二人の喧嘩は3カ月も続いた。
3カ月、ドンは顔も合わせず無愛想な顔を浮かべるばかり。
ーここはGFハウス−
親がいない子供がくるところ___
ギルダ「え、、、」
ドン「ふざけるのもいい加減にしろ!」パァン
ギルダ「痛いっ!」
エマ「ドン、ギルダ!?」
レイ「おい二人ともどうした!ドン落ち着け、深呼吸しろ。」
ドン「離せ、レイ!」
ノーマン「ドン、落ち着いて。何があったの?」
エマ「ギルダ!大丈夫?」
ギルダ「う、うん。」
エマ「レイ、ノーマン。ドンを部屋に連れてって。、私はギルダを医務室につれてく!」
レイ ノーマン「わかった。」
ドン「ギルダ!お前を見損なったぞ、そんな奴だったのか!」
医務室
ギルダ「………。」
エマ「ギルダ?ドンと何があったの?」(ギルダの頬にガーゼを貼って)
ギルダ「分からない…、ただ普通に話していたつもり。急にドンの顔が怖くなっていって…。」
エマ「何の話してたの?」
ギルダ「ドンがここ最近、テストの点数が落ちてきたり、手伝いを失敗してばかりって言う話を私にしてきたの。」
エマ「ふんふん。」
ギルダ「私は冗談のつもりで、バッカね〜とか色々言ったんだけど、それをドンが本気に。暴言って思っちゃったのかな…、それで叩かれたの。ドンは本気で悩んでいたのかしら…。」
エマ「なるほど、ドンは誤解しちゃったんだ。ドンって、あまりに納得できないことがあると意地貼るタイプだからねー。」
ギルダ「………。」
エマ「ギルダはここで待ってて。今レイとノーマンが、ドンに話を聞いてるとこなの。食い違いがあるかもしれないから、一回事実確認してくる!」
ギルダ「ありがとう、エマ…。」
エマ「うん!」(元気よくドアに向かって)
エマ「あ、ギルダ!」
ギルダ「…?」(俯いていた頭を持ち上げ)
エマ「絶対ドンと仲直りできるよ!」(ニコッ)
ギルダ「うん!」
寝室
ドン「…っ!」(イラついて座っているベッドを叩いて)
レイ「……。」(立って両手をズボンのポケットにいれ、ドンを見下ろして)
ノーマン「……。」(ドンの横に座り、落ち着かせるようにドンの背中を右手で擦り)
ドン「あいつが、あんなやつブツブツ…。」(頭を両手で掻きむしって)
レイ「ドン、ギルダと何があった。何があったのかは分かんないが、苛つく気持ちも分かる。深呼吸して、落ち着け。な?」
ドン「スゥー、…ハァー。…少し落ち着いた。」
ノーマン「よかった、これで話しやすくなるね。」
ドン「………。」
ノーマン「嫌なこと思い出させるようだけど、ギルダと何があったのか教えてくれる?」
ドン「ああ…、実は___」
レイ「なるほどな、ギルダに悩みをバカにされた…か。」
ドン「ああ!いつもやさしいアイツが俺のことをバカにした!アイツだから話したのに!」
ノーマン「…ドン。」(イラついている様子を感じ、落ちつけようとする)
ドン「やさしい奴だから話したのに!あの野郎、ギルダあああああ!」
ドンの叫び声は、ギルダのいる医務室に届いていた。
レイ「ドン!」(胸ぐらを掴み)
ドン「…っ!」
ノーマン「レイ!」
レイ「お前はバカにされて悔しい、だろ?」
ドン「ああ、悔しい!悔しいよ!」
レイ「悔しいからって、あまり態度や顔に出すな!トーマやラニを見ろ!怖がってこっちを見てる。」
トーマ ラニオン「ドン…。」
ドン「二人ともごめんな、俺変だよな。」
トーマ「いいよ、ドンだって苛つくことはあるよな。」
ラニオン「何かあったら、俺たちにも相談しろよ!」
そういって二人は走っていった。
ノーマン「確認するよ。ドンは点数とママの手伝いの失敗をギルダに話すと、笑われてバカにされた。合ってる?」
ドン「ああ…。」
レイ「今、エマがギルダと話してる。今からエマとあって、食い違いがねーか話してくる。」
ドン「ああ、」
レイ「ノーマン、お前はここに残ってドンがまた苛ついたら落ち着かせろ。」
ノーマン「りょーかい!」
ダイニング
エマ「レイ、どうだった?」
レイ「ドン、荒れてた。」
エマ「ギルダは…。」
レイ「なるほど、ドンは…。」
エマ「ギルダはそんなつもりじゃなかったって。」
レイ「一回二人会わせて話させるか?」
エマ「いや、いきなり会わせても気まずくなるんじゃない?」
レイ「そうだな、少し様子見すっか。」
イザベラ「みんな、ご飯よー!レイ、エマ。手伝ってくれる?」
レイ「オッケー。」
エマ「は〜い!」
レイ「じゃあ夕食後、エマはドンと。俺とノーマンはギルダと話そう。誤解だったってことは話すな、ギルダから直接言ったほうがいい。」
エマ「オッケー、じゃ用意しよっ。」
夕食後 部屋
エマ「やっほー、ドン!」
ドン「エマ…。」
エマ「私、ギルダに話聞いたけどドンにまだ話聞いてなかったかなーって思って。」
エマ「…殴るのはよくないよ。」
ドン「っ!?だってギルダが…!」(立ち上がってエマに近づいて)
エマ「わっわっ!怒らせてごめん!ごめんね?」
ドン「俺はあいつがちゃんと聞いてくれると思って話したんだ!それなのに…、あいつは!」
ドン「…今日は一人にしてくれないか?静かにしたい。」
エマ「分かった、なんかあったら私に言って。」
ドン「ああ…。」
別室
レイ「よ、ギルダ。」
ノーマン「お話ししよー。」
ギルダ「…ドンのこと?」
ノーマン「…そうだね、ドンすごく怒ってた。」
ギルダ「…そう、ハア。」
