視線を胸へと送った。やめろや。
いまだ視線を送り続ける電気をそのままに、視線を切島にやった。
『……電気なんなんチャラいん? さっきも百に声かけてたし』
「あぁ、コイツ金髪チャラ男だからなー」
『あー』
.
【右手の黒い手袋と小原姐さん】
「……ねぇいおり」
『んー?』
耳郎が自分の席から振り返っていおりに声を掛ける。いおりはなんだなんだと頭にハテナを浮かべるが、検討はつかない。
「なんで右手に黒い手袋してんの?」
いおりはその質問に少し驚き『ああ、これな』と左手で右の手の甲をさする。みんながみんな興味を持ったのかいおりの方を見つめるなか苦笑いして口を開く。
『ひっどい火傷があんねん。ホンマにショッキングなやつ』
そう言うと轟が「俺のより酷いのか?」と聞いてきた。それもそうである。轟も左に火傷を負っている、気になるのも仕方がない。
『……せやなぁ。轟の方が全然軽いわ、真っ黒焦げや。まぁ日常生活とか、握るときに入れる力とかに支障は出んからええねんけど』
そういってごそごそと手袋をを外そうとし始めるいおりをみんなが凝視する。『頼むから引かんといてや』と悲しげに笑いながらスッと手袋を取った。
机の上にはぱらぱらと炭が落ちた。
「な、」
「マジかよ」
「ホントに真っ黒焦げだ」
みんなが「大丈夫か!?」や「傷なんか見せたくないだろ!? トラウマじゃねえか!」「なんかごめん!」と慌てて心配そうに駆け寄ってきて、いおりはぽかんと何を言う間も無く手袋を填めさせられた。
『……火傷ごときでこんな騒ぐんか?』
「お前の場合黒焦げだろーが!」
「ばかなんですの!?」
『辛辣! 百辛が超辣!』
なぜだかみんなとの信頼が深まった。
.
【上鳴と小原姉さん 2 】
こっちは思う。
『……女子って、天使ちゃう?』
常々思う。こっちは耳郎の席を借り、隣の上鳴に声を掛ける。上鳴は「お前なにいってんの?」と咀嚼していたサンドイッチを飲み込んでそういった。上鳴は続けてこう言う。
「今更なにいってんだ、当たり前だろそんなこと」
『やんなぁ』
さも当たり前の事のように告げて再びサンドイッチを頬張る上鳴にいおりは串団子を食べながら苦悩するように同意する。
上鳴はもくもくと頬を動かしてそんないおりの動作を見つめるが如何せん、イケメンである。どうしてもその整った顔に目がいった。とりあえず、轟からの自分への視線の暴力が酷い、どうにかしてほしい。轟は他人に心を開かないクセにいおりの事を妙に気に入り最近神聖化しているから尚の事怖い。そう思いながら上鳴は咀嚼していたサンドイッチを飲み込む。
「いおりさー、今日の放課後空いてたらどっか行かね? お前甘いもん好きだろ」
『甘いもんは好きやけど、チャラい奴は嫌いや』
「うぇい!?」
まさかの切り返しに上鳴は目を見開く。確かにチャラい奴が好きな女子などあまり聞かないがそこまではっきり言われるものかと少なからずショックを受けていた。
『……っつー訳やから、こっちから誘うわ。電気、今日放課後どっか行こや』
「……おう!」
いつも通りにいおりにときめく上鳴であった。
.
短編(いおり君男主、歳上、名字変換)
【八百万 百とお兄さん】
小さい頃、と言っても小学四年生頃から、八百万がよくなついていた青年が居た。歳は20、成人したてである。眼鏡を掛けて短髪で毛先が外に跳ねている黒髪は顔も整っているからか綺麗に見える。
電気の個性を使う青年はバリバリの戦闘系ヒーローでもあり、その場に限らず日本中に名を轟かせている青年だった。
「いおりお兄さん、こんにちはですわ!」
六年生になったばかりの小学校の帰り、ランドセルを背負ったままの八百万はいおりを見つけて駆け寄る。その声に反応し、振り向いたいおりと呼ばれる青年は笑顔を見せた。
『ははっ、百ちゃん! こんちは!』
「いおりお兄さんはなぜここにいたんですの?」
『任務の帰りだよ』
そう言って優しい笑顔で頭を撫でてくれる。もう小学六年だったので少し気恥ずかしかったが、その大きな手が八百万は好きだった。八百万は今日自分が本で読んだことをつらつらと学習したと言うのに対して『やっぱり百ちゃんは賢いな』と微笑む。その笑顔もまた、八百万は好きだった。
その一週間後、その青年はその地から、メディアからも忽然と姿を消してしまう。
今思えばそれが八百万の初恋だったのかもしれない。
**
「……と言う訳ですわ」
「へええ! 羨ましい!」
「その男の人かっこいいねぇ!」
1-A組教室内、八百万はそんな昔の事を話した。最初の話題は「クラスのかっこいい人物」から「初恋の人」の話へと転じ、白羽の矢が八百万に立ったのだ。
「また会えれば良いね!」
「会えれば良いのですけど、あちらは私の事を覚えているかどうか」
もう四年も前の話だ、こちらははっきりと覚えていてもあちらはもう覚えてはいないだろう、何せ現役のヒーローである。助ける人は万人を越える、そんな中の一人にしか過ぎなかった自分の事を覚えてくれている可能性は高くない。
「その人がここで先生としてやって来たり!」
「すごく偶然ですわね」
**
「上鳴くん、よく雄英の教師を引き受けてくれた!」
『相変わらず画風が違いますねオールマイト。もう俺のこんな左足じゃ日常に支障は出なくても、戦闘には出れませんから、これからのガキの手助けになれば良いと思っただけっすよ』
「そうか! いい心掛けだ!」
『かかっ、褒められても全然嬉しくねぇっすわ!』
オールマイトを前にしてけらけらと暴言を混じらせて会話をする男は黒と白のスーツを身に纏い、整った顔もあり、爽やかな印象を受ける。眼鏡もありインテリである。
「そうそう、君の弟の電気君は頑張っているよ」
『マジか電気!』
「電気君のクラスの副担任だが大丈夫かい?」
『かかっ! アホ電気のクラスの副担任すか! 電気にもここに配属になったことは言ってねぇっすから、アホ面拝んできますよ』
「そうかいそうかい!」
男は黒髪に黄色い生まれつきのメッシュを光に煌めかせた。
【続】
.
