おにーさん、友達とかいないんでしょ
( さっきまでさしていた傘を玄関に立てかける。壁に手を添えて、ぐらぐらと揺れる橋を渡るように彼の部屋に一歩踏み入れると、そこはまるで外とは切り離された、全く違う別の世界であるような気がした。少し色あせた壁も、規則的な木目の床も、彼の暗い髪色に綺麗に馴染んで綺麗に見えた。彼の部屋からは趣味や交友関係の広さを感じさせるようなものはほとんどなくて、生活感はまるでない。どこか不安に思いながら、そのことが返って自分を安心させているような気もする。差し出された学生証と部屋を交互に見渡して、彼の名前を口の中で転がした。今のところ、わたしと彼の関係はとてつもなく奇妙だ。風呂場に干された靴下が、そのちぐはぐさを象徴しているように見える。リュックにいくつか入っているはずの変えの靴下を探そうとするが、うまく見つからなくて顔を上げる。リュックを隅っこに置くと、うっすらと口角を上げて話しかけて。リュックの小さなポケットから花の刺繍が入ったハンカチを取り出すと、自分の髪や腕などを拭いて。ぺたりと床に座って落ち着くと、雨に濡れたせいで寒気がして、いくつかくしゃみを連発して。 )
( / トリップの件、わたしもで申し訳ないのですが、運営様の配慮でこのトリップでないと書き込めない感じになっているので酉を返させていただきますね 少し間が空いてしまいましたが、この也をまたできてめちゃめちゃ嬉しいです〜( ; ; ) )
>>13 友達のいなそうなおにーさん