ノーマン「ギルダ、ドンをバカにしたの?あ、怒ってるわけじゃないよ。ただそうなのかなって。」
ギルダ「バカにしてないわ…。」
レイ「あいつはそう思ってる、ケラケラ笑われてバカとか言われて怒ってる。いつもお前は周りにやさしいから、話したんだとよ。」
ギルダ「…ドンを、傷つけてしまったのね。」
ノーマン「だからさ、ギルダの口から誤解だってドンに言ってほしいんだ。僕らみたいな第三者が言っても、…アレだから。」
ギルダ「話を聞いてくれるかしら?」
レイ「聞いてくれなかったら俺たちに言え。」
ギルダ「分かった…。ありがとう、二人とも。」
ノーマン「僕らも二人が仲直り出来るように、出来る限り応援するよ。」
ギルダ「ありがとう、早く仲直り出来るように頑張るわ。」
レイ「おう。」
ノーマン「今はあんまり気持ちの整理ついてないと思うから、明日から頑張ってみて。じゃ。」
翌日
エマ「みんなおっはよー!朝ごはん遅れるよ、起きよう!」
ノーマン「エマ、おはよう。」
レイ「さて、お二人さんはどんな感じかな?」
イザベラ「さ、いただきましょ。」
みんな「いただきます!」
ギルダ「ドン、あの…。」
ドン「…なんだよ。」(ギロッ)
ギルダ(ビクッ)
ギルダ「いや…、なんでもない。」(モグ)
ドン「トーマ、そこのケチャップとってくれ!」
トーマ「ほい!」ぽいっ
イザベラ「こら、投げないの!」
トーマ「はーいごめんなさーい。」
みんな「ゲラゲラ」
ギルダ(話せなかった…。)
アンナ「ギルダ?どうしたの?」
ギルダ「…なんでもない。」
自由時間
ドン「さーて今日も鬼ごっこだー!やるもの集まれー!」
エマ「やるー!」
ノーマン「僕もやろうかな。」
レイ「パス」
トーマ ラニオン「俺も!」
アンナ「私も!」
ドン「よし、鬼決めようぜ!石、紙、ハサミ!1、2、3!」
ドン「うわちくしょー!俺鬼かよー!」
エマ「3日連続ドンが鬼だーww」
ノーマン「じゃあ数えてね。」
ドン「1 2 3 4 5…」
イザベラ「ギルダ、混ざらないの?」
ギルダ「なんか、気分じゃない。」
イザベラ「…そう、」
イザベラ「………。」
ギルダ「………。」
イザベラ「ドンとケンカ?」
ギルダ「!? なんで分かったの?」
イザベラ「昨夜からギルダ、ドンを申し訳なさそうにず〜っと見てたから。ドンもギルダのこと、嫌な目で見ていたしね。」
ギルダ「…うん、そうなんだ。」
レイ「………。」(二人を廊下から眺めて)
ドンに何も話しかけられず、3ヶ月
ギルダ「ハァ〜、どうしよう。全然ドンと話せない…。」(ダイニングの椅子に座って)
エマ「う〜ん、困ったな〜。」
フィル「ギルダ〜!僕にいい考えがあるよ〜!」
ギルダ「フィル…、仲直りできる方法があるの?」
フィル「うん!ギルダ、ドンに声かけづらそう。だからごめんねってお手紙かくの!」(ニコニコ)
ギルダ「手紙…。」
エマ「おっ、いいじゃん。お手紙かこっ、ギルダ!」
ギルダ「………。」
フィル「ギルダ?ドンと仲直り、やだ?」
ギルダ「…ううん、ドンと仲直りしたい。またドンと遊びたい、ドンといっぱいお話したい。」
レイ「なら、手紙より直接話せ。」
エマ フィル ギルダ「レイ…。」
レイ「手紙より言葉のほうが、気持ちは伝わりやすい。まれに誤解を生むことがあるがな。」
ギルダ「…っ!?」(レイの言葉で、ギルダの目の前で顔が険しくなるドンを思い出し)
エマ「レイ、ギルダは反省してるんだから、わざわざ掘り返さなくても…。」
レイ「でも、ギルダの言葉が今回の原因だ。ギルダ、いいか。」(ギルダに目線を合わせるように、しゃがんで)
ギルダ「うん…。」
レイ「言葉ってのは簡単に言うと、すごく鋭利なナイフだ。世界中のどのナイフよりも、一番切れ味のいいナイフ。」
ギルダ「…言葉は、ナイフ?」
レイ「そう、刺し具合によって、人の心に残るかどうかが変わるんだ。お前は傷深く、ナイフをドンに刺した。」
エマ「………。」
レイ「バカって1つの言葉には、2つの意味がある。」
フィル「2つの、意味?」
レイ「そうだフィル、1つ目はおふざけの時に、冗談で発する言葉。もう1つはお前らが知っているように、頭が悪い様子を指す。ドンは後者の意味だと受け取った。だから、今こうなっちまってんだ。」
レイ「ギルダはドンと楽しくふざけあっていたつもり。」
エマ「ちょ、レイ!やめっ…!」
レイ「だがドンからしたら…、」
エマ「レイ!」
ギルダ「………。」
レイ「…分かった、悪かったなギルダ。」
ギルダ「いいの、私が全部悪いから…。」
レイ「ギルダ、もう少し話させてくれ。ドンに謝るなら、そりゃ手紙の方が確実だ。こう書き直したほうがいい、とか考えられるもんな?」
ギルダ「…うん。」
レイ「だが、手紙でも伝わらないものがある。お前ら、なんだと思う?」
フィル「う〜ん…、気持ちは伝わるよね。」
エマ「…表情?」
レイ「ビンゴ。」
ギルダ(手紙で唯一伝わらないものは、表情…。)
レイ「まあ顔文字は例外としてな、例えば…このホワイトボードにバカって書く。」(手持ち用のホワイトボードを見つけ、近くの黒ペンで書き)
レイ「ほら、これだと無機質でどちらの意味かは分からない。大抵、さっきの後者の意味だと受け取られる。だが、こうすれば…どうだ?」
ホワイトボード“バカ(^^)”
エマ「…なんか雰囲気がさっきと違う。」
