ごきげんようぜんざいです。
今回は今書いている『 鋼の錬金術師【緋炎蒼氷の錬金術師】』の夢主が銀魂にトリップしちゃったらと言うif話と言うか番外編的な奴です。
夢主スペック高いです。
ルールです。
ここはリレー小説では『ない』ので小説の書き込みはやめてください。もちろんコメントは大歓迎です。
荒らし、中傷、なりすましはやめましょう。
でわ!
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夢主設定は……まあ原作完結から数年後ということにしときましょう。夢主は相変わらずロイさんと一緒。階級は准将です。ロイさんは少将設定。
喋り方が江戸口調から男口調。
何かしらの大戦争から銀魂にトリップしてきた夢主から始まります。
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某日新撰組屯所前にて、それはうつ伏せに倒れていた。黒い短髪の毛先は外に跳ねており、その毛先からは赤い液体が滴る、雰囲気に似合わないアイマスクも赤い。彼女の着ている青い軍服は半分程が赤い血液で覆われていた。それらに削ぐわぬ血液一滴も着いていない、手の甲に不思議な陣のある真っ白な両手の軍手袋に填まった手には、刀身の長い日本刀が握られている。
その近くには黒縁の眼鏡が転がっており、彼女の物だろうと推測できた。
土方は見回り帰りに発見したその惨状に目を見開き、葺かしていた煙草を放り投げ、「おい! 大丈夫か!? おい!」と声を掛けた。上体を抱えて脈を見れば、生きていることは確認されたが意識がない。
土方の女を呼び掛ける声を聞き付けた非番の奴等が「副長!?」「どうしたんですか!?」と声を掛けてくる、それを一瞥し、この女を救護室へ連れていくべく近藤を呼ぶように指示し、そのまま女を抱き抱えて走り出した。
途中、女が「ってぇ……」と掠れた声を発したのを聞き逃さなかった土方はやはり怪我をしているのだと察する。
目的地についたときには女は再び意識を失っていた。
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いおりside
ふと体の節々の痛みにより目を覚ました。辺りを見回せば純和風と言った室内で、畳の上に敷かれた布団に横になっていたのだと理解する。
うむ、どういうことだ。傍らに置いてあった眼鏡を掛け、自身の状態を確認する。俺は確かロイと共にアメストリス最後の戦争を行っていた筈だ。これから軍事国家だったアメストリスを平和に変える最後の一歩を踏み出したはず。
ハッとしてこんな所に居る場合じゃねえと眼鏡と同じく傍らにおいてある愛刀を手に取り、立ち上がった時だった。
ずぎぃっ、そんな擬音が似合いそうな痛みが腹部と左腕に走る。中途半端に立ち上がったのでそのまま大きな音を立てて前のめりに倒れてしまった。
そこで気付く。俺は錬成陣の掛かれた手袋をしていないばかりか、軍服ではなく男物の着物を着ていたのだ。
よくよく体を見てみれば体中包帯だらけ、なるほど分からん。
先程の大きな音を聞き付けてか障子の襖がすすすと開く。思わず身構えてしまい、素早く態勢を立て直し、刀の柄に手を掛けた。
襖の向こうに居たのは……おいおい見覚えあるぞコラ。ハガレンより前世で漫画読んだぞコラ。
そう、そこに居たのは新撰組局長の近藤と、副長の土方だった。構えている俺を見たのか目を見張る土方を一瞥し、かちゃりと刀を脇に置く。
その行動を見た近藤が聞いてきた。
「なぜ刀を置いたんだね?」
『お前達の目に敵意が無え、殺気も無え。だから殺す理由は無え。あんたの後ろの瞳孔開いてる奴の探るような視線がなけりゃ俺はもう少し警戒を溶ける』
ちら、と少し土方を見て、近藤に視線を戻す。近藤は「やめなさいトシ!」と母さながらに注意する。ふと土方の視線が弱まった所で『ここどこだ』とくあ、と欠伸しながら俺は聞いた。
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俺の質問に近藤は「新撰組屯所内だ」と教えられ、ふーんと納得する。その後、土方にお前は何者だと聞かれ、そう言えば名乗ってなかったと気が付いた。
『いや悪い、忘れてた。俺は小原 いおり、出身は日本、現在アメストリス軍所属、地位は准将兼マスタング少将補佐、そして【緋炎の錬金術師】だ。覚えとけ、多分損はねえ』
布団の中で上体を起こしながら右手で敬礼をする。その光景に近藤ら二人は唖然、そして俺はそれを見てやべっ、いつもの癖で、と隈の酷い瞳を擦ってあくびをした。
当の二人は俺が准将だと言うことに驚きつつ、アメストリスは聞いたことねえとか、錬金術師? だとか呟いている。
俺はそれに対して『気にすんなよ』と声を掛けた。
『気にしたら敗けだ。多分俺の世界とこの世界違えから』
「……は? お前頭大丈夫か? え?」
『消しズミにすんぞゴリラ』
ゴリラ!? と驚く近藤を放り、土方がその根拠は? と尋ねてきた。根拠、根拠なー。
『根拠はある。お前らは錬金術師どころか錬金術も知らねえしアメストリスも知らねー。第一俺、戦争で勝つために人間兵器として最後の華咲かそうとしてたんだぜ』
確か俺が特大の焔を食らわせたところに背後から撃たれて腹貫通したっけな。そこまでしか覚えてねーわ。
とすらすら言えば「た、大変だったんだな」とか「人間兵器……?」と言う返答。
『人間兵器ってのはな、錬金術で国家資格取って国家錬金術師に言われる蔑称だ。研究費とか少佐相当官の権力とか与えられる代わりに軍に呼び出されりゃ戦争に参加とか言うこと聞かねえと駄目だから、軍の狗とか呼ばれたり。錬金術よ大衆のためにあれとか言うがんなもんねーわ』
やれやれと言ったように二人に溜め息をつけばちょっと目が引いてた。酷い。
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とりあえず俺は住む家も金もないとのことで、しばらく新撰組の一室に住まわせていただくことになった。
『わりーな近藤、部屋用意してもらって』
「いやいや、准将も新撰組の助っ人として協力してくれるんでこんくらい屁でもないですよ」
新撰組にて自己紹介で助っ人として話された日から既に数日経ち、メンバーとも仲良くなったところで、俺は近藤らより年上と言うことが判明した。
現在俺は助っ人として桂 小太郎の監視的な事を行うため、山崎、沖田、土方と戌威星の大使館を見張りに近くの部屋を借りた。
『いや、土方と近藤が三十路手前だとは思わなかったぞ』
「俺たちゃぁ准将さんが34だとも思わなかったぜ、見た目俺らと同じくらいかと思ったしな」
「土方さんうぜえ」
「ンだとコラァ!!!?」
『るっせーな』
早速土方と沖田の取っ組み合いが始まり、俺はふーとタバコを葺かす。ロイと一緒じゃタバコが吸えねえから、銀魂最高としか言えないな! ロイ居ないから良いよな! ロイタバコそんなに好きじゃないけど!
