12歳。二次小説

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1:タピオカパン:2019/07/07(日) 14:30 ID:.aE

あのちゃおの有名な少女漫画12歳。の世界を舞台にして二次小説を書きたいと思います┌(・。・)┘♪ 

オリキャラ追加しますヘ( ̄ω ̄ヘ)

2:タピオカパン:2019/07/07(日) 14:59 ID:.aE



……ここが新しい学校か。




やっぱ、田舎とは 違うや……。











───うち、離婚するから。





そう言われたのは、一週間前のことだっただろうか。







お父さんは会社の社長で、お金持ちだった。




だけど、お金を無駄に使い、酒癖が悪く、いつも帰ってくるのが遅かった。





その上、お母さんが注意するとカッとなってお母さんや私に暴言を吐いたり、暴力をふるったりした。







そして、離婚した。





私はその事について何も思わなかった。





──お父さんのことが好きじゃなかったから。




私は今、お母さんと二人暮しをしている。





お母さんは優しい。





そんなことを考えていたら、





「如月さん」





と、新しい担任の先生に呼ばれ、教室へと足を踏み入れた。







「転校生を紹介します」





……この流れ、自己紹介しなきゃいけないやつ?





「…如月律です。田舎から来たんで多分話し合わないと思うけど一年間よろしく」





拍手が起こった。





「あなたの席は用意してあるわ。あそこよ」





先生が指差したのは、一番後ろの一人席だった。






…よくここにしようと思ったね。





と思いながらそこの席に向かい腰をかける。





「じゃあ、先生は職員室に行ってくるので、質問タイムとしましょう」




イェーイと謎の歓声が起こる。





……プライバシーの侵害。





「ねーねー、どこから来たの!?」





そう聞いてきたのは高い位置でツインテールをした女子。





「……青森だけど」





田舎ですけど何か。





「彼氏いる〜!?」




クラスのお調子者っぽい男子。




ってかいるわけねーだろそんなん。





「いるわけないじゃん」





「えーーっなんか意外!!いそうなのに」




人って外見でなんでも決めつけるよね。そういうやつ本当嫌い。





「好きな食べ物はー?」




「…梅干し」




「うわ…渋っ。うちらなんかタピオカだよね〜w」





素直に言っただけなんだけど。てかじゃあきくなよタヒね。((



──❁──❁──❁──❁──

律結構毒舌です……

NEXT!!

3:タピオカパン:2019/07/07(日) 15:08 ID:.aE



「如月さんって大人っぽくて美人だね!」


そう話しかけてきたのはさっき質問してきたツインテール。←


「……で?」


「え…」


田舎の方ではこれが普通だったんだけどね……。みんな普通に私のことわかってくれたし。


「如月さんよろしくね」


さっきのツインテールの友達らしきボブヘアの女子が言った。


「…うん」


私は心の中で溜め息をつきながら席を立った。


すると、


「え、」


柚…?


にめちゃくちゃ似てる…


柚は田舎の親友。


栗色の揃った髪の毛と大きい瞳がすごく似ていた。


笑顔もそっくりだ。


でも、あれは柚じゃない。


別人だ。


関係ない、赤の他人。

4:タピオカパン:2019/07/07(日) 15:29 ID:.aE



「ねえねえ田舎っ子さーん」


目の前に立ちはだかったフリフリの服を着たぶりっ子。(オーラだけでわかる)


「好きな食べ物梅干しとかマジでウケるんだけどwwねえ、タピオカって知ってる?」


バカにしないでほしい。


都会っ子にだって梅干しが好きな人はいるし。


まじで頭イカれてんじゃんこいつ。


「それくらい知ってるけど。勝手にウケてればいいじゃん。どいて邪魔」


過ぎさろうとすると、


「逃げるとかダサっw」


その声が聞こえた瞬間、私の怒りが頂点に達した。


ガシッ


そいつの腕を掴んだ。


「えっちょっと何…」


「私はここに来たくてきたわけじゃないの。逆にお前田舎行ってみ?まじで消されるかんね?」


「痛…痛いっ」


ぱっと手を離すと、そいつはよろけて転んだ。


お前のほうが何億倍もだせーよ、バーカ。

5:タピオカパン:2019/07/07(日) 15:38 ID:.aE


都会は嫌いだ。


流行に流されて、自分を見失って、挙げ句の果てに陰で人の悪口を言う。


田舎だったら…青森だったら…こんなこと全くなかったのに。


みんな穏やかで、自分をちゃんと持っていて、すごくいい人たちばっかりだった。


でも……


田舎での生活は、終わってしまった。

6:タピオカパン:2019/07/07(日) 15:40 ID:.aE

❁付け足し❁

12歳。ですが、中学生にしようと思います。12歳ではなくなってしまいますが、12歳。のキャラを使うということにします。めちゃくちゃでごめんなさい(・ัω・ั)

7:依夢◆7s:2019/07/07(日) 16:21 ID:o9s

こういうの好き。本家には突っ込んじゃうけど、言いたいこと言ってくれてる感ある。

8:タピオカパン:2019/07/07(日) 18:20 ID:voM

>>7 依夢さん
ありがとうございます!好きだなんて嬉しいですヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。

9:タピオカパン:2019/07/07(日) 18:29 ID:.aE



筆箱ねーんだけど。


初めての授業だってのに。


まあいいや。


「先生筆箱がどっか行ったので授業出なくていいですか」


そう言うと、先生は困ったような顔をした。っていうか確実に困っている。


「き、如月さん、授業はちゃんと受けましょうね」


いや、だからさ。筆箱ないんだよ言ってる意味わかる?


シャーペンないのに授業受けろって?


黒板に書いてある内容を全て目に焼き付けろって?