レイ「こういう風に手紙に、表情をいれることができる。でも考えてみろ。こーんな絵文字ばっかの謝罪の手紙、欲しいと思うか?俺は気持ちが入っていないと思うな。」
ギルダ「私もそう思う…。」
レイ「だから、一番伝えやすくて表情も分かるのは言葉だ。」
ギルダ「でも、またドンを誤解させちゃったら…。」
レイ「お前の弱点はそこ、こうなったらどうしようというマイナス思考、勢い負け。」
レイ「ドンがバカって言葉を本気にした時、お前はすぐに違うって否定したか?」
ギルダ「ううん、ドンが怖くて何も言えなかった…。」
レイ「やっぱな、…違うことは違うってハッキリ言うんだ。今からでも遅くはないと思う。ちゃんと気持ちを伝えれば、仲直り出来てまた遊べる。」
ギルダ「うん…、やってみる!」
エマ「じゃあ、私もドンにかける言葉一緒に考える!いい、ギルダ?」
フィル「ぼくも!」
ギルダ「ありがとう!」
ドン「………。」
コニー「…ドン?」
ドン「…おう、コニー。」
トーマ「ドン、最近元気ないな。」
ラニオン「やっぱ、…その、ギルダとケンカしたことが…、忘れられないのか?」
ドン「ああ、…お前らギルダをどう思う?」
ラニオン「優しいと思う。」
コニー「みんなを大切に思ってくれてるよ!」
トーマ「俺もそう思う。」
ドン「けどな…、あいつ。あいつは俺のことを、ケラケラ笑ってバカにしたんだ…。」
コニー「…ほんと?」
ドン「しかも自分がバカにしたことを、自覚してない…!」
トーマ「は?あのギルダが?」
ラニオン「一番仲いいドンに…、信じらんねえ。」
ドン「お前ら、自分の悩みをバカにされたらどんな気持ちする?」
トーマ「そりゃあ…、」
ラニオン「悔しいに決まってるだろ!」
ドン「コニーは…?」
コニー「悲しいな…、ドンが悲しんでたら。」(ドンに抱きついて)
ドン「コニー…、ありがとう。」
ノーマン「ちょっとトーマ、ラニ、コニー来て!」
ノーマン「実はね、ドンはギルダを誤解しちゃってるんだよ。」
トーマ「なんかそんな感じはしてた、ギルダが俺らに暴言なんて一回も吐かなかったのにドンにだけ吐くなんておかしい。」
コニー「…?」
ノーマン「あ、つまりね。ギルダはバカって冗談言ったつもりが、ドンは嫌味とか暴言に感じちゃったんだ。」
コニー「じゃあドンに教えてあげよう!」
ノーマン「いや、ギルダは自分で伝えたがってる。だから、他の弟妹たちに教えるのはいいけど、ドンにだけは黙っててほしい。」
ラニオン「でも、ケンカしたのって3ヶ月くらいまえだろ?大丈夫なのか?」
ノーマン「大丈夫だよ、きっと。ドンは、優しいから。」
エマ「私にアイデアがある!」(えっへん)
ギルダ「なに?」
エマ「ケンカのことばかり考えて、忘れてない?もうすぐさ、ドンの、…ね?」
ギルダ「はっ!ドンの誕生日ね!」
フィル「エマの考えわかった!」
エマ「言ってごらん!」
フィル「誕生日のうた歌って〜、」
エマ「ろうそく消して〜、」
フィル「プレゼントと一緒に〜、」
エマ フィル「仲直りする!」
ギルダ「エマ、フィルありがとう!これならきっと行けるわね!」
エマ「きっとドン、許してくれるよ!」
フィル「じゃあみんなに声かけよう!」
ギルダ「ええ!」
ギルダ「ってことなの、ドンと仲直りしたいからみんな、協力してほしいの!」
イベット「面白そう、やる!」
アリシア「私もやる。」
ナット「ふっ、面白いね。僕も協力させてもらうね。」
アンナ「じゃあ、プレゼントとかたくさん用意しましょ。」
レイ「お、『ドンの誕生日に仲直り作戦』か…。乗った!」
エマ「ママも一緒にやろ!」
イザベラ「ええ、早く二人に仲直りしてほしいわ。」
ノーマン「凄いじゃないか、ギルダ。こんな大掛かりを計画しているんだね。」
レイ「よし、ドンの誕生日まであと一週間!ドンに気づかれないように計画を進めよう。」
みんな「おーっ!」
ドン(最近、ハウスが少し慌ただしいな…。コニーと遊ぼうと思っても、なぜかいつも予定が入ってる…。)
レイ「おいドン、ボーッとすんな。そっち持て、これ重いから。」
ドン「ああ、ごめんごめん。」
レイ(今のうちに!)
エマ(オッケー!みんな、飾りを作ろう!)
アンナ(よし、今だ!)
アンナ「きゃあっ!」バリーン(食器を数枚割り)
ドン「アンナ、平気か!ちょっとまってろ、箒もってくる!」
アンナ「あ、ありがとう。」
アンナ(今のうちに照明をとりつけて!)
ノーマン(よし!)
エマ(これははここに…、あっ、ドンだ!みんな元に戻って!)
ドン「持ってきたぞ、よし片付けよう。ケガはないな?」
アンナ「ええ、ないわ。」
誕生日まであと四日
ドン「ん?ナット、それはなんだ?」(ナットがもっている、壁に貼る大量の紙飾りをみて)
ナット(あ、やばいドンじゃないか、何とかごまかそう…。)
ナット「これ?ママが僕に職業訓練だって、これを作るように言われているんだよ。ほら僕ら里子にでて大人になって、いずれ働くだろう?そういうときのために、今から練習しておくんだってさ。」
ドン「そうなのか?俺んとこにはそういうの言われてないけど…。」
ナット(勘がよすぎ!)
ナット「いやほら、ドンは優秀だからさ。やる必要がないんだよ。」(あせあせ)
ドン「なるほどな、優秀かぁ…。」
ナット(よかった、ごまかせた…。ドンは優秀という言葉に弱いのか…。みんな!僕がもう少し引き付けるから部屋で飾りを!)
みんな(OK!)