【八百万 百とお兄さん 2 】
翌日の朝のホームルーム。騒がしかった教室内は扉をがらりと開けた相澤消太の登場を機に静かになる。
相変わらず気だるげな風貌で教壇に立った相澤にみんなは何を言い出すのかと緊張した面持ちで構える。
しかし。
「今日からこのクラスの副担任が来る。もう扉の前に居るから」
唐突なその言葉にみんなが唖然とするなか、「入ってきていいよー」と間延びした声で告げる。
がらりと扉を開けて入ってきたその眼鏡の男にみんなが固まった。
短髪で毛先が外に跳ねた黒髪に右の前髪に生まれつきの黄色いメッシュがあり、整った顔を眼鏡がかけられている。
身長はゆうに180cmほどありそうな爽やか系イケメンが黒と白のスーツを着て微かに笑顔で立っていた。
そしてその姿を見て間髪入れずに席からガタンと立ち上がったのは「上鳴 電気」である。
「い、いい、いおり兄(にい)!?」
指を差して唖然とする上鳴に眼鏡の男は『指差すんじゃねえクソ電気!』と上鳴の体にばりばりと電気を飛ばした。ぷすぷすと煙をあげる上鳴にみんなが心配そうに視線を向けるなか、眼鏡の男は口を開く。
『アホ電気のいった通り、電気の兄、上鳴いおりだ。今日からこのクラスの副担任になったんだ。よろしく』
八百万は唖然と、呆然としていた。あまりにも似ていた、小学校高学年まで恋をしていたあの男に。あの雷の形をした黄色いメッシュは見間違える筈もない。
八百万が声をあげようとしたとき、緑谷が「あ、あのっ! すいません! ヒーロー名はっ!?」とやや固まり気味にいおりに聞く。
『ヒーロー名なー。俺もうヒーロー引退したからなぁ』
「え、そんな若えのにっすか?」
切島が意外そうにいおりを見つめるなか、いおりは緑谷の問いに答える様に自身のヒーロー名を告げた。
『俺のヒーロー名は“ライジングナイト”だよ』
その言葉にクラス一同がシンと静かになった。そしてしばらく間を置いて弟の電気以外「ええええ!?」と大声をあげる。
そして緑谷のヒーローオタクの本領が発揮される。
「ライジングナイト!? 四年前に姿を消した雄英高校を卒業して間もなく超一流になった人じゃないですか!」
「私も知ってるよ! ライジングナイトの個性は雷(いかずち)で具現化能力があってその具現化能力で剣を作って颯爽とヴィランを倒した有名ヒーロー!」
関西でもちょー有名だった! と緑谷に続き麗日も続く。いおりは「俺も有名になったもんだなー!」とからりと笑う。
「な、なんで現役引退したのはなんでないですか!?」
『それは日常に支障はでないけど戦えない足になっちゃったからー!』
ふぅっふー! とか言いながらハイテンションで拳を突き上げる兄に電気はなにかを知っているのか悲しげな顔をした。
『まあそんなことは置いといて、これからよろしく!』
笑顔でそういったいおりの笑顔は、八百万には悲しげに見えた。
**
「……いおりさん」
休み時間、意を決して私はいおりさんに声を掛けた。誰だ? と振り向いたいおりさんは私を見て目を見開く。
「……私のこと、覚えてますか」
その一言にみんながこちらを見つめるが、怯む気はない。いおりさんは困ったように笑って『もちろん、覚えてるよ』と頭を掻いた。
「いおりさん」
『なんだい百ちゃん』
___ずっと、好きでした。
.
御姉さんシリーズ再開(いおりくん身長175cm)
昼休みが過ぎ、午後の授業。いよいよヒーロー基礎学である。
私が来た! とか言いながら普通に入ってくるオールマイトにみんなで突っ込みながら話を聞く。どうやら戦闘訓練の様だ。
みんながみんなヒーローコスチュームに着替えて登場する。こっちのコスチュームは一見普通に見えるが、ちゃんと意味がある。
こっちの個性は赤色の物を身に着けていると威力が上がる。なので赤い縁だったりと全体的に赤色。実を言うとこっちはみんなに比べて脚力がない。筋肉はつけているが如何せん少し太いこっちはブーツでツボを刺激して脚力をあげたのだ。
戦闘訓練はペアをくじで決め、ヒーロー側とヴィラン側に別れて核(ハリボテ)を奪う守るというものである。一番最初はヒーロー側麗日、緑谷ペアバーサスヴィラン側飯田、爆豪。
最初は爆豪が緑谷めがけてとびかかる。そこから麗日は上の階を目指して離脱する。
爆豪と緑谷の戦いで、爆豪が攻めに攻めまくり大乱闘。建物を半壊させるまでの威力を出した。
とりあえずは緑谷ペアの勝ちとなったがあれは多少気が緩み過ぎており、良いものとは言えなかった。
そんなこんなで初の戦闘訓練は幕を閉じた。
**
翌日のホームルーム、相澤先生が教室に入ってきて、「昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績見させてもらった」と言葉を紡ぐ。爆豪と緑谷に注意をして、「急で悪いが今日は君らに……」と続けたことによりまた臨時テストか、と身構えた。
「学級委員長を決めてもらう」
「学校っぽいの来たーーーー!」
大きな大きな杞憂であった。
.
