戸が開き、人が出てくると安心したようにパッと顔を輝かせる。
「すみません!ずっと歩いて疲れているのです、泊めてもらえませんか?身を落ち着ける場所が無くて。あ、私、雪女の清水ユキメです。」
疲労は見えるがハキハキした声で挨拶する。
「分かりました、時計ね。倉庫に私のお気に入りだけれど、勿体なくて使っていなかった物があった筈だから、それを差し上げるわ」
そう言うと、口に笑みを浮かべて。願いを言ってくれて良かった、とでも言う様に落ち着きを示し、安堵の息を吐き。言ってくれてありがとうね、とその後に付け足して。
>>44, >>46,>>51,>>53-54
「そうねえ。お客様は良くある事だし…。嗚呼、貴女を此処に住まわせる事なら何も否定はしませんよ、だって否定する理由がないものね。と言うかお部屋はたくさん余っているし、逆に貴女が来てくれた方が、きっと賑やかになると思うわ」
客が来てくれた事が嬉しいのだろう。満面の笑みでこくこくと縦に頷いて。しかも人外では無いか、人外ならば尚更断る意味も理由も無いし、逆にどちらにとってもメリットばかりだと、それを軽く説明して。…生活費とか何も無いからなあ、住みやすいだろうなあと言うのは心の声である。まあ、自分もそれに沢山助けられているし、それが広まって館が賑やかになるのであれば、此方も嬉しいと思ったのだ。
「住まうならば、お部屋を決めないといけないわね。お部屋の場所は好きに選んでね、大体何処も空いているし、気に入った所が無いなら…うーん、この館は魔法の館だから、きっと望んだ所に出来る筈よ。…あと、大事な事。生活費とかは取らないから、安心して頂戴ね」
優しい声で、相手の気持ちを読み取ろうとして。一気に喋り過ぎてしまう事が彼女の悪い所だが、それでも彼女なりに気を使っている様子だ。