ナット「ドン、あのさ、あとで数学教えてくれないか?分からないところがあるんだ。」
ドン「おう、分かった。」
ナット「いつものテスト部屋で待ってるよ。」
部屋
アンナ「ギルダ、ドンへの言葉はもう考えた?」
ギルダ「ううん、まだできてないの。」
エマ「ギルダったら頑張り屋さんだから、ほらすっごい長く考えてあるじゃんw」
ギルダ「それは…、ドンに悪いことしたから当たり前でしょ!」
エマ「でもA4の紙、3枚書き上げてまだ足りないって、やっばいよ!」
レイ「ほらほら、お喋りはそこまでだ。さっさと作ろうぜ。」
三人「はーい。」
トーマとラニオンが、勢いよく部屋に駆け込んでくる。
ラニオン「エマ、こっちはそろそろできそうだぜ!」
エマ「ドンには?」
トーマ「気づかれてない、今ナットがドンの目をひいてる。」
エマ「二人とも、よくやった!」
トーマ ラニオン「へへへ…///」
ラニオン「でもそろそろ終わっちまいそうだから、飾りとか隠せ!」
エマ「りょー!」
パッパッパッ
イザベラ「みんなー、そろそろご飯の時間よ。エマ、レイ。ノーマンを呼んできて三人で食器並べてくれる?」
レイ「OK」
エマ「私呼んでくるー、レイ先にやっててー!」
レイ「逃げたな…。」
昼食後
ドン(やっぱりみんな変だ、まさか…、みんな揃ってギルダの味方ばっかしてねーよな⁉)
ドン「エマー!」
エマ「どうしたの、ドン?」
ドン「エマ、みんな揃って何やってんだ?俺に何か隠してるか?」
エマ「ううん、別に?」(これで通じるかな…。)
ドン「ホントか?今までみんな、ママに呼び出されてることなかったぞ。それにナット、俺と話してた時、どっかをチラチラ見てたぜ?」
エマ(洞察力…。)
ドン「お前ら、まさかだけどギルダの味方してるんじゃねえよな?」
エマ「えっ、してないよ。ドン今日どうしたの?」
ドン「なんか俺、変か?」
エマ「疲れてるように見える、昼寝したら?」(これでごまかして、寝てもらおう。バレないかな…。)
ドン「昼寝って、ガキじゃあるまいし。」
エマ「いや、昼寝は大切だよ?」
ドン「そ、そうか…?分かった、寝てみる。」
エマ「うん!」(よっしゃぁぁぁ、ドンは寝るとなかなか起きないんだ!)
ドン「じゃあ、寝室で寝るから。」
エマ(え、アンナ達がいるとこだ!)
エマ「あー、えっと…、寝室はイベットたちが寝てるから駄目だよ。こっちで寝て。」(寝室と逆方向に誘導して)
ドン「おう、分かった。」
レイ「ドンは?」
エマ「寝てもらったよ。」
レイ「そりゃ助かった、ギルダも元気になってるぜ。」
エマ「よかったー、じゃあ戻ろっか。」
レイ「おう、トーマ達の演出!これがまたスゲーんだぜ。」
エマ「えー見てみたい!どんなのどんなの?」
レイ「まずアンナが目隠しのドンを誘導してなー…。」
夕食前
ノーマン「そろそろ夜ご飯だね、エマ、ドンは?」
エマ「まだ寝てると思う。」
ノーマン「そっか、じゃあコニー起こしてきてくれる?」
コニー「はぁい!」
コニー「ドン、もうすぐ夜ご飯だよ〜。起きよー!」
コニー「………ドン?」(いない⁉)
トーマ「ふんふふ〜ん。」
コニー「あっ、トーマ!」
トーマ「どしたコニー?」
コニー「ドンがいないの!」
トーマ「えぇっ!」
コニー「早くしないと、ギルダがドンに!」
ドン「エマー、レイー?いねーな。ん?なんだこれ…⁉」
トーマ「ドーン!どこにいるんだー!」
ラニオン「どうしたんだよトーマ、そんな慌ててw」
トーマ「ドンがいなくなった!早く探さねーとまずいぞ!」
ラニオン「は⁉寝てたんじゃ…、」
トーマ「知るか、急げ!」
ラニオン「ドンが!ドンがいなくなったぞー!」
エマ「え!?」
レイ「嘘だろ、このことがドンにバレたら、ギルダをまた!」(ギルダを殴った狂気のドンが脳裏に浮かび)
ノーマン「ドンがこの計画を知る前に、見つけ出すんだ!」
ドン「ん…?騒がしいな。」
ドン「へっ、マジか…。」
レイ「ドーーン!ド…、あぁそこにいたか。」
ドン「おいおい〜、レイ〜。お前〜、あいつ側だったんだな〜。なあ〜、なあ〜!」(レイの胸ぐらを掴み)
レイ「!?」
ドン「お前…、なんであいつなんかの味方をすんだ!」
レイ「…おい、落ち着け。離せ…、グッ!違うんだ、話を聞け。」
ドン「うるせぇ!こんなクソみてぇなご機嫌取り作戦に参加しといて、何言ってんだ!」
エマ「レイ!」
トーマ「ドン!」
ラニオン「大丈夫…か、…!」
ドン「お前ら〜、俺はがっかりだぜ?親身になって俺の話聞いてくれて、同情してくれてよぉ〜。」
ドン「これぁなんだ。」(一枚の紙を見せて)
ノーマン「ドン…!………。」(間に合わなかったか…、…どうする!?)