口より手が先に出る口悪性格悪俺っ娘女主の長編。恐らく落ちは上鳴。
お姉さんシリーズもこれも両方書きます。クロスはありません。
**
とある日。
『くっそしつけぇ』
雄英高校ヒーロー科A組在籍、小原いおりは席についている轟を見下ろしながら愚痴を溢した。轟はまるで興味が無いように「そうか」と腕を組みながら流す。もう毎度毎度の事だ、しつこすぎて腹が立つ。
『なんなんだよアイツマジねぇわくっそしつけぇ。顔面吹っ飛ばしてぇ』
「犯罪はやめろ」
『そういうことじゃねぇだろ轟ぃ。てめぇアレやられてみろよ轢きてぇくれぇ引くぞ。なんなんだよアイツのしつこさ。
腐ったチーズにブルーチーズ溶かしたもんをぶっ掛けた時の臭いみてぇにしつけぇ』
「お前その罵倒ボキャブラリーはなんなんだ豊富過ぎんだろ。それを俺に言ってどうしてほしいんだ」
『とりあえず半冷半燃で凍らせろ。俺が後で爆破する、それか叩き斬る』
「相変わらず物騒だな」
『もうそれくれぇしねぇとやってらんねぇよくそが』
はぁと項垂れ溜め息を吐いた目の前の眼鏡を掛けたクールイケメン美人、小原いおりに轟は自分が溜め息を吐きたくなった。見た目は良く、イケメン、しかも爆乳なので男子女子が寄ってくる。だが喋り方を聞けばギャップにやられ余計に言い寄るか引いて去るかのどちらかだ。まぁこのクラスにそんなやつは居ない。
黙っていれば良いのにと思う轟だが一応それも予防線になっているので、今のところ轟が想いを寄せる、小原と言う想い人に言い寄る男女は少なく安心している。いや、一人だけ居るのだが。
「小原ー!」
『マジかよツイてねぇわ』
小原は扉の方を見、顔を歪める。先程の愚痴の中心人物が昼休み中盤のこの教室に入ってきた。ソイツは笑顔で小原に寄ってきて隣に当たり前の様に立つ。
黄色い髪に雷型の黒メッシュ、つり目でチャラ男と知られる上鳴電気である。
「小原、今日飯行こうぜ!」
『全力で遠慮だわ』
「良いじゃん! ぜんざい旨いとこ見つけたんだって!」
『ぜんざい持ち出すの反則じゃねぇかよくそが』
「気にすんなよ! 行こう!」
『だから遠慮するっつってんだろ相変わらずしつけぇなてめぇは!』
「どーも!」
『褒めてねぇ!』
目の前で拒否する小原、折れない上鳴のやり取りを見て轟は盛大に溜め息を吐き出した。
上鳴の小原への好意は目に見えている。だがそれに気が付かない小原も小原だ。鈍感過ぎてコチラも困る。幾度となく轟もアピールはしている。だがしかし、そのアピールに気が付かないほど鈍感な小原。上鳴の誘いは嫌がらせをしているとしか取っていないようだ。
だがめげない上鳴。轟はそのめげなさを僅かに尊敬していたりする。だって流石にここまで普通来ない。
「なーもーホント行こうぜー。俺が奢るからさー」
『だから行かねぇって!』
「八百万と前行ってただろ?」
『百は女子だろーが! つーかなんで知ってんだてめぇ怖いわ!』
(……確かに)
轟が同意としてこくりと頷けば上鳴が眉をしかめた。マジかよ的な。
「もー行こうぜ小原ぁ!」
『だっからしつけぇっての!』
結局このあと毎度のごとく小原が折れた。
.
なんか色々書きたいのがめっちゃ溜まっとる……(汗
恐らく長編! 爽やかイケメン女主、個性は発火。発生源が必要なので強く擦れば摩擦で火花が起こる手袋を装着。手袋が使えなかったら歯をカチッと強く噛み合わせて火花を起こす。恐らく逆ハー。非チート。眼鏡は着用する。赤色のものを身に付けていると個性の威力が上がる。
【爽やかイケメン発火少女】
轟side
「いおりくん、おはよう!」
『ああ! おはよう麗日! 防寒完備だな!』
「おはようございます、いおりくん」
『八百万もおはよう! 最近はめっきり寒くなってきたからな、マフラーでもつけて来たらどうだ?』
「ええ、そうしますわ」
女子からの挨拶全てに律儀に爽やかな笑顔で言葉を返すのは、発火個性を持つ日番谷(ひつがや)いおりだ。爽やかなルックスとさっぱりした性格のお陰か女子からの人気は雄英随一。
そんな彼女も俺達も、もう高校三年の冬。あと少しで卒業だ。そんな彼女に最後のチャンスと這い寄る男女は少なくない。書く言う俺も、そうなのだが。
「おっはよーう小原!」
『おはよう上鳴! 今日もイケメンだな!』
「マジで!? じゃあ俺と付き合って!」
『お前はイケメンだがそれは無理な頼みだな。あたしに今好きな人物は居ないし、中途半端な気持ちでお付き合いは相手に失礼だろう』
「イケメン過ぎかよちくしょう!」
はっ、ざまあみろ上鳴。小原はそんな軽々と付き合いを始める女じゃない。席に座って緑谷にも言葉を交わし、爆豪のいきなりの怒鳴りを今日も元気だな! で終わらせた。
『おはよう轟』
「っ、あぁ」
『もう卒業だな、お前はエンデヴァーさんとこ行くんだろう?』
「まあな」
『あたしもちゃんと探さないとなあ』
「まだ決まってねぇのか」
『そうなんだよなぁ』
「じゃ「じゃあうちとおんなじ所にすれば?」
俺が同じところに誘おうとしたところへ偶然被さったのは、小原の親友とも言える耳郎で。俺達の会話を聞いていたのかぴょいと顔を覗かせた。
.
内心くそっ、とか思いながら「耳郎……驚かせるな」と睨んでみるが耳郎は気付きつつスルーしてくるからたちが悪い。
「うちのとこならいおりレベルの子歓迎すると思うよ」
『そうか……なら響香のところに』
「待て小原、多分親父がお前を勧誘しに来る」
『エンデヴァーさんがか? それは嬉しいな』
「でもうちと一緒の方がやり易いと思う」
「俺のとこは大手だから多分すぐサイドキックからヒーローに上がれる」
『どちらも魅力的なんだが……』
小原は申し訳なさそうに笑って「上鳴にも誘われててな、決めあぐねていた所なんだ」と視線をやりながら言う。上鳴め、手が速いな。
『まぁ、二人のとこも視野に入れてみるよ、知り合いは多い方が良いしな』
やめろ、爽やかに輝く笑顔を浮かべるんじゃねぇ。惚れ直すぞイケメンが。
轟のキャラ崩壊がだんだん酷くなる……ww
.
新しく長編開始! ×re!
