欅坂46の「エキセントリック」と「避雷針」という曲をもとに書いていく小説です。
あくまで私なりの解釈です。
感想やアドバイスなどありましたら、気軽に書き込んで下さい。
荒らし、誹謗中傷、なりすまし厳禁。
※いじめの描写があるので、苦手な方はブラウザバック。
※登場人物は全てオリキャラです。
[プロローグ]
ああ……お腹空いたな。
食べ物を求める自分のお腹を優しく擦る。しかし、食べる気にはならなかった。椅子に頭を、食卓には足を乗せた体勢を崩したくなかったのである。
薄暗いキッチンの天井を、私はどのくらい仰いだだろう。
曇りのため正確にはわからないが、もう夕方に近い。またこうやって一日が終わるんだな。
その気持ちが、私をより怠惰にさせる。散らかり放題のキッチンを片付ける気は、微塵にもない。冷凍食品やカップラーメンのゴミの回りを飛んでいる蝿は、流石に鬱陶しいが。
ふと、カレンダーに目をやる。明日の日付には、小さく赤丸がされていた。
瞬時に全てを理解した私は、か細い声でぽつりと呟いた。
「明日は新学期かぁ……」
[1.君が気になってしまうよ]
気が付けば、俺は自転車を押し進めながら、車道を歩いていた。心地よい春風が俺の頬を撫で、目の前には澄んだ青空が広がっている。
建物はなく、ガードレールとだだっ広い草原しかない。
ここは、どこなんだろう。
制服のポケットを探るが、スマホは入ってなかった。学校鞄も見当たらない。
だが、俺は混乱することはなかった。今自分がどこにいるかという疑問よりも、もっと陰鬱な感情を抱いていたからだ。
その正体はわからない。ただ、悲しみとか怒りとか恐怖とか、そんな言葉では済まされないようなものであることは確かだった。
さらに歩を進めると、視界に大きなバリケードが入った。その瞬間、俺の心中にとてつもない絶望感が生まれる。『通行止め』という文字が、やけに憎々しげに見えた。
「逃げられないんだな……」