ビリビリッビリビリー
エマ「っ!?」
ドン「回りくどいことしやがって!…俺はこんなことされて祝われても、嬉しくないし、喜べないよ。」(ポッケに両手を入れ、立ち尽くすエマたちの間を通って)
ダイニング
ドンが歩いてくる。
イザベラ「ドン、よかった。どこにいたの?ママ心配で…、」
ドン「夜ご飯、今日はいらない。」
イザベラ「え…?ちゃんと食べないと…!」
ドン「いらないって言ってんだろ!」
イザベラ「っ!?」
ドン「…今日はもう寝る。」
ドン「これも全部、あいつのせいだ!」
翌日
エマ「おはよ…、ノーマン。」
ノーマン「おはよ…、エマ。」
レイ「…よ、あいつら部屋から出て来ねぇ…。ギルダはひたすら自分責めて、ドンは…。」
トーマ「………。」
ラニオン「………。」
コニー「………。」
アンナ「………。」
ナット「………。」
イザベラ「じゃ、…いただきましょう。」
みんな「いただきます…。」
朝食後
イザベラ「ごちそうさまでした…。」
みんな「ごちそうさまでした…。」
エマ「ねえレイ、ノーマン…。」
レイ「………。」
ノーマン「………。」
エマ「ドンとギルダに、会っちゃダメかな?」
レイ「…お前、人の話聞いてたか?ダメだ。あいつらを一人にしてやれ。」
エマ「苦しんでる家族を、ほっとけって⁉」
レイ「いや、俺たちはドンとギルダを傷つけちまったんだ。顔向けできねえだろ。」
エマ「だったら、二人に謝りに行かなきゃ!」
ノーマン「エマ、今回ばかりはエマに賛同できない。ドンやギルダも、もう子供じゃないんだ。…一人になりたいときだってある。静かにしてあげよう、それが僕らの罪滅ぼしだ。」
エマ「………。」
レイ「………。」
ノーマン「………。」
エマ「やだ。」
レイ ノーマン「!?」
エマ「何もしないのが、ドンやギルダにとっていいわけ?私はそう思わない。」
レイ「いやしかしな…、エマ。」
トーマ「俺は…、エマが正しいと思う…な。エマ、俺も一緒に行きたい!」
エマ「トーマ、…みんな。」
トーマ「ドンと…ギルダに会って、…謝りたいんだ。」
ラニオン「お、おう…。ドンに味方のふりして、裏切っちまったんだ…。」
ナット「謝らないのは、なんだか…こうレイやノーマンがよくても、僕らがよくないっていうか…。」
アンナ「このままじゃ、ドンは最低の誕生日を過ごして…、それで…。」
レイ「『もう笑いあえないかもしれない』か?」
アンナ「………。」
トーマ「だから、みんなで仲直りして…ドンの誕生日を素直に祝いたい。」
エマ「うん、そうだね…。みんなで謝りに行こう!」
みんな「・・・うん!」
レイ「あーあ、こうなっちまったらもうこいつらは手が付けられねーな。な、ノーマン。」
ノーマン「うん、…みんながそういうと正しく思えてきた。」
エマ「じゃっ、部屋に行こう。まずはギルダね!」
寝室
ギルダ「私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ私のせいだ!」
コンコンッ
ギルダ「!?」
エマ「ギルダ、…入るよ。」
ギルダ「ダメ!来ないで!」ガチガチ
エマ「…ごめんね、ギルダ!」ガチャ
ギルダ「………!?」
レイ「ごめん、ギルダ!」
トーマ「俺たちもごめん!」
ナット「ごめん!」
イベット「ごめんね!」
ギルダ「…なんでみんなが謝るの!?悪いのは全部私!私のせいでドンは…!?うわああああああああああああああああああああああああああああ!」
レイ「ギルダ、落ち着け!落ち着くんだ!」
ギルダ「あああああああああああああああああああああああ!」
ノーマン「ギルダ!ギルダ!」
ギルダ「ドンは心を…、閉ざしてしまった…!私があんなこと言わなきゃ・・・!?」バタッ
みんな「ギルダ!」
ノーマン「…すごい熱だ!エマとレイ、桶に水張ってタオルを浸して!トーマ、ラニは医務室に行って看護の準備!それ以外はハウスの段ボールをありったけ持ってきて!」
みんな「わかった!」
ノーマン「ギルダ、気をしっかり持つんだ!大丈夫だ、僕らが助けるから!」
ギルダ「ドン…、ドン…。」
医務室
エマ「ギルダ、大丈夫なの?」
ノーマン「出来ることはやった…、あとはギルダ次第なんだ。」
トーマ「………っ!?ギルダがんばれ!」
ラニオン「俺らがついてるから、…大丈夫だから!だから自分を責めんな!」
アンナ「ギルダ!」
ナット「ギルダ!」
ギルダ「……ドン、行か…ないで…!」
みんな「ギルダ‼」
ギルダ「はあっ、はあっ…。ドンは…、ドンはどこ!」
エマ「寝室で閉じこもって…。」
ギルダ「謝りに行かなきゃ…、ドン…。」
レイ「おい!おとなしく寝てろ!」
ギルダ「ドンにあんなことしておいて、寝てなんかいられないわ!」
ノーマン「気持ちはわかる、しかし…!」
ギルダ「でも、…でもぉ!うわああああああああああああああ!」
ドン「んだあいつら、…ギルダのことがそんなに好きか。くそっ、どうして俺ばっかり!」
イザベラ「ドン、入るわよ…。」
ドン「………。」
イザベラ「ドン、あなたは…。」
ドン「なんだよ、つまんねー慰めをしに来たのか!お前の気持ちはよくわかるって?気持ち!?ふざけんのもいい加減にしろよ!俺以外のやつに俺の気持ちが分かるとか、…一瞬の気休めみてーなこと言うな!」
イザベラ「…。」
ドン「何でみんな、あんな奴の味方するんだよ!女だからか?あいつがか弱いからか?それであいつが味方されてんなら、男だとか女だとかクソッタレだ!」
イザベラ「あなたは一つ、勘違いをしているの。あなたも、ギルダも悪くないの。彼女の話を少しは聞いてあげて、ドン。」
ドン「は?勘違いだと、何を今更言ってんだ!勘違いなら何で、もっと早く言わなかったんだ?」
イザベラ「彼女の口から、あなたに言って欲しかったから。彼女もあなたにずっと伝えたがってるけど、あなたは、不愛想に毎日を過ごすだけ。だからこの三か月、ギルダと話せなかったんでしょ?」
ドン「はぁ?俺はあいつの話なんて聞きたく…!」
