魔法の時は早すぎて 孤独な少女の【夢】は現実になる 〜part17〜 

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77:匿名:2019/09/18(水) 19:40


うそつきってたまにどうしようもなく苦しくなるの。だからたまにこうして本音を吐かないとやっていけないんだ。だからと言って親しい人には言えない。でも親しすぎない人には言えない。だからといって素直すぎる人には言いたくない。だから君には嘘の中にほんの少しの本音を混ぜながら話すの。

「 それで、レイちゃん。今日はどんなお話をしてくれるの 」

興味がなさそうにスマホをいじりっていた彼は、一瞬目線をこちらに向けた後再びスマホに視線を移す。どこからかほのかに聴こえるオルゴールの音と紅茶とお菓子の匂いはどことなく落ち着く。きっとこの空間は彼と一緒じゃないと作れないものだと思う。嘘に混じった本音はきっと彼にはばれているのだろう。と思いながら紅茶を一口含む。ソーサーに置いたカップの中身を見つめると自分の気持ちの揺れを表すようにゆらゆらと揺れていた。そのまま視線をさまよわせながら考えることは、焼茶にしてよかったけど、やっぱり普通の紅茶の方がおいしいとかくだらないことで。ふっと息を吸うと口から紡がれるのは嘘に混じった紛れもない私の本音を込めたなぞかけで。

「 そう、だなぁ……。もし、息を吐き出すように嘘をつく子がいたとするでしょ。その子ってどんなこと考えていると思う? 」

彼の反応を見ていると少し驚いたようにスマホから目をそらし、少し考えこむように黙りこむ。なんかしゃべっていてほしい。じゃないと私がこの場所にいる感じがしないから。でもこの静寂の中でどこからか微かに聴こえるオルゴールの音と、秒針が響く音だけでいい。そんな矛盾を抱えながら水面をまた覗く。そこに浮かんでいる自分らしくない表情を見て嫌気がさす。スプーンで茶色の水面を揺らせばそこに映っていた表情はあっという間に消えていった。

「 ……罪悪感に苦しむ。……とかかな、…レイちゃん正解は? 」

口元に少し笑みをたたえながら、首を少し傾ける彼。いつもどうしてこんな正解に近いことを言ってくるのだろうか。もしかしたら本音を零しているのが彼にはばれているのかもしれない。そう思うとこのまま二人でいるのが苦しい。でもこの空気が少し心地がいいなんてどこかで思っている私もいて。だからね、その答えは

「 …多分だけど、嘘の中に本音を紛れ込ませているの…、誰かに苦しむ……なんていえばいいのかな…、自分を見つけてほしいんだ 」

多少くちごもりながらも、拙い言葉をか細い声で紡いでいく。多分答えはそれだけじゃない。君だけには嫌われたくない。それがうそつきの出した答え。

「 もし、その子が好きな子だったら…、僕は…自分にだけ、その嘘のような本音をはいてほしいって思うけどね 」

いつもでは私で終わる会話に、初めて彼がその続きを返した。その答えは、たとえ私への返答じゃなくてもが少しだけうれしくて。ほんの少しだけ赤く染まった自分の頬を頬杖で隠しながら、目線を少しだけそらしたままぼそぼそした声で、嘘を紡いていく。

「 ……ほんっとうに、りくってばかだよねぇ〜。いつか刺されても私しらないから 」

そう告げたあとカップの残りのお茶を飲み干す。視線を彼に向けると少し驚いたように目を見開きながら、ふっと優しい笑顔を浮かべる彼がいて。いつか刺されてしまえ。なんて思っているといつものような軽口が返ってきた。

「 …レイちゃんも人間観察をほどほどにしないとさされるよ 」

ため息をつきながらそう告げた彼に、いつものように口元に手を当て微笑みながら、嘘を告げる。きっと彼と私の距離はこれくらいがちょうどいい。

「 ちゃんと観察してるのはりくだけだよ…なんてね、りくにふられる女の子の反応がおもしろいなぁ、くらいにしか思ってないよ 」

「 …それは残念 」


息抜き小説

# リクレイを目指したかった # 当社比あまあま # 安定の駄作


匿名:2019/09/18(水) 21:23 [返信]



かてぃちゃん!!!>>77今日の小説ですー!!!((


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