初めまして、現在中2の長閑です
理科の電気関係が苦手で、
電流、電圧の関係とオームの法則までは理解出来ますが、そこからが分かりません…
現在授業では、W(ワット)が終わり熱量を習っていますが、熱量のまとめが終わらずにテスト二週間前……。
もちろん、熱量も範囲となっています
ワークが課題なのですが、理解出来ません
発熱量、熱量、電力量の違いと、求め方。
それと、W(ワット)とはそもそもどういうことなのかを分かりやすく教えてください!
お願いします<(_ _)>
初めまして。
電気の分野についてのご質問ですね。
早速解説します。
はじめに、定義の確認を簡潔にしておきます。
●熱量(単位は[J]と表記)
エネルギーを表す指標です。
単位は[J]と表記し、読み方はジュール。
熱量=発熱量=電力量
●W ワット(単位は[W]と表記)
これは、一秒間(sec)あたりの熱量を表しています。
単位で示すと[W]=[J/sec]
実はこの二つだけです。^^;
言葉が違うだけで、中身は一緒です。
では、中身は同じなのに何故言葉が違うのか。
電気や力学の繋がりを理解するならば、微積分を用いると分かりやすいのですが、
今の義務教育過程では、微積分を用いた物理の授業は、
一部の進学校等を除いて教わることはありません。
そのため、物理=暗記科目となってしまい、繋がりが理解し難いものになっています。
少しばかり話が逸れましたが、
熱量=発熱量=電力量出来る限り中学生でも分かるように解説しようと思います。
●熱量とは
私達は日々当たり前のようにエネルギーを使って、何かを動かしています。
例えば、電池を使って電球を光らせることや、
ガソリンを使ってエンジンを動かすこと、
太陽光を使って、家庭で使う電気を太陽光パネルで発電すること・・・etc
数を挙げればきりがありません。
しかし、"これこそがエネルギーだ"というものを見たことがありません。
なぜなら、熱量(エネルギー)とは"仕事をすることができる能力"のことを指すからです。
●仕事とは
大事な仕事についても説明しておきます。
例として、100[kg]のコンテナをクレーン車で10[m]持ち上げるとしましょう。
このコンテナを持ち上げ終えるまでに、必要な熱量(エネルギー)を"仕事"と定義しています。
つまり、持ち上げる距離[m]と質量[kg]を掛け算したものであり、単位は熱量と同じ[J]です。
計算式は、
このコンテナを10[m]持ち上げるために、10[sec]かかったとします。
一秒間あたり、クレーン車がコンテナを持ち上げる為に必要な熱量を"仕事率"と定義しています。
つまり、"仕事率"とはクレーン車が持ち上げる速度[m/sec]と質量[kg]を掛け算したものです。
単位は[J/sec]です。よく"動力"とも言われます。
よく"仕事"と"仕事率"を混同する人が多いですが、このように全く別物です。
実はワットとは、この[J/sec]を[W]に置き換えただけです。
※単位の注釈
[m]:メートル
[kg]:キログラム
[sec]:秒
●電力量とは
電池を使って電球を光らせるとき、
電気エネルギーを使って、電球のフィラメント(抵抗の一種)が発熱して光っています。
これは、電気エネルギーが熱エネルギーへと変換されています。
つまり、熱量(エネルギー)は、あらゆる形に変化することができます。
このように電力量は、あらゆるエネルギーに変化するので、
熱量と同じ"仕事がすることができる能力"を持ちます。
ですから、電力量の単位も[J]です。
また、電圧[V]と電流[A]には、次ような関係が成り立ちます。
電力(仕事率)[W]=電圧[V]×電流[A]
何故これが、仕事率なのでしょうか。
それは電圧と電流は次のように定義されているからです。
○電圧
単位電荷あたりの仕事を示す。
単位は[J/Q]、[V]に置き換えただけ。
○電流
1秒間に断面を流れる電荷の総量を示す。
単位は[Q/sec]、[A]に置き換えただけ。
注釈:
電荷とは、力学で言う"電気の重さ"です。(厳密には違います。^^;)
"電気には電気の独自の重さ"があるんだなぁという程度の解釈で結構です。
単位は[Q]です。読み方は"クーロン"。詳しくは高校物理でどうぞ。
定義より、電流と電圧の式は次のようになります。
電力(仕事率)[J/sec]=電圧[J/Q]×電流[Q/sec]
これは、先に述べたクレーン車が100[kg]のコンテナを持ち上げるのときと、
ほぼ同じ式の形をしていますね。
動力(仕事率)[J/sec]=質量[kg]×速度[m/sec]
これは偶然ではありません。
理論的に熱量(エネルギー)は保存されるからです。
●オームの法則
電圧と電流には、大事なオームの法則があります。
これは、次のように定義されます。
電圧[V]を電流[A]で割り算した時の値を抵抗値[Ω]とおく。
式で表すと、
抵抗値[Ω]=電圧[V] / 電流[A]
が定義に沿う本来正しい式です。
>>7の定義で示したように、
電圧[V]=電圧[J/Q]、電流[A]=電流[Q/sec] と表記されますので、
オームの法則の式を変形すると、
抵抗値[J*sec/(Q)^2]=電圧[J/Q] / [Q/sec]
となります。この抵抗値[J*sec/(Q)^2]という単位を、
抵抗値[Ω]と置き換えただけです。
このオームの法則と>>7に示した電力(仕事率)の二つの式を使うと、
次のようになります。
●オームの法則と電力(仕事率)の関係 その1
抵抗値[Ω]=電圧[V] / 電流[A] (オームの法則)
電力(仕事率)[W]=電圧[V]×電流[A] (電力の式)
今、抵抗値をR[Ω]、電圧をV[V]、電流をi[A]とおき、
オームの法則の式を変形すると、
V[V]=i[A] * R[Ω]
この式を電力(仕事率)の式に代入すると、
電力(仕事率)[W]=R[Ω]*(i[A])^2
※表記注釈
*:掛け算
()^2:括弧の中身を二乗する
と表すことができる。
このことから、電気回路の電力(仕事率)は、
抵抗値と電流値だけで求めることができる。
●オームの法則と電力(仕事率)の関係 その2
抵抗値[Ω]=電圧[V] / 電流[A] (オームの法則)
電力(仕事率)[W]=電圧[V]×電流[A] (電力の式)
今、抵抗値をR[Ω]、電圧をV[V]、電流をi[A]とおき、
オームの法則の式を変形すると、
i[A]=V[V] / R[Ω]
この式を電力(仕事率)の式に代入すると、
電力(仕事率)[W]=(V[V])^2 ÷ R[Ω]
※表記注釈
*:掛け算
()^2:括弧の中身を二乗する
と表すことができる。
このことから、電気回路の電力(仕事率)は、
抵抗値と電圧値だけでも求めることができる。