私そんな能力持ってないんだけど…


いいやもう。どうせじきにはまた引っ越すんだろうし。


ここで頑張らなくても…


また次頑張ろう。

10:タピオカパン:2019/07/07(日) 18:37 ID:.aE



「あ…寝てたわ」


授業の終わりのチャイムで目が覚めた。


「なんなんだよもう……」


夢を見た。


小学校の頃の思い出。






『せんせー、空がきれいなので外に見に行きましょ〜!』


それは、小学校の頃の私。


昔は…あんなに元気だったのに。


『おー、そうだな。みんなー、校庭行って写真とるぞー』


先生はまるで生徒のようにはしゃいでいた。



そして、みんなで校庭へ走っていって、寝転んだ。


視界に広がる雲一つない青い空。


横を向けば、友の笑顔があった。




そんな、懐かしいが夢を見てしまった。


「余計、恋しくなるじゃん……」


そんな独り言は、教室の喋り声に紛れて消えていく…




はずだった。


「何が?」

11:タピオカパン:2019/07/07(日) 18:38 ID:.aE

あ、誤字った。まいいやw

12:依夢◆7s:2019/07/07(日) 18:47 ID:o9s

いえ、コメダメじゃなかったら良かったです

13:タピオカパン:2019/07/07(日) 18:50 ID:.aE



そう訪ねてきたのは、男子にしては大きな瞳をした犬みたいな男子だった。


「……え?」


「……え?」


何が『何が?』なのか理解ができなかった。


…あ、


「もしかしてさっきの聞いてた?」


さっきの独り言。


「うん。気になったから訊いてみたんだけど」


『気になったから』って……


うわー、なんか答えんのめんどいわー。


「…めんどいから答えなくてもいい?」


すると、犬みたいな男子は噴き出した。


「え、何?」


「いやー、なんかさ、如月さんが来たときから思ってたんだけど、如月さんって面白いね!」



面白い。


そんなの、小さいときに何回か言われたくらいだ。


「初対面なのにタメで自己紹介するし、さっきの授業のときはサボろうとするし」


犬みたいな男子は笑いながら言った。


「あ、俺小日向太陽。みんなからは小日向って呼ばれてる。これからよろしく!」


「ども」


すると、犬みたいな男子はまた笑い出した。


「やっぱ面白いわ〜如月さん!」



いやあの〜…









フレンドリーだね…。

14:タピオカパン:2019/07/07(日) 19:09 ID:.aE



それから、なぜか小日向は私にやたらと話しかけてくるようになった。


そのたびに私は無視か塩対応。


でも諦めずに話しかけてくる。


不思議だ。








休み時間。



この学校って屋上開いてんのかな……


とりあえず勘で廊下に出る。


すると、


「ねぇねぇ!!あなた転校生!?」


と大きな声が聞こえた。


あ〜あ。転校生って窮屈。


『転校生』っていう肩書きで、なんか他の人とは別の扱いをされる。慣れてくれば大丈夫なんだろうけど、私は慣れようとすることはない。田舎での生活を忘れたくないから。


無言で振り返ると、


「わ〜、すっごい美人!」


チッ。タヒね。


「ねえ、名前なんて言うの!?あっ、私は今村想楽!!」


そんな焦らなくても私はいなくならないよ…(保証はしないけど)


「……如月律」


できるだけ早く話を終わらせて早く屋上へ行きたいのだが。


「律!かっこいい名前!」


もしひらがなで『りつ』だったらなんて言うんだろ…


「ほら!カコ。挨拶しな!」


後ろから出てきたのは、とんでもないくらい猫背の女子。


挨拶とかいいから早くしてくれや


心の中で壁をぶっ壊す。


「もう。あ、この子は相原カコ。気弱でおとなしい子だからお手柔らかに!」


あ、じゃあ関わらないほうがいいっすね。((


口&態度の悪すぎる私がそんな気弱なやつと喋ったら確実に相手死にますんで。


「よ、よよ…よろしくお願いします……」


震えながらそう言った。


うん確実に相性悪いね。


そんな怖がってんのになんでそんな挨拶なんか……


あもしかして罰ゲーム?


そしたらただの時間の無駄やん。


「ども」


懐かれても困るので、なるべく嫌われるような塩対応をしてその場を去った。

15:タピオカパン:2019/07/07(日) 22:05 ID:.aE



あっ


屋上あった。しかも開いてる。


私は屋上へと足を踏み入れた。


風が髪をなびかせる。


すると、背の高い黒髪のクールな男子がいた。


私は気にせず屋上の鉄格子に手をかけた。


そして、大きく空を見上げる。


今日の空は、あの日校庭に寝転んで見た空と似ている。


雲一つない青い空。


「懐かし。」


思わず声に出してしまった。


気づかれてないよね?


すると、長身の男子はゆっくりこっちを向いた。


目が合った。


気まずいので、私は目を逸らされる前に逸らした。


「おい」


「…」


無言で右を向く。


「お前、転校生?」


いや見れば分かるでしょ。


「そうですが」


「…案外馴れ馴れしいな」


「……」


「名前は」


「…如月律」


「ふーん…」


キーンコーンカーンコーン。


休み時間終わりのチャイム。


私は教室へと戻った。

16:タピオカパン:2019/07/07(日) 22:11 ID:.aE


次の授業は体育だった。


しかも得意なサッカー。


私は運動が好きだ。


そして比較的スポーツは全般できる。






ピーッ!!


試合の始まりの合図。


女子同士の対戦なので、緩い。


ここで本気出したらどーなんだろ。


私はするりと人の間を抜けてボールを奪った。


そしてそのまま勢いよくボールを蹴る。


「やりぃ」


見事ゴール。


「すごい如月さん!」


と、柚に似ている女子に言われた。


ほんとに柚にそっくりで、柚に褒められているみたいで笑みがこぼれた。

17:タピオカパン:2019/07/07(日) 23:11 ID:.aE



だんだんクラスメイトの名前が分かってきた。


ツインテールは綾瀬花日、ボブヘアが蒼井結衣、クラスのお調子者が、エイコーらしい。(あだ名だけど)


あと、柚にそっくりなのが春海桃。


あのうざいぶりっ子女の名前はどうでもいい。


仲が良くなったわけではないけど、喋ったりしているのを見て分かったのだ。





うん、ていうか筆箱どこ?