数時間後眠くなって来てしまったところで、大使館の門がドカンと大爆発する。恐らく坂田や新八等だろう。うおー、大爆発。いや、俺の方が威力も範囲も広いし! 爆発じゃなくて炎と氷だけど!
ホムンクルス約束の日決戦前、俺の錬金術の二つ名はキングブラッド・レイにより『緋炎』となってしまったのだ。まあ? 氷も? 使えますけど?
新撰組にはまだ錬金術を見せていない。気にすることじゃないだろう、どうしてもの時のための最終兵器だ、固定砲台にも火炎噴出器にでも何でもなってやる。
それに両足のオートメイルのことも明かしておらず、まあ俺の蹴りを食らえばお前の足は鋼鉄か!? とか突っ込まれて終わるだろう。
「とうとう尻尾出しやがった。山崎、なんとしてもやつらの拠点を押さえてこい」
「はいよっ」
「おい、沖田起きろ。お前よくあの爆音の中寝てられるな」
土方が何かを丸めた紙を沖田に投げつける。先程まで寝ていた沖田が真面目にしてろと土方に注意するがお前も真面目にしろ。
「新撰組の晴れ舞台だぜ、楽しい喧嘩になりそうだ」
『……寝みぃ』
「緊張感ねーな准将さん」
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数日後、山崎が攘夷志士達の居場所を突き止めたとのことで、さっそく突撃した。俺はただいま新撰組の隊長と同じジャケットを着てます、胸きつい。アメストリスの隊服は青色で目立つからってさ。俺の命を守ってる軍服が!
そんなことはほっといて、巻き込まれた坂田たちに同情しながらも特攻する土方に続く。
「御用改めである、神妙にしろテロリストども!」
一人残らず討ち取れェェ!! そう怒鳴った土方の言葉を合図に駆け出す隊士と逃げ出す攘夷志士。先頭を走るのは坂田一味と桂である。
俺はやる気無さげにあくびして土方を見る。土方があんたも行けっつー目ぇしてたので、行きますか。
手袋の裾を引っ張り、ちゃんとはめたところで構える。
『隊士たち!! 伏せたまえ!』
土方が怪訝な顔をしたがサッと全員しゃがんでくれたので助かった。『行くぞ!!』と叫んでからぱちんぱちんぱちんと指を鳴らし、炎がゴオオオと音を立てて攘夷志士を襲う。
立ち上がる黒煙と悲鳴を風景とBGMにし、刀を抜刀する。切る度に攘夷志士は氷塊に包まれ、俺の刀に付着した血液も凍る。
その光景に坂田達や土方らも目をひん向いている。
『……なあ、行かねえの?』
唖然とする土方たちに声を掛ければ、ハッとして隊士が雄叫びを挙げながら駆け出す。
それと共に攘夷志士と坂田一味も走り出した。
「なななななんなんですかあの人らとあの女性!?」
「武装警察『新撰組』、反乱分子を即時処分する対テロ用特殊部隊だ、女は知らん」
「あの女性炎出しましたけど!?」
「厄介なのに捕まったな、どうしますボス?」
「だーれがボスだ! お前が一番厄介なんだよ!」
坂田や桂達のやり取りに耳を澄ましつつ、土方と共に攻撃を仕掛ける。
ズガンと土方が刀を抜き、俺が指を鳴らせば坂田の胴体が凍った。
「逃げるこたぁねーだろ、せっかくの喧嘩だ、楽しもうや」
『待て俺軍人なんですけど、地位は准将なんですけど、もうじき少将なんだよ巻き込むんじゃねーよ、あーくそ眠い……』
「あんた一日の半分寝てんじゃねえか!!!」
「おいおいおめーホントに役人か、よく面接通ったな、瞳孔ひらいてんぞ。あ、お姉さんとは遊びたいな」
「ひとのこと言えた義理かてめー! 死んだ魚のよーな目ぇしやがって!」
「いいんだよいざというときは煌めくから」
『わりー俺旦那いる』
「「嘘ぉ!!? いつ結婚!?」」
『四年前』
目ぇ見開いてこちらを見る土方と坂田を一瞥し、スッと一歩下がる。旦那とはもちろんロイである。約束の日から少しして、ほとぼりが冷めてから籍を入れました、はい。子供は居ません。
その時土方めがけて沖田からのバズーカが飛んでくる。俺が一歩下がったのはこのためだ。
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