イザベラ「あなたこそ、意地を張るのはやめなさい。それに聞きたくない、なんて言うのも嘘。」
ドン「ママに何が分かるんだよ!」
イザベラ「ギルダと和解したがってる。」
ドン「んなことねえ!ああもう!もういい!」ダッ
ドン「ああもう、どうして!どうして俺の味方はいねーんだよ!」
ギルダ「…ン、……ドン?」
ドン「…は?……ギルダ。」
レイ「おいギルダ、寝てろって!休め、ドンにはまた後で会えばいいだろ!」
ドン「よぉ…。」
レイ「…ド、ドン…⁉」(また殴られると思い、ギルダの前に立ち)
ドン「……どけ、レイ。」
レイ「…どかねえよ。」
ギルダ「どいて、レイ!」
レイ「で、でもお前っ…。」
ギルダ「もう大丈夫だから、心配しないで。」
ドン「………。」
レイ「分かった、だがこいつが変に動いたら、お前は寝る。いいな。」
ギルダ「ええ、構わないわ。」
レイ(すげー上から目線…。)
ギルダ「…ドン、あの時はごめん!私、ドンをバカにするつもり何てなかった!でもあなたを傷つけてしまった、本当にごめんなさい!」
ドン「…は?じゃあバカって言ってケラケラ笑ってたのはなんだ!」
ギルダ「あなたと楽しく、おしゃべりしているつもりだったの。でも、そうじゃなかった。レイが教えてくれたの、言葉は世界中のどのナイフよりも、ずっと鋭利なナイフだって。」
レイ(覚えててくれたのか…。)
ギルダ「差し具合によって、その人の心に残るかが大きく変わるんだって…。」
ドン「だから何だってんだ!」
ギルダ「私は言葉のナイフで、あなたを傷つけた!許してとは言わない、でも謝らせて!本当に、ごめんなさい!!」
エマ ノーマン「ギルダ!」(駆けつけてきて)
トーマ ラニオン「ギルダ!」
ナット イベット「ギルダ!」
コニー「…ドン。」
ドン「…お、お前ら。」
ドン「なんだお前ら!こいつの味方をしに来たのか!」(ギルダの胸ぐらを引っ張り)
ギルダ「うぐっ。」
ドン「ああ!?なんか言えよ!」
エマ「…ドン、ごめん!」
トーマ ラニオン「ごめん!」
レイ「…ごめんな。」
ナット「ごめん…。」
コニー「…ごめんなさい。」
エマ「私たち、二人に仲直りしてほしくて、こんな計画立ててた。」
トーマ「だってよ、二人はいつも仲いいだろ?」
ラニオン「だからそんな二人が喧嘩してると、俺らも…悲しくなるんだ。」
ナット「回りくどいことしてごめん、ドン…。」
ジェミマ「…ごめんね。」
ドン「…そ、くそ!くそがああああああああああ!」(ギルダを突き飛ばし、外に出て)
エマ「ドン、待って!」
ドン「うるせえうるせえうるせえ!」
レイ「おい、追うか?」
エマ「当たり前でしょ!早く!」
ノーマン「待つんだ、ドン!」
ドン「くそっ、どうして!俺は…、ああああああああああ!」
エマ「ママ、ドンが外に出ていった!」
ママ「ええっ!?」(モニターが見当たらず、そのまま外に)
レイ「あいつ、たぶん森の中に!」
ママ「分かったわ、みんなで探しましょ!ただしお互いが見える範囲で!」
エマ「分かった!」
イザベラ「5歳から下は私とハウスの周り、それ以外は森の中を探して!誰か一人でも見えなくなったら、すぐに報告して!」
エマ「はい!」
レイ「いくぞ!」
森の中
レイ「ドン、どこだ!返事しろ!」
アンナ「ドーーーーン!どこーーーー!」
ギルダ「ドン!ドン!どこなの!」
エマ「こっちにはいない。トーマ、そっちは!」
トーマ「いねーぞ!」
ラニオン「こっちもだ…、どうしよう。見つからなかったら、どうしよう…。」
レイ「大丈夫!これだけの人数だ、見つからないわけがない!もっとくまなく探せ!」
ノーマン「木に登ってるんじゃないか?」
みんな「あっ…。」
エマ「よし、木の上を探そう。」
探し始めて1時間・・・
エマ「嘘…、どこにもいない。」
レイ「まだ十数本残ってる、急げ!」
ラニオン「ん…?あぁ…!いたぞ、ドンがいたぞ!」
ノーマン「本当、ラニ?」
ラニオン「ドン、どうやら疲れて寝てるみてーだ。」
ラニオン「さあドン、ハウスに帰ろ…?ぎゃああああ!」
レイ「どうした!」
ラニオン「ドンが頭から血を流してる!目を覚まさない!」
エマ「っ!?・・・早くママを呼んで!」
レイ「分かった、何とか止血しろ!」
ノーマン「よし、僕のシャツを破いて…。」
ノーマン「エマ、しっかり傷口をシャツで抑えて!トーマ、ラニ。僕とこんな感じの草をみつけて!傷口に砕いて貼る!」
トーマ ラニオン「よしきた!」
レイ「ママ!すぐに医療器具の準備だ!ドンが木から落ちたらしい、頭から血噴き出して危ない状態だ!」
イザベラ「分かったわ、レイ!小さい子たちを集めて!」
レイ「おお!みんな集まれー!人数数えるからこっち来い!」
イベット「はーい!」
ジェミマ「ドン、ケガしたの?」(オロオロ)
レイ「大丈夫だ、すぐに助かるはずだ!」
エマ「くっ、止まらない…!」
ギルダ「代わって、私がやる!」
エマ「ぎ、ギルダ…。」
ギルダ「ほら代わって!草、草探してきて!」
エマ「わかった、行こうアンナ!」
アンナ「うん!」
トーマ「どこだどこだどこだー!」
ラニオン「早く見つかれー!早く見つけねーと!」
ノーマン「焦らないで、慎重に素早く見つけるんだ!」
エマ「ノーマン、手伝いに来た!」
アンナ「ねえ、これ違う?」
ノーマン「どれどれ…?…!これだよ!二三枚摘んで!次は大きい石ふたつ!」
ラニオン「みっけ!」
ノーマン「それで、こうやって砕く!」ガッガッ!
ノーマン「よし、ドンに持ってくよ!」
エマ「うん、…待っててドン!」
ギルダ「よし、…ひとまず止まった。」
ノーマン「ギルダ!薬草だ、これを傷口に塗って!」
ギルダ「ええ!…こうかしら?」
ノーマン「もう少し厚めに塗るんだ!それからシャツをガーゼ、包帯代わりに巻いて!」
エマ「分かった!」
ドン「うっ…!うぐぅぅ…。」
ギルダ「ドン!気がついたの!?大丈夫、すぐハウスに戻って助けるから!」
ドン(ぎ、ギルダ…。お前…!)