さっきの授業のときから見つかってないんだけど。


確実にあのぶりっ子女が隠したんだと思うけど。


「あれ〜?なんでこんなとこにダサい筆箱が?」


うわ。自作自演かよ。やばお前


っていうかダサくてすみませんね。


黒の無地の立てる式の筆箱。


ダサいというよりシンプル。


「ダサくてすみませんね」


イラついて勢いよく筆箱を奪い取った。

18:依夢◆7s:2019/07/08(月) 00:08 ID:o9s

見ててスッキリする。好きだぁ…二度もごめんなさい!

19:若桜&◆5A:2019/07/09(火) 07:09 ID:yJI

頑張ってください!
面白いです!

20:タピオカパン:2019/07/09(火) 14:08 ID:RQ.

>>18 依夢さん
うわあああまたコメントありがとうございます!!逆にコメントもらえるとすごく自信が持てるので全然大丈夫です!嬉しいヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。
>>19 若桜さん
コメントありがとうございます!!!めちゃめちゃ嬉しいです!面白いですか!?ありがとうございます(´;ω;`)

21:タピオカパン:2019/07/09(火) 14:25 ID:RQ.

「うわ〜。せっかく心愛が見つけてあげたのに、ビリって取るとかサイテー!」


…こいつの名前ココアっていうんだ。美味しそうな名前なのに性格まずいね。


「…ねえ、これどこにあった?」


「教卓の中だけど?」


普通そんなとこ見る?


通りかかっただけで見えるはずないし。


「…隠したよね?」


「えっ?ちょっと何?ビリって取った上に心愛を疑うなんてやっぱり最低ね」


いや優しさレベルは最も低いけど。


「ビリって取ったことは謝る。けどさ、もうちょっと言い方考えようよ。もしこれが私のじゃなくて他の人だったらって」


「…はぁ?意味わかんない」


「お前の筆箱も少々ダサいと思うけど」


ピンクのフリフリのリボンがついた筆箱。


「なっ…!人の筆箱をダサいなんて失礼よ!」


いやそれこっちのセリフ。


「じゃあ、分かるよね。『ちゃんと言い方考えよう』って」


「……っ…」





22:タピオカパン:2019/07/09(火) 19:15 ID:RQ.

「如月さん、部活何入る?」


小日向がそう聞いてきた。


「……部活入んない」


「ええっ!!この間サッカーでシュート決めてたのに!」


「めんどくさいし」


「じゃあ、強制だったら何部入る?」


「…何部があんの?」


「えっと、運動部が、サッカー、バスケ、テニス、ソフトボール、卓球、剣道、バレー、野球、文化部が、吹奏楽、合唱、美術。」


「ふーん…」


「…聞いてた?」


「……写真部とかないの」


「えっ、写真部はないけど」


私は写真部だった。


空の写真を撮ったり、みんなの部活風景を撮ったりした。


「写真撮るのって楽しいの?なんかつまんなくない?」


「……もういい」


私は立ち上がって教室を出た。


「ちょっと待って!」


小日向が慌てて追いかけてきた。


「何」


「いや、その…ごめん」


「別に謝られるようなことされてない」


「いやいやいや。絶対怒ってんじゃん」


「…じゃあ根拠は?」


「『もういい』って…」


「……私は、写真好きだよ」


「…」


「まあ…別に深く話し込む必要もないし、じゃあね」


「あ…」


歩き出すと、ドンッと誰かにぶつかった。


「あ、ごめん」


「あ…ご、ごめんなさ……」


さっきの猫背女子だった。


いや涙目だし。


「…そんな怖い?」


そんな泣かれるようなことしてないけど。


てか、名前何だっけ…


「カコ、大丈夫?」


さっきのポニテだ。


「あっ、如月さん!」


満面の笑みで話しかけられた。


そんな好かれるようなことしてないけど。


「ども」


すると、


「如月さん!」


と、ボブヘアの…結衣が駆け寄ってきた。


「あっ…結衣ちゃん」


猫背が顔をぱあっと輝かせた。


いや差ありすぎん?


やっぱ私嫌われてんな。うん。


「カコちゃんとカコちゃんたちと友達だったんだね!」


いや、誤解です。


「うん!」


ポニテが元気よく答えた。


すると、


「おい、蒼井!廊下のド真ん中突っ立ってんじゃねーよ」


と、小柄な男子が結衣を小突いた。


「もー、桧山!別にド真ん中じゃないじゃん」


桧山って言うんだ。ふーん


「じゃ」

23:タピオカパン:2019/07/09(火) 19:17 ID:RQ.

あ、誤字った

24:タピオカパン:2019/07/09(火) 19:32 ID:RQ.

行く宛もなく廊下をうろうろしながら掲示を見ていると、


「おい、転校生!」


は?


イラッとしながら振り返ると、


「よっ!」


誰?


「俺だよ!こ・ば・や・し!!」


「…で、何?」


「うわ〜相変わらずドライだな〜。あのさ、訊きたいことあるんだけど」


「…」


「どっから来たの?」


…さっきの質問タイムのとき何してたの?


それか違うクラス?


「青森」


「友達いた?」


失礼すぎだろお前。


「どういう意味で?」


「いや普通に」


「いたけど」


「好きな人は」


「いない」


「嘘だ」


「は?」


「怪しい」


「根拠を述べよ」


「怪しい」


「クソじゃん」


「ひど」


「いや事実だし」


「っていうかお前目デカくね?」


唐突。


「褒め言葉?」


「さあ」


「結局何がしたいのあんたは」


「んー、事情聴取?」


「…意味ちゃんと分かってる?」


「事情を聴取する!だろ?」


「馬鹿じゃん」


「はあ!?じゃあお前も説明してみろよ」


「事情聴取とは、ある出来事、事件について人から事情や状況を聞き取ること。」


「はあ!?お前頭辞書かよ」


「…」


「うむ。まあお前がどういうやつなのか分かった。あ、あと一つ。」


「お前顔いいのに口悪いからもったいねえよ。じゃな」


え?なんて言った?