【雲雀がヒロアカ世界に転生しました】
気が付いたら、僕は子供になっていた。目が覚めたら、っていうベタな展開。腕を見てみればトンファーはない。指輪もボックスもない。周りを見れば、並盛でもない。自分の細い腕も足も小さくて不便、思わず溜め息を吐いた。
「……なにここ、意味わかんない」
どうにかならないのかと指を結んでは開いて指輪を思い浮かべる。トンファーは最悪購入すればいいし、最優先は指輪やボックスだ。すれば驚いたことに指輪が人差し指にはまっており、片方の手にはボックスが握られていた。トンファーはイメージしても出なかった。
しばらくどういうことだとボーッとしていれば、この世界の僕の母親らしき人が指輪を見て「!? 個性なのね!」と言ってきた。個性ってなんだろうとか考えていたら、腕を引かれて病院に連れていかれた。
**
どうやらこの世界には『個性』と言う超常能力を人類の八割が持っているらしい。僕の個性は『雲の守護者』よくわかったな、とか考えてふぅんと鼻を鳴らした。
渋々親と言う存在に頼み、トンファーをもらって僕は高校に入るまで、やはり風紀委員として、最強として在っていた。
周りは草食動物より全然弱いし、まだ獄寺とか、山本の方がマシだった。つまらない。
そこで知った事。この世界にはその個性を使って犯罪を犯す敵(ヴィラン)と、そいつらから一般市民を守るヒーローが居るらしい。そのヒーローを育成するそれに特化した『雄英高校』。そこになら少しは強いやつも居るのかな。今まで喧嘩した奴は個性に頼りきりで相手にならなかったから。
ここ数年使っていない個性、ボンゴレリングを左手で撫でて、ふっと笑う。
今まで育ててくれたなんて恩着せがましい親に雄英に行くとだけ伝えて願書を提出した。自分の通う学校はすでに支配下に置いているので従順だ。僕は学ランを羽織って左腕に風紀の証を付けて、試験に挑んだ。
.
最強としてあり続けた僕は今、雄英のヒーロー科の受験会場にやって来ていた。模試は終わったけどヒーロー科には実技があるらしく、強いのかどうかだけが気になる。
すぐ目の前の会場に向かって学ランをはためかせていれば、後ろから「どけデク!!」と怒鳴り声が聞こえてきた。
「かっちゃん!」
「俺の前に立つな殺すぞ」
「おっ、お早う。頑張ろうねお互い」
薄いクリーム色の爆発髪の目付きの悪い男は緑の縮れ毛のデクと呼んだ男に悪態を付きながら、喧嘩するでもなく何もせず去っていく。デクとやらはビビりながらも挨拶を返した。まるで沢田綱吉だ。そういう二人、見てて……
『……咬み殺す』
やってしまいたいなあ。
**
実技試験の概要は、模擬市街地演習と言う所で10分間の実技。武器の持ち込みはオーケー、演習場には仮想敵を三種多数配置してありそれぞれの攻略難易度に応じてポイントを設ける。各々なりの個性で仮想敵を行動不能にし、ポイントを稼ぐのが目的、他人への攻撃は厳禁らしい。なんだ、つまんない。でも、プリントには四種書いてある。その四種目の敵はゼロポイント、所謂お邪魔虫と言うものだ。まあ僕には関係無いけど。
会場に移動して、開始の合図を待てばいきなり「ハイスタートー」と気の抜けた合図が聞こえてきた。他の人はポカンとしていたけど、僕は戦うのが楽しみで仕方なかったからそのとたん市街地に飛び出した。服の袖からトンファーを取り出してぐるぐる回転させながら索敵する。他の人はなにもしていなかったのか「賽は投げられてんぞ!」と聞こえてきたが無視。
早速出てきた仮想敵はなんと機械だった。ゴーラ・モスカに似ているけど、性能は多分モスカの方が全然うえだろう。つまんないなとか思っちゃうけど、戦えることに喜びを感じて、ぺろりと唇を舐めてトンファーで倒しに掛かった。
**
大きな地響きに顔をしかめて音の方を見れば他のものと比べものにならないサイズの仮想敵、多分0ポイントのものだ。なんだ、こんなに面白そうなものが、あったんだ。
僕はいっそう笑みを深め、トンファーを構え直して飛び上がった。トンファーを思いきり振り被ればがきぃんと鈍い金属音が響き、素早く今持っているトンファーを投げ捨て、からんからんと落下した場所を覚えてからリングに炎を灯し、ボックスにはめ込む。飛び出たハリネズミを見て再び別のボックスにリングをはめこめば紫の炎を纏ったトンファーが出てきて手に取る。飛び出てきた僕のハリネズミはこちらを一瞥し、きゅう、と一鳴きしてすりよってくる。
『久しぶりだね、ハリネズミ』
きゅうと返事を聞き取り、行ってと指示すればものすごいスピードでゼロポイントに衝突し、グラリと重心が傾いたゼロポイント仮想敵を足場に再び飛び上がってトンファーで止めをさした。
粉々に砕けたゼロポイント仮想敵を見てなかなかに楽しかったよと監視カメラがあるであろう方向に呟き、トンファーをボックスに戻して投げ捨てたトンファーを拾った。ハリネズミは僕の肩に飛び乗って周りを見渡す。
『……ふあーあ、』
とあくびをして今日は帰った。
.
結果は合格。ずいぶんとあっさりした試験だったなと嘆息し、オールマイト何て言う変な名前の男がなんかわやわや叫んだりしてるけど興味無い。今、この人が最強らしいが、いずれ僕が追い抜く。オールマイトと言う大柄な男はハハハと元気よく笑うが、群れる雰囲気が映像越しに伝わってきて鳥肌が立った。……多分、次に名前を聞くときは忘れてるんじゃない?
僕、雲雀恭弥は雄英高校に向かうため、慣れないブレザーを肩に羽織って登校した。
行き道で、ヒバードによく似た鳥を見つけた。どうやら言葉を覚えるらしく、とても似ている。そっくりだ。そのヒバードに手を伸ばせば「みーどーりーたなーびくーなーみーもーりーのー」と歌い出すものだから流石に驚いた。そっくりなんかじゃない、ヒバードそのものだった。ヒバードは僕を認識したのか頭の上に収まって大人しくしている。
僕はそのまま雄英へと足を進めた。
**
教室に入るとまだ誰も居なくて安心した。やって来た瞬間に群れてるところなんて見てしまえば僕は退学を所望しそう。
席は爆豪、緑谷と言う奴の間。本当はこんなとこ居たくないけど、それが原因で戦えないなんてことになったら大変だし。なんのためにここに来たのか分からない。
前世とやらの僕がこの光景を見たら丸くなったなんて言うだろうか。そんなの言われる筋合いはない。だって、群れてる奴等は咬み殺すだけ。
そうして目を瞑って僕は眠りについた。頭の上でヒバードが寝ているなんて、関係無い。
**
少しざわざわとうるさくなってきた教室内、これくらいは許してやるかなんて考えていれば突如として怒鳴り声で完全に目が覚めた。ぱちりと目を見開けば目の前の席で言い合いしている男二人、片方は試験会場に入る前のクリーム色の爆発頭だった、どうやらコイツが爆豪らしい。僕はキッと二人を睨みながら『ねえ、うるさいんだけど』と告げる。それすら無視して片方の眼鏡が扉の所でおどおどしている緑の縮れ毛のあの爆発頭に絡まれていた男に挨拶しにいった。苛立ちから舌打ちすれば爆豪が振り返って怒鳴り付けてくる。うるさいな。
「んだてめえ、何舌打ちしてんだ」
『君たちがうるさいからでしょ、群れてるのも苛つくから、咬み殺してあげる』
「やれるもんならやってみな」
『いいよ』
そう言い躊躇いなくトンファーを彼の顔めがけて振るった。だが、ヒバードが頭を小突いたので顔に当たるすれすれで止める。
「っ……やらねぇのか? ああ!!?」
『うるさいな。ほら、前向きなよ、命拾いしたね。今度は、咬み殺す』
小汚ない男が来たことによりヒバードが小突いたのだと理解する。確かに、見られるのは良くないな。どうやらその男は僕らの担任らしく、相澤消太と名乗った。僕はあくびをしながらヒバードを肩にのせ、ソイツを見つめる。雰囲気からして、強い人だ。
「早速だが、体操服(これ)来てグラウンドに出ろ」
.
