「 ねぇ、今日不思議な夢をみたの 」
前の席に座っている彼女は私に唐突に声をかけた。いや、仲が悪いとかじゃなくて、今まで話すことがないから少し驚いたけど。目の前にいる彼女はそんな私を気にせず喋りだす。
「 小さい頃の自分のね首を大人になった私が首を絞めるの。抵抗する力がなくなって息が絶えるとね、大人になった私は急に呼吸が楽になるの 」
泣きそうな表情で夢の内容を話す彼女の名は時雨 葵という。
友達と言うわけでもない、かといって他人かと問われると微妙な関係だった、私たちの少し変わった悲しい物語をここに記そうと思う。
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彼女と話すようになって気づいた事がいくつかある。まず、彼女はクラスの中で人気だということだ。二つ、自分で自分の首を絞める癖がある。これは本人の自覚は全くないが。
「 ねぇ、また変な夢をみたの、 」
「 今度はどんな夢? 」
いつものやり取りだ。でも今日はいつもより謎の違和感があった。いうなれば、最初のやり取りに近いだろう。
「 私が死んだ後のお話し。その世界はねとっても綺麗に歪みも歪みもなく回っていたの 」
そういって、彼女は立ち上がり、私の中の前に立つ。夕陽に照らされ所々影に覆われた彼女は今にも消えそうで、その姿に私はそっと手をのばす。
「「 ねぇ 」」
「 私を殺して 」
「 私が殺してあげる 」
同時に首に手を伸ばしお互いの首を絞める。あぁ、私たちの首に蝶が舞っている。
意識を失う直前に思い出した。彼女の名前ににた花があると話してあげるべきだった。
午時葵、またの名をキスツス・アルビドゥス。
午後の僅かな時間だけ咲いたらしおれる。
そしてその花言葉通り、私たちは
『 明日死ぬだろう 』
好き〜〜〜(指差し) >>864