聞き取れなかったんだけど。


…後で事情聴取するか。


25:タピオカパン:2019/07/09(火) 22:55 ID:i4M

初めてのお弁当。


前は給食だったからなあ…


私のお母さんは料理が得意。そして美味しい。


「手を合わせてください」


「合わせましたー」


「いただきます」


「「いただきまーす」」


ここでも『手を合わせて下さい』ってやるんだ。青森でもやってた。


みんな仲がいい人のところに移動したり机をくっつけたりしている。


柚がいたらなあ…


もし柚がここにいたら、私はどれだけ笑顔でいれただろうか。


多分、ずっと笑って過ごせると思う。


「ねえねえ如月さん!」


話しかけてきたのは、ツインテールの花日と結衣とお団子頭だった。


「お弁当一緒に食べない?」


「うん…いいけど、私無言で黙々と食べるタイプだからつまんないと思うけど、それでもいいなら」


「全然大丈夫だよ!さ、一緒に食べよ」


近くにあった机を4つくっつけて、席に着く。


「そういえば、私まだ如月さんと話してなかったよね!」


お団子頭がそういった。


「うん…多分」


「私小倉まりん!恋バナとか四六時中承ってるから、気軽に相談して!」


「まりんはおしゃれのこととか詳しいから頼りになるよ!」


「よろしく」


「よろしく〜」


お弁当箱の蓋を開けると、


「えっ!如月さんのお弁当すごい美味しそう!お母さんが作ったの?それとも自分で?」


まりんが反応した。


「お母さん」


「お母さんすごいね!」


「ところでさ〜、」


結衣が箸を止めた。


「小日向って如月さんの事好きなの?」


「は?」


思わず声に出してしまった。


「だよねそれ思った!如月さんにめっちゃ話しかけてるよね」


「脈ありだよ!」


「…」


「でもさ、小日向ってカコちゃんのこと好きなんじゃなかったっけ?」


カコ…あ、猫背の。←


「あ〜、噂あったよね」


「どーなんだろ」


「ねえ、如月さんは好きな人いないの?」


花日が訊いてきた。


いや、来て間もないよ?


そんなすぐ誰かを好きになる人いる?


「いないけど」


「じゃあ、前はどうだったの?」


「いないよ」


「え、じゃあ、『この人いいな』とか思ったことは?」


「んー…ないかな」


花日はがっくりと肩を落とした。


「もしかして男子嫌い?」


結衣が訊いてきた。


「嫌いってほどではないけど、好きってわけでもない」


「前男子の友達はいたの?」


「いたよ。」


幼馴染みの、普(あまね)。


「どんな人!?」


「ん〜…」


普の顔を浮かべながら考える。


「どこにでもいそうでいない感じかな…」


「えーーっ!!何それ!すごい気になる!」


『どこにでもいそうでいない』。


普にピッタリな言葉だと思った。

26:結衣◆YQ:2019/07/10(水) 18:46 ID:IrM

コメ失礼します!
面白いです・・・‼これからも読ませていただきます!

27:タピオカパン:2019/07/11(木) 17:19 ID:1O6

>>26 結衣さん
返信遅れてすみません(。•́︿•̀。)コメありがとうございます❣❣
面白いなんて嬉しいです(๑♡⌓♡๑)
はい❣これからも読んでいただけると嬉しいです❣(◍•ᴗ•◍)❤

28:タピオカパン:2019/07/11(木) 17:26 ID:1O6

『律ーーーーーーっ!!』


普はいつも、大きな声でそう呼んでくれた。


とびっきりの笑顔で。


そんな元気よく呼ばれたら、こっちだって元気になるに決まってる。


私は普に名前を呼ばれるたびに嬉しくなった。





『離れてても俺ら繋がってんだから悲しい顔すんなよ』


別れの時、普はそう言った。


肩をぽんと叩いてくれた。


そのおかげで、私は涙を流さずに別れの挨拶ができた。


今、こうして普通に過ごせているのも、普のおかげ。




私はもう一度、普に会いたい。

29:タピオカパン:2019/07/11(木) 20:35 ID:1O6

「さよならー」


「今日部活行く〜?」


帰り学活が終わり、みんながぞろぞろと教室を出る。


私も続いて出ようとすると、


「如月さん」


と、担任の先生に呼び止められた。


「どうだ、このクラスには馴染めたか?」


……一日で?


「んー…まあ。」


一日で色んな出来事があったけど。


「そうか。それは良かった。これからも頑張れよ」


「はい」


そう言われ、教室を出た。


すると、


「おー、転校生」


教室の前に立っていたのは、小林だった。


「あぁ…小林か」


「覚えてたのか?名前」


「まあ、ずいぶんと強引に認識させられたからね」


「そうかー?」


「……で、何か用?」


「え?」


「…アウストラロピテクスじゃん」


「え?」


「…」


「俺ら友達にならね?」


唐  突 !!


なんとまあ唐突な。


「別にいいけど…そんなに私に興味持ったの?意外」


女子にモテそうな外見してるっぽいし。


「ま、俺って優しいからさ!」


「あ、契約解除で」


「のーん」


「…ところでさ、小林って部活何入ってんの?」


「あー、俺はサッカーのクラブチーム入ってるよ。だから部活は入ってない」


「ふーん」


「自分から聞いてきたのにあんまり聞かないタイプ?もしかして」


「じゃ」


「唐  突 !!」


「じゃーなー馬鹿」


「地味にひどいこと言ったよね?ね。」


私はくるりと後ろを向いて歩き出した。


友達…か。

30:タピオカパン:2019/07/12(金) 17:52 ID:mg2


「ただいま〜」


「おかえり〜」


二階からお母さんが降りてきた。


「学校どうだった?」


「普通。」


「そう。良かったじゃない」


良い……?