「個性把握テストぉ!? 入学式は!? ガイダンスは!?」
そう叫んだのは頬がふっくらしたボブカットの小柄な少女だった。今隣だからうるさくて仕方無い。相澤はヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよと冷静に返す。
こんなときまでヒーローヒーロー、なんなのヒーローって。テレビで見た限り、お互い競っているように見えてピンチになったら力を合わすとか鳥肌ものの事を平気でやってのける、群れ成す草食動物。その点、相澤は常に合理を追い求める男、他人との仲良しごっこなんてない、仕事に支障をきたすからとメディア露出もしない。草食動物でもない、関わり合いたいとは思わないけど、ボンゴレほどでも無いけど居心地は良さそうだ。
この学校は自由な校風が売り文句、それは教師もしかり。面白そうなところにこれた気がするなあ。
最初に爆豪がデモンストレーションとしてソフトボール投げをした。タヒねぇと言う言葉と共にボールをぶん投げた。恐らく球威に爆風を乗せたんだろう、僕の口角が上がるのが分かる。ぺろりと唇を一舐めし、ガキリと手元のトンファーが音を鳴らした。
おまけに成績最下位は除籍処分、良いね、分かりやすくて。
一種目は50m走、僕はくあ、とあくびをしながらヒバードに「邪魔だからあっちいってて」と指示を出し、ぱたぱたと飛んでいくヒバード。それを見てクラスメイトが「邪魔……?」「あの鳥かわいい」と言っているのが聞こえた。他のヒバードたちはこの世界には来てないのだろうか。そんなこと興味ないや、とstartの言葉と共に駆け出した。
記録は5秒ジャスト。あんま代わんない。握力、いつもトンファーを握っているからか72kg、僕ってこんなに力が強かったのか。立ち幅跳びはリングの炎で沢田綱吉がしていたように。反復横跳びは自力で。ボール投げはハリネズミの増殖を使って。
僕のあとは緑谷とか言う雑魚だったから適当にヒバードで時間を潰していた。
**
そして結果発表、別にトップを取るつもりでやったわけでもないので中間辺り。ちなみに除籍は嘘。合理的虚偽だと、どうだか知らないけどね。
.
翌日、授業はごくごく普通だった。四時間目の英語の授業、僕は耳を塞ぎながら英語科教師のプレゼントマイクを歯ぎしりしながら睨んだ。
「んじゃ次の英文のウチ間違っているのは? おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれー!」
きっと他は「普通だ」とか思っているんだろう。でもうるさい、耳が痛い。あ、ヒバード失神した。
『ねえ、うるさいからもう少し声の音量下げてくれない? ヒバード失神したんだけど』
(((うるさいって言ったあああああ!)))
「なぁにぃいいいい!? そりゃ不味いぜ雲雀いいいい!」
『うるさいって言ってるんだけど』
(((また言ったああああああああ!!!!!)))
昼は大食堂で一流の料理を安価で食べられるらしい。今日一日だけでも食べにいってみた。
僕が席で冷や蕎麦をすすっていれば、前の席にガタンと誰かが座る、なんなの。わざわざ人があまり居ないところを選んでいたのに。
顔をしかめて前を向けば赤と白のめでたいツートンカラーの髪の顔の左に火傷がある男……見たことあるな。でも興味ないし、放置してずるずる蕎麦を食べた。
『……』
「……」
『……』
「……」
『……』
「……」
『……なに』
無視しようとしてたのに、ずっと見てくるから思わず聞いた。だって見られてると食べにくいし、鳥肌が立つ。
「……いや」
『ならこっち向かないでくれない? 鬱陶しいから』
そう吐き捨ててずるずると再び蕎麦をすすっていれば目の前の彼が「なあ」と声を掛けてきた。それに視線で返すと男は話出す。
「……お前、把握テストの時に個性使ってたよな」
『だからなに』
「……お前も、複合性個性なのか?」
……なに言い出してんのコイツ。
『違うね。僕の個性は【雲の守護者】、あるマフィアの幹部の使用していた能力と同じらしいよ』
「……なら、お前は個性はひとつだけなのか」
『僕に二つも力は必要ない』
「……は、」
『僕はもうこれで充分強い、二つも要らない必要ない。群れてる草食動物はたくさん咬み殺してきたから、これからは強いやつを咬み殺す。……僕の言うことを聞かない人間も咬み殺す、風紀委員は絶対なんだよ』
知ってた? とギラギラした目で彼を見つめれば、不思議とぽかんとしている。すると、くすくす笑い出すのだ。「なに笑ってんの」と聞けば「クラスメイトにそんなやつがいるとは」と返ってきた。
『悪いね。僕、群れてる奴等は大嫌いなんだ。それこそ友達だの力を合わそうだの……お守りは彼等だけで間に合ってる』
コイツ。クラス一緒だったから見たことあったんだ……。
.