トーマ「あっ!また出血してる!」
ラニオン「やっぱ、応急処置じゃ甘かったんだ!」
ノーマン「どうする?ドンは歩けない、かといってタンカーもその代わりのものもない!」
エマ「そんなら全員で持ち上げてハウスまで…、」
ノーマン「ダメだ、この人数だとスペースを多く使って、木が邪魔で通りにくくなる。」
ギルダ「なら、私に背負わせて!」
エマ「え?」
ギルダ「…ホントにドンには、申し訳ないことをしてしまった…。これじゃだめかもしれないけど、ドンの力になりたい!」
ノーマン「分かった。エマ、ギルダについててあげて。それ以外は僕とハウスへ戻るよ!」
みんな「はい!」
エマ「ギルダ、大丈夫?代わろっか?」
ギルダ「大丈夫、先に戻ってて。」
エマ「ホントに大丈夫?」
ギルダ「…早く!」
エマ「は、はいぃ!」ダッ
ギルダ「ドン…、しっかりして!」
ドン「ハア…ハア…、うっ…。」
ギルダ「絶対に助けるから!」
ドン「なんで…、お前…!」
ギルダ「家族だから、そして…。」
ドン「……?」
ギルダ「ドンが、…大切だから。」
ドン「…。」
ギルダ「本当にごめんなさい…、あなたを傷つけて…。」
ギルダ「また、ドンと笑いあいたい。お話もしたい、遊びたい。ドンがタヒぬなんて、…絶対に嫌なの。」
ドン「…そう、かよ。」
レイ「ノーマン!ドンは?」
ノーマン「今ギルダが背負って来てる!」
レイ(ギルダ…。)
レイ「そうか、…ママの手伝いしてくる。」
ノーマン「うん、分かった。」
エマ「きたよー!」
ギルダ「……。」
コニー「うわあああ!ドン!」
ノーマン「触らないで!」
コニー「ドンが…、ドンが!」
エマ「コニー、落ち着いて!大丈夫、ママとレイが助けてくれるから。」
コニー「ドン、ふえぇ…。」
エマ「大丈夫、大丈夫だよ…。」(ギュー)
医務室
ギルダ「ママ、私に手伝いをさせて!」
イザベラ「ダメよ、まだギルダには早いわ。」
ギルダ「早いとか遅いとかの問題じゃないの!私はドンを助けて、仲直りしたいだけなの!」
イザベラ「…じゃあレイの補佐として、手伝ってくれる?」
ギルダ「はい!」
ドン「痛えよ…、痛え痛え!」
ギルダ「ドン、もう少しの辛抱よ。頑張って!」
イザベラ「じゃあ、始めるわよ。」
コニー「ドン、出てこない…!ドン…、ドン…!」
エマ「コニー、落ち着いて。」
コニー「ドンのとこいくのー!」
トーマ「コニー、分かるぜその気持ち。」
コニー「トーマぁ…、ぐすっ。」
トーマ「俺も今、すっごい心配なんだ。でも俺たちは、待つしかないんだよ…。」
コニー「………。」
トーマ「ママたちを信じようぜ、なっ!」
コニー「…うん。」
エマ「トーマ、ナイス!」
トーマ「へへ…、………。」
イザベラ「…とりあえず、やれるだけやったわ。あとはドンが目を覚ますまで待ちましょう。」
ギルダ「…うん。」(ドンの誕生日まであと2日、早く仲直りしなきゃ!)
ドン「………。」
誕生日まで残り1日
エマ「ママ、ドンの様子は?」
イザベラ「落ち着いてきたわ、そろそろ起きるころだと思うわ。」
ギルダ「…よかった。」
レイ「今からでも用意しようぜ、ドンの誕生日パーティ!」
エマ「うん、ギルダはドンのそばにいてあげて!私達に任せて!」
ギルダ「…分かった、絶対に成功させましょ!」
みんな「おーっ!」
ナット「飾りは…、ここか!イベット、アリシア手伝って!」
イベット「はい!」
ノーマン(みんなにやっと笑顔が戻った…!最高の誕生日にしよう。)
準備は着々と進み、あとはケーキの演出だけだった。
エマ「どうする?普通に出しても、あんまり驚かないんじゃ…。」
トーマ「そんなら、俺たちに任せろよ!」
ラニオン「スモーク炊いて、照明照らして、ロケットクラッカー発射!すぐにできる!」
レイ「スモークやロケットの材料は?」
トーマ「科学の勉強で分かる、すぐに調達できるはず!」
ラニオン「ペットボトル…、折り紙…、火薬、大体ハウスに揃ってる!」
レイ「よし、準備開始だ!」
ドン「……、ん?」
ギルダ「ドン!」
ドン「わっ!…なんだ、ギルダかよ。」
ギルダ「心配したのよ、木から落ちるなんて…ホントにドンってば…。」
ドン「あ?」
ギルダ「…なんでもない。はい、ご飯よ。ドン、何も食べてないでしょ?」
ドン「ああ、…さんきゅな。」
ドン「…うめぇ、やっぱママはすげえや。こんなん毎日作れるなんて。」
イザベラ「いいえ、ママじゃないわ。ギルダが作ったの。」
ドン「ギルダが…、へぇ。うめーよ、ギルダ。」
ギルダ「…あの事、怒らないの?」
ドン「いや、こんだけやってもらったんだ。怒れねーよ。むしろ嬉しい。」
ギルダ「ありがとう…。」
エマ「…よかった、仲直り出来たんだね。」(医務室のドアの隙間から覗いて)
当日
アンナ「ドン、ハイこれ。」
ドン「…ん?なんだこれ?」
アンナ「目隠し。」
ドン「…?ああ、そっか…。」
アンナ「私が手引くから、着いてきて。」
ドン「おう!」
ロビー
アンナ「はい、着いたわよ!10数えたら取って。」
ドン「1 2 3 4 5 …10!」
ドン「…ん、真っ暗だぞ?アンナ?」
突然、大きなオーケストラが鳴り響いた。
ドン「うわっ!なんだなんだ!」
トーマ達の作った仕組みが動き出す。
スモークが床を覆い、天井に向かって上がっていく。多色のライトがスモークを照らし、幻想的な世界を創り出す。そして、クラッカーを乗せたペットボトルロケットが打ち上げられて、部屋の中を飛んでいく。爆発の瞬間、ハウス全体の電気がついた。そしてみんなの声が響いた。
ギルダ「ドン!」
みんな「誕生日おめでとう!」
小さい子たちがドンに、折り紙で作った花束を配っていく。