「そういえば今日普くんのお母さんから電話あったのよ。『律ちゃん元気〜?』って。」


「へぇ」


「普くん、寂しいって言ってたって」


「…へぇ」


さすが普。素直だ。


「後で普くんに電話してみたら?あと柚ちゃんとかにも」


「うん」


私は自分の部屋に入った。


机の上に置いてあるスマホを手に取る。


LINEを開く。


「律ー、ママ買い物行ってくるからよろしくねー」


「オッケー」


お母さんが家を出たと同時に、スマホが震えた。


普から電話がかかってきた。


通話に出る。


「あま…」


『律ーーーーーーっ!!!!』


電話でも容赦ない普の叫び声。


「うるさい」


と言いつつも、嬉しい気持ちの自分がいる。


『ごめんごめん。久しぶりに喋れて嬉しくて』


「『久しぶりに』って…いつでもかけてくれればいいのに」


『律今忙しいかなとか考えてタイミングわかんなくて』


「普らし」


『え、そう?』


「うん。普は学校どう?」


『あ、そうそう。学校でよく律の話出るんだよ』


「そうなの?」


『うん。そういえば前律がさー、みたいな感じで』


「へぇ。うれし」


『あっ!そうだ!そういえばたけが柚の事好きらしい!』


「えっ?まじ?たけが?」


“たけ”っていうのは、“たけし”って言って、ゴツい体をしたゴリラみたいなやつ。ガキ大将みたいな感じ。でも、そんな理不尽な感じじゃなくて意外に優しいから私も仲が良かった。


そのたけが柚の事好きだなんて……


意外すぎる。


『うん。ほんと意外だよな!』


「ね。…あ、でもなんかたけって柚にだけは『お前』って言ってなかった気がする」


『あ〜!確かに!俺たちにはさんざん言ってきたけど』


「案外分かりやすいね」


そう言って笑うと、電話越しに普も笑った。


久しぶりに聞いた普の笑い声。


「で、それって柚は気づいてんの?」


『いや〜…分かんないけど多分気づいてない』


「あー、まあ柚は天然なとこあるからね」


『うん。律は学校どうだった?』


「んー……まあまあかな」


『やっぱそういうと思った』


「なんかね、めんどくさい人が多いかな」


『えっ、そうなの?例えばどんな人?』


「好きな食べ物聞かれて『梅干し』って答えたら『うわ渋っ。うちらなんかタピオカだよねー』って言う人とか」


『それはムカつくわ〜梅干し美味しいのにその美味しさを知らないとか可哀想。』


「な。うちらだってタピオカ飲んだことあるっつーの」


『懐かしいねー。前東京行ったよね』


「うん」


『結構長く話したね。じゃあ、いつでもかけて!』


「うん。分かった。じゃあね」


『じゃーなー』


そう言って、通話は終了した。


楽しかった…

31:タピオカパン:2019/07/12(金) 18:35 ID:mg2


「如月さんおはよう!」


自分の席に座っていると、小日向が駆け寄ってきた。


犬じゃん。


「おは」


「なんかいいなー。後ろの一人席って。」


「そう?」


「なんか先生から見えづらいから好きなことできそう」


「悪っ」


「えっ」


そんな他愛のない話をしていると、


「あーら本当に田舎者って男好きよね〜」


あ゛?


めんどくさっ。


私のことが嫌いならいちいち絡んでくんなっつーの。


かまちょかよ。


「あなたのことを言ってるのよ?」


バンと机を叩かれた。


「……だから?」


私は静かに心愛を睨む。


「は?あんた猿以下ね。田舎者は!男好きだって言ってんの!!」


「それお前じゃん」


「何よ?心愛のこと何も知らないくせに」


「昨日の一日でじゅうぶん分かったよ。嫌味な言動ばっかりして自分勝手で自己中なめんどい女」


呆れたように言ったのが、感に触ったようだ。


「あんたふざけてんの!?」


心愛はそう叫んだ。


……ってかさ、ずっと思ってたんだけど…




小日向!なんか言えよ!!


視線を送ると、


「あ…浜名さん、落ち着こう」


「小日向くんもそう思わない?男好きな田舎者って」


「浜名さんめんどくさいよ。いちいち如月さんに嫌味言って。そういう偏見よくないと思う」


小日向が真剣な表情で言った。


「わ、私は偏見なんかしてないわよ!!」


「へぇ。じゃあいちいち私に“田舎者”のフレーズをつけるのはなんなの?」


「それは」


「私のこと嫌いならいちいち構ってこなくていいから。」


「…っ」


すると、心愛は手で顔を覆った。


「ひどいよ如月さん…っ…心愛、如月さんの友達になりたかっただけなのに…っ」


は?ふざけんなタヒね。


心愛は泣き真似を始めた。


うっわこいつ絵に描いたようなめんどいやつじゃん。


引くわ。


「如月さんちょっと言い過ぎだよ」


「心愛ちゃんかわうそう」


「そうだよ」


お前ら全員眼科行け。


こんなんどう見ても嘘泣きに決まってんじゃん。


「如月が浜名を泣かせたっ!?」


エイコーが飛び出してきた。


「大スクープだ!!」


「如月が浜名を泣かせたとはな〜」


「ちょ…やめろよみんな!浜名さんは泣き真似してるだけだよ」


小日向が必死にそう叫ぶも、教室の騒音にかき消される。


「如月さんってそういう人だったんだ」


「泣かせても謝んないの?」


は?


ふざけんな


チッ



うるせえな



私は自分の机を蹴り倒した。


バンッ!!!


教室が静まり返る。


「さっきのやり取り全部見てたわけでもねえのに勝手に決めつけてんじゃねえよ」


「何その口。思ってたんだけど如月さんって転校生のくせに生意気だと思う」


そう一人の女子が言った。


「私は本当の自分を出してるだけだけど。『転校生のくせに』ってそんなん言うんだったらお前も転校してみろよ。転校生って肩書きに縛られて偏見されるこっちの気持ちも分かるから」


「『本当の自分』とか言ってるけど、口悪すぎ。もうちょっと言い方考えらんないの?」


「ああ。じゃあもうちょっと優しく言ってあげようか」



「人生やり直せ」



「はぁっ!?何それ!?意味わかんないんだけど」


「一つの場面でしか物事を判断することができないなんて、今まで何を教わってきたのって話」


「っ…」


「ねえ、いい加減嘘泣きやめようか」


すると、心愛は顔をあげた。


案の定、顔は濡れていなかった。


「迫真の演技どうもありがとう」


「演技なんかじゃないわよっ!!心愛本当に傷ついたんだからねっ!!」


「その性格も演技だったら良かったのにね。あーあ残念。」


そう言い、私は教室を出た。

32:タピオカパン:2019/07/12(金) 18:50 ID:mg2

教室を出ると、先生と会った。


「おい、もうすぐHR始まるぞ」


「ちょっと具合悪いので保健室行ってきます」


「大丈夫か?」


「はい」


先生が教室に入っていくのを見ると、私は屋上へと出た。


保健室に行くのなんて大嘘。


先生には無駄な心配かけちゃうけど。


まあ、バレても『次はやるなよ』くらいで済まされると思う。


それにしても心愛うざいわあ。


何でできてんのあの人。


8割は悪口製造マシーンでできてるやろ。


はぁ…


キーンコーンカーンコーン


チャイムがなっても気にしない。


どうせ勉強したっていつかは忘れるんだから。眠りにつくんだから。


なんで子供を自由にさせてくれないんだろう。


ルールに縛られてルール破ったら怒られるなんておかしすぎる。


そりゃあ悪いことはしちゃだめだけど、なんで転校生はありのままの自分を出しちゃだめなの?