突発的短編『×とうらぶ』
【みんなのお父さん】
「おはよーおとーさーん!」
『おはようお茶子ちゃん……って僕そんなに歳取ってないよ……?』
「良いじゃない光忠ちゃん、慕われてる証拠よ」
『梅雨ちゃん……! 嬉しいけどちょっと複雑かなあ』
「良いじゃん光忠パパ、ウチかなり頼りにしてるし」
『んんん! 僕は頼られる事が好きだしねえ耳郎ちゃん』
「お世話焼きな性格ですから、お父さんと呼ばれてもおかしくありませんわ光忠さん!」
『百ちゃんにそう言って貰えるのは光栄だね。うーん、世話焼きなのは認めるよ』
「手作りのお弁当の卵焼きすごい美味しかったよ!」
『ありがとう透ちゃん、良ければまた作ってくるよ』
「戦闘じゃ先陣きってくれるしね!」
『僕の前世は刀だからねえ、まあありがとう三奈ちゃん』
「あ、燭台切ー! 数学教えてくれよ!」
「俺もー」
『あ、上鳴くん切島くん! 今行くよ! じゃあ僕あっちいってくるね』
「いってらっしゃいおとーさん!」
「いってらっしゃいですわー!」
「ここの数字がなんでこうなんのかわかんねぇんだよなー」
「俺はここだな」
『上鳴君、これはここに6を代入すれば良いんだよ。切島君は多分ここのプラスマイナスを間違えてるんじゃないかな?』
「あっ、ホントだ出来た! サンキュー父さん!」
「あ、マジだわ。やっぱ頭いーなお父さんは」
『ねえ二人にまでお父さん呼び浸透してるの!?』
「そうだよー! おとーさんはおとーさんだし!」
『わあっ! どんなとこから出てきてるのお茶子ちゃん!』
わらわらとクラスの女子が集まる
「……なんだあの燭台切ハーレムはあああ!」
「峰田お前な……お父さんだから良いんだよ!」
「いや良くねぇぞ上鳴!?」
「……(俺も燭台切をお父さんって呼びてぇ)」
「どうしたの轟くん?」
「なんでもねえよ緑谷」
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×とうらぶ 会話文
『ねえ爆豪君!? お昼それなの!? 野菜は!?』
「るせえよ眼帯ヤロー! 野菜なんざいらねんだよ!」
『駄目だよ! 好き嫌いしちゃ! 体の栄養バランス考え無いと体調崩して学校来れなくなるよ!?』
「うるせーよ! てめーは俺のなんなんだよ!」
『仲の良い友達だよ! だからこそ体の心配をしてこうして言ってるんじゃないか!』
「いちいち怒んなよめんどくせえ! 食堂行ってくりゃいんだろ!?」
『駄目だよ! せっかくお弁当があるのに!』
「てめえは何がしてえんだよ!!?」
『僕が爆豪君のを食べるから爆豪君は僕のお弁当を食べれば良いよ!』
「急にイキイキしやがってキメェよ!」
『きもっ……僕は常にかっこよくキめてるよ!』
「そー言う話じゃねーよ!」
「お前らうっせーよもー」
『あ、ごめんね瀬呂君。爆豪君、とりあえずご飯食べようね』
「チッ」
「あーん、爆豪君ズルいー!」
「光忠さんのお弁当をいただきになるなんてなんて羨ましい……」
「百ちゃんちょっと怖いわよ」
「燭台切くんの卵焼き美味しいもんねー」
「ほんとにねー」
「あ、あのかっちゃんがおとなしく席に座ってご飯を……!」
「緑谷くん、君の爆豪くんの評価はどうなっているんだい……?」
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×とうらぶ
「光忠さんが頼りになりすぎて困ります……」
「……わからなくもねぇが、いきなりどうしたんだ八百万」
「ああ、轟さん。いえ、光忠さんを見て、ふと以前……」
「……なにかあったのか?」
「以前、私たちでお菓子を作ろうと言うことになりまして……」
「おう」
「私の家でやったのですが、なぜか何回やっても爆発してしまいまして、そのあとも焦がしたり炭になったり……です」
「……散々か」
「はい。それで、麗日さんの提案で燭台切さんを呼ぶことになったのです。あの方はお弁当をご自身でお作りになったりしているようですからお菓子もお作りになれるだろうと思いまして」
「旨いしな」
「ええ。それで内容を話したら快く引き受けてくださいまして。家に御呼びしたら『僕もこのあと用事があるから、さくっと作っちゃうね! クッキーでいいかな』と言葉通り、皆さんにご指導して、手本を作っていただきました。無理矢理時間を開けてくださったようで、申し訳なかったのですが失敗せずに出来たので感謝しているのです」
「そのクッキーどうした」
「光忠さんのは全て私が頂きました」
「……おう(俺も食いたかった)」
「男子の皆さんには私たちが作ったクッキーを配っていますから、よかったらどうぞ」
「……おう」
「……なあ」
「どうなさいました?」
「……いや、なんでもねえ(燭台切の用事のことは気になんねぇのか)」
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轟side
『はあ』
溜め息を吐く燭台切に笑顔はなく、近くにいた俺は声を掛けようとしたのだが、燭台切はそのまま鞄からスマホを取り出すと、そのまま素早く教室を出ていった。
その妙な動きに教室にいた奴がざわめく。それもそのはず、燭台切はいつも笑顔で落ち着きのあるやつだ。それがあんなに慌てて外に出ていったんだ。みんな気になるだろう。
「ハァッ、わ、わたしが様子を見てきますわ! ハァっ、ハァ」
「いやお前はやめとけ!」
鼻息を荒くする八百万に慌ててストップを入れる切島。確かに、何かヤバい気配はある。
爆豪は「俺が行って爆破すらぁ!」とか怒鳴るのっているが、またもや切島、それと瀬呂、上鳴も加わった。クラスは女子を中心に「お父さん」と阿鼻叫喚だ。俺は溜め息をつき、右往左往していた緑谷に「様子を見てくる」と告げて後を居った。
**
昼休みと言うことで、走り回りながら探して裏庭にやって来た俺。そこにはスマホを握り締めてベンチに座る燭台切の姿があった。
声をかけようとも思ったのだがどうやら様子がおかしい。しばらく様子を見ようと物陰に隠れていれば、燭台切はスマホに掛かってきた着信に出る。と同時に声が上がった。
『貞ちゃん貞ちゃん貞ちゃああああああん! 連絡無いから心配してたんだよ!? 何してるの貞ちゃん! ご飯食べてる!? ちゃんと寝てる!? イジメとか受けてない!? 友達出来てる!? 勉強サボってない!? あと伽羅ちゃんは!? 伽羅ちゃんは一人じゃない!? あの子「馴れ合うつもりはない」だの「俺は一人で死ぬ」だの言うから! どこで死ぬの!? とか言われてない!?』
