たまーに書きにくる
深海棲艦からとある世界を「提督がいない」艦娘たちが救う話
___深海棲艦が海に現れてからもう10年。あの化け物はすぐさま海を支配し、地球を、我ら人類を殺し始める。あいつらには何も効かなかった。銃も、ミサイルも、……核兵器も。
船はどんどん撃沈され、どんどん人が死んでいく。各国の通信網は破壊され、他の国が全滅したかもすら分からない。
世界は、地球は、滅びへ向かおうとしていた。
本日は国から重要なニュースがあるらしい。地下シェルターに1つだけ設置されている、巨大テレビを地下シェルターの住民が見に足を運んでいた。おかげでテレビの周りは人だらけだ。
総理大臣だと名乗る男性がテレビに映っている。どこかのスタジオのようだった。ここにいる人間のほとんどがあの男性が総理大臣だとは知らないだろう。私だってそうだ。
「この力があれば我々は深海棲艦に勝てるだろう。それまでの辛抱だ。」
そこで総理大臣はカメラの外へと歩いていった。後にはマイクが残されている。力とはなんだ。それがあれば、あいつらに勝てるのか。徴兵されて二度と戻ることがない父親や、海の方へ消えた弟の仇を取れるのか。あの日から精神が壊れた母親は元に戻るのか。
当たりが騒がしい。そりゃあみんな疑問だろう。テレビに向けて怒声を上げている人もいる。だが、次の瞬間、みんな黙った。カメラの前に現れたのは、女性だったからだ。外套を羽織り、奇妙な服を着た。長い黒髪が揺れて、赤い目がカメラを見て、キュッと閉められた口が開いた。