転校生って、やっぱり不便だなあ。

33:タピオカパン:2019/07/13(土) 12:41 ID:Vuo


結局、一時間目が終わってからバレないように教室へ戻った。


「如月さん、大丈夫?」


結衣が声をかけてきた。


「うんまあ」


別にどこも悪くないけど。


「如月さん!大丈夫なの?」


小日向が駆け寄ってきた。


てか同じこと聞くなよ。


「…」


「えっ何!?具合悪いんじゃん!」


「うるさい悪化する」


「ご、ごめん」


小日向はしゅんとなった。


犬じゃん。


「如月、体調は良くなったか」


「はい」


「そうか。それは良かった」


先生はそういうと教室をでた。


「田舎者って気が弱いのね〜。それくらいで体調悪くするなんて」


おい心愛。それ以上ココアのイメージ悪くすんな。


「…演技だけど」


そう言うと心愛は高らかに笑った。


「演技下手ね〜。私だったら顔を青ざめることもできるのに」


「ねぇ、何度も言うけどまじでうるさい。絡んでくんな」


「うっわ〜自意識過剰!心愛は別に絡んでなんかないもーん」


すると、心愛が誰かにぶつかった。


「…あっ♡高尾くん♡ごめんね?」


心愛が声を高くした。


「ごめん浜名。」


「ううん♡」


すると、高尾ってやつと目が合った。


「おー高尾!」


隣にいた小日向が顔を輝かせた。


「よう小日向」


友達なんだ。


っていうか小日向男子の友達いるなら男子と一緒にいればいいのに。


へんなの。

34:タピオカパン:2019/07/13(土) 12:42 ID:Vuo

なんでこんなにID変わるんだろʕ´• ᴥ•̥`ʔ

35:タピオカパン:2019/07/13(土) 13:40 ID:Vuo


「きっさらーぎさーん!!」


そう元気よく駆け寄ってきたのは想楽。


その後ろにはカコがいる。


なんでトイレに行こうとしただけでこんな羽目に……


「如月さん、心愛と戦ったの!?」


「……は?」


「心愛と喧嘩したんでしょ?」


誰が広めたんだよ。


「エイコーが言ってた」


あいつまじでシメに行くか。


「それで、心愛泣いたんでしょ?」

        
「あいつが嘘泣きしただけね」


「…ていうか、如月さんってかっこいいよね〜」


その後ろでカコも頷いた。


あんた私のこと明らかに苦手っぽいけど。


「それはどうも」


軽く会釈をしてトイレへと向かった。



「まじで転校生ムカつく。イキってんじゃねーよ田舎者が」



心愛の声が聞こえた。


「はいはいすみませんね」


トイレへと足を踏み入れると、心愛はびっくりしてこっちを向いた。


だけどすぐに表情を取り繕った。


「あーら聞こえてた?田舎者さん」


「何、一人で喋ってたの?」


「ほんとにあんたムカつくのよ。こないだ梨里ちゃんが言ってた通り、転校生のくせにイキってんじゃないわよ」


「梨里って誰」


「あなた人の名前も覚えられないなんてやっぱり猿以下ね。」


「ああ、さっきのか」


「てゆーか、あんたの名前何だっけ?存在感薄すぎて忘れちゃった」


「お前メスゴリラじゃん」


「はぁ!?失礼ね!心愛はゴリラなんかじゃないわよ!!」


「それはゴリラに失礼だよ」


「あぁ、思い出したあんたの名前。如月律でしょ?かっこ悪い名前よね」




『律って名前、カッコいいね!!』



それは、普と柚が言ってくれた言葉だ。


「お前の性格のほうがかっこ悪ぃよ馬鹿」


「なっ…」




『私律の名前好き!!』




『よろしくね!律!』

36:タピオカパン:2019/07/13(土) 16:04 ID:Vuo

──休み時間。


机に頬杖をついていると、


「如月さん、しりとりしない?」


と小日向が言った。


「…別にいいけど」


「よし!じゃあまずは俺から!」


「すいか!」


「金縛り」


「りんご!」


「誤認逮捕」


「ホットドック!」


「首吊り自殺」


「…つ、つみき」


「金のナイフ」


「如月さん、なんか言うことが怖いんだけど」


「あーごめん、普通のつもりなんだけど」


「(普通のつもりってなんだ……?)」


「船」


「ねこまんま」


「マーマレード」


「ドミニカ共和国」


「くるみ割り人形」


「うな重」


「ウミガメ」


「メントスコーラ」


「ら、ラーメンの醤油味!!」


「それズルくね?」


「マージか」


「あの」


ん?


声が聞こえて、振り返ると、太った男子がいた。


「如月さん、僕、森って言います。ちょっと来てくれませんか」


……誰?


「あー…もうチャイム鳴るよ?」


キーンコーンカーンコーン


「あっじゃあまた後で!」


そう言って森はお腹を揺らしながら席へと戻っていった。


「なんだろう。じゃーね如月さん」


そう言って小日向も席へと戻っていった。

37:タピオカパン:2019/07/14(日) 17:51 ID:QGM


「じゃあ、この英文を、如月さん。読んでください」


英語の時間、先生に指名された。


「I will go to Okinawa where my grandparents live this summer.」


「お見事ですねー」


すると、


ピンポンパンポーン。


放送……?