「「「おとーさーーん!/光忠さぁん!/燭台切ー!/光忠ー!/眼帯ヤロー!!/燭台切くん!」」」
ドドド、とやって来たクラスの奴等に俺は頭を抱えながら溜め息を吐いた。クラスの奴等は燭台切の言動にぴしりと固まり、燭台切はびっくりした顔で「え?」と呟きクラスの奴等を見てた。通話の相手が「どうした?みっちゃん」とすこしばかり幼い声だけが聞こえてくる。しばらくの沈黙のあと、電話の向こうから、あの幼い声とは違う物静かな声が響いた。
「……光忠、現状を説明しろ」
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燭台切が「え、伽羅ちゃん居たの?」「とっとと話せ光忠」と言うやり取りののち、慌てて声の低いやつに説明すればけらけらと笑う幼い声が響く。
すると恐る恐ると言った八百万が口を開く。
「み、光忠さん……? 電話の邪魔でしたか?」
『いやいや、びっくりしたけど邪魔じゃないよ!』
<女の声……なんだみっちゃん! やっと彼女出来たのか!?>
『違うよ貞ちゃん! 相手に失礼だよ! 君みたいにとっかえひっかえしてる訳じゃないんだし!』
<俺だってとっかえひっかえしてねーよ! それは大倶利伽羅だろ!>
<違う……! 俺は一人でいい……!>
『伽羅ちゃんに限って……それは…ねえ』
<ああそうだな!>
<……腑に落ちん!>
「てめえ燭台切ぃ! 説明しろやカス!」
『爆豪くん! 物言い気を付けよう!?』
「うるさーい! 相手は誰か聞いとるんやー!」
『わー!?』
とびかかった麗日を切っ掛けに女子が燭台切にとびかかる。男子でそれを引き留めて、燭台切が通話をテレビモードにした。
『彼等が僕の電話の相手だよ』
「待たせたなぁ! 皆の衆! へへっ、なんちゃって! 言ってみたかったんだよなぁ! 俺が噂の貞ちゃんだ!」
『ごめん貞ちゃんフルネーム名乗って』
「あっ、わりー! 俺は太鼓鐘貞宗だ! よろしくな! ほら、大倶罹伽羅も!」
「……馴れ合うつもりはない」
『彼は人見知りなんだ、大倶罹伽羅って言うんだよ。二人とも幼馴染みなんだ、今は士傑高校にいるよ』
「光忠今度ぶち殺す」
その二人の自己紹介のあと、クラスの奴等も自己紹介して、一件落着した。
この一件で燭台切は太鼓鐘貞宗にはすごく過保護だと言うことが判明した。
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ちょこちょこ単発!【×とうらぶ!】
ヒーロー殺しを捕まえて細路地から出てきた直後。燭台切エンデヴァー事務所設定。
『!? ちょっと待って君達! エンデヴァーさんに言われて来たは良いけどなんでそんなにぼろぼろなの飯田くんと緑谷くんと轟くん! って言うか轟くん君ね! 僕も言ってくれたら助太刀したのになんでほっといて行っちゃうの! 僕がいたらそんなことにはならなかったと思うのに! 三人ともこんなに怪我してもー! 親御さん心配するでしょ!』
「あ、ごめんなさいお父さん」
『ふざけてる場合じゃない!』
「……燭台切が、キレてる……」
『そりゃあ僕もキレるさ! 年齢こそみんなと一緒だけど僕は伊達政宗公の刀だったんだからみんなより数百倍お爺ちゃんだよ!? 心配しないわけないだろう!? 僕からしたら君達は子供なの! まったく……こういう勝手な行動は他人に迷惑が掛かるからやめようね!? 今回はやらなきゃ死んでたからしょうがないけど!』
「そこが燭台切君をお父さんとしたしめる由縁か……」
『知らないし要らないよそんな格好悪いルーツ! って飯田くん君って奴は腕がグチャグチャじゃないかもおおお! 復讐は構わないけど怪我はダメだよ!』
「……はて。ボ、俺は燭台切君に復讐のことを言ったか?」
『刀剣男士の時に「あなたも僕に復讐を望むの……?」って言う見た目小学生の短刀くんが居たからね。復讐云々に囚われてる人は目を見ればわかるよ……ってそうじゃないよ! 早く病院行こう!? 薬研君がいたらササッとかっこよく治療出来るのになああああ違うそうじゃない! とりあえず君達大怪我してるんだから大人しく病院に行こうね!』
「「「はーい」」」
一方プロヒーロー達。
「私達の言いたいこと、あの燕尾服の眼帯君に全部言われちゃったわね……」
「伊達政宗の刀って……彼の精神年齢は今一体いくつなんだ……?」
「……まるで父親ね」
プロヒーローたちからの燭台切への評価は鰻登りだったらしい。(グラントリノ後日談)
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突発的お話。原作沿い。成り代わり性別逆転。
小さい頃から、なまじ何でもできた。勉強しても運動しても絵を書いても料理しても。前世の私がそうだったように、今世の私もそうなった。なるべくしてなった、聞こえは良いが少し違う。ここは彼の居場所だった、世界。
生まれてきて、名前付けられて個性発現してああやっぱり彼なのか、彼の場所を奪ったのかとぶわりと涙が止まらない。
『爆豪勝己』。今世の私の名前だ。原作じゃ彼は男だった筈なのに、今は私が居るから女で。本当に幼い頃に一度自殺をしようかとも思ったがしたら原作が大幅に変わってしまうだけ。変わってしまうだけなんて言っても爆豪が女の時点でもうここは平行世界だ。パラレルワールドだ。
……だからこそ。私は俺になって原作を紡いでいこうじゃないか。やってやるよ理不尽な世界。見てろよ駄神、びっくりするぐらい、変えてなんてやらねえ。
**
俺が生まれてきて、はや7年、小学生になった俺、爆豪勝己は女である。
「勝己くん! あっち行こ!」
「かっちゃん向こういこうぜ」
だがしかし、俺は元々女の子の様な姿をするのが苦手で、髪も普通に短いから男と間違われている状態だ。
『遊んでやってもかまわねんだぜ!』
「「「うおおおお!」」」
はっ、と鼻で笑ってそう告げれば沸き立つ教室、うんざりな自分。精神年齢こそもう三十路手前な俺は子供のノリにはあまりついていけそうにありません。
「爆豪くんまたテスト満点だ! すっごいね!」
「馬鹿! 爆豪女だったんだって! まあだからなに? って感じだけどな!」
「なら爆豪ちゃん? 勝己ちゃん?」
『おいそこちゃん付けやめろよばあああか、いつもで良いだろ!』
