( サーモンピンクや淡い青、ブラックコーヒーのような焦げた色が交差する大きくも小さくもないまあ普通の通り。場所はきっと街の中心からやや右とか。名前も無いような住宅街と呼ぶに相応しい、平穏でどこからか赤ん坊の泣き声や家族の笑い声、もしかしたらため息の一つでも聞こえてきそうな通りに、怪しいと呼ぶ他ない人影がぽつり。いや、ぽつりではなく堂々と。某白猫ゲームのガチャ画面のようなフードコート姿で。フードを目の当たりまで深く被り、ポケットに手を突っ込んで一歩一歩確実に踏み出して。こつこつと音を響かせ歩く、几帳面に組まれたタイルを見下ろす瞳。その姿はその人影の口癖とは程遠い。だが納得しているのか、その口には笑みが浮かんでいて。突然何か用事でも思い出したのかふと立ち止まり、意味ありげに突如上を向いてみて。その反動で少しフードがずれて。それが鬱陶しく感じてしまい、思い切ってフードをばっととって。その後漏れたふぅ…という吐息と何かを見つめるじっとした瞳は揺れて。そこで彼の何かのスイッチがぼーん!と一気に入り、ぱあぁっと明るい表情になればキラキラとした表情のまま、誰かに話しかけるようにぺらぺらと独り言を。)
あぁ…やっと帰ってきた。この色鮮やかな街並み…ああなんてロマンチック!やはり帰るべきは故郷、帰るべきはロンドンだ…
五ヶ月め
↓ 五ヶ月
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