ここでは、東方の二次創作小説を書くスレです。お気軽に書いてください。
尚、私の二次創作小説はチート、恋愛要素などがありますので
「そんなのは変えた方が良い!」
「チート良くないよ」
「美○○とかやめた方がいいよ」など
という方は読まないことをおすすめします。
それでも「いいよ♪」って方は………
ゆっくりしていってね!!
第一章【ただいま、ごめんね】
ーある日の出来事ー
紅魔館のメイド長の十六夜咲夜が紅魔館主のレミリア・スカーレットの部屋に訪れたときのこと。
「お嬢様、失礼します。」
何時も夕方を過ぎると咲夜はレミリアを起こしにくる。今日もいつものように夜がくることを教えに来ていた。
「お嬢様……起きて…く…だ…」
咲夜は言葉を失った。それは、静かにレミリアが涙を流していたからだ。
「お…ま…様。あ…が…とう。」
掠れた声でそういったあとレミリアはその紅い目を開いた。
「おはようございます、お嬢様………どうしたのですか?」
「え?あれっ?」
咲夜がハンカチでレミリアの涙を拭くとレミリアが不思議そうな声を出した。泣いていたことに気づかなかったのだろう。
「……夢を見たの。久しぶりにあの人の夢を。」
「あの人の夢……?」
「そうね、貴方には話していなかったわね、驚かないでよ。」
レミリアは思い出すように目を閉じて口を開いた。
「私達にはね、お姉様がいるの。」
「………?」
「フフッ、理解していないようね。本当は紅魔館の当主はお姉様だったのだけれど急にいなくなったの。お母様と死と共に…ね。」
「え____」
「殺されてはいないと思う。私のお姉様は吸血鬼でありながら女神の力を持って産まれてきたから。帰ってくるまで私はこの夢を見るでしょう。」
寂しそうにそう言葉を紡いだ。
まさか、『帰ってくるまで』が近づいているのは知らずにね。
ー翌朝?ー
「……ミア、…ミリア、レミリア!」
「ん…?」
誰かの声で目が覚めた。視界が開けてくるとそこは私の寝室ではなかった。
「ここ…どこ…?」
青い空に大きな雲が流れ、辺り一面、色とりどりの花を咲かせている光景だった。
まるで____
お姉様と始めて遊んだ場所のようだった。
「おはよう、レミリア。」
声がした方を見ると逆光で目が眩みその人は見れなかった。でも、私はこの声を知っている。
「フフッ、レミリア、見えなくてもいいから私の話しをちゃんと聞いて。」
真剣さを孕んだ声音でそう私に言った。
「ここは、私の記憶の中。私が幻想郷で好きな場所。これは私の記憶だけれど、貴方がこれたのは運命。だから…私の封印を解いて。」
「え?封印?…解けば、お姉様に会える?」
「成功すれば会えるし、失敗すれば外の世界に私が飛ばされる。」
どうしたら成功するのだろう…
私は目を閉じてお姉様を見た。だけど靄がかかってはっきり見えない。
「レミリア、今、私が見えても何も始まらないよ。………私の【縛り】解いてくれる?」
答えは決まっている。NOって言う答えは私にはない。Yesしか私に答えはない。迷っていてもお姉様に会えるのであれば____
「やるわ。私がお姉様を解放してあげる。」
「ありがとう。私の言う言葉を詠唱して。」
“ヒイラギ、イバラ”
「ヒイラギ、イバラ」
“影と月”
「影と月」
「“開け…紅い扉”」
「私の名前を言って。」
最後に聞いたお姉様の声。私は叫んだ。
会いたい気持ちを胸に____
「目を覚まして!イリアーナお姉様!!」
最後に靄がかっていたお姉様の顔が見えた。とても綺麗な顔で私に笑いかけていた。
『ありがとう』
私はそこで意識を失った。
ーその頃…ー
「…った、“解放”されたけど外の世界に飛ばされた…」
飛ばされたところは昔、“あの人”に出会った巨樹がある森だった。そして、“あの人”とさよならをした場所だった。
ふと、空を見上げると木の間から見える夜空が泣きたくなる程綺麗だった。
ガサッ_____
後ろから草が動く音が聞こえた。私は強くて冷たい気配を感じ、近くの木に飛び乗った。
「・・・・・っっ」
姿を現したのは______
「ク…レ…?」
ここで出会ったあの人だった。
青みがかった黒髪に黄金の瞳。幼さはなく冷たい目と端正な顔で巨樹を見つめていた。辺りを…私を見つけるように見た。その時、目があった気がしたが、巨樹に視線を戻し彼は寂しそうに悲しそうに笑った。
小さな声で私の愛称を呼んだとは知らずに……
ーその数時間前ー
赤い、赤い、あいつから流れる赤いもの…
悲しくて、怖くて、守れなかった悔しさ…
『生きて…クレ、私は______』
最後は聞こえないが別れを告げていることには変わりない。守りたくても守れなかった愛しき人。
例えそれが……
「ハァッハァ!」
夢だとしても、俺は後悔をし続ける。
体を起こし服を着て外に出た。この夢を見たときはあの場所に行く。如何してかは分からない。ただ、本能的に足が動いているだけ…
「…った、__されたけど____に飛ばされた…」
そんな声が聞こえた。途切れ途切れだけどこの声はあいつの声。俺はいつの間にか走り出していた。
ガサッ_____
巨樹に着くと誰もいなかったが、あいつの気配が残っていた。久しぶりの気配と魔力、全てあいつのものだった。
「・・・・・っっ」
どこかで息を呑む人がいた。俺は周りを見回した。どこかで目が合った気がしたがやっぱり…と思い視線を戻した。
「イリア……」
そこにあいつがいることに気付かずに……
ーーー
ーー
ー
体が動かない__
声が出ない__
行ってしまうのにどうしても手が伸ばせなかった。
覚えてないの?約束を……
『生きて…クレ、私は解放されたら帰って来るから…それまで、生きていて…』
『あ、あぁ、』
『私は生きて帰って来るから…約束を忘れないで…』
『………』
『300年後、ここで会えるから…そのときは、泣かせてね。』
『あぁ、思う存分、我慢した分泣け。』
忘れたの?私達の約束…
少し悲しい…
クレが身を翻し、巨樹に向かって叫んだ、
「イリアっ!いるなら出てこい!約束だろ!」
多分、クレは覚えてない…賭けだったと思う。それでも私は良かった……
私を覚えていたから____
「やっぱり、いないよな…」
そう思ったら私は地面に足を着けていた。
トッ____
完全に足が着くと同時にクレが振り向いた。目を見開いて、その黄金の瞳に私を映して…
「久しぶり、クレ」
彼が安心出来るように笑った。