ドン「うわー、すげーな。ありがとう、みんな!」
エマ「ハッピーバースデー!これ私から!」
ドン「お、でっかいなこれ。なんだろ?あ、地球儀か。」
ノーマン「はい、僕からはこれね。」
ドン「さんきゅー!」
レイ「俺は何も持ってねーから、ハグでいいか?」
ドン「は、はあっ!?バカお前っ///」
レイ「冗談に決まってんだろ、ほらよ。」
ドン「…バカヤロー、…石の彫刻?…ドラゴンか!」(赤面で受け取り)
レイ「ああ、彫刻刀を使って彫った。」
レイ「なあ、マジでハグしてやろーか?」(ドンに寄りかかり)
ドン「う、うるせえっ!」(レイを左手で振り払い)
レイ「はいはい、ホントはしたいくせにw」
ドン「お前いい加減に…/////」
イベット「はい、今の顔撮りましたー!」
みんな「ゲラゲラ」
エマ「これ、寝室に飾ろっか!」
ドン「だ〜か〜ら〜、お前ら〜!」
トーマ「俺達からは、これ!」
ラニオン「けっこー頑張ったんだぜ!」
ノーマン「けっこう大きい紙に書いたんだね。ハウスとママと、みんなだね。その中心にドンが描かれてる。上手いじゃないか、二人とも。」
トーマ「ああ、ドンが寝てる間にみんな呼び出して描いたんだ!」
ラニオン「ドンは寝てたから写真見て描いたよ!」
レイ「トーマとラニだけ、すげー美化して描いてんじゃん。」
ドン「でも嬉しいぜ!さんきゅな、お前ら!」
コニー「ドン…、私からはこれ!」
ドン「ん?コニーからは何だろうな〜。」(ワクワク)
コニー「開けてみて!」
ドン「ん、折り紙で作ったバッジ?」
コニー「うん!養子になって、みんなバラバラになってもそれを持ってれば、ずっと家族なんだよ!みんなにもあげる〜!」
みんな(コニー、なんていい子…///)
ドン「コニー、ありがとう!お前はホントにいい子だ〜!ああ〜、泣ける〜うわあぁぁ…。」
ナット「さあ、そろそろケーキ食べないか?」
イベット「ナット!まだギルダが渡してない!」
ナット「あぁ、ごめんごめんw」
ギルダ「…はい、ドン。誕生日おめでとう、これ…。」
エマ「バースデーカード?ギルダいいじゃん!」
ギルダ「えへへ…///」
ドン「お、おう!さんきゅー!どれどれ…。」
ドンヘ
誕生日、おめでとうございます。
しつこいかもしれないけど、バカって言ってごめんなさい。
今回の件で、言葉の重みを知りました。私では気付けなかったこと、エマやノーマン、レイが教えてくれました。私はあなたと話せなくなること、遊べなくなる事が怖かったです。自分がどうおもうか、ではなく相手がどう思うか。そういうことを胸に刻んで、これから頑張ります。さて、この話はここまでにしておきましょう。
里親が見つかるまで、あと3年。時が立つのは早いものですね。あと3年で家族、このハウスを去るのです。私はそれまでにあなたともっと仲良くなり、楽しく過ごしていきたいです。辛いこと、悲しいこと、信じられないこと。これから沢山あると思いますが、私はドンとの思い出を糧にし、頑張ります。
本当に誕生日、おめでとうございます。
ギルダより
ドン「………。」
ギルダ「………。」
ドン「………。」
ギルダ「………。」
ドン「…ギルダ、ありがとう。その、…俺もごめんな。勝手な勘違いして、お前をぶって…。」
ギルダ「…ううん、ドンは気にしなくていいから。」
エマ「よっし!仲直りできたところで、ケーキ食べますか!」
みんな「やったー!」
レイ「ケーキはアンナとギルダ、コニーが作ったんだ。なかなかの出来だぜ。」
ドン「女子の作ってくれるケーキ、最高だぁ…!」
アンナ「…///」
ギルダ「へへ…。」
イザベラ「テーブルに用意してあるわ、食べましょ!」
ダイニング
イザベラ「はい、ジュース持ってきたわよ〜。」
エマ「私オレンジジュース!」
レイ「オレンジジュースてwガキだな。」
エマ「むっ!じゃあレイは?」
レイ「コーヒーブラック。」
エマ「大人すぎ!」
イザベラ「はいはい、最初はドンよ。」
ドン「いや、みんなからでいいよ。」
イザベラ「そう、じゃあエマ。『オレンジジュース』ね。(クスッ)」
エマ「あ〜、ママ〜!」(ジタバタ)
ノーマン「はい、みんなの注文とるよ〜!」
レイ「コーヒー。」
エマ「マジなのかよ!」
ギルダ「紅茶おねがい。」
ナット「コーラ、頼むよ。」(フッ)
アンナ「私もエマと同じね。」
ノーマン「は〜い。トーマとラニは〜?」
トーマ ラニオン「サイダー!」
ノーマン「おっけ〜!」
ノーマン「は〜い、みんなの注文とれたよ〜。じゃあ、ママに言ってくる。」
ドン「おう!頼んだ、ノーマン。」
イザベラ「みんな揃ったわね。今日はドンの誕生日を盛大に祝いましょう!乾杯!」
みんな「「カンパーイ!」」
ドン「かぁ〜っ!うめぇ!」
エマ「ドン、おじさんみたーい。」
ドン「だってうまいじゃんかよ〜!」
ギルダ「ジュースばかりじゃなくて!」
アンナ「ケーキも、食べてほしいな…。」
ドン(キュン…、かわいい)
ドン「よし、いただこうかな!」
ドン「あ〜、美味かった!」
レイ「少し甘すぎだな。」
ノーマン「レイ〜、せっかく二人が作ってくれたんだから〜。」
エマ「おいしいよ、二人とも!」
アンナ「ありがとう。」
ギルダ「ありがとう、エマ。」
イザベラ「今日は楽しかったわね、よし決めた!みんな、今日のテストとお洗濯はママがやるからそとで遊んでらっしゃい。6時までたっぷり遊んできていいわよ!」
みんな「やったー!」
ドン「よし、鬼ごっこだー!いくぞー!」
エマ「おーっ!」
ギルダ「私もやる!」
アンナ「みんなでやりましょ!」
レイ「今日は…、俺もやろうかな。」
ノーマン「珍しいね。」
レイ「へへ…、」
ドン「じゃあじゃんけんいくぜ!」
完