「教頭先生、教頭先生、二階に大きな荷物が届いています」



──不審者だ。


「如月さん、そこのドアの鍵をしめてください」


そう言われ、後ろのドアの鍵をかける。


「皆さん、静かに壁の方へ移動してください」


不審者から見えない死角へとみんな移動する。



前、青森にいたときも、同じようなことがあった。


『せんせー、校庭に誰かいます』


小3の時。


普が、授業中、そう言った。


一階だったので、校庭はすぐそこだった。


校庭には、黒ずくめの見知らぬ男がいた。


そして、だんだんこっちへ向かってきていた。


窓は立て付けが悪く、鍵をかけても大人の男の人だったらすぐに開けられるくらいだった。


少ない人数で窓をしめ、カーテンをしめた。


教室はドアを開けたらもう外だから、逃げようとしても困難だった。


私達は死角に隠れ、息を殺した。





パリンッ!!!


男が窓を割った。


その破片が、普の頬をかすめた。


『…っ!!!』


普の頬からは血が出ていた。


そして、痛くて動けない普を、刃物を持った男が襲おうとした。


『あぶないっ』


先生が、刃物を持った男に横から思い切り体当たりをした。


男はその拍子で刃物を落とし、騒ぎを聞きつけてやってきた先生たちに取り押さえられ、逮捕された。





担任の先生が男の人で良かった。


力があってよかった。


もしもあのとき先生が普を守っていなかったら、今頃普は生きていなかっただろう。



普の頬の傷は、もうほとんど見えないが、よく見ると傷が残っている。


普本人は、『もう大丈夫』って言ってるけど、私はあのときの恐怖を未だに忘れられないでいる。




ドンドンドンッ!!!


ドアが大きく揺れた。


私のすぐ横にあるドアの向こうには、不審者がいる。


そう考えると、震えが止まらなくなった。


だめだ。


気配を消さないと……!!


私は目をつぶって身体を縮めた。


すると、足音が聞こえた。


移動した…


そして、前のドアのところで止まったようだ。




…あれ?



ちょっと待って



──鍵っ!!!



ガラガラッ!!!



ドアが勢いよく開いた。


──鍵をかけていなかったんだ。


みんな急いで机などに隠れる。


でも、結衣が逃げ遅れてしまったみたいだ。


結衣の首根っこを男が掴んだ。


私は怖くて声が出せなかった。



男の手には、銀色に光るナイフが握られていた。


「結衣っ!!!」


私は勇気を出して立ちあがって、男の脛をめがけて思いっきり蹴った。


「な……っ!!」


その拍子に結衣が男の手から逃れた。


「テメェ!!!」


男が刃物を振りかざしてきた。


一か八か…っ!!!


私はナイフを飛び蹴りした。


なるべく足に怪我をしないように。


カンッ!!


ナイフが壁へ当たった。




バンッ


その音と共に、私は強い衝撃を感じた。




そして、私は倒れた。

38:タピオカパン:2019/07/14(日) 21:12 ID:QGM


お目が覚めると、天井が見えた。


真っ白な天井。


起き上がろうとすると、頭がズキンと痛んだ。


「痛っ…」


痛む頭を押さえながら周りを見渡す。


「ここ…」


病院…?


「あれ?」




───なんで私ここにいるの??


「──え」




窓の外は、高層マンションやビルがずらりと並んでいた。



「ここ、」



東京───!?


「なんで……!!」


私は青森にいたはずなのに……


なんで!?


柚は!?たけは!?






あれ……?





誰か一人、大切な人を忘れている気がする。

39:タピオカパン:2019/07/14(日) 21:13 ID:QGM

誤字ったああああ!!『お目』ってなんだよ『お目』って!!!!www

40:タピオカパン:2019/07/14(日) 21:17 ID:QGM

『律ーーーーーっ!!!』



───夢を見た。



満面の笑みで、そう叫ぶ少年。



私はそれに対して、なにか言っている。




確かに、言っているのだ。




なんで────




目が覚めると、やっぱり景色は変わらない。


真っ白な世界。


見慣れない外の景色。








そして、分かった。







───────私は確実に、何かを失ってしまった。

41:タピオカパン:2019/07/15(月) 15:20 ID:hWw

「律っ!!」


そう聞こえたとともに、病室のドアが開いた。


「……お母さん」


「律、思い切り頭を叩かれて、運が悪ければ意識不明の重体だって…でも私のことを覚えてるって言うことはきっと大丈夫なのね。よかった……そうだ律、さっき普くんに…」


「あまねって誰?」








「────え……」



お母さんが目を見開いた。






「私、なんでここにいるの?」








「っ……」




お母さんの目に涙が浮かんだ。





「おかあさ……」







「律……っ…!!!」




お母さんは泣き出した。



まるで子供のように泣いた。



私はお母さんがなんで泣いているのか分からず、ただお母さんの背中をさすることしかできなかった。

42:タピオカパン:2019/07/15(月) 15:23 ID:hWw






意識不明。






医師に、そう告げられた。








────なんで?





なんでこんなことになったの?






お母さんは泣き止まないし、医師の顔は曇っている。







私、何かした?

43:タピオカパン:2019/07/15(月) 22:22 ID:Cz.



「───普くんは、律の幼馴染みの子よ」


「男なの?」


「そうよ。」


『あまね』っていう名前…


女みたいな名前。


「ねえ、なんで私は病院にいるの?」


また頭がズキッと痛んだ。


「律は、こっちの学校で不審者に思い切り叩かれて…」


お母さんは悔しそうな顔をした。



「──こっちの学校って…」




──東京の学校?



え?なんで?




私転校したの?




