▼世界観(2)▲
嘗て地球人達をこの地へ連れてきた巨艦。それは移民船であると同時に、強大無比な戦艦でもあった。そして今、それは人の手を離れてしまった。ある者はその力を我が物にせんとして、またある物は人の手に余る力を野放しにしまいとして、またある物は、地球文明の忘れ形見を手放すまいとして……衰退著しい兵器を手にして挑み、そして滅ぼされていった。残された人々は巨大戦艦を放置せざるを得なかった。
時を同じくして、地球人の子孫たちは更なる敵へ遭遇する。
シャングリラは無人星ではなかったのだ。地球人達が最初に移住した大陸_いつしかアルトーン国の名を冠した_とは別の大陸に、さして姿形の変わらぬ人間が住んでいたのである。
長らく、地球人達はアルトーン国の開拓が手一杯であり、原住民との接触は入植から数世紀経った今日に至るまで無かったのである。
そしてその原住民達は、人ならざる力を持つ事から「異能者」の名で呼ばれ、逆に地球人の子孫達は「星の民」と呼ばれた。
空間変動や重力変動、時間操作や因果律操作、果ては歴史改変や精神汚染すら、自らを全能と憚らない異能者達は、やはり大陸に"グリフィア帝国"なる国家を建国し長らくこの惑星の支配者であった。力なき人々は、何人たりとも逆らえぬ……筈であった。
地球人の子孫……改め星の民は、彼らの天敵であった。異能者の力は、嘗ての地球文明においてほとんどが実用化・軍事利用さえ行われており、またその対抗技術も確立していたのだ。そして幸運にも、それは星の民に残された物だった。
「全能」たる筈異能者達の歴史に、大きな翳りが生じつつあった……。
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