「あはははっ!」
「爆豪またバスケでダンクシュート決めたらしいぜ」
「アイツマジ女かよ、ダンクシュートて俺たちも出来ねえのによ」
「まあ爆豪だしな」
『ああ? 俺がどうしたって?』
「いや、さすが爆豪だなっつってな!」
「爆豪出来ないことなんてねえんじゃねえ?」
『はっ、ったりまえだろーが!』
「さっすがー!」
「爆豪さんって初めて身長高いしかっこいいね!」
「あっ、あんた転校生だっけ? そうそう! うちのクラスの男子全然だめだめなのにさあ。その点爆豪さん女の子だけどイケメンで女子には優しいし尊敬できるよね! 勉強も運動も出来るし!」
「個性は派手でヒーロー向きだしね! 高校は雄英いくんだろーなあ」
「爆豪さん行くなら私中学卒業したら雄英の普通科受けよっかな……」
「いいね! そうしよ」
「ね!」
「爆豪アイツ、今度は隣のクラスの可愛い女子に告られてたぜ」
「もうマジ羨ましいよな……」
「男子の面子丸潰れっつーかさ」
「まあアイツ一人を除いて誰にでも分け隔てねえから楽だよな」
「まあなー」
「一人を除いて?」
「緑谷だよ、緑谷」
「幼馴染みだっけ? 緑谷には当たりがすげえキツいよな」
「まあ無個性だし仕方なくね? 幼馴染みが無個性とか可哀想すぎんだろ」
「前また爆豪が緑谷ブン殴ったっつー噂だぜ」
「アイツホントスカッとすることやってくれるよな」
「なー」
うるせえ。
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雲雀長編。
午後からはヒーロー基礎学。戦闘訓練をするらしい。訓練って何。実戦なんでしょ、要するに。
前から戦闘服の入ったケースを貰って、更衣室へ向かって、早速着替える。背後で女子のコスチュームはどんなものなのだろうと騒ぐ男子の群れに舌打ちをしそうになって、堪える。今僕はこの町に独り暮らしだ、本家へ戻ったら誰でもいいから咬み殺そう。それまで蕁麻疹との戦いか……。
ばさっと学ランを肩に羽織って、左腕に風紀の腕章がついているか確認する。よし、付いてる。ここまでそっくりに再現してくれるとは思わなかった。所謂前世の時の、僕のいつも着てた服。強いやつがいたらVGを使うつもりでいるから、戦闘時は意味を成さないけど。頭の上にトリ(ヒバード)がぽすんと居座ったのを確認して、更衣室を出ようとした。そう、した。
「おい雲雀ー! もう着替えたのか、はえーな!」
ぐっと気分が不機嫌になっていく。誰、僕を呼び止めたのは。顔を若干しかめて振り向く、そこには重力に逆らって立つトゲトゲそうな赤髪の男。上半身はほぼ半裸に近い。
風紀が乱れていることに眉を寄せ、「なに」と言い放つ。
「一緒に行こうぜ! お前いっつも一人だろ!」
『僕は群れる草食動物が嫌いなの。一緒に、なんて鳥肌が立つ。余計なお世話だから構わないで結構だよ』
彼にそう告げて颯爽更衣室を出た。あぁ苛々する。頭の上のトリが「余計なお世話、余計なお世話」と反復する。これからの戦闘訓練、楽しみだな。群れる気は無いけど、久々に咬み殺せそうだ。
**
今回の戦闘訓練、屋内対人戦らしい。へえ、僕のテリトリーじゃないか。
「2対2の屋内戦を行ってもらう!」
2対2らしい。え、どうしよう。まあなんとかなるよね。
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今回、状況設定が有るらしい。どうでもいい。「敵」がアジトに「核兵器」を隠していて、「ヒーロー」はそれを処理しようとしている。「ヒーロー」は制限時間内に「敵」を捕まえるか「核兵器」を回収すること。「敵」は制限時間まで「核兵器」を守るか「ヒーロー」を捕まえること。
どうしてもアメリカンに思える。僕はアメリカンよりジャパンの方が好き。
コンビ及び対戦相手はくじのようだ。オールマイトとやらが講師のようで、「だが。」と言葉を止める。
「19人と一人余っちゃうんだよね! だから余った人は私と一対一の対戦だ!」
途端に「えええええ!?」と声を揃えて叫ぶものと、「っしゃ」とぎらぎら目を輝かせるものが出てくる。まあ、ぎらぎら目を輝かせてるのは、僕だけだけどね。
『ねえ』
「なんだい雲雀少年!」
『その一対一、僕にやらせて』
にや、と笑えば周りが「えええええ!?」「頭大丈夫か雲雀!」「戦闘狂か!?」とわちゃわちゃくっちゃべるのを『うるさいよ』とトンファーを出して黙らせる。なんなの、そんなイカれた奴を見るような目をしてさ。
オール……なんだっけ、オールなんちゃらが不思議そうに僕を見て聞いてきた。
「ど、どうして私とやりたいと思ったんだい?」
『ん? 単純に強い人と戦いたかったからさ、あなたは強いんでしょ? 園児の時から僕に口答えする大人とか不良をトンファーで潰してきたけど、誰も彼もが弱かった。個性に頼りきりなんだよ。その点あなたはきっと強い、あなたの名前は覚えてないけど』
「私の名前を知らないのかい!?」
『興味なかったからね。もうひとつはまぁ……その金髪といい体躯と言いそのお節介そうな性格と言い、似てるのさ。唯一中学生の僕に師匠面したイタリアンマフィアのボスに、あなたが』
まだ咬み殺せてないんだ。と告げると「良いだろう」と彼が頷いた。周囲が「イタリアンマフィアのボスと知り合い!?」「何者なんだよ雲雀……」と騒ぐ。もちろん今世のことじゃ、無いけど。
「ただし、手加減はさせてもらうよ雲雀少年!」
『僕相手にそんなことが出来るならね、あなたは絶対咬み殺す』
周りの群れが「オールマイト対雲雀くんだ!」「命知らずだな雲雀は」「雲雀くん! 君は目上の人に対する態度か!」とか騒ぐけど一睨みで黙らせた。
最初の方はもう本当に興味がなくて、モニタールームで壁に持たれて爆睡してたよ。何か文句ある?
全ての組み合わせが終わって、とうとうその時がやって来た。重傷が一命いた? 居たっけ、重傷。まあどっちみち見てないし関係無いんだけどね。
結局オールマイトの勝手な決定で僕がヒーロー、オールマイトが敵ということになった。
とあるビルにつれていかれ、オールマイトは先に室内へ、僕は外で待機。今回は核兵器とか関係無く本当にガチンコバトル。
『……楽しみだね』
頭の上のトリが「緑ーたなびくー並盛のー」と歌い出した。
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