嘘でしょ。




「お母さん……」














「田舎に、戻ろうよ。」

44:タピオカパン◆VU:2019/07/29(月) 19:53 ID:Doo

もう自分でも展開がわからなくなってきた 

45:タピオカパン◆VU:2019/07/29(月) 19:53 ID:Doo

こりゃもう三橋たちに助けてもらうしかねえなw

46:タピオカパン◆VU:2019/07/29(月) 19:53 ID:Doo

共演させるか。

47:タピオカパン◆VU:2019/07/29(月) 19:54 ID:Doo

やっぱ赤い糸完結?してからにする

48:タピオカパン◆VU:2019/07/30(火) 20:00 ID:Doo

──思い出した。



普は私の幼馴染みで、私はお母さんと一緒に東京に引っ越してきた。


なんでこんな大事なことを…忘れていたんだろう。





私は無事退院した。


そして、学校へ言った。


運良く、クラスメートの名前などは覚えていたが、私が記憶を失った理由だけが分からない。


「ねえ、私はなんで記憶を失ったの?」


手当たり次第聞いてみるが、ごまかされて終わる。


なんでそんなに隠すんだろ…


私にとってマイナスなことなのかな。



まあ、知ったところで何も変わらないだろうし。


いっか。



「あんたさ、記憶戻ったわけ?」


「あ?」


あー、なんでこいつのこと覚えてたんだろ。まじで最悪。


「田舎者っていうことも忘れられないなんてかわいそー」


心愛はそう言って笑った。


笑い方ゴリラじゃん。


「なんだっけお前の名前。あ、思い出した。浜名ゴリラか」


「なんですって!?」


っていうかこいついつまで私にまとわりつくの?M?


「如月さあああん!!」


そう、心愛を押しのけてきたのは小日向。


「大丈夫だった!?」


「うん、まあ。」


記憶失った理由知らんけど。


「ところでさ、明日俺の誕生日なんだよね!」


知らんがな。


「それで、明日俺んちでパーティーするんだ!!よかったら来ない?」


あ、結構です。


そう言おうとすると、


「如月さん行こうよ!」


と結衣が言ってきた。


こんな期待されたら行くしか選択肢ないじゃんか。


まいいや。どーせ暇だし。


「んじゃ暇つぶしに」


「ひど!」

49:タピオカパン◆VU:2019/07/31(水) 08:13 ID:Doo



待って……


小日向ってこんな友達いんの!?


結衣と一緒に小日向の誕生日パーティーに来たが…


人混みが嫌いな私は怪訝な顔しかできなかった。


いやもう帰ろっかな…


Uターンしようとした私を結衣が制した。


「だめだよ、小日向、如月さんが来るの楽しみにしてたんだから」


楽しみにされても困るんですが…。


すると、小日向と目が合ってしまった。


あ、終わったな。


「如月さあああん!!」


小日向がダッシュで向かってきた。


え、怖い怖い怖((


私は反射的に逃げてしまった。


すると、誰かにぶつかった。


おいどけよじゃまだな…


そう言いかけ、冷静に顔を見ると、皆見だった。


「お前また記憶飛ぶぞ」


わー。


「如月さん…ハァ…やっと追いついたじゃん!足速すぎ!!チーター!?」


いやガチめなトーンでアホなこと言わないでくれる?


すると、皆見の近くにいた想楽にもロックオンされた。


「律うううう!!!」


逃げる隙もなく捕まってしまった。


ってか、想楽に名前呼びされてたっけ?


まいいけど

50:タピオカパン◆VU:2019/07/31(水) 16:31 ID:Doo

「律戻ったの!?よかったあああ」


何度も言うけどそんなに好かれるようなことした覚えはない。


あと離して…


「りっ、律ちゃん…」


カコも名前呼びかいな。


私がいない間に一体何があった?


「記憶…治ったんだね…パァァッ」


うんそうだね…


「ちょっと!!誰よここに田舎者呼んだの!!」


そう言った人物は言うまでもない。((


「え…俺だけど…」


小日向が困ったように言った。


しーんとなる。


「なんで小日向くんの華々しい誕生日パーティーに田舎者なんか呼んだの?」


あじゃあ帰ります


堂々と家を出ようとすると結衣に制された。←


「ねえ、心愛ちゃんさ、いつまで律ちゃんのこと田舎者呼ばわりするの?いい加減やめなよ」


花日が言った。


ほんとだよねー。


逆によくそんなに続くよね。


「何よ?じゃあ他にどんな呼び方がお似合いだっていうの?」


お前まじでめんどくせーなー。


「っていうかさー…」


「何ですか田舎者さん」




「肘に思いっきりケチャップついてるよ」


私は心愛の肘を指差した。


「えっ!?」


心愛が慌てて肘を確認した。


だっっっっさ!!


カッコつけて肘おいたらそこはポテトにつけるケチャップだったんだー。


もう一回いうわ




だっっっっさ!!


みんな笑いをこらえていた。


んだよ堂々と笑えや!!


「だっっっっさ!!」


「〜っ!!」


あっ…


教えなければ面白かったかなー。


チクショー。←

51:タピオカパン(先輩):2019/08/04(日) 08:22 ID:m5g

「ちょっと如月さん言いすぎじゃない?」


みんながしーんとなる。


「梨里ちゃん♡梨里ちゃんもそう思うわよね♡」


ああ…


前私に生意気って言ってきたやつか。


どうでもいいけど…


「ださいとか、自分が言われたらどんな気持ちになるか考えてみなよ」


私さんざんココアに言われたんだけど。


「ちょ、ちょっと二人とも、喧嘩はやめよう」


小日向が慌てて言った。


私一言も発してないけどね。


「はあ…」


皆見がみんなに聞こえるような大きなため息をついた。


「浜名と関森(梨里)さ、空気悪くすんのやめろよ」


「如月さんもだよ」


そっちが一方的に話してるだけじゃん…。


「だよね、いっつも如月さんにひどいこと言ったりしてるし…いい加減やめなよ」


「まじ幼稚すぎ」


「私はただだめなことをだめって教えてあげてるんだけど?」


ココアはそう言った。




「自分の生き方否定されたら嫌な気持ちにしかなんないんだけど、分かんない?」


ココアの目をじっと見つめながら言うと、


「それがあなたの生き方なのね、つまんない人生ね」


「未来が見えるわけでもないのに人の人生勝手に決めつけんなよ」


「生き方がつまんないってことよ」


「だったら普通に言えばいいのに」


「めんどくさいわね」


「浜名心愛という人間が?」


「チッ」


心愛はいらついたように部屋を出ていった。


まあ帰りはしないだろうけど


よって、私の勝ち〜。


WINNER!←


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